公的・民間の医療保険のメリット・デメリットを保険のプロが徹底解説

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民間の医療保険に加入しなくても、公的保険制度だけで十分だと考えている方は少なくないでしょう。しかし実際は入院費以外に自己負担が発生する、先進医療が保障されないなどの落とし穴があります。そこで、追加で民間の医療保険に加入するメリット・デメリットを解説します。



▼この記事を読んで欲しい人
  • 医療費は公的保険制度だけで十分賄えると考えている方
  • 医療保険に加入することで具体的に何に備えられるのか知りたい方

内容をまとめると

  • 日本の公的医療保険制度によって医療費の自己負担は大幅に軽減されている
  • ただし医療費以外の食費や差額ベッド代など自己負担となる分は保障されない
  • 医療保険に加入すると自己負担分をカバーできるため長期入院にも対応できる
  • 医療保険の選び方について相談したい方は「マネーキャリア」の利用がおすすめ!
  • 顧客満足度93%の「マネーキャリア」は、初めて保険相談をする方でも安心!

医療保険には2種類ある|公的医療保険と民間医療保険

病気やケガに伴なう入院や長期間の治療には高額な医療費用が必要です。


長期の入院や治療中には普段のように働けず、収入が得られないこともありえます。


治療費だけでなく、生活費や家族の扶養にもお金がかかるため、一時的な収入の減少にも備えが必要です。


医療保険は病気やケガによるこのようなリスクに備える目的があります。 

  

そんな医療保険ですが、日本には2種類の医療保険があります。

  • 「公的医療保険」:国が運営する医療保険制度
  • 「民間医療保険」: 民間の保険会社の商品

この2つは混同しやすいですが、仕組みや保障内容が違う全く別のものです。


「公的医療保険」は全国民対象で、すべての人が、職業や年齢により分けられた以下のいづれかの保険に加入します。 

  • 国民健康保険
  • 全国健康保険協会
  • 健康保険組合
  • 共済組合
  • 後期高齢者医療制度


一方、「民間医療保険」は各種保険会社が提供する商品です。


加入の義務はなく、必要に応じて個人で加入します。


「入院給付金」「手術給付金」を軸に、通院や特定の治療や病気に対する保障をオプションで付ることで、入院や手術の際にお金がもらえます。


「公的医療保険」と「民間医療保険」の違いを理解し上手に組み合わせることで、しっかりと病気やケガに備えましょう。

日本の公的医療制度の3つのメリット


まずは、公的医療保険についてみていきましょう。


世界でも屈指といわれる日本の公的医療保険制度ですが、具体的に公的医療保険制度にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

  1. 「国民皆保険」相互扶助により医療費の負担は原則3割
  2. 「高額療養費制度」他の国と比較しても医療費の自己負担が少ない
  3. 「フリーアクセス」医師や医療機関を選択できる
以上の3点について解説していきます。

メリット①:国民皆保険|医療費の負担は原則3割

最初に挙げるメリットは「国民皆保険」です。


この制度は、簡単にいえば国民全員が保険に加入し保険料を支払うことで一人あたりの医療費が扶助され、全員が同等の医療行為を受けられるようにするしくみです。


日本国民は国民健康保険および社会保険への加入が義務付けられており、

  • 国民健康保険:特定の企業に属さない自営業者などが加入
  • 全国健康保険協会:「健康保険組合」がない企業の従業員が加入
  • 健康保険組合:比較的大きい企業に属する従業員が加入
  • 共済組合:公務員が加入
  • 後期高齢者医療制度:75歳以上の高齢者が加入
以上の保険に誰もが必ず加入しています。

これらの公的保険制度に全員が加入し保険料を負担し合うことで、一人あたりの医療費自己負担が「3割」にまで抑えられています。

この国民皆保険精度によって、国民全員が室の高い同等の医療行為を受けることが可能であり、体調が悪いときはすぐに医療機関を受診できます。

メリット②:高額療養費制度|医療費の自己負担が少ない

①で解説した国民皆保険制度によって負担するべき医療費が大幅に抑えられていますが、さらに負担を軽減してくれる制度が「高額療養費制度」です。


高額療養費制度は、年収に応じて決められている1カ月あたりの医療費上限額を超えると、超えた分が払い戻されるしくみです。これにより、保険適用内の治療であればどれだけ1カ月の医療費が高額になっても安心して入院・通院治療を行うことができます。


年収ごとの医療費上限は、次のとおりです。

69歳以下

適用区分外来(個人)世帯ごと
標準報酬月額
83万円以上
252,600円+
(医療費-842,000)×1%
252,600円+
(医療費-842,000)×1%
標準報酬月額
53万円以上
167,400円+
(医療費-558,000)×1%
167,400円+
(医療費-558,000)×1%
標準報酬月額
28万円以上
80,100円+
(医療費-267,000)×1%
80,100円+
(医療費-267,000)×1%
標準報酬月額
26万円以下
18,000円57,600円
住民税非課税世帯8,000円24,600円
住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下)
8,000円15,000円

70歳以上

適用区分外来(個人)世帯ごと
標準報酬月額
83万円以上
252,600円+
(医療費-842,000)×1%
252,600円+
(医療費-842,000)×1%
標準月額報酬
53万円以上
167,400円+
(医療費-558,000)×1%
167,400円+
(医療費-558,000)×1%
標準報酬月額
28万円以上
80,100円+
(医療費-267,000)×1%
80,100円+
(医療費-267,000)×1%
標準報酬月額
26万円以下
18,000円57,600円
住民税非課税世帯8,000円24,600円
住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下)
8,000円15,000円

医療費がこの表の金額を超えた場合、協会けんぽ等に申請することで払い戻しを受けられます。ただし後払いであるため一度は自分で医療費を建て替えておく必要があります。


ちなみに1年以内に上限額に達した回数が4回を超えると「多数回該当」となり、

所得区分69歳以下70歳以上
標準報酬月額
83万円以上
140,100円140,100円
標準報酬月額
53〜79万円
93,000円93,000円
標準報酬月額
28〜50万円
44,400円44,400円
標準報酬月額
26万円以下
44,400円44,400円
住民税非課税者24,600円

以上のように上限がさらに安くなります。

メリット③:フリーアクセス|医師・医療機関を自由に選べる

健康保険に加入している方は「フリーアクセス」というしくみによって、基本的に診療を受ける医療機関を自由に決めることができます。


なぜこれが重要なのか、それは「かかりつけ」かどうかに関わらず、評判の良い病院や最新の医療技術を取り入れた病院を個人が自由に選択できる点にあります。海外には、日本と異なり民間の保険会社が指定した医療機関しか受診できない国もあります。


そのため居住地外の医療機関を選択することもできますが、何度も通院が必要な場合は余分に時間や交通費がかかることも考慮に入れるべきです。

医療保険は必要?公的医療制度には落とし穴がある


ここまでは公的医療保険のメリットについて解説してきました。


公的医療保険のメリットは大きく、日常のケガやちょっとした病気であれば不自由を感じることはありません。


しかし、より大きなケガや病気には「公的医療保険だけでは不十分」であることを示す落とし穴もあります。


次からはその落とし穴について、

  1. 先進医療・自由診療は保障されない
  2. 差額ベッド代や食事代などが保障されない
  3. 長期入院には対応しきれない
  4. 入院時の自己負担額は20万円におよぶ
以上の点を解説していきます。

落とし穴①:先進医療・自由診療は保障されない

公的医療保険制度においては、保険適用内の医療行為のみが保障されるため、

  • 先進医療:厚生労働省大臣の承認を受けている治療方法
  • 自由診療:厚生労働省大臣の承認を受けていない治療方法
以上2つの保険適用外の医療行為に関しては自己負担となります。

この2つのうち先進医療に関しては入院費・診察料・検査費・投薬費だけが公的医療保険が適用されます。自由診療の場合はそれらの費用も含めて全額自己負担になります。

実際にどれくらいの費用がかかるか、中央社会保険医療協議会の「令和2年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」によると、
  • 腹腔鏡下センチネルリンパ節生検(早期胃がん):2,466,320円
  • 重粒子線治療(肝細胞がん):26,560,000円
  • 重粒子線治療(非小細胞肺がん):36,340,000円
  • 重粒子線治療(直腸がん):44,320,000円
  • 水素ガス吸入両方(心停止後症候群):15,244,176
これだけの費用が先進医療の費用として発生しています。

実際に数百万円もする先進医療が必要になることは稀ですが、万が一必要になったときのリスクは非常に大きいです。

落とし穴②:差額ベッド代や食事代などが保障されない

公的医療保険制度では、

  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事代
これらの費用が保障されず自己負担となります。

差額ベッド代(特別療養環境室料)とは個室利用時に加算される費用のことで、厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況(令和2年9月16日)」によると、令和2年9月16日時点での平均徴収額は、次のとおりです。

部屋タイプ合計病床数1日あたり
平均徴収額
1人室181,515
8,018円
2人室41,7043,044円
3人室4,6252,812円
4人室38,9112,562円
この差額ベッド代に関しては金額が医療機関ごとで異なります。それに対して食事代は、すべての医療機関で「1食あたり460円」で統一されています。

たとえば、2週間の1人部屋への入院でこれらの自己負担が発生するケースを想定すると、
  • 差額ベッド代:109,718円
  • 食事代(3食):19,320円
合計で「129,038円」もの自己負担が発生します。

落とし穴③:長期入院には対応しきれない

一定額以上の医療費が払い戻される「高額療養費制度」ですが、実はこれも「医療費は1カ月でリセットされる」という性質があるため、万能ではありません。


たとえば上限が1カ月あたり8万円となっている場合、いくら高額になっても8万円しかかからないので負担は少ないです。しかし入院が長期化して4カ月となった場合は、合計で32万円の費用がかかることになります。


現代では入院日数自体は短期化する傾向にあり通院治療も増えているため、昔よりは医療費が高額になるリスクは減っています。しかし、入院が長期化した場合には公的医療保険では到底カバーしきれなくなります。

落とし穴④:1ヶ月入院時の自己負担額は20万円におよぶ

公的医療保険では保険適応の治療のみが保障され、それ以外は自己負担で対応することになります。

公的医療保険適応外の例(ほかにも多数あります)
  1. 入院時の食事代
  2. 差額ベッド代
  3. 高度先進医療費
  4. 家族がお見舞いに来る際の交通費
  5. 医師が治療を必要だと認めないもの
これらに対しては公的医療保険適応外になりますので、貯蓄から支払う必要があります。 

さらに、高額療養費制度は払い戻されるまで3ヶ月以上かかるため、一旦全額を自己負担する場合もあります。

一般的に、緊急時に対応するための費用として、手取りの3~6ヵ月分程度が目安とされています。

しかし、実際には十分に貯蓄できている人ばかりではなく、とくに20代など勤続経験が少ない場合には貯蓄額が低い傾向にあります。

20代の貯蓄額は以下のとおりです。

20代単身者の貯蓄額
平均値中央値
貯蓄額113万円 8万円
金融広報中央委員会「知るぽると」
をもとにほけんROOMが作成 


このように20代は貯蓄額の平均値も中央値も低めの額になります。また、入院1回で支払う自己負担額は下記のようになります。

入院時の自己負担額

男性女性全体
5万円未満6.4%
8.7%7.6%
5-10万円23.1%28.1%25.7%
10-20万円30.6%30.6%30.6%
20-30万円13.9%12.8%13.3%
30-50万円13.9%9.7%11.7%
50-100万円8.7%8.2%8.4%
100万円以上3.5%2.0%2.7%
平均額22.8万円19.0万円20.8万円
生命保険文化センターをもとにほけんROOMが作成
※治療費・食事代・差額ベッド代・入院に際した家族の交通費・衣類・日用品を含んだ金額

このデータを見ると入院時の自己負担額のボリュームゾーンは5-20万円です。つまり入院すると公的医療保険で全額カバーできるのことは稀であり、平均して20万前後の出費があるということになります。入院が長期化した場合などはさらに多くの医療費がかかってきます

20代の貯蓄額の中央値は8万円ですので、貯金で自己負担額をまかなうことは難しい可能性が高いです。

高額療養費制度があるとはいえ、病気やケガの際にはある程度のまとまったお金は必要になってきます。

そのため、民間の医療保険などでリスクに備える必要があります。

医療保険の4つのメリット


公的医療保険だけでは不十分な場合があることを考えると、おのずと選択肢になるのが民間の医療保険に加入し、公的医療保険ではカバーできない部分を補うことです。


では、民間の医療保険に加入することで具体的にどのようなメリットが得られるのか

  1. 先進医療に備えられる
  2. 長期入院に備えられる
  3. 経済的・心理的負担を軽減できる
  4. 特定の病気への柔軟な対策もできる
以上4つのメリットについて解説していきます。

メリット①:先進医療に備えられる

医療保険に加入することで、非常に高額な自己負担額が発生する「自由診療」や「先進医療」に備えることができます。


自由診療と先進医療はどちらも公的医療保険の対象外なため、かかる費用は自己負担です。 


この2つの違いは以下の通りです。

  • 「自由診療」:公的医療保険の対象外の治療法。「混合診療の禁止」が原則で、一部でも自由診療を取り入れると公的医療保険の範囲内である治療も保険の範囲から外れて自己負担となる。
  • 「先進医療」:自由診療のうち厚生労働大臣が承認した治療法。診察や検査など、公的医療保険の適用となる部分はそのまま公的医療保険の対象。先進医療の範囲内のみ自己負担。  

公的医療保険が使える範囲が異なりますが、どちらも治療を受けるには高額な費用がかかるため、自分の貯蓄から費用を捻出するのは難しい治療です。


そこで医療保険の「先進医療特約」や自由診療にも対応できる「がん保険」が役に立ちます


先進医療特約は、基本保障に数百円プラスするだけで良いため、小さな負担で大きなリスクに備えられるというメリットがあります。

メリット②:長期入院に備えられる

医療保険に加入すると1日あたり一定額が支給される「入院給付金」を長期間にわたって受け取ることができるため、入院が長期化した場合にも対応できます。


すでに説明したように、入院した際にかかる費用は入院費だけでなく、差額ベッド代や食費が自己負担として発生するため、2週間程度の入院でも10万円以上の費用が発生する可能性があります。


1カ月で10〜20万円程度の負担で高額療養費制度を利用した場合上限額を超えた分は払い戻されますが、

  • 1カ月あたりの上限までの医療費は必ず発生する
  • 入院が数カ月程度まで長期化負担は重くなる
以上の理由から万能ではありません。


もし医療保険に加入していれば、

  • 差額ベッド代:約8,000円
  • 食費(3食分):460円
1日あたり以上の自己負担が発生したとしても、1日あたりの入院給付金を「10,000円」に設定することで、少なからず自己負担分をカバーできます。

メリット③:経済的・心理的負担を軽減できる

医療保険に加入することで、入院に伴う経済的・心理的負担を大きく軽減できます。


経済的な不安としては、

  • 入院中に発生する費用
  • 入院後の生活費
  • 入院中休職することで発生する逸失収入
これらの経済的問題について考えなければならないため、治療に集中するのが難しくなる場合があります。

公的医療保険にも、「傷病手当金」という病気やケガで会社を休んだ人のための制度があります。

 傷病手当金の支給額は給料のおよそ2/3で、受給期間は最長1年6ヶ月です。

この制度により、入院や長期の治療を続けながらも収入を得る方法はありますが、支給額は給与の2/3であるため、家族構成や状況によっては十分ではないかもしれません。

また、自営業や個人事業主が加入する国民健康保険には、傷病手当金がありません

自営業や個人事業主は、入院して仕事ができなくなった場合には自分の預貯金だけでカバーすることになります。

特に、20代〜30代などのまとまった貯蓄がない世帯は入院によって収入が減っても自己負担分を家計から捻出しなければならないため、不安要素はさらに増えるでしょう。

夫婦が共働きではなくパートナーが専業主婦・専業主夫であり、家計の大黒柱となっている方が突然入院したような場合も同様です。

子どもがいる場合は教育費の心配もあります。

特に子どもが大学に通っている場合、親のどちらかが一時的にでも働けなくなることで子どもの教育費も支払えなくなるかもしれません。


また心理的不安として、入院することで失う可能性があるものは「お金」だけではなく、

  • 入院中に仕事ができず収入がなくなることへの不安
  • 収入がなくなることで家族を養えなくなることへの不安
  • 長期的に入院したことで仕事そのものを失うことへの不安

たとえばこのような心理的不安がのしかかることがあります。


入院による不安要素は挙げればきりがありませんが、医療保険に加入しておくことで家計に直撃する自己負担分を大幅にカバーできるため、経済的・心理的不安を軽減できます。

メリット④: 特定の病気への柔軟な対策もできる

医療保険は保障範囲が広いため、さまざまな病気のリスクに備えることができます。


がん(悪性新生物)に備える|がん保険の必要性

たとえば日本人の死因1位である「がん(悪性新生物)」は、生活習慣だけでなく遺伝も少なからず罹患率に影響するとされています。そのため、親(親族)ががんに罹患している方は自分も罹患するリスクが高いと考え、若いうちから医療保険に加入して備える方もいます。


最近はがんでも入院が最重要視されない傾向にあり、通院治療で治療を行うことも多いですが、たとえ通院でも長期化すると入院期間が増えます。そこで医療保険に加入していれば、診断一時金や通院給付金を受け取ることができます。


認知症に備える|民間介護保険の必要性

がん以上にリスクを予測するのが難しい「認知症」という病気があります。認知症は症状が初期段階であれば入院治療を行うこともありますが、重度の記憶障害、幻覚や幻聴、徘徊などを伴う場合は介護施設へ移る必要性も出てきます。


もし認知症患者が要介護認定を受けて介護が必要になった場合、要介護度に応じて

  • 要支援1:50,320円
  • 要支援2:105,310円
  • 要介護1:167,650円
  • 要介護2:197,050円
  • 要介護3:270,480円
  • 要介護4:309,380円
  • 要介護5:362,170円
以上の金額が保障されます。

ただし、親族が介護施設を訪れるための交通費や、在宅介護をするにあたっての住宅改修費の一部(1〜3割負担)も賄う必要があるため、介護保険だけでは不足することが多いです。

そこで民間の医療保険や介護保険就業不能保険に加入しておくことで、治療費や介護施設利用料、その他交通費や住宅改修費もカバーできるので、経済的に余裕を持つことができます。

特に就業不能保険は傷病手当金が保障できない1年6ヶ月以降の就業不能における給付を受けることができます。給付金は保障期間終了時までの長期間にわたって、一般的に月10万円〜月15万円、多くて月50万円もらえる商品があります。

医療保険には商品や保障の種類が膨大にあり、それぞれメリット・デメリットや使い道などが多岐にわたります。ご自分で選ぶのが困難な場合は保険のプロへ相談することも賢い選択の一つと言えるでしょう。

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医療保険の4つのデメリット

公的な医療保障制度を補い、病気やケガの際の金銭的なリスクを軽減してくれる医療保険ですが、デメリットも存在します。


いざという時の医療費の負担を軽減するためには、医療保険のデメリットを理解したうえで、上手に組み合わせるのが有効です。


医療保険のデメリットとして、

  1. 保険料を毎月支払う必要がある
  2. 健康状態によっては加入できない可能性がある
  3. 医療保険ではカバーできない治療・入院がある
  4. 掛け捨てになる場合がある
以上の4点について解説します。

デメリット①:保険料を毎月支払う必要がある

医療保険に加入した場合、毎月の保険料の支払いが生じます。 


保険は「加入者が少しづつお金を出し合い、病気やケガで必要な人にお金を渡す」という仕組みのためです。 


貯蓄ならば自分のペースで進めることもできますが、医療保険の場合は毎月一定額を支払い続ける必要があります。 


生活がぎりぎりで余裕がないという場合には、毎月の固定費として保険料を支払うのは負担が大きく感じることもあるでしょう。  

デメリット②:健康状態によっては加入できない可能性がある

医療保険は誰でも加入できるとは限りません。


加入するには健康に関する告知をする必要があり、場合によっては希望する保険に加入できないケースもあります


すでに大病を患っている場合や、健康診断で何かしらの指摘を受けている場合には注意が必要です。 


また、特定の部位について保障が受けられないケースもあります。 


たとえば、妊娠して一定期間を過ぎた場合は、妊娠・出産に関する費用が保障の対象外になる可能性があります。 


医療保険への加入を考えているのであれば、健康なうちに加入しておくのがおすすめです。


割高にはなりますが、告知なしで加入できる「無選択型」の保険も増えてきているので、そちらを検討するのもいいでしょう。

デメリット③:医療保険ではカバーできない治療・入院がある

医療保険は万能ではなく、病院にかかれば必ずもらえるものではありません。


入院や手術をしても、条件によってはお金を受け取れない場合もあります

たとえば、 

  • 正常分娩による出産 
  • 美容整形 
  • レーシック手術 
  • 保障開始から90日以内に発覚したがん 

などには支給されません。 


また、支給される日数や金額の上限により、支給対象外となる場合もあります

  • どんな時に 
  • 何日目から何日目まで 
  • いくら受け取れるのか 

支給の条件はパンフレットやホームページにも記入されています。

加入前にしっかりと確認しましょう。

デメリット④:掛け捨てになる場合がある

保険には貯蓄型と掛け捨て型がありますが、医療保険は「掛け捨て」と呼ばれるタイプが一般的です。 


 掛け捨て型は貯蓄性がなく、

  • 解約時に解約返戻金は受け取れません 
  • 満期を迎えても、満期保険金は受け取れません

つまり、いくら保険金を支払っていても、ケガや病気をしなければお金は支払われません。 


そのため、掛け捨て型にはどうしても「保険料が無駄になった」という印象があります。


しかし、長期入院やガンの先進医療などのリスクに対しては、掛け捨て医療保険で備えることが有効です。 


近年では医療技術の発展もあり、入院期間は短縮されてきており、入院期間が30日を超えることは稀です。 


一方で入院期間が60日を超えるケースもあり、その場合の平均自己負担額は60万円を超えます。 


また、がんの先進医療は全額自己負担であり、高額な費用がかかります。


長期入院も先進医療も実際に利用するケースは稀ですが、利用するには高額な費用が必要です。


そのため、これらのリスクに対しては掛け捨ての仕組みを理解したうえで、適切に利用する必要があるのです。  

掛け捨て医療保険は「被害が致命的なリスク」に必要な商品である

保険はみんなでお金を出し合い、誰かが何らかの原因で損害を受けた時は集めたお金から保障するという相互扶助の精神で成り立っています。保険の最大の目的は、起こる可能性は低くても甚大な被害をもたらす事象に対して備えることです。


掛け捨て医療保険はこのような被害が致命的なリスクに対して備えるのに有用です。この掛け捨てという言葉に対して悪いイメージを持つ方が時々いらっしゃいます。


ですが、たとえば損害保険の自動車保険や火災保険なども掛け捨ての保険にあたります。これらの保険に対して勿体ないと思う人はほとんどいません。


なぜ掛け捨てという言葉に対してマイナスな印象を持つ人がいるのでしょうか。その理由は貯蓄保険の存在にあります。日本の金融市場には、桁違いの莫大な資金を動かす機関投資家というものが存在します。多数の保険会社が機関投資家に含まれています。その合計規模は404兆円となり(2021年3月末時点)国民年金を運用するGPIFの約180兆円を大きく上回っています。


保険会社は顧客から預かった莫大な保険料を運用して利益を出すのです。貯蓄型医療保険は掛け捨てより保険料が多くなります。より多くの保険料を集め運用したいという保険会社の思惑があり、貯蓄保険という商品が存在するのです。


しかし、本来保険とは発生する確率は低くとも致命的な被害をもたらすリスクに備えるものです。そのため、保険で元をとったり貯蓄するという考え方は不自然になります


本来の保険の目的に沿うならば、たとえば長期入院ガンの先進医療などのリスクに対して掛け捨て医療保険で備えることが必要です。たとえば、入院日数ごとの平均自己負担額をみていくと以下のようになります。


入院日数別の平均自己負担額

入院日数人数全体に占める割合平均自己負担額
5日未満7620%10.1万円
5-7日9525%15.6万円
8-14日10428%21.0万円
15-30日6216%28.5万円
31-60日205%34.6万円
61日以上113%60.9万円
全体36810020.8万円

生命保険文化センターをもとにほけんROOMが作成


このデータをみると、入院日数が長くなるほど自己負担額は増えていきます。とくに60日を超えるような長期入院ですと、発生確率は2%と低いものの60万円以上もの高額な自己負担額がかかります。


また、がんの先進医療は全額自己負担であり高額な費用がかかります。

先進医療の金額は以下のとおりです


先進医療技術料(一部)

  • 陽子線治療:2,649,978円
  • 重粒子線治療:3,186,609円
  • 高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術:300,857円

生命保険文化センターから参照


このように長期入院やガンの先進医療に対しては、貯金で対応するのは難しい可能性が高いです。そのため、これらのリスクに対しては優先的に備える必要があるのです。

医療保険の選び方

医療保険を選ぶ際には、

  • 保険期間(定期型か終身型か)
  • 主契約と特約の契約内容
  • 月々の保険料は予算内か?

をよく確認しましょう。

以下、それそれの項目について解説します。

保険期間には「定期」と「終身」の2種類がある

医療保険には「定期型(更新型)」と「終身型」の2種類があります。


この2つは、

  • 更新の有無
  • 保険料

に違いがあります。


それぞれにメリット・デメリットがあるので確認していきましょう。


定期型のメリット・デメリット

(i) 定期型のメリット

  • 保険料が安い
  • 要期間のみ保険に加入できる
  • 保険の見直しがしやすい

定期型は終身型と比較すると月々の保険料が安く設定されているため、保険料の負担を抑えたい場合には定期型保険が有用です。 


また、定期型は必要期間のみ保険に加入できるため、「子どもが独立するまでの20~30年間だけ手厚い保険で備えたい」など、
ライフステージにあわせて利用
できます。


定期的に更新があるため、時代にあった保障に変更しやすく、必要なときに必要な保障をうけやすいのも特徴です。



(ii) 定期型のデメリット

  • 年齢を重ねると保険料が上がる
  • 更新できる年齢に上限がある

通常、医療保険は若いときは保険料が安く、年齢が上がると保険料は高くなっていきます。 そのため定期型保険は更新のたびに保険料が上昇していきます。 


保険料が変動すると資金計画が立てづらく、また、長期間の加入だと定期型の保険料は割高になりがちです。 


さらに、定期型には更新限度があり、一定の年齢以降は保障を受けることができなくなります。 


たとえば更新可能な年齢を80歳までとしている保険だと、80歳以後は保障を受けられません。
そのため、一番必要な時期に保障を受けることができないというリスクがあります

 

終身型のメリット・デメリット

(iii) 終身型のメリット

  • 生涯保障が続く 
  • 保険料が一定 

終身型の医療保険のメリットは、生きている間ずっと保障が続くことです。


定期型は更新できる年齢に上限があり、病気になるリスクが高いときに必要な保障を受けられない可能性がありますが、終身型は年齢制限を気にする必要がありません。 


高齢者になり、医療保険を最も必要とするタイミングで給付金を受け取ることができるのは安心感があります。 


また、終身型保険は保険料が一定で変動しないため、資金計画が立てやすいです。 


若いときに加入すれば安い保険料が持続するため、長期間の加入の場合はトータルでみると終身型の方が安くなる可能性が高くなります


(iv) 終身型のデメリット

  • 保険の見直しがしにくい
  • 保険料が高い

終身型は更新がないため、保険の見直しが行いにくく、保障内容が古くなってしまうリスクがあります。 


20~30代で終身型保険に加入すると、高齢になった時点で50~60年以上前の古い医療保障を使うこともありえます。


保険は医療の発展に伴って新しいものが次々に生み出されていくため、終身型保険の場合は自ら積極的に保障内容を見直ししていく必要があります。 


また、終身型保険は定期型と比較すると一か月の保険料が高く、特に貯金や収入が少ない若い時ほど負担が大きくなりがちです。


終身型は継続を前提としており、満期前に解約すると損をしてしまうため、自分の経済状況やライフプランを見据えて慎重に選択することが必要です。

主契約と特約の契約内容を確認

医療保険を選ぶ際には、主契約である「入院給付金」と「手術給付金」についてよく検討しましょう。 


入院給付金には、1日あたり5,000円のケースもあれば、10,000円のケースもあります。 また、一回の入院ごとに受け取れる日数も決まっています。 


上限日数は60日が一般的ですが、120日や180日などの長期の設定もあります。


差額ベッド代や自分の貯蓄額を考え、バランスの良いものを選びましょう


主契約が定まったら、特約を検討しましょう。 

「先進医療特約」「3大疾病保障特約」「通院保障特約」など、優先順位の高い特約から検討するのがおすすめです。 


特約は各医療保険ごとに異なり、同じ名称でも内容が全く違うケースもあります。 


給付金額や支払い条件をよく確認しましょう。 

月々の保険料は予算内か?

契約内容を決めたら、特約まで含めた保障内容と保険料をしっかり確認し、毎月の支払額が予算内に収まっているかをチェックしましょう。 


保障内容を手厚くすればいざという時には安心ですが、日々の暮らしを圧迫してしまっては意味がありません。 


月々に無理なく支払える額をしっかりと把握し、それに合わせた保険料になるようにしましょう。 


 払い方によっても保険料を抑えることができます。 


月払いではなく半年払いや年払いを選択すると、トータルの支払額を安くできるので検討してみましょう。

医療保険に加入する際の3つの注意点


ここまでは医療保険に加入することのメリットについて解説してきましたが、加入時にはいくつか注意しなければならない点もあります。


最後はその注意点について、

  1. 告知義務違反について
  2. 貯蓄型の保険商品のデメリット
  3. 三大疾病・女性疾病にピンポイントで備える保険商品のデメリット
以上の点を解説していきます。

注意点①:告知義務違反を避ける

医療保険加入時には加入者自身の健康状態や既往歴などについて告知する必要がありますが、内容を偽って告知すると「告知義務違反」となります。


基本的に診察や検査歴は直近3カ月以内のもの、既往歴は直近5年以内のものを告知する必要があります。健康診断や人間ドックを受けたことがあるなら報告し、女性で妊娠している方ならそれも必ず告知します。


それら告知内容に虚偽があることが発覚した場合、告知義務違反と認定されて保険は即時解約となりますし、返戻金も受け取ることができません。告知義務違反は加入時だけでなく、加入から数カ月、数年経過してから発覚することもあります。


発覚すると強制的に解約となる告知義務違反にはデメリットしかないため、必ず正確に告知するようにしましょう。

注意点②:貯蓄型の商品は選ばない

2つ目の注意点は、貯蓄型の保険に関する点です。


支払った保険料が事実上積み立てられていく貯蓄型医療保険は現在でも人気の保険ですが、終身型の医療保険とは異なり保障ではなく「解約により将来的にまとまったお金を受け取ること」がメインとなっています。


解約前提で加入する保険は解約になると当然ながら保障もその時点で切れてしまうため、入院時や手術時の保障を受けるには改めて別の保険に加入する必要がありますが、解約時には高齢になり病気への罹患率も高まっているため、この方法はおすすめできません。


では、貯蓄型の保険ではなく最初から解約返戻金のある医療保険に加入する方法はどうでしょうか。


その場合、

  • 加入時に高齢であり病歴があると保険への加入自体が断られる可能性が高くなる
  • 病歴がある方向けの保険に加入できても、保険料が割高である
  • 妥協して保険を選ぶと、結果的に生涯で支払う保険料総額は高くなる
以上のようなデメリットがあります。

また、貯蓄型の医療保険自体が少なく選択肢の幅が狭いため、満足のいく保障内容を得られない可能性もあります。

注意点③:三大疾病や女性疾病に特化した保険は選ばない

最後に挙げる注意点は、三大疾病女性特有疾病に備えられる医療保険に関する注意点です。


医療保険の中には、

  • がん
  • 脳卒中
  • 心筋梗塞
以上の三大疾病と呼ばれる病気を発病した際に一時金を受け取れる医療保険があります。

特にリスクが高い3つの病気であるためピンポイントで保障を充実させることは良いことのように思えるかもしれませんが、実際のところ脳卒中や心筋梗塞は治療よりも予後のリハビリをどのように行うかが重要です。

またそのような保険は三大疾病以外の病気に罹患した際の保障がない、またはあっても最小限であるため、病気全般に備えたいなら医療保険にがん特約や三大疾病特約を付帯した方が良いでしょう。

三大疾病以外にも、女性特有の病気である
  • 乳がん
  • 子宮頸がん
  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜症
このような病気に罹患した際に、基本保障にプラスして一時金を受け取れる女性専用の保険があります。

こちらも女性であればメリットが大きいように思えますが、
  • 女性特有疾病は他の病気と比較して治療費が高額というわけではない
  • 女性特有疾病は他の病気と比較して重症化リスクや死亡リスクが高いわけではない
  • 通常の医療保険と比較して保険料が割高である可能性が高い
以上の理由から、女性専用の保険はおすすめできる保険ではありません。

根拠として、厚生労働省による「平成29年患者調査の概況・退院患者の平均在院日数等」では、女性特有の「妊娠、分娩および産褥」での平均在院日数が「7.6日」となっており、女性の入院日数が特別日数い長いわけではありません

また「生涯医療費(平成30年度)」では、女性の64歳までの医療費が「1,149万円」担っているのに対し、男性は「1,163万円」であり、女性特有疾病のリスクがあるからといって医療費が高額になりやすいわけではないこともわかります。

まとめ:医療保険に関する疑問や不安があればFPに相談!


今回は公的保険制度だけでなく医療保険に加入するメリット・デメリットについて解説してきました。


この記事のポイントは、

  • 医療保険には公的医療保険と民間医療保険の2種類がある

  • 公的医療保険にはメリットも多いが、「先進医療は保障されない」「差額ベッド代や食事代は保障されない」「長期入院には対応できない」「まとまったお金は必要」など足りない部分もある 
  • 医療保険に加入することで「先進医療への備え」「長期入院への備え」「経済的・心理的負担の軽減」「特定の病気への対策」が可能になる 
  • 医療保険のデメリットも理解したうえで上手に利用する 
  • 医療保険には終身型と定期型があり、それぞれにメリット・デメリットがある

  • 医療保険を選ぶには「主契約と特約の内容」と「月々の保険料」をよく確認する

でした。


公的保険制度では足りない部分を医療保険でカバーすることで、入院中の経済的負担だけでなく、退院後の生活や仕事への復帰にも役立ちます。


医療保険への加入を検討しているが、どの保険を選べば良いのかわからないという方は、保険のプロ「マネーキャリア」のへの相談もおすすめです。


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