更新日:2022/06/06
医療保険の180日ルールとは?入院に備えて知っておきたい注意点
医療保険には180日ルールという規定があります。同じ病気で180日以内に再度入院した場合、1回の継続した入院とみなされるルールです。今回は、知らないと思わぬ給付金トラブルになるこの制度の詳細と注意すべきポイントを解説します。
- 180日ルールという言葉を初めて目にした人
- 180日ルールが入院におよぼす影響と注意点が気になる人
- 180日ルールをふまえた保険の選び方を知りたい人
内容をまとめると
- 180日ルールは入院が短期化しているこの時代にこそ理解しておくべき
- 短期間に入退院をくりかえすと給付金が受け取れなくなる可能性がある
- 180日ルールは長期の入院にも関係がある
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目次を使って気になるところから読みましょう!
- 医療保険には給付金に関係する「180日ルール」がある
- 180日ルールの基本的な考え方
- 180日以内に同じ病気で再入院すると「1入院」とみなされる
- 1入院とみなされた場合は支払限度日数が合算される
- 別の病気による再入院には180日ルールは適用されない
- 医療保険の180日ルールで特に注意すべき3つのポイント
- ①再入院時に入院給付金がもらえない期間が発生する
- ②医療保険によっては別の病気でも180日ルールが適用される
- ③病名が違っても合併症の場合は同じ病気とみなされる
- 180日ルールを回避する方法
- 回避方法①支払限度日数を増やす
- 回避方法②退院後に180日たってから入院する
- 180日ルールに関連する、知っておきたい入退院の現状
- ①医療の進歩により入院は短期化している
- ②入院が長期化しやすい病気もある
- ③年代による入院の長期化リスクの違いについて
- 参考:180日ルールに関連した制度や考え方
- BPR(Benefit Premium Ratio)は保険のお得度を示す指標
- 入院基本料の180日ルール
- 手術給付金は60日に1回しか支払われないことが多い
- 長期の入院や療養に備えるための就業不能保険と介護保険
- まとめ:入院に対する不安があるなら保険のプロに相談しよう
目次
医療保険には給付金に関係する「180日ルール」がある
医療保険には180日ルールという規定があることをご存じでしょうか。
おもに短期間での入退院にかかわるルールで、給付金の受取額に関係します。
保険金詐欺を防ぐためのルールではあるのですが、内容を知らないと、いざというときに給付金が受けられなくなることがあるので注意が必要です。入院が短期化している現在においては、誰にでも関係する可能性があるルールといえるでしょう。
そこで今回の記事では、以下の内容を中心に解説します。
- 180日ルールの基本的な考え方
- 180日ルールで注意すべきポイント
- 180日ルールを避けるための方法
180日ルールの基本的な考え方
まずは180日ルールの基本的な考え方を解説します。
以下の3点をおさえておきましょう。
- 180日以内に同じ病気で再入院すると「1入院」とみなされる
- 1入院の場合は支払限度日数が合算される
- 別の病気での再入院には180日ルールは適用されない
180日以内に同じ病気で再入院すると「1入院」とみなされる
180日ルールとは、退院から180日以内に同じ病気で再入院した場合、継続した1回の入院とみなされるルールのことです。
短期間での複数回の入院は、入院期間が合算されるということです。
継続した1回の入院のことを1入院と呼びます。1入院あたりの支払限度日数によっては、2回目以降の入院時に入院給付金がもらえない場合があるので注意が必要です。
1入院とみなされた場合は支払限度日数が合算される
支払限度日数とは、1入院あたりで給付金が支払われる最大日数のことです。
一般的には支払限度日数を60日型や120日型に設定している保険が多いですが、30日型から180日型まで幅広く選択できるものもあります。
同じ病気での再入院で1入院とみなされた場合、この支払限度日数が合算されることにより、予想していたほどの給付金が支払われないことがあるので注意しましょう。
別の病気による再入院には180日ルールは適用されない
退院から180日以内であっても、別の病気による入院であれば180日ルールは適用されません。
たとえば支払限度日数が120日の保険契約で、最初に40日間入院したとします。その後、180日以内に再度入院した場合の支払限度日数は、以下のとおりです。
- 同じ病気で再度入院した場合:支払限度日数は80日(最初の入院と合算)
- 別の病気で再度入院した場合:支払限度日数は120日(日数の合算なし)
ただし、保険会社によっては別の病気による再入院であっても180日ルールが適用されることがあるので、保険内容を確認しておきましょう。
医療保険の180日ルールで特に注意すべき3つのポイント
このように、医療保険の180日ルールは加入者にとっては不利なルールともいえます。
なかでも特に注意が必要なポイントは、以下の3つです。
- 再入院時に入院給付金がもらえない期間が発生する
- 医療保険によっては別の病気でも180日ルールが適用される
- 病名が違っても合併症の場合は同じ病気とみなされる
①再入院時に入院給付金がもらえない期間が発生する
支払限度日数が合算されるため、2回目以降の入院では入院給付金がもらえない期間が発生する可能性があります。
たとえば支払限度日数が60日間の保険の場合の、1回目の入院日数と次回以降の入院給付金の関係は以下のとおりです。
- 1回目に60日間入院:次回の入院給付金はなし
- 1回目に40日間入院:次回の入院給付金は20日間まで
- 1回目に30日間入院:次回の入院給付金は30日間まで
②医療保険によっては別の病気でも180日ルールが適用される
契約内容によっては、別の病気による入院でも180日ルールが適用されることがあるので注意が必要です。
医療の進歩による入院の短期化にともなって、このような条件を設定している保険は増加傾向にあります。保険への新規加入や見直しを検討しているのであれば、180日ルールの扱いについても確認しておきましょう。
③病名が違っても合併症の場合は同じ病気とみなされる
合併症の場合は、病名が違っても同じ病気とみなされます。代表的な例が糖尿病です。
糖尿病特有の合併症である網膜症や腎症などは、病名が違っても同じ病気とみなされて180日ルールが適用されることがあります。
糖尿病は短期間での入退院をくりかえすことも少なくないため、180日ルールがかかわる可能性が高い病気です。かかった際は、加入している保険内容を再度確認しておくことをおすすめします。
180日ルールを回避する方法
180日ルールによって入院給付金がもらえない期間が発生するのを避けるための方法もご紹介します。
- 支払限度日数を増やす
- 退院後に180日たってから入院する
回避方法①支払限度日数を増やす
支払限度日数を増やすことにより、180日ルールをある程度回避できます。
支払限度日数を60日から120日、180日と増やすことによって、入院給付金が支払われない期間を短くすることが可能です。
保険料が高くなるというデメリットはありますが、糖尿病や心疾患、精神病などの短期間に複数回入院するリスクがある病気にかかっている人にとっては有用な選択肢といえます。
回避方法②退院後に180日たってから入院する
退院後に180日たってから再入院することにより、確実に回避できます。
しかし、給付金のためだけに入院を避けるのは病状を悪化させるリスクがあり、おすすめはできません。
この方法は、病状が比較的安定していて緊急性が低く、かつ前回の退院から180日たつまでの残りの日数が少ない場合に限られると考えておきましょう。
180日ルールに関連する、知っておきたい入退院の現状
ここまでは、180日ルールの特徴と注意点について解説してきました。
ここからは、180日ルールに関連する、知っておきたい入退院の現状についてお伝えしていきます。
- 医療の進歩により入院は短期化している
- 入院が長期化しやすい病気もある
- 年代による入院の長期化リスクの違いについて
①医療の進歩により入院は短期化している
医療の進歩により、入院期間は短期化の傾向にあります。
厚生労働省の医療施設調査・病院報告で公表されている平均在院日数(いわゆる入院日数)を見てもあきらかです。
- 1995年:44.2日
- 2010年:32.5日
- 2020年:28.3日
②入院が長期化しやすい病気もある
全体的な入院は短期化の傾向にありますが、病気のなかには入院が長期化しやすいものもあります。
長期入院になりやすい病気と平均入院日数は以下のとおりです。
- 慢性閉塞性肺疾患:61.5
- 脳血管疾患:78.2日
- アルツハイマー病:252.1日
- 血管性及び詳細不明の認知症:349.2日
- 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害:531.8日
③年代による入院の長期化リスクの違いについて
入院が長期化しやすい病気は、一般的に、かかる年代が高くなるほど長期化のリスクも高まります。
以下は、代表的な病気と、かかる年代別の平均入院日数をまとめたものです。
病名 | 15~34歳 | 35~64歳 |
---|---|---|
血管性及び詳細不明の認知症 | ― | 284.1日 |
アルツハイマー病 | ― | 143.0日 |
統合失調症 統合失調症型障害及び妄想性障害 | 106.5日 | 301.6日 |
脳血管疾患 | 25.6日 | 45.6日 |
(参照:厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」)
このような年代によるリスクの違いもふまえて、それぞれの年代における保険の考え方を見ていきましょう。
20代から30代前半にかけて
入院の長期化リスクは低い年代です。支払限度日数が60日のタイプの保険でも給付金が受けられなくなる可能性は比較的低く、180日ルールのためだけに保障を厚くする必要性は低いといえます。
ただし長期化のリスクが低いからこそ、受ける保障と支払う保険料のバランスを考えた保険選びが重要です。
なお、統合失調症のような精神系の病気は年代にかかわらず発症し、入院も長期にわたる可能性があります。女性の場合、乳がんや子宮頸がんなどの女性特有の病気のリスクが高くなりはじめるのが30代前半です。それぞれ注意しておきましょう。
30代後半から50代にかけて
30代後半からは三大疾病を含めた生活習慣病の発症リスクが高くなります。
生活習慣病自体が長期の入院をともなうことがあるうえに、生活習慣病がきっかけとなって認知症をわずらうことも少なくありません。
入院が長期化することを現実的に見すえて保険を選ぶことをおすすめします。
年代別の保険の選び方については、ほけんROOMのこちらの記事も参考にしてみてください。
参考:180日ルールに関連した制度や考え方
180日ルールに関連した制度や考え方を4つご紹介します。
- BPR(Benefit Premium Ratio)
- 入院基本料の180日ルール
- 手術給付金は60日に1回しか支払われないことが多い
- 就業不能保険と介護保険
BPR(Benefit Premium Ratio)は保険のお得度を示す指標
BPR(Benefit Premium Ratio)とは、生涯で支払う保険料のうちの何%を取り戻せるかを計算し、どれだけその保険がお得なのかを示した指標のことです。
Benefitは受け取る給付金、Premiumは支払う保険料を表します。
たとえば、生涯で支払う保険料が150万円、支払限度日数が180日、1日当たりの入院給付金が1万円の場合、BPRは以下のとおりです。
BPR=180万円÷150万円×100=120%
BPRは、その保険がどれだけお得なのかをはかる目安にすることができます。保険を選ぶ際の参考にしてみてください。入院基本料の180日ルール
医療保険の180日ルールと似ていますが、入院費用についても180日ルールがあります。
医療費削減のために厚生労働省が制定したものです。
この制度により、同じ病気による入院日数が180日以上をこえた場合、入院基本料の15%が特定療養費として患者の自己負担となります。一部の難病は対象外となりますが、基本的には180日をこえる入院のほとんどが対象になると考えておいたほうがよいでしょう。
医療保険の180日ルールとあわせて、長期入院のリスクとなるポイントです。保険を選ぶ際に意識しておくことをおすすめします。
手術給付金は60日に1回しか支払われないことが多い
医療保険の手術給付金にも、180日ルールと似た制度があります。
一般的には、60日以内に同じ手術を2回受けた場合、1回分の手術給付金しか支払われません。また、同日に2種類以上の手術を受けた場合には、給付額の高い手術1回分のみが給付の対象となることがあるので注意が必要です。
手術以外ではがん診断給付金も、受取回数や受取可能な期間に制限がかけられている場合があります。
いずれも保険会社によって給付条件は異なるので、加入時に確認しておきましょう。
長期の入院や療養に備えるための就業不能保険と介護保険
医療保険は、病気やけがの治療や入院に対する保障が基本となります。しかし、働けなくなることによる経済的な負担増加に備えたいという人も少なくないでしょう。
病気やけがで働けなくなったときに備える就業不能保険や、要介護状態になったときのための介護保険など、長期の入院や療養に備えるための保険の選択肢は多岐にわたります。
自身の収入や健康状態だけでなく、家族の状態、遺伝による病気の発症リスク、そしてこの記事でお伝えした180日ルールなどをふまえて、自分に合った保険を選びましょう。
まとめ:入院に対する不安があるなら保険のプロに相談しよう
医療保険の180日ルールについてを解説してきましたが、いかがでしたか?
今回の記事のポイントは以下のとおりです。
- 180日以内に同じ病気で再入院すると「1入院」とみなされる
- 1入院にみなされると、入院給付金の受け取り日数に影響する
- 入院が短期化しているからこそ、180日ルールの理解が重要となる