更新日:2022/06/16
医療保険の現物給付と現金給付とは?給付対象や給付条件を徹底解説!
日本の医療保険は、現金給付と現物給付に分類されています。この2種類の給付について知っておかないと、受けられるはずの給付を逃してしまうことも。そこでこの記事では、現金給付と現物給付のそれぞれの特徴やメリット、給付対象や給付条件についてを詳しく解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
知らないと損をする?医療保険の2種類の給付方法とは!
病気やケガで入院した際など、いざというときに頼りになる医療保険。
そんな医療保険の給付方法には「現物給付」と「現金給付」の2種類があることをご存じでしょうか?
名前を聞いたことはあっても、どのような内容で、どのような違いやメリットがあるのかを理解されている方はそれほど多くないでしょう。
しかし、このふたつの給付方法について知っておかないと、本来なら受けられるはずの給付を逃してしまうことがあります。そのせいで出産や入院、死亡などの大きなお金が必要になる場面で困ってしまうかもしれません。
そこで、この記事では「医療保険の現物給付と現金給付」について、
- 医療保険の現物給付と現金給付とは何か
- 医療保険の給付対象は「業務外の病気とケガ」
- 医療保険には給付対象外となるケースがある
- 現金給付の種類ごとの内容と給付条件
以上のことを中心に解説していきます。
この記事を読んでいただければ、医療保険で本来受けられるはずの給付を逃さずに受けることができるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
医療保険の現物給付と現金給付とは
現物給付とは、病院などに保険証を提示することで、一定割合の支払いのみで診察や治療などの医療行為を受けられる給付のことです。
「割引」という「現物」を受け取っていると考えるとわかりやすいですね。
例えば病院に行ったときに、窓口で支払う金額が3割負担で済んでいるのは、知らない間に現物給付を受けているからです。
一方で、現金給付とは、文字どおり現金で支給される給付のことです。
- 出産時や死亡時などに支給される手当金
- 現物給付が難しいときの立て替え払い
医療保険の給付対象は「業務外の病気とケガ」
医療保険の給付対象となるのは、「業務外の病気やケガ」です。
風邪をひいて病院を受診したときはもちろん、病気で仕事を休んだ時や出産時など、さまざまな場面で給付を受けることができます。
医療保険の給付対象の一例
- 業務外の病気・ケガ(現物給付)
- 出産(異常分娩の場合)(現物給付)
- 出産手当一時金(現金給付)
- 死亡(埋葬費)(現金給付)
業務外の原因で病気やケガの際に受けられる現物給付は以下のものです。
- 診察・検査
- 薬剤または治療材料の支給
- 処置・手術・その他の治療
- 在宅療養・看護
- 入院・看護
医療機関の窓口での健康保険証のを提示することで、このような療養の給付が受けられます。
また、現金給付にはそれぞれ条件があるので、給付を受ける際にはよく確認しましょう。
医療保険には給付対象外となるケースがある
医療保険では以下のような場合には給付の対象外となり、給付を受けることができません。
- 業務中や通勤中の病気やケガ
- 病気とみなされないもの
- 治療目的でないもの
- 国が認めていない薬や特殊な治療
業務上のケガや病気は「業務災害」、通勤途中のケガや病気は「通勤災害」として「労災保険」の対象となるため、医療保険の対象外です。このような場合には、労災保険からの現物給付で治療を受けることになります。
「病気とみなされないもの」「治療目的でないもの」とは以下のような項目です。
- 自然分娩
- 予防注射
- 治療のためではない美容整形 など
これらは健康保険の対象外なため、自費診療となります。
また、国が認めていない薬や特殊な治療は「自由診療」に該当し、全額自己負担となるので注意しましょう。
現金給付の種類と条件
【出産したとき】
- 出産手当金
- 出産育児一時金
- 傷病手当金
- 高額療養費
- 限度額適用認定証
- 高額療養費(特定疾病に関する特例)
- 高額介護合算療養費
- 療養費
- 移送費
- 埋葬料
- 家族埋葬料
出産手当金
出産育児一時金(家族出産育児一時金)
生活保護受給者は基本的に対象外ですが、社会保険に加入していれば給付を受けることができます。
傷病手当金
高額療養費
限度額適用認定証
高額療養費(特定疾病に関する特例)
高額介護合算療養費
療養費
- 保険資格取得の手続き中で、保険証を用意できないとき
- 治療用装具(コルセットなど)や治療用眼鏡を作成したとき
- 旅行先での急な病気やケガが原因で、保険診療外の医療機関にかかったとき
本来の自己負担費用よりも多く支払った分の金額が返還されます。
例えば、旅行先で熱を出して病院へかかったとき、保険証を持っておらず、通常の3割負担ではなく全額負担で治療したとしましょう。
この場合、あとから領収証と申請書を提出することで、多く支払った7割分を療養費として返還してもらうことができます。
移送費
埋葬料・家族埋葬料
現金給付を受けるための申請方法と申請期限
例えば、出産手当金では
- 出産手当金請求書
- 医師または助産師による出産証明書
- 事業主による休業および給与支払に関する証明書
この3点を、加入している保険組合に提出します。
高額療養費の場合は
- 高額療養費支給申請書
- 医療機関に支払った領収書の写し
- 負傷原因届(骨折やねんざなどの外傷性による傷病の場合)
この3点が必要です。
このように、給付によってそれぞれ提出する書類が異なります。
ご自身が受ける予定の給付にはどのような書類が必要なのかを、加入している保険組合に確認しておきましょう。
現金給付は2年で時効になるので要注意!
給付が受けられるようになった日の翌日が起算日です。
時効になると給付を受けられなくなるので、申請手続きは早めに行いましょう。
【現金給付の種類ごとの時効起算日】
給付の種類 | 時効起算日 |
---|---|
療養費 | 費用を支払った日の翌日 |
高額療養費 | 診察月の翌月1日 |
移送費 | 移送に要した費用を支払った日の翌日 |
傷病手当金 出産手当金 | 働けない日ごとにその翌日 |
出産育児一時金 | 出産した日の翌日 |
埋葬料 | 死亡した日の翌日 |
これらの起算日から2年以内の給付申請が必要です。
参考:現物給付の対象となる治療
現物給付の対象外の治療は自由診療と呼ばれ、医療費の全額が自己負担となるので注意しましょう。
- 診察と検査
- 処置と手術
- 薬や包帯などの治療材料
- 医師が認めた入院と、入院にともなう食事や看護
- 医師が認めた在宅療養の管理、訪問看護
【現物給付の対象にならない主な例】
- 業務中や通勤中の病気やケガ
- 国が認めていない薬や特殊な治療
- 治療目的でないもの(美容整形手術など)
医療保険の現物給付と現金給付についてのまとめ
医療保険の現物給付と現金給付について解説してきましたが、いかがでしたか?
今回の記事のポイントは、以下のとおりです。
- 医療保険には現物給付と現金給付がある
- 医療保険には給付の対象となるもの、給付の対象外となるものがある
- 給付の内容を知っておくことで、いざというときに適切な給付を受けられる
- 給付条件や期限があることを把握しておくことで、必要な給付を逃さずに済む
医療保険のことを、単に窓口で保険証を提示したら3割負担にしてくれるだけのものだと考えていた方も多いのではないでしょうか。しかし、ご覧いただいたとおり、医療保険にはさまざまな場面に対応する給付が存在します。
もちろんそのすべてを覚えるのは難しいかもしれませんが、ある程度の種類や範囲を知っておくだけでも、いざというときに慌てたり損をしたりしにくくなります。ただし、給付には条件や時効があることもお忘れなく!
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。