更新日:2022/06/07
一時金タイプの医療保険とは?必要性とおすすめの選び方を徹底解説!
入院日数に関係なく給付金が支払われる一時金タイプの医療保険。入院の短期化傾向にともなって登場した、比較的新しい保険です。今回はこの保険の特徴とメリット・デメリット、必要性と注意点、そしておすすめの加入パターンなどを解説していきます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 一時金タイプの医療保険は新しい選択肢のひとつ
- 一時金タイプの医療保険とは?
- 一時金タイプの医療保険のメリットとデメリット
- メリット①:日額タイプよりも給付金が多くなることがある
- メリット②:保険料が割安な場合が多い
- メリット③:医療費の自己負担額が事前にわかりやすい
- 一時金タイプのデメリット:長期の入院に対する保障が薄い
- 一時金タイプの医療保険の加入方法と注意点
- 一時金タイプの加入方法
- 一時金タイプの注意点
- 一時金タイプの医療保険に関連して知っておきたい制度や考え方
- 医療の発達により入院日数は減少傾向にある
- 医療保険の給付金は原則非課税
- 三大疾病に対して一時金が支払われる保険もある
- 保険の大きな役割は「低確率かつ高リスク」に備えること
- 【世代別】一時金タイプの医療保険のおすすめ加入パターン3選
- ①20〜30代で独身の場合は日額5,000円・一時金20万円を目安に
- ②20〜40代の子持ち世帯主は日額1万円・一時金10万円が目安
- ③40〜60代は三大疾病一時金と通院保障を手厚くする
- まとめ:一時金タイプの医療保険に不安があるならプロに相談!
目次
一時金タイプの医療保険は新しい選択肢のひとつ
時代の変化や医療の進歩によって、日々あらたな医療保険が登場しています。
入院日数に関係なく給付金が支払われる一時金タイプもそのひとつです。
比較的新しい保険のため、存在を知らない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、入院が短期化傾向にあるこの時代に合った保険で、選択肢のひとつとして知っておくべきタイプです。
そこで今回は、以下の内容を中心に解説します。
- 一時金タイプの特徴
- 一時金タイプのメリットとデメリット
- 一時金タイプの選び方と注意点
この記事を読んでいただければ、一時金タイプの必要性と選び方がわかり、加入すべきかどうかを判断できるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
一時金タイプの医療保険とは?
医療保険には日額タイプと一時金タイプがあります。
- 日額タイプ:入院1日につき一定額の給付金を受け取れるタイプ
- 一時金タイプ:入院日数に関係なく一定額の給付金を受け取れるタイプ
一時金タイプの医療保険のメリットとデメリット
それでは次に、一時金タイプのメリットとデメリットを見ていきましょう。
まず、メリットは以下の3点です。
- 日額タイプよりも給付金が多くなることがある
- 保険料が割安な場合が多い
- 医療費の自己負担額が事前にわかりやすい
それぞれくわしく解説していきます。
メリット①:日額タイプよりも給付金が多くなることがある
一時金タイプは、入院日数に関係なく一定額の給付金を受け取ることができます。
つまり、入院日数によっては日額タイプよりも給付金が多くなるということです。
日額タイプと一時金タイプの給付金の比較
たとえば日額5,000円のタイプと一時金20万円のタイプをくらべてみましょう。この場合、入院日数が40日以内であれば、受け取る給付金は一時金タイプのほうが多くなります。
入院が短期化していることをふまえると、一時金タイプのほうが給付金が多くなる可能性は低くないといえるでしょう。
日帰り入院や退院後の生活にも対応できる
日帰り入院のようなごく短期間の入院の場合、日額タイプは給付金が支払われない場合があります。また、手術の種類によっては手術給付金がおりず、自己負担費用が高額になることも。
一時金タイプであれば短期間の入院でもまとまった金額が支払われるため、そのようなケースにも対応して、自己負担費用を減らすことができます。
また、一時金は使途が自由のため、退院後の通院にかかる交通費や仕事が制限されることによる収入減などに対応可能なことも大きな強みです。
メリット②:保険料が割安な場合が多い
一般的に、一時金タイプは日額タイプにくらべて保険料が割安に設定されています。
月々の保険料をおさえたい人に向いているといえるでしょう。
また、メインで契約している保険の保障が不足している部分を一時金タイプでおぎなったり、逆に保険料が割安な一時金タイプを主軸として必要な特約のみをつけたりなど、選択肢を広くとれることもメリットです。
メリット③:医療費の自己負担額が事前にわかりやすい
支払われる給付金額が一定のため、自己負担額が事前にわかりやすいのもメリットのひとつです。
これにより高額療養費のような公的制度や、自身の職業による社会保険制度の違いなどもふまえたうえで、入院時に不足する金額が予想しやすくなります。
必要に応じて保険を追加で契約する、特約を付加する、貯蓄しておくなどの対策を検討しましょう。
一時金タイプのデメリット:長期の入院に対する保障が薄い
一時金タイプは入院日数が増えても給付金が変わらないため、入院が長期になると給付金で医療費をカバーしきれなくなることがあります。
入院が短期化しているとはいえ、長期入院になりやすい病気もけっして少なくはありません。
以下は、入院が長期化しやすい病気の一例と平均入院日数です。
- 脳血管疾患:78.2日
- アルツハイマー病:252.1日
- 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害:531.8日
(参照:厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」)
このような長期の入院になると、1回の入院につき10~20万円程度の一時金タイプでは医療費をまかなえず、高額な自己負担費用が発生する可能性があります。
若い世代も無関係ではありませんが、特に30代後半以降は入院が長期化しやすい病気の発症リスクが高まる年代です。一時金タイプだけの加入ではなく、日額タイプへの変更や併用も検討しましょう。
一時金タイプの医療保険の加入方法と注意点
一時金タイプの加入方法
一時金タイプに加入するには主契約と特約のふたつの方法があります。
主契約の場合は、一時金タイプが保障の中心となります。自身の年代や健康状態、家族の有無などもふまえて、いざというときに困らない給付金額設定での契約をしましょう。
日帰り入院が給付の対象になっているかどうかも注意が必要なポイントです。
特約の場合は不足している保障をおぎなうことを意識
一時金タイプの注意点
一時金タイプに加入するうえでの注意点をふたつお伝えします。
①一時金が支払われる条件と金額を確認する
保険商品によって、一時金が支払われる条件や金額はさまざまです。
日帰り入院の場合は2日以上入院した場合の半額の給付金になるといった条件が付与されているものもあります。
契約時に保険内容をよく確認しておきましょう。
②短期間の入退院では給付金が支払われないことがある
医療保険には180日ルールという制約があります。同じ病気による180日以内の再度の入院は、1回の連続した入院とみなすルールです。
一時金は基本的に1回の入院に対して支払われるため、同じ病気による180日以内の入院では給付対象外となることがあります。
また、別の病気による再入院であっても、期間が短ければ支払限度回数により給付対象外となる可能性があります。短期間での入退院をくりかえす病気にかかった場合は、加入している保険内容に注意しましょう。
180日ルールについてはほけんROOMのこちらの記事もぜひご覧ください。
一時金タイプの医療保険に関連して知っておきたい制度や考え方
ここからは、一時金タイプに関連して知っておきたい制度や考え方をお伝えします。
以下の4つです。
- 医療の発達により入院日数は減少傾向にある
- 医療保険の給付金は原則非課税
- 三大疾病に対して一時金が支払われる保険もある
- 掛け捨て医療保険の本質は「低リスク・大きな負担」への対処
医療の発達により入院日数は減少傾向にある
医療の発達により、入院日数は減少傾向にあります。
以下は厚生労働省の医療施設調査・病院報告による平均入院日数の変化です。
- 2000年:39.1日
- 2010年:32.5日
- 2020年:28.3日
医療保険の給付金は原則非課税
医療保険の給付金は原則非課税です。
法律により身体の傷害に起因して支払いを受ける給付金に関しては非課税だと定められているためです。
非課税のため基本的に確定申告は不要ですが、医療費控除を受ける場合はかかった医療費と受けた給付金の申告が必要になるので注意しましょう。
三大疾病に対して一時金が支払われる保険もある
入院だけでなく、三大疾病など特定の病気にかかったときに一時金が支払われるタイプのの保険もあります。
三大疾病とは、一般的にがん・急性心筋梗塞・脳卒中のことです。糖尿病などをくわえて七大生活習慣病と呼ばれることもあります。
これらの病気にかかると医療費が高額になりがちです。特に30代後半以降や、親族内で特定の病気の発症率が高い場合などは、対応した一時金プランの加入を検討しましょう。
なお、一時金が支払われる条件は病気や保険によって異なります。おおむね以下の3段階のいずれかが条件です。
- 診断が確定した段階
- 診断から60~90日程度経過した段階
- 該当の病気の治療を目的として入院もしくは手術をした段階
一時金が支払われる条件や金額、限度回数などがどうなっているのか、契約内容をよく確認しておきましょう。必要に応じて保険の見直しや解約も選択肢に入れることをおすすめします。
保険の大きな役割は「低確率かつ高リスク」に備えること
保険の大きな役割は起こる確率は低いが、起こった場合には大きな被害を受けるリスクが高いことがらに備えることです。
その観点を重視して、貯蓄性がなくシンプルな保障内容の掛け捨て型保険を選ぶ人も少なくありません。
自身の経済状況や健康状態だけでなく、年齢や職業、家族がいるかどうかなどによっても備えるべきリスクは異なります。
一時金タイプと日額タイプ、主契約と特約、貯蓄性がある型と掛け捨て型などさまざまな保険を組み合わせて、必要なリスクに備えるようにしましょう。
【世代別】一時金タイプの医療保険のおすすめ加入パターン3選
ここからは加入者の世代別に、一時金タイプの医療保険のおすすめ加入パターンを3つご紹介します。
一時金タイプにほかの種類の保険を組み合わせることで、必要なリスクに対応しやすくするような加入のしかたの例です。
- 20〜30代独身:日額5,000円・一時金20万円
- 20〜40代・子持ち世帯主:日額1万円・一時金10~20万円
- 40〜60代:三大疾病一時金・通院保障を手厚く
①20〜30代で独身の場合は日額5,000円・一時金20万円を目安に
20〜30代で単身世帯の場合は以下の設定がおすすめです。
- 日額給付金:5,000円
- 一時金:20万円
一般的にこの年代は長期入院のリスクが比較的低いため、保障をあまり厚くせずに保険料をおさえることをおすすめします。
公的保障の高額療養費制度を利用したのちの医療費と、差額ベッド代などの自己負担費用との合算は、一般的な年収(370〜770万円)であれば平均で月に20万円程度です。
日額給付金が5,000円あれば、入院にかかる費用の7割程度をまかなえます。くわえて一時金が20万円あれば、残りの入院費用だけでなく退院後の生活費や、入院が短期間だった場合などにも対応可能です。
なお、病気やけがで働けなくなったときには公的保障の傷病手当金が利用できます。これにより給料のおよそ3分の2が支給されるので、単身世帯であれば生活費に困るリスクはそこまで高くはないでしょう。
公的保障の利用もふまえて、受ける保障と支払う保険料のバランスを考えることが保険選びのポイントです。
②20〜40代の子持ち世帯主は日額1万円・一時金10万円が目安
20〜40代で子どもがいる世帯主の場合は、以下の設定がおすすめです。
- 日額給付金:1万円
- 一時金:10~20万円
養育費がかかるので、基本的には独身よりも手厚い保障が必要になります。
傷病手当金だけでは生活費をカバーできない可能性と、家族がお見舞いに来る際の交通費がかかることなどを考慮して、日額給付金を1万円程度に設定しておきましょう。
ただし日額給付金を高くすると、支払う保険料も高くなります。家計が圧迫されるのであれば、一時金の金額を20万円ではなく10万円に設定することで、保険料をおさえることが可能です。
③40〜60代は三大疾病一時金と通院保障を手厚くする
40〜60代の場合は
- 三大疾病一時金
- 通院保障
そして近年は三大疾病に対して入院なし(もしくは短期の入院)で、通院を中心にした治療をおこなうケースも増加しています。通院のみの長期療養となる場合に備えて、通院保障を手厚くしておきましょう。
また、この年代は三大疾病がきっかけとなって認知症を発症したり、要介護状態になったりすることがあります。ですから、以下の保険への加入も検討することをおすすめします。
- 就業不能保険
- 民間介護保険
就業不能保険は働けなくなるリスクに、民間介護保険は要介護状態に備えた保険です。
特に要介護状態になった際の介護費用は、一時費用の平均が73.3万円、1ヵ月にかかる費用の平均が4.8万円と高額になりがちです。
(参照:2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」- 生命保険文化センター)
公的保障を利用しても高額の自己負担費用が発生する可能性があるため、40代以降で保険を見直す際には、民間介護保険への加入を選択肢に入れておきましょう。
まとめ:一時金タイプの医療保険に不安があるならプロに相談!
- 一時金タイプは、入院の短期化傾向にともない必要性が増している
- 一時金タイプは、短期入院でもまとまった金額を受け取ることができる
- 短期入院だけでなく長期入院や三大疾病などへの備えもしておこう
医療保険の選び方が知りたい方はこちらの記事もご覧ください