医療保険の現物給付とは?国の医療保険の仕組みを解説します!

医療保険の「現物給付」という言葉は聞いたことがあるかと思いますが、実際にどのように給付されるのかご存知ですか?ご自身が必要になった場合の受け取り方や活用方法をお伝えします。医療保険と密接に関係がある、現物給付と現金給付の違いやその仕組みを解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

医療保険の現物給付についての情報まとめ

医療機関を受診する際、医療保険の現物給付を受けることがあります。


現物給付と聞くと、何か物が貰えるのかな?と考えてしまうかもしれません。


しかし、医療保険の「現物給付」とは、物ではなくサービスを受けることを指します。


そこで、この記事では『医療保険の現物給付』について、

  • 医療保険の現物給付と現金給付の違いとは
  • 医療保険の現物給付の種類と条件とは
  • 医療保険の現物給付の給付方法とは

以上を中心に解説していきます。


この記事を読んでいただいたら、医療保険の現物給付、現金給付について詳しく知りたいとお考えの方のお役に立てるかと思います。


ぜひ最後までご覧ください。

医療保険の現物給付と現金給付の違い

現金給付とは、出産手当金、出産一時金や埋葬料など費用面での給付です。 


病気やケガで就労が困難になった場合の傷病手当金、高額療養費なども含まれます。


現物給付とは、医療行為そのものの支給です。


医療機関での受診時に、保険証を提示することにより私たちは3割負担で医療行為を受けることができます


この受けた医療行為や薬などが<物>として給付されるため、現物給付と呼ばれているのです。

医療保険の現物給付の仕組み

国の医療保険とは、会社員や公務員、自営業者の方などが公的医療保険制度の対象になっています。

公的医療保険制度とは、大きく3種類に分類されます。


被用者保険

会社員や公務員で仕事をされている方が区分される保険です。


この被用者保険の中でも、中小企業にお勤めの方とその家族の方は『協会けんぽ』と略される「全国健康保険協会管掌健康保険」に区分されます。


大企業(主に700人以上の従業員が勤務している企業)とその家族の方は『組合健保』と呼ばれる「組合管掌健康保険」に区分されます。


組合健保は協会けんぽと同じようなイメージがありますが、生活習慣病や疾病など考えられるリスクを積極的に社員に呼びかけ、病気の予防に努めています。


このことにより、会社単位で医療費や保険料を抑えることができるというメリットがあります。


また、公務員や私立の学校職員の方、その家族は共済組合に加入しています。


国民健康保険

自営業者やその家族、アルバイトや無職の方など非正規雇用で会社での健康保険加入のない方が区分されます。


協会けんぽや組合健保などのように扶養という区分がなく、家族全員国民健康保険となります。


また、サラリーマンなどの方が退職などで会社の所属がなくなった場合、国民健康保険への切り替えが必要です。


保険料は世帯単位で計算され、加入者の年齢や加入者数によっても変更します。


後期高齢者医療制度

75歳以上の方が加入している医療制度です。


以前は上記のいずれかに加入していたとしても、75歳以上になる方はこの後期高齢者医療制度に加入します。


現役並の所得の方以外は、1割負担で医療を受けることができます。


上記のいずれかの健康保険に加入している場合、病気やケガで病院にかかった際には現物給付を受けることができるのです。


現物給付を受けるためには、医療機関で保険証の提が必要です。


それぞれに合わせた自己負担額分を支払い、差額を医療機関から健康保険に請求し支払いが行われます。


この一連の流れが「現物給付」と呼ばれています。

移送費、療養費などを含む現金給付とは

移送費とはケガや病気で自分で移動することが困難であり、適切な治療を受けるために緊急に他の医療機関へ移動した際にかかる金額です。

その運賃の一部が支給されます。

療養費とは療養の給付が受けられない場合や保険証が提示できなかった場合に支給されます。


「療養の給付」と「療養費」と間違えられやすいですが、「療養の給付」は医療機関に保険証を提示して治療を受けることを指します。


「療養費」とは事情により保険証を提示できなかった場合、まずは窓口にて治療費を全額支払い、後に保険証を提示して申請をすることで、本来支払うべき金額を除いた金額を療養費として現金給付を受けることができるのです。

病気・ケガをした場合の医療保険による現物給付の種類と条件

現物給付は上記で説明した通り、医療機関で治療や投薬などを受けた場合に現物での給付が行われます。

主に5種類に分けられ、その方の年齢や症状によって受けられる療養費が変わってきます。

  • 療養の給付・家族療養費・・・医療機関に受診した際、一部の自己負担額で医療を受けることができます。
  • 入院時食事療養費・・・被保険者が入院した場合に食事代の一部負担があります。自己負担額を差し引いた金額が支給されます。
  • 入院時生活療養費・・・65歳以上の方を対象に、ある程度の治療が安定して長期の療養が必要になった方は医療やリハビリのサービスを受けることができます。療養病床で必要になる食事や光熱費などの生活の費用が自己負担額が控除された金額が給付されます。
  • 保険外併用療養費・・・厚生労働大臣承認した高度先進医療を受けた場合や、特別な病室への入院となった場合に法律で定められた負担額で医療を受けることができます。
  • 訪問看護療養費・家族訪問看護療養費・・・在宅で末期がん患者や難病患者などが医師の指示に基づいて訪問看護の診療を受けた場合に対象となる療養費です。
以上の5種類が医療保険による現物給付の種類となります。
平成29年10月1日から、医療と介護の負担の公平化を図る観点から、入院時生活療養費の生活療養標準負担額のうち居住費にかかる部分について見直すこととしました。

出典: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172405.html

療養の給付・家族療養費の内容と条件

療養の給付とは、被保険者本人や家族が医療機関にかかり診療や投薬などの直接医療処置が受けた場合に、医療サービスとして給付を受けることです。

被保険者本人ではなく家族を扶養している場合、扶養家族が医療処置を受けた場合は家族療養費とされます。


療養の給付と家族療養費は給付の範囲や受給期間・受取方法が同じようになっています。


療養の給付・家族療養費を受ける条件は、医療機関を受診する際に保険証の提示が必要なことです。

入院時生活療養費の内容と条件

入院時生活療養費とは、65際以上の方が入院した場合に、その生活費をサポートするものです。

主に、病気などを理由に長期に渡り療養が必要な方が給付を受けることができます。

「限度額適用・標準負担減額認定証」医療機関で提示を求められる場合が多く、これにより食費や居住費が減額されます。


同じ65歳以上でも、所得や治療の必要性に応じてご自身の負担額が変わります。

保険外併用療養費の内容と条件

日本の医療保険制度には、保険診療と自由診療があります。


保険診療とは、一部の医療費を国が負担してくれるものですが、自由診療は全額自己負担となっています。


この保険診療と自由診療は原則として同時に受けられないことになっており、一部でも自由診療がある場合、他の部分も含めて全額自己負担となるのです。


保険外併用療養費は保険が適用される部分を指し、評価療養や選定療養と呼ばれる診療が自費部分とされています。

訪問看護療養費・家族訪問看護療養費の内容と条件

訪問看護療養費とは、自宅で療養している方を対象として受けることができる制度です。

かかりつけの医師が指示して訪問看護を受けた場合、受けた費用が訪問看護療養費とされ現物給付となります。


厚生労働大臣が定めた基準によって、患者の負担額が計算されます。


訪問看護費は、訪問看護事業者に直接費用を支払うことになっています。


対象となるのは、主に末期がん患者や難病患者、重度の障がい者や脳卒中患者です。


家族看護療養費とは、被扶養者が訪問看護を受けた場合に受けることができます。


医療保険の現物給付の給付方法

医療保険の現物給付は被保険者とその家族である被扶養者が病気やケガ、出産や死亡した場合に給付を受けることができます。

出産一時金や埋葬料などは現金給付されていますが、医療機関で診察や検査、投薬などを直接受けた場合には現物給付と呼ばれています。


医療保険の現物給付の給付方法とは、直接医療行為を受けることですでに給付を受けていることになっています。

まとめ:医療保険の現物給付について

この記事では、医療保険の現物給付について詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 医療保険の「現金給付」とは出産一時金や傷病手当金などを指し、「現物給付」とは医療サービスを受けることを指します。
  • 医療保険の現物給付には、「療養の給付・家族療養費」「入院時食事療養費」「保険外併用療養費」「入院時生活療養費」「訪問看護療養費・家族訪問看護療養費」の5種類ある。
  • 医療保険制度には保険診療と自由診療があり、保険診療とは治療費の一部を国が負担し、自由診療とは全額自己負担となる。
  • 保険診療と自由診療は併用することはできない。
以上です。

私たちがもし病気やケガで医療機関にかかることになった場合には、その治療費が大きな負担となってしまうかもしれません。

しかし、上記のように医療保険制度にはさまざまな治療費のサポートがありますので、条件を確認し、自分が受けられるサポートについては申請するようにしましょう。

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