更新日:2022/01/04
老後や定年退職後の医療保険は必要か?不要論やおすすめ保険も紹介
定年退職後の医療保険は必要か迷っている60代の方も多いと思います。今回、老後の医療保険の必要性や医療保険はいらないとする不要論を解説します。また、老後のために加入するならおすすめな定期・終身医療保険ランキングや、必要額、老後の保険の選び方も解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
老後に医療保険は必要か?必要額や不要論も解説
若いころはそれほど気にならなかったのに、ある程度の年齢になってくると気になり始めるのが、自分自身の健康についてではないでしょうか?
日本人であれば、基本的にはすべての人が何かしらの形で公的医療保険に守られているのも事実です。
とはいえ、「確かに公的医療保険制度はあるが、それだけで医療費はまかなえるの?」「場合によっては高額な手術や治療も必要となるかもしれないが、治療費は払える?」といった疑問が浮かんでこられる方も多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では
- 老後における医療費リスクとはどのようなもの?
- 民間の医療保険が保障してくれる内容は?
- 老後に加入するならどの医療保険がいい?
- 公的医療保険制度はどのようになっている?
【結論】老後に民間の医療保険は必要ない人が多い
なぜなら、医療保険というものを老後に確実に使うかと言えばそういうわけでもないからです。
日本においては、公的医療保険によって大体の医療は受けられるうえ、老後(定年退職後)の医療に関してはかなり安い治療費しか負担しないため老後に民間の医療保険は必要ないといえないこともありません。
以下ではその詳しい理由や根拠を解説していきます。
老後のリスクとかかる医療費から医療保険の必要性を考える
そのため医療保険というのは老後のリスクを考えた場合、大変重宝される資産なのです。
つまり、老後の医療保険というの非常に重要であり、資産管理を前もってしておかなければなりません。
実際に、60歳以上の受療率(病院を利用する頻度)はそれまでの年代とは比べものにならないくらい高まります。
平成26年の厚生労働省のデータ「性・年齢別級別にみた受療率」によると次のようになっています。
このデータは左から年齢階級、入院、外来を示しています。
この表からわかるように、60歳を超えたあたりから入院も外来も4桁になりその後も加速度的に増加しています。
つまり、老後はそれでの年代に比べ、高確率で医療費が多くのしかかることが分かります。
パーセントで表すと65歳以上の患者は入院だと約70%、外来ですと約60%となり日本医療のかなりの部分を高齢者の方が利用していることが分かります。
老後に必要になってくる医療費
このデータによると、60歳以上の年齢の人の医療費総額は28兆4973億円となります。
ちなみに、平成27年度の医療費は総額42兆3644億円でしたので、全体の約67%の医療費を老後(60歳以上)で使っていることになります。
もちろん、一生涯健康で安らかに人生を全うされる方もいらっしゃいますが、多くの方この中に含まれるわけです。
65歳以上の医療保険についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
老後に医療保険が保障してくれる内容
前述したデータからもわかるように、60歳以降のほうが、それまでの年代に比べ、明らかに医療費を多く使う、つまりは入院等の確率も高くなるということになります。
もちろん、公的医療保障で、一定割合の負担だけですむわけですが、それでも出費が増えることにはちがいありません。
そのような場合に、入院費等の自己負担分をまかなうという意味で加入しているのが、民間の医療保険ということになります。
ここからは、そんな民間の医療保険が保障してくれる内容についてご紹介します。
入院保障と手術保障
この二つの保障は高齢者にとって不可欠な保障とも言われ老後に経済面の心配をしないための必要な手段とされています。
この入院保障では規定の日数の間に日額5000円~10000円ほどの入院給付金を入院した日数に応じて給付するというものです。
規定の入院日数はその保険会社によってプランが異なりますが、多くが一回の入院につき60日~180日のプランです。
また医療保険ではこの日数に加えトータルの限度入院日数が決められており大体が700日~1000日という形になっています。
一生涯無制限に給付されるわけではないのでご注意ください。
手術保障は医師から手術が必要だと診断され、それが治療目的(検査や美容などによる手術は除外)であるときに給付される医療保険の保障です。
老後にはガンや脳梗塞など予期しない病気に見舞われることがあり、その際にかかる治療費は案外高額になることが多いのです。
手術給付金の額はその手術内容で異なり、そのため一概に給付金はいくらというようには言えません。
一般的には、手術給付金は
- 入院給付日額×給付倍率
の計算式により算出されます。
この給付倍率が手術内容によって異なるのです。
通常、あまり珍しくない手術(虫垂炎の切除や胃・腸におけるポリープ切除など)の場合は、10倍という給付倍率となり、入院日額が1万円であれば、手術給付金は10万円となります。
これが、悪性腫瘍(がん)の切除術となった場合は、給付倍率は40倍となることもあり、その場合は、手術給付金として40万円が支払われます。
また、手術の種類に限らす、入院中の手術に対して一律○万円と設定されている医療保険もありますので、確認しておくと良いでしょう。
差額ベッド代とは
- 一病室の病床数が4床以下
- 病室の面積が一人当たり6.4平方メートル以上
- 病床のプライバシーを確保するための設備がある
- 少なくとも「個人用の私物の収納設備」、「個人用の照明」、「小机等及び椅子」の設備がある
となっており、この条件を満たした特別室を使う場合にかかる費用のことを差額ベッド代(差額室料)といいます。
平均金額ですが、1人室8812円、2人室3,130円、3人室2,878円、4人室2,485円となっていますが、最低で50円、最高で367,500円にもなります。
いずれも日額の金額であり、全体平均金額は5,829円と割高であるため必ずしも使用するわけではありません。
【差額ベット代の目安の金額】
老後は、公的な医療保険の活用も忘れずに
また、日本の医療保険は優秀でありほとんどの方が加入しています(国民皆保険制度といいます)。
中でも公的医療保険は老後の医療費の個人負担を劇的に減らす仕組みとなっており、しばしば医療費問題として注目もされています。
この公的医療保険は先端技術に関しては弱いですが、多くの方が苦しめられる病気に対してはほとんどカバーしており安心して老後を生きられるように努められています。
公的医療保険の場合、多くの方が対象となる治療に関して3割負担となり、前期高齢者医療制度と後期高齢者医療制度の確立により老後における医療保険問題は随分と緩和されています。
高齢者医療制度
ここで高齢者医療制度について確認しておきましょう。これは平成20年に創設されたもので、前期高齢者医療制度と後期高齢者医療制度と2種類があります。これは増大する高齢者の医療費をどのように負担していくかを考えて作られました。
前期高齢者医療制度
65歳から74歳の人を対象としています。定年退職などでそれまで加入していた健康保険組合や共済などから国民健康保険に加入する人が増えます。ですが、この世代は医療費もかさみます。そうすると国民健康保険の費用負担が増します。そこで医療費負担の不均衡を是正するために設けられた制度です。給付については今までと特に変わりません。
後期高齢者医療制度
75歳以上の人を対象とした独立した制度です。公費5割、現役世代から4割、高齢者から1割の費用負担とし、市町村と都道府県単位の広域連合が連携して運営しています。高齢者の自己負担は原則1割ですが、現役世代並みの所得がある人は3割負担です。
なお、後期高齢者であっても高額療養制度を使うことはできますので安心してください。
高額療養費制度とは
これは老後の医療費問題の解決策として重宝されます。
まず、この制度では自己負担すべき限度額が決められており、超過分の医療費は免除あるいは返納される仕組みとなっています。
ただし、この公的医療保険における高額療養費制度の限度額は所得と年齢によって限度額が異なります。
老後だから全員が同じ医療保険が適用されるわけではないのでご注意ください。
70歳未満の場合は
- 標準報酬月額53万円以上の場合:150,000円+(医療費-500,000円)×1%
- 一般 の場合; 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
- 市町村民税非課税等の場合: 35,400円
となっており70歳以上で外来のみならば
- 標準報酬月額28万円以上の場合: 44,400円
- 一般 の場合:12,000円
- 市町村民税非課税等の場合: 8,000円
- 地方税法の規定による市町村民税に係る所得がない方 の場合:8,000円
となっています。
これらの限度額は変更されることが多いのでこまめにチェックしておきましょう。
まとめ:老後の医療保険は不要の人が多い
ここまで、「老後に医療保障は必要ない?」をテーマに解説してきましたが、いかがでしたか?
この記事のポイントは、
- 60歳以上の年齢では、それまでの年齢に比べ、医療費負担のリスクは格段に高くなる
- 民間の医療保険が保障するのは、入院と手術に対する給付が中心となる
- 日本は国民皆保険制度が充実しており、すべての国民が、一定額を負担すれば、基本的な医療を受けることができる
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