更新日:2020/07/10
公的医療保険の対象外の治療は自己負担になる?保険の適用範囲を解説
日本の公的医療保険は、患者の治療を幅広くサポートする世界でも例を見ない優れた制度と言えます。ただし、公的医療保険が適用外(対象外)となる医療サービスもあり注意が必要です。どのような医療サービスが、保険の適用外となるかわからないときは医療機関へ相談してください。
目次を使って気になるところから読みましょう!
公的医療保険制度には対象外のものがある?
日本の公的医療制度は世界の中でもトップレベルとされています。
そのような恵まれた環境の中で当然公的医療保険が使えると思って受診しても、負傷状況や治療内容によっては、公的医療保険が使えない場合があります。
急に公的医療保険対象外なると、病気やケガのダメージだけなく更に大きな不安を抱えることになってしまいますね。
そこで今回は「公的医療保険制度対象外」について
- 公的医療保険制度の範囲
- 公的医療保険制度の範囲外の治療について
- 公的医療保険の範囲外の治療具体例について
以上のことを中心に解説していきます。
この記事を読んでいただければ、どんな場合に公的医療保険対象外なのか、その場合に使える保険などについても理解していただけると思います。
ぜひ最後までご覧ください。
公的医療保険制度の適用範囲
なお公的医療保険が適用される診療は、日本全国の医療機関すべて一律料金で受診できます。
料金は法定されており、医療機関側では自由に設定することができません。
また、保険医に指定された柔道整復師、灸師、鍼師等でも、医師の同意書があれば保険診療として認められます。
診療
身体に異常があるかどうかを、医師の診察、検査、画像診断等を受けて判断する場合に、公的医療保険が適用されます。
また、診療の必要があるため往診を行う場合も適用の範囲内です。
ただし、交通費は患者負担となります。
薬の支給
治療材料の支給
注射、処置、手術などの治療
入院
なお医師の判断で必要と認められれば、在宅療養の管理に公的医療保険が適用されます。
これには在宅の自己注射、患者への療養指導、通院困難な患者に対する訪問看護・指導も含まれます。
公的医療保険制度の適用範囲外の診療の例
ここまで、公的医療保険制度の適用範囲をみてきました。
では、それ以外の保険適用外の診療にはどのようなものがあるのでしょうか。
適用外となるものの中には、病気とみなされるものと病気とみなされないものの2種類があります。
病気とみなされるものは、どれも公的医療制度ではない別の保険が適用となります。
それでは、公的医療保険制度の適用外の診療について、それぞれ詳しくみていきましょう。
病気とみなされるもの
- 業務上、勤務上の病気・ケガ
- 業務上もしくは通勤上の病気・ケガ
- 地震や台風などの自然災害が原因の事故
公的な健康保険が対象になるのは、業務外のことが原因で起きた病気やケガです。
業務上のことが原因であることや、通勤途中によって起きた病気やケガの場合は、労災保険の給付を受けることになります。
■業務上もしくは通勤上の病気・ケガ
公的な健康保険が対象になるのは、業務外のことが原因で起きた病気やケガです。
業務上のことが原因であることや、通勤途中によって起きた病気やケガの場合は、労災保険の給付を受けることになります。
■地震や台風などの自然災害が原因の事故
業務中や、通勤途中に地震、台風などの天災が原因で事故を起こしケガをした場合も同様です。
こちらの場合も、労災保険の給付を受けることになります。
病気とみなされないもの
ただし、業務や日常生活に支障のある状態の治療では保険が適用されます。
不快なワキガや、つわりが酷い等がこれにあたります。
その他の制限
- 犯罪行為や、わざと事故を起こした
- ケンカや、麻薬中毒等で事故を起こした
- 医師の指示に従わない、正当な理由もないのに診断を拒んだ
- 保険給付を不正な手段でだまし取ろうとした
公的医療保険制度の適用外(対象外)の治療の例
ここまでは、労災保険の対象となるため公的医療保険制度の適用外となる場合や、病気とみなされないため、適用外となるもの、不当・不正な行為のため適用外となるものについて解説してきました。
それではそれ以外で、公的医療保険制度の治療対象外になるのはどのような場合か、詳しく紹介していきます。
それらは主に次の5つに分けられます。
差額ベッド代
正式には特別療養環境室料と言います。
入院患者が良質な医療サービスを受けるために、公的医療保険に含まれる大部屋を利用しない場合に請求される料金です。
完全個室と言うわけではなく、1人~4人程度の部屋に入院した時にも差額ベッド代はかかります。
病院が差額ベット代を請求できるのは、以下のような場合です。
- 患者側から利用したいと要望を受け、同意書にサインしてもらっている場合
つまり、①患者に同意を得ないまま利用をさせること、②救急搬送された場合のように医師の判断により利用させたこと、③病院側の判断で、院内感染を防止するため隔離する必要があった、という場合には患者は料金を支払う必要はありません。
先進医療費
先進医療は、厚生労働大臣の認定を受けた医療機関が、同大臣から承認された最先端の技術を利用する医療行為のことで、保険診療との併用が認められています。
つまり先進医療費(技術費)は、保険診療外の医療行為なので患者の全額自己負担となります。
この医療行為には、がん治療に最先端の医療技術を用いる「陽子線治療」、「重粒子線治療」のみならず、白内障の治療に用いられる「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の手術、「EBウイルス感染症迅速診断」のような最先端の検査技術も該当します。
無診察治療
混合診療
この診療については、医療サービスを平等に提供するために、健康保険の範囲外の診療に関する費用を患者に請求することは原則として禁止されています。
ただし、例外的に患者へ費用請求して良いものとして、前述した差額ベッド代や先進医療費があります。
なお混合診療ではなく、全額自己負担を患者が納得し健康保険の範囲外の診療を最初から受けることを希望すれば、医療機関側と合意の上、「自由診療」と言う形で医療サービスを受けることもできます。
自由診療を受ける場合、先進医療費のように保険診療の部分も保険が適用されず患者の自己負担となります。
自己診療
公的医療保険制度は、他人(患者)に対して診療を行う場合の制度であるため、自己診療を保険診療として行うことは認められていません。
保険診療として請求するには、医師が所属する同一の医療機関であっても、他の医師に診察を依頼して治療を受けなければいけません。
なお、似ている診療として「自家診療」という診療もあります。
これは、医師の家族・従業員に対し診察・治療を行うことを言います。
実はこちらの人たちを診察・治療して保険診療となるかは、加入している保険医療制度の保険者(各都道府県の医師国民健康保険組合)により異なります。
保険診療として扱われるのか気になる場合は、各保険組合の窓口でご確認ください。
まとめ:公的医療保険制度には対象外のものがある
「公的医療制度対象外」について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回のこの記事のポイントは
- 業務上・通勤・自然災害による病気やケガは労災保険の適用となる
- 病気とみなされない疲労、美容整形などは公的保険制度適用外となる
- 不正・不当な行為などは公的保険制度適用外となる
- 差額ベット代、先進医療費、無診察治療、混合診療、自己診療は公的保険制度適用外となる
です。
病気やケガで受診の際は、公的保険制度の適用外となる事例がどのようなものかしっかりと把握し、適切な治療が安心して受けられるように、これらの内容を理解しておきましょう。
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