児童手当が減額された?世帯年収による所得制限と子供の年齢に注意!

児童手当が減額されたという方もいらっしゃるでしょう。実は子供が3歳から支給額が減額されます。また、世帯年収に対する所得制限によっても減額します。今回、児童手当が減額される以上2つのケースを解説します。また、今後児童手当が廃止される可能性についても解説します。

児童手当(旧子供手当)が減額?今後の廃止の可能性も解説


子育て世帯を経済的に支援するために支給される児童手当


子育てには何かとお金がかかるので、子育て世帯にはなくてはならないありがたい制度です。


気になる児童手当の支給額ですが、実は年齢や年収などさまざまな条件から決まっていることをご存知でしょうか?


子供の将来のためにもいつ頃いくら支給されるのかしっかりと知っておくことが大切です。


また、今後制度が変更になる可能性もありますのでどのような点が見直しの検討対象とされているのか知っておくといいでしょう。


そこで、この記事では児童手当について

  • 児童手当の支給額と条件
  • 児童手当が減額される2つのケース
  • 児童手当について知っておきたいQ&A
  • 児童手当の高所得世帯に対する今後の見直し内容

について詳しく解説していきます。


この記事を読んでいただければ、児童手当の支給額や今後の児童手当の見直し内容についてよくわかり、今後の教育資金を考える上で役立ちます。


是非、最後までご覧ください。

児童手当の支給額や支給条件をおさらい

児童手当は、家庭などの生活の安定と次代を担う児童の健やかな成長を目的としています。


支給額は、以下の通りです。

支給額
3歳未満一律15,000円
3歳以上〜小学校修了前10,000円
(第3子以降は15,000円)
中学生一律10,000円

なお、支給には所得制限があり、世帯主の年収が960万円以上の場合は、特例給付として月額一律5,000円が支給されます。


支給の対象となるのは、日本に住んでいる中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人です。


支給は、毎年2月・6月・10月に前月までの分が支払われることになっています。


両親が別居している場合は児童と同居している人に優先的に、両親が海外に住んでいる場合は、その父母が指定した養育者に支給されます。


また施設入所の場合や未成年後見人、里親がいる場合は、その設置者や人に支給されます。

児童手当(子供手当)が減額されてしまう2つのケース

子育て世代にとって欠かせない児童手当ですが、世帯によって支給額が違うことを知っていましたか?


実は児童手当の支給額の決定には2つの条件があります


「児童手当を当てにして教育資金を準備していたのに思ったより支給額が少なくて困った」ということがないように、児童手当の支給額はあらかじめ知っておいた方がいいでしょう。


児童手当の支給額は以下の条件で異なってきます。

  • 子供の年齢
  • 手当を受ける人の所得

 参考:こども家庭庁


ここではどのような条件で児童手当の支給額が異なってくるかについて詳しく解説します。

ケース1:子供の年齢で支給額が異なる

条件の一つ目は子供の年齢です

児童手当の対象は0歳から中学修了までですが、年齢によって支給額が異なります。


児童手当の支給額

支給対象児童の年齢1人あたり月額
0歳~3歳未満15,000円(一律)
3歳~小学校修了前

10,000円
(第3子以降は15,000円)

中学生10,000円(一律)

3歳~小学校修了前までは高校卒業までの子供のうち3番目以降のお子さんに15,000円が支給されます。


その他の年齢では子供の人数にかかわらず一律の支給額です。


また、支給開始の時期は誕生月により変わってきますが、支給終了は中学校修了時と一律なので子供が生まれた月によっては支給合計金額が変わってきます。


4月生まれの子供と3月生まれの子供だと最大11か月分の支給額の差が生まれてしまいます。


なお、支給開始には手続きが必要で遅れてもさかのぼって支給されることはないので、出産後は速やかに手続きをしておきましょう

ケース2:手当を受け取る人の所得(年収)で支給額が異なる

条件の二つ目は手当を受け取る人の所得です


手当を受ける取る人(世帯の中で一番所得が高い人)の前年度の所得が所得制限限度額以上の場合、児童手当の支給額は子供一人当たり一律月額5,000円になります。


ここでは所得制限限度額について詳しく紹介していきます。


児童手当法施行令第3条による計算方法

給与所得などの所得額合計から医療控除などの控除額合計を引いて、さらにそこから8万円を引いて所得金額を計算します。


所得額-控除額-8万円


この金額と次に紹介する所得制限限度額を比べます。


所得制限限度額

扶養親族等の人数所得制限限度額
0人622万円
1人660万円
2人698万円
3人736万円
4人774万円
扶養親族が5人以上の場合は622万円+( 38万円x 扶養親族等の人数 )で計算することができます。

児童手当の減額に関するQ&A

児童手当は子育て世帯の安定と未来を担う子供の健やかな成長のために支給される手当です。


経済的な負担の大きい0歳~中学生までを養育する家庭が支給対象となっています。


また、支給額は子供の年齢や対象となる子供の数、児童手当を受け取る人の所得によって異なります。


支給額は条件によって減額されることもあり誰もが正確なことを知りたいと思うところですが、少し制度が複雑なためさまざまな疑問があるようです。


ここでは代表的な児童手当減額に関するQ&Aを紹介します。

児童手当の減額通知書が届いたが、不服申し立てできる?

児童手当の支給額が減額される場合、児童手当の減額通知書が届きます。


減額される理由は児童手当を受け取る人の所得が増えたなどさまざまですが不服を申し立てることはできるのでしょうか?


残念ながら支給額については法律で定められているため不服の申し立てをしてもくつがえることはありません


減額されたとしても0円になるわけではなく、現在は少なくとも特例給付として子供一人につき月額5,000円が支給されていますので、そちらを有効に活用しましょう。

遺産相続すると、児童手当は来年度から減額される?

児童手当を受け取る人の所得によっては支給額が減額されることがあることはこれまで解説してきました。


遺産相続をして一時的に所得が増えた場合はどうなるでしょうか?


相続した遺産自体は所得にならないので、児童手当の受給者が遺産を相続したとしても直接児童手当の減額には影響しません


ただし、相続した不動産等を売却して利益が出たケースでは金額によっては児童手当の減額の条件に当てはまることもあります。


詳しくは税理士に相談しましょう。

今後、高所得家庭への児童手当は廃止?児童手当の見直し内容

児童手当は子育て世帯を支援するために時代に合わせて名称や制度が変更されてきました。


現在の制度では児童手当を受け取る人の所得が所得制限限度額以上でも児童手当は0円にはなりません。特例給付として子供一人につき月額5,000円が給付されています。


しかし、高所得家庭への児童手当は不要という意見もあり、高所得家庭への児童手当の廃止が検討されています


同時に、所得制限の基準となる所得を最も所得の高い人の所得から世帯の合計所得への変更も検討が始まりました。

2017年に政府が児童手当の見直しを発表。減額される家庭も?

現在、子育て世帯の全世帯に支給されている児童手当ですが、2017年に見直しが発表され2019年以降に制度の変更が検討されています


見直しの内容は主に下記の2点です。

  • 所得の基準を世帯の合計所得に変更
  • 特例給付の廃止

現在の制度では、「世帯主の年収」960万円を基準に所得制限を設けて支給しています。


年収960万円以下であれば、0〜3歳未満が一律15,000円、3歳〜小学校修了までが10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生は一律10,000円支給されます。


所得制限以上の場合には、特例給付として児童1人につき5,000円です。


これが見直しされた場合には「夫婦合算の年収」へと変更になります。


つまり共働き世帯においては、子ども1人当たり月1万~1.5万円支給されていた児童手当が、5千円に減る世帯も出てくるということです。

児童手当の見直しによって、不公平が生じる?

見直し前の基準の場合、支給額は世帯で最も所得の高い人の金額によって決まります。


しかしこれでは、同じ世帯年収である「片親が働く世帯」と「共働き世帯」で支給額が異なり、不公平だとの声が上がっていました。


そのため現在では、制度が見直して平等に支給しようという動きになっています。


ただし見直しがされれば、共働き世帯では収入が増えれば増えるほど所得制限の対象となってしまいます。


つまり、今までの支給額が減ったり、特別給付も廃止になれば全く支給されなくなることも考えられるのです。


夫婦で一生懸命に働くにも関わらず支給されないということになるため、「働く意欲の低下を招く」「女性が働くことを否定している」と反対する声もあります。 

2023年現在、児童手当の特例給付の廃止はまだ行われていない

2019年以降に所得制限の世帯合算特例給付の廃止など児童手当の見直しをすると2017年に発表がありましたが、2023年現在、見直しの議論はまだ続いています。


内閣府のホームページにアクセスすると現在でも「児童手当制度のご案内」とありますね。


2019年秋から幼児教育無償化がスタートしたので、財源を確保するためにも同じタイミングで児童手当の見直しをという意見もあったようです。


幼児教育無償化とは、3〜5歳児を対象に幼稚園・保育所・認定こども園・地域型保育企業・主導型保育事業の利用料が無償になる制度です。


0〜2歳児においては、住民税非課税世帯が無償となります。


また、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設では上限額を設けて、障害児の発達支援施設では満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間が無償です。


しかし、児童手当の見直しの根拠となる児童手当の調査結果のデータの一部に間違いが見つかったこともあり、引き続き検討・議論をしていくことになりました

まとめ:児童手当(旧子供手当)が減額される場合

ここまで児童手当が減額される条件や今後行われる可能性のある見直しについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか?


今回のこの記事のポイントは

  • 児童手当は中学生までで、子供の年齢によって額が決まり、毎年2月・6月・10月に支給される
  • 児童手当は子どもの年齢や世帯主の所得によって減額される
  • 減額通知書が届いても不服申し立ては一切できない
  • 遺産相続は減額に影響しない
  • 今後、所得制限が夫婦合算の年収になったり、高所得者世帯への特例給付が廃止される可能性がある

でした。


児童手当は年齢や対象の子どもの人数により支給額が異なってくるので、自分の家庭ではいつ、いくらもらえるのかしっかりと確認しておきましょう。


所得制限により減額されることもあるので、ぜひ記事内の計算式を参考にしてください。


また、現在では子育てをするすべての世帯に給付されている児童手当ですが、今後所得により支給されなくなる可能性もあります。


現在も引き続き検討・議論が続けられていますのでニュースなどを注意して見ていきましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。


子育て世代の貯金についてはこちらで解説していますので、ぜひ読んでみてください。

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