更新日:2022/10/02
学資保険の受取人と年末調整・税金との関係は?知らないと損!
学資保険は年末調整の控除を利用できるので、保険会社からの書類は毎回意識してしまいますね。受取人との関係以外に注意するべき点は確定申告と誤解しないことです。この記事では、誤解されやすい学資保険の確定申告と年末調整の区別・受取人が関係する点について解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 学資保険の年末調整に受取人は関係ある?
- 【保険料支払中の学資保険の年末調整】所得税・住民税の控除枠を利用可
- 年末調整の控除額の計算方法と上限
- 【モデルプラン】学資保険の具体的な控除額を計算
- 【満期時】確定申告は必要?学資保険の契約者と受取人の関係を確認
- 保険契約者と受取人が異なる場合は「贈与税」の対象になる
- 保険契約者と受取人が同じ場合は「所得税」の対象になる
- 所得税の対象となった場合は実質税金がかからないことが多い
- 【要変更のケース】契約者=受取人でも学資保険ならではの問題も
- 学資保険の受取人には誰を指定できるのか
- 学資保険の受取人に指定できるのは親族だけ
- まとめ:学資保険の年末調整は控除額・確定申告は受取人に注意
目次
学資保険の年末調整に受取人は関係ある?
10月末、11月は年末調整の時期です。
保険会社から書類が送られてきて「年末調整の手続きをしないと...」と少し億劫になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
中には、「年末調整では受取人が何か関係しているんだっけ?」「受取人と契約者が違うと何かまずいことがあった気がする」というように、知識が曖昧な方もいらっしゃると思います。
実は国税庁「生命保険料控除」によると、「学資保険の保険料支払い中の年末調整には受取人と契約者は関係ありません」。
しかし、税金関係の問題として満期金を受け取り確定申告を行う際にはかかる税金が受取人との関係により大きく異なり注意が必要となります。
そこでこの記事では
- 学資保険の年末調整で利用できる控除
- 年末調整と誤解されやすい確定申告の注意点
- 受取人と契約者が異なる場合の対処法
【保険料支払中の学資保険の年末調整】所得税・住民税の控除枠を利用可
会社員であれば毎年必ずやってくる年末調整ですが、改めてその意味や書き方を聞かれると、困ってしまう方も多いかもしれません。
年末調整とは、給与所得者が1年間に得た給与や賞与などと、給与から天引き(源泉徴収)された所得税のバランスを調整することです。
そしてこの年末調整の際には、支払った保険料を申告します。保険料の支払は所得を計算する際、控除の対象になるからです。
税額はその年の所得に税率をかけて決まるため、所得が下がれば必然的に所得税が下がり、同じく所得から導き出される住民税も安くなるという仕組みです。
子どもの教育資金のために加入する学資保険も、生命保険の一種なので控除が受けられます。
また保険料支払い期間中の年末調整で焦点になるのは「所得を得た人が支払った保険料」ですので、受取人が誰であるかは関係ありません。
年末調整の控除額の計算方法と上限
所得税
【新制度】※契約日が平成24年1月1日以降
年間支払保険料 | 控除額 |
---|---|
20.000円以下 | 支払保険料の全額 |
20.001円~40.000円 | 支払保険料×1/2+10.000円 |
40.001円~80.000円 | 支払保険料×1/4+20.000円 |
80.001円以上 | 一律40.000円 |
【旧制度】※契約日が平成23年12月31日まで
年間支払保険料 | 控除額 |
---|---|
25.000円以下 | 支払保険料の全額 |
25.001円~50.000円 | 支払保険料×1/2+12.500円 |
50.001円~100.000円 | 支払保険料×1/4+25.000円 |
10万円以上 | 一律50.000円 |
年間支払保険料 | 控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 支払保険料の全額 |
12,001円~32,000円 | 支払保険料×1/2+6,000円 |
32,001円~56,000円 | 支払保険料×1/4+14,000円 |
56,001円以上 | 一律28,000円 |
年間支払保険料 | 控除額 |
---|---|
15,000円以下 | 支払保険料の全額 |
15,001円~40,000円 | 支払保険料×1/2+7,500円 |
40,001円~70,000円 | 支払保険料×1/4+17,500円 |
70,001円以上 | 一律35,000円 |
【モデルプラン】学資保険の具体的な控除額を計算
では、具体的に控除額がいくらになり、それによっていくらの還付が受けられるのか、計算してみましょう。
【シミュレーション】
- 夫:年収600万円
- 妻:専業主婦
- 子ども:0歳
- 学資保険料:月10,000円
- 所得税控除額:40,000円(上限額)
- 住民税控除額:28,000円(上限額)
40,000円×20%=8,000円
28,000円×10%=2,800円
【満期時】確定申告は必要?学資保険の契約者と受取人の関係を確認
- 贈与税
- 所得税
保険契約者と受取人が異なる場合は「贈与税」の対象になる
【例1】
- 契約者=祖父(祖母)
- 被保険者=孫
- 受取人=孫の父(母)
または、このようなパターンも意外と多く見受けられます。
【例2】
- 契約者=父
- 被保険者=子ども
- 受取人=母
保険契約者と受取人が同じ場合は「所得税」の対象になる
では逆に、学資保険の契約形態でもっともお得なのはどのパターンでしょうか。
それは契約者と受取人を同じ人物にすることです。
契約者が父ならば、受取人も父。この形態が、税金面でもっともお得なのです。
この場合、保険金を受け取った際に所得税の対象になりますが、
【所得税の計算方法】
(受取保険金-支払保険料-控除額50万円)÷2
この計算方法を使うと、一般的な学資保険の受取額と利率では、税金が発生する可能性はほとんどありません。
とはいえ、大きな受取額を設定した場合にはもちろん課税対象になる場合もありますので、契約前によく確認しておきましょう。
所得税の対象となった場合は実質税金がかからないことが多い
【例】
- 契約者=父(母)
- 被保険者=子
- 受取人=父(母)
- 払込保険料総額:180万円
- 満期金受取額:210万円
この場合、適用されるのは所得税ですが、税金の対象となるのは、受取額から払込総額を引いた30万円です。所得税の場合は50万円の控除額が適用されるため、税金対象になる保険金は無いことがわかります。
この場合、確定申告の必要はありません。
【要変更のケース】契約者=受取人でも学資保険ならではの問題も
通常、学資保険において契約者と受取人が同一人物であることに問題はありません。
ただ例外的に問題が起こりうるのが、離婚などをした場合です。
仮に、契約者・受取人とも夫で、離婚をしたあと妻が子どもを引き取ったとしましょう。
この場合、受取人を変更しなければ、保険金は夫が受け取ることになります。しかし教育資金の必要な子どもは妻側にいる、というような問題が考えらるのです。
夫婦で学資保険を検討する際に、離婚を想定することはあまりないと思いますが、もしもの時には早めの相談がおすすめですので、頭の隅にでも置いておいてください。
学資保険の受取人には誰を指定できるのか
では学資保険の受取人には誰を指定できるのか、どのような条件があるのかを説明していきます。
学資保険に限らず、生命保険契約において契約者や受取人の基準は年々厳しくなっています。
祖父母が契約者となり、受取人を孫にして教育資金をプレゼントということも、かつては容易にできたのですが、今では多くの保険会社で厳しく制限され、
- 契約者=父または母
- 受取人=父または母
と決められていることも多くなってきています。
では、父母以外を受取人として指定することはできるのでしょうか。
学資保険の受取人に指定できるのは親族だけ
以前は、法定相続人に設定されている人であれば受取人になることが可能でしたが、今では親族以外の設定はできません。
学資保険も生命保険同様に受取人は、契約者かその家族に限定されています。
親族の規定は保険会社によって異なりますが、多くの場合、二等親もしくは三等親までとなっています。
まとめ:学資保険の年末調整は控除額・確定申告は受取人に注意
- 学資保険の支払は受取人に関係なく所得税・住民税の控除対象になり、年末調整で申告できる
- 契約者と受取人「同一人物」か「別人」かによって、受取時には異なった税の対象になる
- 受取時、課税対象となった場合には確定申告が必要