学資保険の受取人と年末調整・税金との関係は?知らないと損!

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学資保険は年末調整の控除を利用できるので、保険会社からの書類は毎回意識してしまいますね。受取人との関係以外に注意するべき点は確定申告と誤解しないことです。この記事では、誤解されやすい学資保険の確定申告と年末調整の区別・受取人が関係する点について解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

学資保険の年末調整に受取人は関係ある?

10月末、11月は年末調整の時期です。


保険会社から書類が送られてきて「年末調整の手続きをしないと...」と少し億劫になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。


中には、「年末調整では受取人が何か関係しているんだっけ?」「受取人と契約者が違うと何かまずいことがあった気がする」というように、知識が曖昧な方もいらっしゃると思います。


実は国税庁「生命保険料控除」によると、「学資保険の保険料支払い中の年末調整には受取人と契約者は関係ありません」。


しかし、税金関係の問題として満期金を受け取り確定申告を行う際にはかかる税金が受取人との関係により大きく異なり注意が必要となります。


そこでこの記事では

  • 学資保険の年末調整で利用できる控除
  • 年末調整と誤解されやすい確定申告の注意点
  • 受取人と契約者が異なる場合の対処法
について詳細に解説していきます。

この記事を最後まで読んでいただければ、年末調整で損をすることはないのはもちろん、年末調整だけでなく確定申告をする際も間違えることなく手続きを行えるようになります。

ぜひ最後までご覧下さい。

【保険料支払中の学資保険の年末調整】所得税・住民税の控除枠を利用可


会社員であれば毎年必ずやってくる年末調整ですが、改めてその意味や書き方を聞かれると、困ってしまう方も多いかもしれません。


年末調整とは、給与所得者が1年間に得た給与や賞与などと、給与から天引き(源泉徴収)された所得税のバランスを調整することです。


そしてこの年末調整の際には、支払った保険料を申告します。保険料の支払は所得を計算する際、控除の対象になるからです。


税額はその年の所得に税率をかけて決まるため、所得が下がれば必然的に所得税が下がり、同じく所得から導き出される住民税も安くなるという仕組みです。


子どもの教育資金のために加入する学資保険も、生命保険の一種なので控除が受けられます。


また保険料支払い期間中の年末調整で焦点になるのは「所得を得た人が支払った保険料」ですので、受取人が誰であるかは関係ありません。

年末調整の控除額の計算方法と上限

では所得税と住民税の控除額について説明します。

つい忘れがちな学資保険の控除申請ですが、年末調整によって受けられる控除額は生命保険と同じです。


なお、平成24年1月1日に生命保険料控除が改訂されました。契約日によって受けられる控除額にも差があるため契約日の確認は必ずしておきましょう。

所得税

【新制度】※契約日が平成24年1月1日以降

年間支払保険料控除額
20.000円以下支払保険料の全額
20.001円~40.000円支払保険料×1/2+10.000円
40.001円~80.000円支払保険料×1/4+20.000円
80.001円以上一律40.000円

【旧制度】※契約日が平成23年12月31日まで

年間支払保険料控除額
25.000円以下支払保険料の全額
25.001円~50.000円支払保険料×1/2+12.500円
50.001円~100.000円支払保険料×1/4+25.000円
10万円以上一律50.000円


住民税

【新制度】※契約日が平成24年1月1日以降
年間支払保険料控除額
12,000円以下支払保険料の全額
12,001円~32,000円支払保険料×1/2+6,000円
32,001円~56,000円支払保険料×1/4+14,000円
56,001円以上一律28,000円

【旧制度】※契約日が平成23年12月31日まで
年間支払保険料控除額
15,000円以下支払保険料の全額
15,001円~40,000円支払保険料×1/2+7,500円
40,001円~70,000円支払保険料×1/4+17,500円
70,001円以上一律35,000円

【モデルプラン】学資保険の具体的な控除額を計算

では、具体的に控除額がいくらになり、それによっていくらの還付が受けられるのか、計算してみましょう。


【シミュレーション】

家族構成
  • 夫:年収600万円
  • 妻:専業主婦
  • 子ども:0歳
  • 学資保険料:月10,000円
※他に、生命保険料控除の対象になる保険には加入していないものとする

この場合、学資保険の年間支払額は12万円です。先ほどの表に当てはめると、控除額は、
  • 所得税控除額:40,000円(上限額)
  • 住民税控除額:28,000円(上限額)
となり、それぞれ税率を掛けた額が還付されます。

所得税については、年収が330万円を超え695万円以下の方の税率は20%ですので

40,000円×20%=8,000円

住民税の税率は、会社員であればほとんどの方は10%ですので

28,000円×10%=2,800円

したがって合計10,800円が返ってくるという計算になります。

学資保険は、子どもの大学入学前後に受取を指定することが多く支払期間が長いため、年数を考えるとかなりの額になりますね。

また、年末調整の書き方もしっかりと確認し、毎年忘れずに申告しましょう。

【満期時】確定申告は必要?学資保険の契約者と受取人の関係を確認


続いては、保険金受取時(満期時)にかかる税金を見ていきます。ともなって、必要な手続きも年末調整から確定申告に変わります。

子どもの教育資金にと頑張って貯めたお金に税金がかかるの?

そう思われるかもしれません。

課税対象となる額の保険金を受け取った際には、確定申告でその額を申請する必要があります。そして課税される可能性があるのは

  • 贈与税
  • 所得税

の2種類ですが、所得税については控除額が適用されるため、課税されることはほとんどありません。

ただし、贈与税がかかるパターンは確定申告が必要になるのでそのパターンを確認する必要があります。

保険契約者と受取人が異なる場合は「贈与税」の対象になる

では、課税されてしまい確定申告が必要になるのはどのようなケースでしょうか。

それは契約者と受取人が異なる契約形態です。

【例1】

  • 契約者=祖父(祖母)
  • 被保険者=孫
  • 受取人=孫の父(母)
祖父母が、可愛い孫の教育資金にと契約するケースですね。

または、このようなパターンも意外と多く見受けられます。


【例2】

  • 契約者=父
  • 被保険者=子ども
  • 受取人=母

つまり「契約者から受取人にお金をあげた」とみなされると、贈与税の対象となってしまい、受取時に課税されます。

贈与税は税額の大きな税金です。一人あたり年間110万円までの控除額がありますが、学資保険の満期金は受取額が大きいため、控除分を差し引いてもほとんどの場合課税されてしまいます。

保険金を受け取ったときは、受取人の方が年末調整の申告用紙に記入、または満期保険金受取のような通知が送られてくるためそれを会社に申請する必要があります。

保険契約者と受取人が同じ場合は「所得税」の対象になる

では逆に、学資保険の契約形態でもっともお得なのはどのパターンでしょうか。


それは契約者と受取人を同じ人物にすることです。


契約者が父ならば、受取人も父。この形態が、税金面でもっともお得なのです。


この場合、保険金を受け取った際に所得税の対象になりますが、


【所得税の計算方法】

(受取保険金-支払保険料-控除額50万円)÷2


この計算方法を使うと、一般的な学資保険の受取額と利率では、税金が発生する可能性はほとんどありません。


とはいえ、大きな受取額を設定した場合にはもちろん課税対象になる場合もありますので、契約前によく確認しておきましょう。

所得税の対象となった場合は実質税金がかからないことが多い

契約形態によって税金が大きく変わる学資保険ですが、今見た通り、一般的な契約形態で加入すれば、課税対象となることは多くありませんので、大きな心配は不要です。

【例】

  • 契約者=父(母)
  • 被保険者=子
  • 受取人=父(母)
  • 払込保険料総額:180万円
  • 満期金受取額:210万円

この場合、適用されるのは所得税ですが、税金の対象となるのは、受取額から払込総額を引いた30万円です。所得税の場合は50万円の控除額が適用されるため、税金対象になる保険金は無いことがわかります。


この場合、確定申告の必要はありません。

【要変更のケース】契約者=受取人でも学資保険ならではの問題も


通常、学資保険において契約者と受取人が同一人物であることに問題はありません。


ただ例外的に問題が起こりうるのが、離婚などをした場合です。


仮に、契約者・受取人とも夫で、離婚をしたあと妻が子どもを引き取ったとしましょう。


この場合、受取人を変更しなければ、保険金は夫が受け取ることになります。しかし教育資金の必要な子どもは妻側にいる、というような問題が考えらるのです。


夫婦で学資保険を検討する際に、離婚を想定することはあまりないと思いますが、もしもの時には早めの相談がおすすめですので、頭の隅にでも置いておいてください。

学資保険の受取人には誰を指定できるのか

では学資保険の受取人には誰を指定できるのか、どのような条件があるのかを説明していきます。


学資保険に限らず、生命保険契約において契約者や受取人の基準は年々厳しくなっています。


祖父母が契約者となり、受取人を孫にして教育資金をプレゼントということも、かつては容易にできたのですが、今では多くの保険会社で厳しく制限され、

  • 契約者=父または母
  • 受取人=父または母

と決められていることも多くなってきています。


では、父母以外を受取人として指定することはできるのでしょうか。

学資保険の受取人に指定できるのは親族だけ

生命保険の受取人に指定できるのは一部の親族に限ります。

以前は、法定相続人に設定されている人であれば受取人になることが可能でしたが、今では親族以外の設定はできません。


学資保険も生命保険同様に受取人は、契約者かその家族に限定されています。


親族の規定は保険会社によって異なりますが、多くの場合、二等親もしくは三等親までとなっています。

まとめ:学資保険の年末調整は控除額・確定申告は受取人に注意

いかがでしたでしょうか。

今回の記事のポイントは
  • 学資保険の支払は受取人に関係なく所得税・住民税の控除対象になり、年末調整で申告できる
  • 契約者と受取人「同一人物」か「別人」かによって、受取時には異なった税の対象になる
  • 受取時、課税対象となった場合には確定申告が必要
でした。

子どもの教育資金を目的として加入する学資保険ですから、賢く積み立てて、子どもの将来に豊かな可能性を贈ってあげたいですよね。

そのためにも、支払時は年末調整によって適切に控除を受け、契約形態は、受取時に余計な税金を支払わなくて良いように設定することが大切です。

申請書などの書類はなんとなく難しいものというイメージがありますが、加入している保険内容書類の書き方をきちんと確認さえすれば問題なくできますので、ぜひ前向きに取り組んでみてください。

保険ROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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