外貨建て保険の生命保険料控除を徹底解説!円建てとの違いに注意!

外貨建て保険は確定申告や年末調整によって生命保険料控除が可能です。生命保険料控除について確定申告の方法、外貨建て保険と円建て保険との違い、方法や書き方、注意点を解説します。また個人年金保険料控除では個人年金保険料税制適格特約を付加しなくてはいけません。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

外貨建て保険の生命保険料控除について徹底解説

最近、高金利・高積立利率な外貨建て保険が非常に人気を集めております。


iDeCoや投資信託などとは違い為替リスクがある一方で、外貨建て(ドル建て)保険には生命保険料控除を利用した節税が可能なことをご存知でしたか?


しかし「外貨建て保険でどれだけ生命保険料控除を利用できるのか?」、「外貨建て保険と円建て保険との違いはあるのか?」と疑問に思っていらっしゃるかもしれません。


また、税制上優遇があっても、確定申告の書き方が難しそうと思っていませんか?


そこで、この記事では外貨建て保険の生命保険料控除について 

  • 外貨建て保険の生命保険料控除についての基礎知識と円建て保険との違い
  • 生命保険料控除についての確定申告書の記載方法
  • 外貨建て保険で個人年金保険料控除を受ける時の注意

以上のことを中心にお伝えしていきます。
 


この記事を読めば、外貨建て保険での生命保険料控除のメリットを最大限享受できるはずです。 


ぜひ最後までご覧ください。 


外貨建て保険の生命保険料控除について!所得控除を活用しよう

生命保険料控除は1月1日~12月31日の間に支払った保険料分を申告し、所得税や住民税などの税金の負担を減らすことができる税制上の優遇処置です。 


外貨建て保険は、終身保険・個人年金保険・養老保険タイプの全てで、円建て保険と同じ条件で生命保険料控除を利用することができます。 


生命保険料控除は簡単にできる節税対策ですので積極的に活用していきましょう。 


この章では、実際にどれだけ控除されるのかその具体的な計算方法から確定申告の手続きまで紹介していきます

。   

実際の所得税控除、住民税控除の金額

具体的な所得税の生命保険料控除・個人年金保険料控除・介護医療保険料控除の金額は以下のとおりです。 
保険料控除される金額
~ 20,000円全額
20,001円 ~ 40,000円正味払込保険料× 1/2 +10,000円
40,001円 ~ 80,000円正味払込保険料× 1/4 +20,000円
80,001円 ~一律40,000円

住民税の生命保険料控除・個人年金保険料控除・介護医療保険料控除の金額を以下のとおりです。  

保険料控除される金額
~ 12,000円全額
12,001円 ~ 32,000円正味払込保険料× 1/2 +6,000円
32,001円 ~ 56,000円正味払込保険料× 1/4 +14,000円
56,001円 ~一律28,000円

各控除枠を最大限活用して節税対策をしていきましょう。


参考:国税庁ホームページ

外貨建て、円建ての違い!年末調整では見込み額で計算?

外貨建て保険は円建て保険と異なり、支払い保険料が為替変動により毎月一定とはなりません。  


外貨建て保険は保険料を支払う通貨が外貨ですので、毎月の為替レート(通貨の変換レート)の影響を受けるということです。 


例えば、毎月100ドルの保険料を支払う契約の場合、1月は9500円、7月は10000円、12月は10500円といったように為替レートの変動で保険料も大きく変わります。 


また、年末調整時に記載する保険料も円換算であるため、為替変動によって一定ではなくなります。 


しかも、通常保険会社が発行する保険料控除の証明書は9月末締めであり、1年分の保険料が見込額で記入されてしまうのです。 


10月から12月分の保険料は9月時点でのレートが基準となるので、タイミングが悪いと円安の時のレートで支払う保険料も高くなる可能性があります。  

生命保険料控除の確定申告の書き方、計算方法、注意点

ここでは生命保険料控除の確定申告の書き方について解説させていただきます。
 


まず、確定申告書は確定申告書Aと確定申告書Bに分かれています
 


確定申告書Aは、給与所得、雑所得、配当所得、一時所得のみである人をが対象で、会社員やアルバイト・パートの方が対象です。 


確定申告書Bは、所得の種類に関係なく利用でき、個人事業主の方が利用することが多いです。 


自分の職種が該当する方に記載するようにしましょう。 


確定申告書AとBからさらに第一表、第二表に分かれていますので、それぞれについて説明いたします。 


【確定申告書A】 

  1. 第一表に「生命保険料控除⑧」という項目がありますので、控除金額合計を記入します。 
  2. 第二表に「所得から差し引かれる金額に関する事項」の中に「生命保険料控除」という項目があります。 新生命保険料の合計、旧生命保険料の合計、新年金保険料の合計、旧年金保険料の合計、介護保険料の合計をそれぞれ記入します。 

【確定申告書B】 

  1. 第一表に「生命保険料控除⑭」という項目がありますので、控除金額合計を記入します。  
  2. 第二表に「所得から差し引かれる金額に関する事項」の中に「生命保険料控除」という項目があります。 新生命保険料の合計、旧生命保険料の合計、新年金保険料の合計、旧年金保険料の合計、介護保険料の合計をそれぞれ記入します。

続けて生命保険料控除の計算方法について解説します。 


前提として、生命保険料控除の計算方法は、旧制度と新制度があり、それぞれ異なるので注意が必要です。
 

  • 新制度は契約締結日が平成24年1月1日以降の保険
  • 旧制度は契約締結日が平成23年12月31日以前の保険

計算の手順は以下のとおりです。


①一般の生命保険、年金保険を旧と新に分けてそれぞれ合計額を出します。 

介護保険は新制度しかないので、介護保険の合計額を出します。


②新制度の一般の生命保険、年金保険、介護保険の合計額について、下記の金額の範囲で計算します。上限は40,000円です。

  • 20,000円以下…合計額の全額
  • 20,001〜40,000円…合計額×0.5+10,000円
  • 40,001〜80,000円…合計額×0.25+20,000円
  • 80,001円以上…一律40,000円

③旧制度の一般の生命保険、年金保険の合計額について、下記の金額の範囲で計算します。上限は50,000円です。

  • 25,000円以下…合計額の全額
  • 25,001〜50,000円…合計額×0.5+12,500円
  • 50,001〜100,000円…合計額×0.25+25,000円
  • 100,001円以上…一律50,000円

④上記で計算した一般の生命保険分と年金分を足します。


※ 合計金額の上限は4万円までです。ただし、旧制度のみで適用を受ける場合は、上限が5万円です。


⑤ 一般の生命保険分、年金分、介護分の合計を算出ます。

※生命保険料控除の上限額は120,000円なので注意してください。

生命保険料控除証明書の再発行はできる?

確定申告にあたり生命保険料控除証明書が必要となりますが、万が一紛失してしまった場合でも保険会社に再発行してもらうことが可能です。 


確定申告の期限までに証明書を提出できるよう早めに再発行の手続きをしましょう。

外貨建て保険の生命保険料控除の注意点

外貨建て保険の個人年金保険タイプのものでも個人年金保険料控除によって生命保険料控除を受けることが可能で、一般生命保険料控除とは別枠で控除を受けれるというメリットがあります。


しかし、個人年金保険料控除を受けるにあたっては、付加する特約、および保険料の支払いについて注意するべきことがあります。
 


生命保険料控除の制度を最大限有効活用するためにこの章でしっかり学んでおきましょう。

個人年金保険料控除は個人年金保険料税制適格特約を付加しよう

個人年金保険料控除を受けるためには個人年金保険料税制適格特約を付加する必要があります。  


税制適格特約を付加するためには、以下の4つの要件を満たさなければなりません。

  • 年金受取人が契約者またはその配偶者である
  • 年金受取人が被保険者と同一である
  • 保険料払込期間が10年以上である(一時払いの契約は対象外)
  • 受け取る年金の種類が確定年金・有期年金の場合は、年金開始年齢が60歳以上、かつ、年金受取期間は10年

    以上である
契約の前に特約が付加されているかしっかり確認しておきましょう。

一時払いタイプの保険に注意!個人年金保険料控除がされない?

一時払いタイプの個人年金保険を契約した場合は「一般の生命保険料控除」の対象となり、「個人年金保険料控除」の対象にはならないので注意してください。 


つまり、一時払いタイプの場合は、他の生命保険による生命保険料控除と同じ控除枠となってしまいます。 


「一般の生命保険料控除」の上限額は4万円(旧制度の場合は5万円)であり、他に契約している生命保険だけで上限を超えるケースが多いでしょう。


そのため、別枠の「個人年金保険料控除」を利用することのメリットが大きいのです。 

他の保険商品で資産形成?FPさんに資産運用について相談しよう

これまで見てきたように外貨建て保険によって税制上多くのメリットを享受できます。


外貨建て保険は円建てよりも比較的金利が高いため、資産形成として優秀な保険商品です。
 


しかし外貨建て保険にはいろんな商品があり、専門的な知識も要求されますので、商品選びに悩んでいらっしゃる方も多いと思います。 


そんなときには、ぜひ「ほけんROOM相談」をご利用ください。 


ほけんROOM相談では、保険のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に、無料で保険についての相談をすることができます。

まとめ:外貨建て保険の生命保険料控除について

今回のポイントは

  • 生命保険料控除金額
  • 外貨建てと円建て保険の違いは払込保険料の変動の考慮
  • 確定申告の方法、書き方、注意点
  • 個人年金保険料控除は個人年金保険料税制適格特約を付加

外貨建て保険により円建て保険と同様に所得税控除、住民税控除の生命保険料控除を受けることができます。 


外貨建て保険は為替レートの影響によって保険料が増減してしまうこと、年末調整では10月から12月分が見込み額での申告となることに注意してください。 


確定申告については、旧制度と新制度の違いを理解し、生命保険、年金保険、介護保険それぞれの控除を最大限受けれるように確定申告書を記載しましょう。 


外貨建て保険でも個人年金保険料税制適格特約を付加することで個人年金保険料控除を受けることができますが、一時払いタイプは対象外なので商品選定に気をつけましょう。 


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ぜひご覧になってください。 

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