外貨建て保険の実質利回りを開示?積立利率の表示が正確ではない?

外貨建て保険の商品説明を受けたとき紹介される積立利率。実は、外貨建て保険に支払った保険料はその全てが運用されるのではなく、積立利率と実質利回りには乖離があることをご存知でしたか?ニュースでは「実質利回り開示」としていますが、金融機関の対応は遅れがあるようです。

外貨建て保険の実質利回りの開示について

外貨建て保険は円建てにはない高利回りが魅力です。


「最低保障積立利率、年3%!」
こんな広告を見て、円建て定期預金とのあまりの差に驚いたことはありませんか。


「もし今あるお金を10年預けたら」と夢は広がりますが、どうかご注意ください。


保険には見た目の利率と異なる「実質利回り」というものがあり、支払った保険料はその分しか増えてはいかないのです。


実は現在、不透明だった外貨建て保険の実質利回りは開示されてゆく方向にあります。


そこで、この記事では外貨建て保険の実質利回りについて、

  • なぜ外貨建て保険の実質利回りは開示されるようになったのか
  • 銀行による外貨建て保険販売の問題点
  • 保険会社が提示する積立利率と実質利回りの違い

以上のことについて解説していきます。


この記事を読めば外貨建て保険の数字のトリックが分かり、加入後に悔しい思いをすることはなくなるはずです。


ぜひ最後までご覧ください。

外貨建て保険の実質利回り見える化について、金融庁が指導!

2018年12月、金融庁は保険会社各社に「外貨建て保険の実質利回りを顧客に開示するべき」と指導しました。


保険会社の顧客への説明資料の一部に、利回りを高く誤解させる表示があると判断されたためです。


外貨建保険は保険という名ではあるものの、事実上の資産運用商品です。


保険の説明資料では利率について「積立利率」という言葉で説明されていますが、払ったお金すべてがこの利率で増えると思ったら大間違いです。


では、なぜ顧客にそのような誤解が生まれるのでしょうか?


ここからは、外貨建て保険の実質利回りにまつわる問題として、

  • 実質利回りについての販売員の説明不足
  • 銀行窓販の増加

これらのことについて説明していきます。

外貨建て保険に関する苦情が急増!説明不足が原因

2017年度の外貨建て保険への苦情件数は1,888件で、5年前に比べて3倍以上に増加しています。


苦情は60歳以上の高齢者からが多く、内容としては

  • 外貨建て保険のリスクを説明してくれなかった
  • 実質利回りが聞いていた利回りと違う

という、販売員への説明不足に関するものが大多数です。


中には「預金したと思っていたのに、実は保険に加入させられていたと後から知った」という信じられないような苦情もあります。


外貨建て保険の構造は複雑で、簡単な説明だけではなかなか理解できるものではありません。


本来そこをしっかり伝えるのが販売員の仕事なのですが、良いことしか説明してくれない販売員がいることも事実です。


顧客が後でリスクに気づいて解約しようと思っても、一定期間以内の解約は大幅に元本割れするため泣き寝入りするしかないということになります。

銀行窓販の増加が背景

しかしなぜ、販売員はリスクを教えてくれないのでしょうか。


実は、説明不足の苦情が出ている外貨建て保険の多くは、銀行窓販(銀行の保険販売窓口).で契約された商品です。


銀行が外貨建て保険を積極的に売り込む理由は、その手数料の高さにあります。


一時払外貨建て保険の初期手数料は保険料の4%~9%といわれ、現在の銀行の大きな収入源となっています


低金利の影響から、銀行はあまり融資の利息による収益を得ることができません。


金融庁の2018年9月の発表によると、地方銀行と第二地方銀行の半数が貸付業や販売手数料での収益で赤字に陥っています。


数年前まで銀行の稼ぎは投資信託の販売に支えられていましたが、最近はこちらの売り上げも伸び悩んでいます。


外貨建て保険は「税金対策」「高利率」などのアピールポイントがあるため、売り手にとって勧めやすい商品です。


銀行員にはノルマもありますから、新たな主力商品である外貨建て保険の販売に必死にならざるを得ないという事情もあります。


こういった理由から銀行窓販は増加し、結果として苦情が急増という事態になっているのです。

外貨建て保険の利回りの注意点!リスクを正しく把握しよう

ここまでは、外貨建て保険の実質利回りにまつわる問題として「銀行窓販における説明不足」を挙げて解説してきました。


では保険会社が提示している積立利率と実質利回りには、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。


ここからは実質利回りが低くなってしまう原因についてお伝えし、さらに為替の影響による支払保険料の変化についても言及していきたいと思います。

為替や手数料によって実質利回りが変化

実質利回りとは、まさに「受け取れる金額÷払った金額」で算出される利率です。


一方で保険会社が提示する積立利率とは、支払済保険料から各種手数料を引いた積立金

のみに適用される利率です。


特に一時払いの外貨建て保険は初期費用が高いため、契約してすぐに積立金は支払保険料から大きく目減りします。


さらにその後にも「死亡保障のための費用」や「年金管理のための費用」などの各種費用が毎月積立金から引かれていきます。


そのため必然的に実質利回りは積立利率よりも低くなり、中には双方に1%以上の差がある商品も存在します。


一般的に外貨建て保険の「実質利回り」は、その外貨の状態での利回りを表します。


しかし、円に換算した状態において実質利回りを考えるなら、為替リスクについても留意する必要があります。


外貨の状態で実質利回りがマイナスになることはまずありませんが、満期時に円高になっていた場合、受け取る保険金が元本割れしてしまう可能性もあります。 

参考:為替によって保険料も変化

一時払でなく月払や年払で保険料を納めるなら、そのときの為替レートによって支払う保険料の額が変化することも知っておかなければなりません。


ドルベースでの保険料はずっと変わりませんが、為替の変動により円換算での保険料は上下します。


円換算の保険料は円高になれば安くなり、円安になれば高くなります。


もし急激に円安になっていったなら、保険料が予想外の大きな負担となってしまう場合もあります。


また一時払でも分割払でも、保険料を外貨で払い込む際に円を外貨に両替するための為替手数料が必要になることにもご注意ください。


保険会社の為替手数料は米ドルなら1ドルあたり1銭~50銭と格安ですが、もし支払い保険料が3万ドルなら「1ドルあたり50銭」で1万5,000円にもなります。

*実際の為替手数料を確認したい場合はこちらのサイトも参考にしてみてください。


なお保険料がクレジットカード払いの場合は、カード会社が定める為替手数料が含まれた換算レートが適用されます。


銀行での両替に比べてかなり安いと海外旅行で勧められるクレジットカードですが、クレジットカードの為替手数料は1.3%~2.0%と保険会社よりは高額です。


クレジットカードで支払う為替手数料が気になる方は、保険会社ではなくカード会社に確認しましょう。

外貨建て保険の出口戦略について!FPさんに相談しませんか?

外貨建て保険の実質利回りの構造は複雑で、保険会社が開示した数字を見てもなかなか理解しづらいことと思います。


現在加入している外貨建て保険の実質利回りが気になる方は、保険のプロであるFPへの相談をおすすめします


FP(ファイナンシャルプランナー)は、保険や税金などの人生に関わるお金についてのプロフェッショナルです。


FPは、外貨建て保険の商品選択や出口戦略について、的確なアドバイスを与えてくれるはずです。


ほけんROOMの「マネーキャリア相談」ではFPの無料相談を実施していますので、ぜひご利用ください。

まとめ:外貨建て保険の実質利回りは開示される方針

外貨建て保険の実質利回りについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • リスクへの説明不足による契約者からの苦情が多発したことから、金融庁は保険会社に実質利回りの開示を求めている
  • 銀行窓販の一時払外貨建て保険への苦情が多く寄せられている
  • 保険会社が提示する積立利率は積立金にのみ適用されるもので、実質利回りとは異なる

以上のことでした。


保険というと安心なイメージがあるかもしれませんが、絶対にリスクを取りたくない人は外貨建て保険に加入するべきではありません


しかし既に加入してしまったという方は、リスクを最低限まで抑える方法を知るため、ぜひ専門家に相談することをおすすめします。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事を多数掲載しています。

ぜひご覧になってください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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