外貨建て保険とは?リスクやメリット、運用性(積立利率)について解説

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積極的な資産運用と生命保険の機能を兼ね備えた外貨建て(ドル建て)保険。外貨建て保険とはどのようなメリット・デメリット(危険性)があり、どのような人が加入に向いているのでしょうか。外貨建て保険の仕組み、為替リスクとは何なのか、わかりやすく徹底解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

外貨建て保険とは?為替リスクやメリットまで徹底解説

外貨建て保険(ドル建て保険)とは、保険料の支払いや保険金、満期保険金、解約返戻金の受取を外貨で行う保険を指します。 


 保険料や受取金の円換算金額は為替レートの変動によって上下するので、為替リスクのある特定保険契約であるといえます。 


特定保険契とは運用利回り、為替変動や金融商品市場における相場などの指標に係る変動により損失を被る可能性のある保険契約のことです。 


また、円貨や外貨の変換、支払いや受取りを行うのに外貨口座が必要となります。

運用性、積立利率について!外貨建て保険の目標値設定とは?

外貨建ての保険は主に 

  • 終身保険 
  • 個人年金保険 
  • 養老保険 
の3つ貯蓄型保険であることが多いようです。 


また変額保険の外貨建てタイプもあり、積極的な資産運用をしたいユーザーに人気なようです。 


 積み立てる通貨の種類に関しては、

  • 米ドル
  • 豪ドル
  • ユーロ 
の3つが基本です。


これら外貨での運用利回りは円貨よりも高く、積立利率に関しても円建ての商品より高く設定されることがほとんどです。 


また外貨建て保険は加入時点で目標値を決め、その目標値を達成した場合は自動的に運用成果を確保します。 


目標値は契約後に変更ができる商品もあり、為替リスクのケアには便利ですよね。

銀行窓販に注意?適合性原則を無視した勧誘の可能性とは

金融市場の変動によるリスクを負う保険を「特定保険契約」と呼びますが、特定保険契約を売る際には「適合性原則」を守るべきと定められています。


この適合性原則とは「保険を販売する者は、顧客の意向と実情に適合しない勧誘をしてはならない」というルールで、もともとは証券取引分野で発生したものです。


最近、銀行窓販で契約した外貨建保険への苦情が急増していることをご存じでしょうか。


 (銀行窓販とは銀行の保険販売窓口のことで、2007年12月に全面解禁されました。) 


中でも多いのが「銀行員の勧めで加入したが、リスクについてきちんと説明してれなかった」という苦情です。


このような状況から銀行が適合性の原則を無視した勧誘を行っているのではないかという疑いが浮上しています。

外貨建て保険のデメリット、危険性やメリットについて

ここまでは外貨建て保険の概要についてお伝えしてきました。


では、外貨建て保険のデメリットにはどういったことが挙げられ、どんな事態を警戒すべきなのでしょうか。


そして逆に、外貨建て保険のメリットとは何で、どれほどの利益が期待できるのでしょうか。


ここからは、こうした外貨建て保険のメリットとデメリットについて具体的に解説していきたいと思います。

デメリット:円安、円高によって受取り金額が上下

いくら外貨建て保険の積立利率が良いとしても、それは外貨ベースにおいてのことです。


特に一時払い保険の場合は、契約時より円高となっていれば受取額が減ってしまいます。 


1ドル=110円のときから3万ドルをドル建て保険で運用し、1.2倍の3万6,000ドルまで増えたとします。


満期時に1ドル=90円まで円高が進んでいた場合、積立金と満期返戻金を円ベースで比較すると、

110円×30,000ドル=330万円(積立金)

90円×3万6,000ドル=324万円(満期返戻金) 

と算出されますから、円ベースではむしろ減っていることになります。


外貨建て保険とは、為替の変動で大きな影響を受けてしまうものであることを忘れてはいけません。

デメリット:資産の流動性がなくなる

外貨建て保険とは貯蓄型保険の一種ですから、ある程度の長さで運用期間が設定されています。


貯蓄型の保険は最低でも5年、多くの商品は10年、長くて15~20年の契約になると考えておきましょう。


途中で急にお金が必要になっても、短期間の運用では為替リスクの平準化も望めない上に「解約控除金」というペナルティのような手数料も引かれてしまいます。


よって、解約が早期であればあるほどに元本割れの危険度は高くなります。


運用期間中はその資産を使うことも他で運用することもできず、流動性は完全に失われることになります。

デメリット:初期手数料、為替手数料を負担しなくてはいけない

「外貨建て保険はこんなに積立利率が高いのだから、為替リスク程度はカバーできるのではないか」 


と考えるかもしれませんね。


しかし、保険会社が提示する積立利率とは、支払保険料全額にかかる利率ではないということを知っておいてください。


運用に回されるのは、支払保険料から「為替手数料」「初期手数料」などの各種費用を引かれた積立金のみとなります。


先ほど「3万ドルを運用した場合」についてお伝えしましたが、このドル建て保険で初期費用が8%かかっていたとすれば、実際の保険料としては326万ドルを払い込んでいることになります。


つまりレートが1ドル=110円なら払込保険料は358万6,000円だったわけですから、満期時に1ドル=99円でも元本割れの状態となります。


実際には運用中にも「保障に対する費用」「管理費用」などが引かれ続けますから、なおさら実質利回りは低くなります。 

メリット:金利が高く予定利率が高いので保険料がお得

一方で、外貨建て保険のメリットとはどういうものなのでしょうか。


まず最大のメリットとして、外貨は円よりずっと金利が良いことが挙げられます。


国内の定期預金の金利が0.01%の現代に「最低保障利率が年2~3%」という数字はかなりの魅力です。


金利が高いと予定利率が高くなり、満期返戻金が同額なら保険料は安くなります。


※予定利率とは、保険会社が運用によって得られる収益を予測したものです。

メリット:資産分散による円貨のインフレリスクに備えられる

外貨に資産を分散することで、円貨のインフレに備えることができるというメリットもあります。


生涯日本国内で暮らし続けるとしても、為替相場は私たちの日常生活に大いに関わってきます。


日本は多くのものを輸入に頼っているため、円安になれば物価が上がってしまいます。


インフレとは同じものが同じ値段で買えないという事象であり、資産が目減りしているのと同じ状態です。


今のうちにドルの資産を保有しておけば、万が一円安ドル高の状態になってもドルをそのときのレートで円に換えることができます。


円の資産とドルの資産を同じだけ保有しておけば、為替の損得はほぼ発生しないということになります。

外貨建て保険に向いてる人を2パターン紹介

ここまでは、外貨建て保険のデメリットとメリットについてお伝えしてきました。


長所と短所を見比べた上で自分に適した保険に加入したいものですが、一般的に外貨建て保険に向いている人とはどんなタイプなのでしょうか。


ここからは、外貨建て保険と相性が良い人の例として

  • 資産に余裕があり、積極的に資産運用をしていきたい方
  • 相続税に備えておきたい方

これら2つのケースについて解説していきます。

1:余剰資産で積極的な資産運用をしたい方

まず大前提として「絶対にお金を減らしたくない、減らせない」という人は外貨建て保険に向いていません。


外貨建保険とは、ハイリスク・ハイリターンの運用商品です。


外貨建て保険を学資保険代わりに使う方もいるようですが、本来なら絶対にそのときに受け取らなければいけないお金を外貨建て保険で備えるべきではないのです。


外貨建保険は「たとえリスクがあっても、資産運用にチャレンジしたい」という人が、あくまで余剰資産で取り組むべきものです。

2:相続対策を検討している方

自分の死後の相続税対策を検討している方にも、外貨建て一時払い終身保険はおすすめです。


生命保険の死亡保険金は、相続財産として相続税が課税されます。


ただし、死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠が設けられています。


非課税枠とは「この範囲の課税対象額なら課税しません」という課税のサービス枠です。


例として、亡くなった方に妻と子ども3人がいたなら法定相続人は4人で、非課税枠は2,000万円となります。


たとえ保険金の受取人は1人だったとしても、2,000万円の非課税枠は変わりません。


そのまま課税されてしまう定期預金とは異なり、この非課税の範囲内で外貨建て一時払い終身保険に加入しておくことで、大幅に相続税を減らすことができます

外貨建て保険は、結局おすすめなの?FPさんに相談しよう!

結局、外貨建て保険はおすすめできる商品かというと「その人の置かれた状況や経済事情によって異なる」と答えるしかありません。


ただ高金利や外貨への資産分散効果というメリットを考えれば、

  • リスクをとってでも資産運用したい
  • 比較的お金に余裕がある
  • 長い目で見て、今ある資産を守りたい

外貨建て保険とは、こういった方に向いている保険といえます。


自分が外貨建て保険に加入すべきかどうか分からないという方は、FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談してみましょう。


FPとは保険やお金についてのプロフェッショナルですから、外貨建て保険加入の是非について的確なアドバイスを与えてくれるはずです。


マネーキャリアではFPの無料相談を受けることができますので、ぜひご利用ください。 

まとめ:外貨建て保険を活用して資産形成しよう

外貨建て保険とは何かということについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 外貨建保険とはあくまで「資産運用」だが目標値設定などでリスクを軽減することができる
  • 苦情の増加は主に銀行窓販によるリスクへの説明不足によるものである
  • 外貨建て保険に向いているのはリスクに耐えられるだけの余力を持つ人である

以上のことでした。


外貨建て保険への苦情は、メリットに対する過度な期待から発生したものともいえます。


計画的に運用することで、外貨建て保険で堅実に資産を築くことも可能です。


外貨建て保険で行き詰まったときは専門家の助けを借りて、決して焦らず気長に運用していきましょう。


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