終身保険と個人年金保険はどう違う?特徴とおすすめポイントを解説!

終身保険と個人年金保険は、どちらも貯蓄性のある保険です。しかし、実際に加入する時には、どちらを選べばよりお得になるのかと、悩むこともあります。ここでは、終身保険と個人年金保険のそれぞれの特徴と、おすすめのポイントを解説していきます。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

終身保険と個人年金保険の違いを比較!

終身保険は解約返戻金にお金が貯まっていく貯蓄性のある保険です。また、個人年金保険は積み立て型でお金を貯めていく貯特性のある保険です。どちらもお金を貯めるという点で共通していますが、この2つは全く違う特徴を持っています。

まずは、終身保険と個人年金保険のそれぞれについて、どのような保険なのかを確認していきましょう。


終身保険とは?

終身保険とは、一生涯の死亡保障がある保険です。加入した時点で契約した死亡保障が確保でき、その保障は解約しない限り続きます。


そのため、加入から数年しかたっていなくても、万一死亡した場合には保険金が支払われることになります。


また、終身保険は加入年数に応じて、解約返戻金が貯まるという貯蓄性も持ち合わせていますので、加入年数が長ければ長いほど、解約返戻金が貯まっていきます。


死亡保障と貯蓄性を兼ね備えているのが、終身保険です。

個人年金保険とは?

個人年金保険とは、老後の生活資金を準備することを目的とした積み立て保険です。
たとえば、60歳に払込終了とした場合に、60歳から10年・15年などの一定期間、または終身に渡って積み立てたお金を年金形式で受け取ることができます。

もちろん、払込終了時にそれまでに積み立てたお金を一括で受け取ることも可能です。

また、万一払込途中に死亡した場合には、それまでに払い込んだ保険料相当額が死亡保険金として支払われることになるため、死亡保障として加入するのには向いていません。


終身保険と個人年金保険を詳しく比較

ここまで終身保険と個人年金保険のそれぞれの簡単な特徴を解説しました。

では、終身保険と個人年金保険を、もう少し詳しく比較してみていきましょう。

終身保険は個人年金保険よりも死亡保障が大きい

終身保険は基本的に死亡保険です。そのため、契約したその日から死亡保障が確保できます。

しかし、個人年金保険は積み立て型の保険ですので、基本的に死亡保障という考え方はありません。もし、払込途中で万一死亡してしまった場合には、それまで払い込んだ保険料相当額を死亡保険金として受け取ることになります。


終身保険は、加入と同時に契約した保険金額の死亡保障がありますので、万一契約してすぐに死亡してしまった場合でも、保険金を受け取ることができます。


それに対して、個人年金保険は万一契約してすぐに死亡してしまった場合には、ほとんど死亡保険金はありません。


つまり、終身保険は個人年金保険よりも死亡保障が大きいというのが特徴のひとつなのです。


個人年金保険は終身保険と異なり老後でないと受け取れない

個人年金保険は、老後の生活資金準備のための積立保険です。たとえば、60歳を払込満了とした場合、60歳から年金形式で契約時に決めたお金を受け取ることができます。

しかし、払込の途中である55歳から年金を受け取りたいと思っても、60歳になるまでは受け取ることができません。

それに対して、終身保険はたとえば60歳払い込み満了とした場合でも、55歳に解約をすることで、その時点の解約返戻金を一時金で受け取ることもできますし、解約返戻金を年金形式で受け取ることも可能です。


また、すべて解約をするのではなく、一部解約(保障額の減額)をすることで、減額した分の保障に貯まっていた解約返戻金を受け取れ、残りの保障はそのまま終身保険として継続することも可能となります。


老後の生活費の貯蓄のためなら、個人年金保険がおすすめ

老後の生活費を準備するための貯蓄を目的とするのであれば、個人年金保険がおすすめです。その理由としては、次のようなことが挙げられます。

  • 終身保険と比べると払込満了時の返戻率が高い
  • 個人年金保険料控除を利用できる
では、それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

個人年金保険のほうが終身保険よりも返戻率が少し高い

個人年金保険は貯蓄性の高い保険です。終身保険も貯蓄性がある保険ではありますが、返戻率で比べると個人年金の方が少し高くなります。

たとえば、30歳の男性が60歳払込満了で、個人年金保険と終身保険に加入した場合で比較してみましょう。


※一例
商品名契約条件払込保険料受取額返戻率
個人年金10年確定年金
保険料:15,000円
5,400,000円5,741,000円
(受取年金総額)
106.3%
終身保険保険料:27,890円10,040,400円
10,000,000円
(死亡保険金額)
99.6%

いかがでしょうか?終身保険については、死亡保険金額と比較しましたが、返戻率は100%を超えることはありませんね。しかし、個人年金保険であれば返戻率が100%を超えることになります。

このように、個人年金保険は積み立てに特化した保険ですので、貯蓄性が高いと言えるのです。老後の生活資金を少しでも増やしたいという場合には、個人年金保険がおすすめなのです。


個人年金保険料控除の対象なので、控除額を最大まで利用可能

個人年金保険は、生命保険料控除の対象です。生命保険料控除には、3種類あります。
  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

終身保険は、一般生命保険料控除の対象となりますが、個人年金保険は、個人年金保険料控除の対象となります。

もし、老後の準備のために、他の生命保険と終身保険に加入していた場合には、どちらも一般生命保険料控除(もしくは介護医療保険料控除)の対象となるため、個人年金保険料控除は利用できません。


しかし、個人年金保険に加入していれば、個人年金保険料控除も利用できるため、生命保険料控除の控除額を最大まで利用することができます。


より多くの所得税と住民税の軽減をすることができるので、老後の準備をするのであれば個人年金保険を利用するのがお得といえますね。


相続対策のためなら、終身保険がおすすめ

相続対策をするのであれば、終身保険を利用するのがおすすめです。


相続税は、平成27年1月より基礎控除額が少なくなりました。そのため、これまで相続税の対象でなかった方も、相続税の支払いをしなければならなくなる可能性が出てきます。 


相続税対策をするためには、相続財産を減らすことのほかに、納税に必要なお金を事前に準備することがポイントとなります。それには、終身保険がおすすめなのです。


 <相続税の軽減>

生命保険の死亡保険金は、みなし相続財産となり、相続税の非課税枠が設けられています。

  • 500万円×法定相続人数

つまり、受け取った死亡保険金から、上記の非課税分が差し引かれるため、相続税が軽減されることになります。


<納税資金の準備>

相続財産が現金ではなく不動産のような現金化が難しいものだった場合、相続税の支払いが困難になる可能性があります。そこで終身保険の被保険者を被相続人にしておくことで、相続した人が死亡保険金を受け取って、それを納税資金として支払うことができます。


また、死亡保険金は受取人が確実に受け取ることができるため、相続する人に納税資金を残すことができるのです。


<遺産分割>

相続財産が住居のような不動産の場合、相続人は簡単に遺産を分割することができなくなります。そのため、住居である不動産に住む人には、住居を相続財産として残してあげることができますが、残りの相続人は相続財産を受け取ることができないということになります。


この時に終身保険の受取人を不動産などの相続財産を受け取ることができない人に指定することで、同様に遺産を受け取ることができ、相続争いを避けることが可能となるのです。


終身保険と生命保険の違いについてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

まとめ:終身保険と個人年金保険の違いとそれぞれの特徴

終身保険と個人年金保険の違いや特徴について、理解ができたでしょうか?

老後の生活資金準備であれば、個人年金保険がおすすめです。そして、死亡保障を確保したい、相続税対策をしたいということであれば、終身保険がおすすめです。


それぞれのポイントを今一度確認し、保険加入の参考にしてみてくださいね。


生命保険の選び方が気になるという方はぜひこちらを読んでみてください。

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