養老保険で貯蓄を考えている人が知っておくべきメリット・デメリット

養老保険は、保障と貯蓄性の2つの機能を兼ね備えた保険として知られています。死亡時・満期時どちらでも保険金が支払われるのは大きなメリットですが、反面デメリットもあります。ここでは特徴を把握し、貯蓄性の高い養老保険をより効率的に活用する方法も見ていきます。

養老保険で貯蓄を考えている人が知っておくべき低金利の現在

養老保険の名前が売れたのは、保険であるにもかかわらず、積立利率が銀行預金を超えていたのもひとつの大きな理由です。しかし現在の低金利のもとでは養老保険の利率も大きく損なわれ、貯蓄性の高さが売りだった養老保険の魅力はかなり低下しました。

養老保険による貯蓄には、積立タイプと一括タイプがある

養老保険で貯蓄する場合、保険料の支払い方によって、積み立てタイプと一括タイプに分かれます。

積み立てタイプは保険料を月払や年払のように支払っていくタイプ、一括タイプは保険料を契約時に一括で払ってしまうタイプです。


一括タイプも、一時払いと全期前納タイプに分かれます。

一時払いタイプは保険料が一回払いで、全期前納タイプは契約上は年払のものをまとめて支払うタイプです。


あらゆるタイプの中で一時払いが一番利回りが良いのですが、この低金利時代では各保険会社は利益を出すことが困難になり、軒並み販売中止となりました。現在では積み立てタイプと一括タイプの全期前納タイプのみの取り扱いになっています。

養老保険を貯蓄目的で使うメリット

養老保険を貯蓄目的で使うメリットは以下の通りです。

メリット1:死亡保険と同等の満期保険金を受け取れる

養老保険にあって他の保険にはない最大の特長がこれです。たとえば1,000万円の養老保険に契約すれば、万が一死亡しても1,000万円受け取れますし、無事満期を迎えても1,000万円を受け取ることができます。

掛け捨てが基本的に嫌いな日本人にとっては、「死ななくても損しない」というのは大きなメリットに感じられ、これが養老保険の人気につながりました。

メリット2:終身保険より貯蓄性が高く元本割れリスクが少なく確実性が強い

終身保険も貯蓄性のある保険ですが、養老保険と比べると貯蓄性は落ちます。

たとえば、ソニー生命の終身保険と養老保険に35歳男性が加入したケースで比較してみましょう。

終身保険1,000万円、60歳払込、月払保険料28,910円

60歳までの保険料総額8,673,000円

60歳時の解約返戻金800万円

60歳時の解約返戻率92.2%


養老保険1,000万円、60歳満期、月払保険料34,130円

60歳までの保険料総額10,239,000円

60歳時の解約返戻金(満期保険金)1,000万円

60歳時の解約返戻率97.7%


このように解約返戻率は養老保険のほうが高く、終身保険よりも貯蓄性に優れていると言えます。

メリット3:満期前に解約しても解約返戻金が受け取れる

養老保険同様定期保険にも満期がありますが、満期保険金はありません。また、掛け捨てのため、満期前に解約しても解約返戻金はありませんが、養老保険は解約返戻金を受け取ることができます。

養老保険を貯蓄目的で使うデメリット


保険としては貯蓄性が高い養老保険ではありますが、デメリットもあります。

デメリット1:生活を圧迫する可能性のある保険料の高さ


保険と名の付くものの中で、養老保険は保険料の高さではかなり高い部類に入ります。

定期保険、終身保険、養老保険で保険料を比較してみましょう。

35歳男性が1,000万円の保険に加入した場合の月払保険料は、

定期保険3,670円(60歳満了)

終身保険28,910円(60歳払込)

養老保険34,130円(60歳満期)

で、養老保険が一番高いです。

(注)いずれもソニー生命の場合。


しかも銀行預金と違ってやっかいなのは、保険料の高さに耐えきれなくなって途中で解約した場合、元本割れしてしまうことです。

デメリット2:昔と比べて金利が低くなり加入前に計算をする必要がある

養老保険の利回りが良いというのは、すでに昔の話です。バブル期などは予定利率(保険会社が契約者に約束する利率)が5.5%もあり、あらゆる金融商品の中でもトップクラスでした。今は、どの保険会社の養老保険を見ても、ほとんどのケースが元本割れしています。

デメリット3:満期を過ぎると更新をすることが出来ない

意外に見過ごされがちですが、養老保険のアキレス腱のひとつが、満期が過ぎると保険が終了し、延長することができないことです。定期保険も満期はありますが、更新型の場合保険期間が終了しても自動更新され、また新たに保険がスタートします。

もちろん定期保険が更新されると、更新前と比べ保険料が上がってしまうデメリットはありますが、それでも保障が一切なくなってしまうことを考えれば、デメリットは小さいと考える人も多いです。

デメリット4:そもそも種類が少なく扱っていない会社も多いため積極的におすすめされない

養老保険の貯蓄性がどんどん低下し魅力がなくなるのと同時に、養老保険の取り扱いを中止する保険会社もかなり増えました。現在のところ、養老保険の販売に力を入れている保険会社はありません。

デメリット5:インフレリスクや保険会社の破綻リスクがある

養老保険に限りませんが、生命保険にはインフレリスクがいつも伴います。生命保険は保険期間が長いため、その期間中にインフレになる可能性もあります。インフレになってお金の価値が下がると、受け取る保険金の金額は変わらなくても、相対的に保険金の価値は下がってしまいます。

また、20年や30年といった長い期間の間には、経営が傾く保険会社も出ないとも限りません。もし、自分が養老保険に加入している保険会社が経営破綻してしまった場合、当初契約した保険金が受け取れない可能性が高まります。

養老保険の貯蓄性を高めるためには?

利回りの魅力がかなり薄れてしまった養老保険ですが、少しでも貯蓄性を高める方法をご紹介します。

特約をつけず、保障内容を簡潔にする

特約に関わる保険料はすべて掛け捨てです。ですから、特約をつけるとその分貯蓄性を損なうことになります。

例えば、かんぽ生命の養老保険「新フリープラン」1,000万円(60歳満期)に30歳男性が加入したとします。

特約を付けない場合の月払保険料は30,600円ですが、入院特約等をつけると月払保険料は35,700円になります。

30年間の総支払額は、特約なし11,016,000円、特約あり12,852,000円となります。

満期の時に受け取れる満期保険金はどちらも1,000万円ですから、特約をつけるとどれだけ貯蓄性を損なうのか、お分かりいただけると思います。

平均的に保険料が高いので、無理のない範囲に設定する

養老保険は保険料が高いため、少々無理してでも貯蓄しようと思うと、途中で払えなくなり、結果的に損をすることになりかねません。


銀行での積み立てであれば、積み立てることが困難になって中止したとしても、元本は保証されていますが、養老保険の場合、途中解約すると必ず元本割れします。


保険料は、将来的にも支払える範囲で設定しましょう。

保険料の負担が厳しいなら、払い済み保険や契約者貸付制度、自動振替貸付制度を利用する

すでに養老保険に加入している方で、保険料の支払いが困難になってきたという方は、解約以外にいくつか対処法があります。

払い済み保険

保険料の支払いを中止し、保障は小さくなるものの満期まで継続させる方法です。


契約者貸付制度

解約返戻金の8割(保険会社によって割合は異なります)まで、保険会社から貸付を受けられます。それで保険料を支払い、当座をしのぐことが可能です。


自動振替貸付

保険料の支払いがない場合、解約遍歴んの範囲内で、保険会社が自動的に保険料を立て替えて支払う制度です。


養老保険の払い済み保険についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

まとめ

昔、市場金利が高かった時代と違い、養老保険は現在の低金利の影響を直接的に受けて、貯蓄性が大きく損なわれています。中長期の貯蓄を目的にする場合は、保険料払込後の返戻率が高い低解約返戻金型終身保険や保険以外の金融商品を検討されることをおすすめします。
生命保険の選び方が気になるという方はぜひこちらを読んでみてください。
この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

ランキング