養老保険の受取人には、死亡保険金受取人と満期保険金受取人がある!

養老保険とは、死亡保険金と満期保険金のこの2種類の役割を果たす保険です。役割が二つあるということは、養老保険には、死亡保険金受取人と満期保険金受取人があるのです。そしてこれらにかかる税金も異なることはご存知でしょうか。今回はこれに焦点を当てて解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

養老保険の受取人について全て解説

生命保険の一つである養老保険とは、文字通り自分または妻の老後を養うための保険です。


主に、死亡保険と貯蓄性の2つをもつ保険として知られています。


保障と貯蓄という2つの性質ゆえ、養老保険の受取人には、「死亡保険金受取人」と「満期金受取人」の2つが存在しています。


そこで、この記事では「生命保険料控除の対象者」について、
  • 養老保険の受取人には2種類ある
  • 満期保険金受取人の税金
  • 死亡保険金受取人の税金
  • 養老保険の受取人として知っておくべきこと

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、養老保険の受取人についての基礎的知識を得ることに役立つかと思います。

養老保険の受取人には、死亡保険金受取人と満期保険金受取人がある

まずは死亡保険金の受取人ですが、こちらは通常の死亡保険と同様と考えてもらって問題ありません。

被保険者の死亡時にその受取人に対して保険金が振り込まれます。


受取人によって税金が変わることがあるので、相続税対策にもなったりするというのは既知の通りです。


一方で、満期保険金受取人はあまり聞きなれないかもしれません。


満期保険金と呼ばれる保険金自体は、基本的には養老保険と学資保険しかありません。


満期保険金は、保険の満期の際に一括でおりる保険金のことを指します。


よくある間違いに解約返戻金がありますが、異なるものと考えるべきです。


個人年金保険などの年金受け取りとも異なります。


満期保険金も受取人によって税金の課税が異なりますので、損をしない受取人設定にすべきです。


この記事では、受取人と税金の関係を徹底解説します。

死亡保険金と満期保険金の関係とは?

税金面を考える前に、死亡保険金満期保険金の関係性を明らかにします。


養老保険では、50歳から60歳に満期を設定することがほとんどで、老後の資金として活用します。



満期時に受け取ることができる保険金の額は、基本的に死亡時に受け取る額と同額で設定されます。


100万円から1000万円程度が掛け金としては相場です。


満期まで被保険者が死亡しない場合に満期保険金が満期保険金受取人に振り込まれます。


満期までに万が一のことがあれば死亡保険金が死亡保険金受取人に振り込まれます。


万が一、途中で解約するという場合には、解約返戻金が保険料負担者に返戻されます。

養老保険の満期保険金受取人の税金

養老保険が満期を迎える2ヶ月前くらいに保険会社から満期の通達がきます。


そちらの必要書類の提出を行えば、満期保険金を無事受け取ることができます。


しかし、保険金の受け取りの際には税金から逃れることはできません。


貯蓄性の金融商品という観点からしても、運用利益分に税金は必ずかかてってきます。


それでは、満期保険金受取人が知っておくべき税金の知識を学びましょう。


養老保険の満期保険金受取人と税金の考え方は、死亡保険金受取人と相違ありません。


要は、保険料の支払い者と受取人が同じであれば所得税、保険料の支払い者と受取人が異なれば相続税または贈与税となります。


具体的な計算式や養老保険ならではの注意点を見ていきましょう。

保険料負担者と受取人が同じ場合は、所得税

「保険料負担者=満期保険金受取人」の場合は一時所得に換算され、所得税となります。

計算式は、下記の通りです。

  • 一時所得 = {満期保険金額 - 払込保険料総額 - 50万円(特別控除額)}÷2

満期保険金額と保険料総額との差額に特別控除額が差し引かれ、さらに÷2が行われるので、課税金額は0円または少ない額であることが多いです。


実際に具体的なケースを見て見ましょう。

  • 養老保険
  • 満期保険金額:200万円
  • 払込保険料総額:170万円

この場合、(200万円-170万円-50万円)÷2=-10万円となり、非課税です。


国税庁では、20万円以下の一時所得の場合は確定申告が不要なので、実質非課税です。


ただし、一部の年金受け取り型の養老保険では、雑所得となるケースもあります。

保険料負担者と受取人が異なる場合は、贈与税

「保険料負担者≠満期保険金受取人」の場合は贈与税となります。


死亡保険金ではないので、相続税となることはありません。


相続税の場合、上記の所得税と比べるとかなり高額な課税金額となります。


実際、養老保険の満期金を一時所得で受け取ることができればかなり節税できるだけに、このケースはおすすめできません。


よくあるケースに、妻の老後資金を貯めたい、と妻を受取人にして夫が貯蓄するケースや、子どもの貯蓄に使いたい、と子どもを受取人にするケースがありますが、おすすめできません。


贈与税となった場合、詳しい税率などは国税庁のHPの表から参考にしてください。

養老保険の死亡保険金受取人の税金

次に、養老保険の死亡保険金の税金について見ていきましょう。


基本的には通常の終身保険や定期保険などの死亡保険金受取人と同じ考えです。


生命保険の受取人に関しての記事はこちらからご覧になれます。


下記の3パターンがあります。

保険料負担者被保険者受取人税金
ケース1
相続税
ケース2所得税
ケース3贈与税

満期保険金に20%の源泉分離課税が適用されるケースもある

満期保険金には、特例として源泉分離課税が課税されるケースがあります。


この課税は、一時払いで満期が5年未満の場合というかなり限定的な養老保険に限りますが、この時源泉分離税が差し引かれて保険会社から振り込まれます。


この源泉分離税というのは、所得における源泉徴収の考え方に近く、受け取り時に法人側が税分を徴収して支払われます。


所得税15%、住民税5%、プラスで復興特別税が数%課税されます。


この場合、すでに養老保険満期金の税分は引き抜かれているので確定申告を行う必要はありません。

養老保険の受取人に関して知っておくべきこと

さて、ここまで、満期保険金受取人と死亡保険金受取人のそれぞれの税金んいついて解説してきました。

次に養老保険の受取人に関して知っておくべきことについてを解説していきます。

実は、養老保険の受取人に関しては生命保険と大きく変わりません。

よく聞かれる疑問点に回答していきます。

受取人を変更したいときは?

養老保険の受取人を変更したい場合には、保険会社にまず問い合わせを行います。


生命保険の受取人について詳細に知りたい方はこちらの記事が参考になります。

生命保険の受取人変更は可能です。受取人変更の注意点を徹底解説!

受取人にできる範囲とは?受取人を孫にする場合の注意点とは?

次に受取人にできる範囲です。

受取人にできる範囲は基本的に2親等以内の人とされています。


つまり、妻から孫世代まで指定することは可能です。


しかし、実際には前述の通り、満期保険金受取人に孫等を指名すると税金面で大きく損をしますので注意しましょう。

受取人死亡の場合の保険の扱いと受取人は?

良くある質問に、受取人が死亡している場合の保険の扱いはどうなるのかということです。

詳しくはこちらの記事に書いてありますので期にある方は参照して見てください。


生命保険の受取人が死亡している場合の保険の受取人はどうなるの?

受取人欄には加入者本人(自分)を書いたり空欄でも大丈夫か?

受取人欄は自分でも良いの?と考える方も中にはおられます。

特に、独身で受取人がいない方にとっては、自分以外受取人に指定できる人が以内という問題があります。


実は本人(自分)に指定することは可能なのですが、押さえておかなければならない注意点が多々あります。


その注意点をこちらの記事「生命保険の受取人を契約者本人にできますが、課税内容にご注意を!」で確認してください。

年末調整時の養老保険の受取人欄はどちらを書くべき?

年末調整時に生命保険料控除がありますが、養老保険も保険料として生命保険料控除の対象です。

しかし、肝心の受取人欄には満期金受取人と死亡保険金受取人のどちらを書けば良いの?なんて思う方も多いです。


実は、この年末調整においては、どちらでも構いません。


保険料控除申告書は正式な書類ではありますが、最悪空欄でも複数記入しても構わない程度の欄ですので、どちらの記入でも構いません。

まとめ:養老保険の受取人について

養老保険の受取人についての徹底分析記事でしたが、いかがでしたでしょうか。 

 今回の記事のポイントは、 
  • 養老保険の受取人には、死亡保険金受取人と満期保険金受取人がある
  • 養老保険の満期保険金受取人の税金
  • 養老保険の死亡保険金受取人の税金
  • 養老保険の受取人に関しては生命保険と大きく変わらない
でした。

満期保険金と死亡保険金の相違を理解し、課税の種類や税金の損得を理解し、後悔のない保険設計ができると良いですね。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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