更新日:2019/12/10
【これで納得!】源泉徴収票の生命保険料控除などの見方早分かり!
年末調整で生命保険料控除の申請をする方は多いですが、それが源泉徴収票でどのように反映しているのが分からない方は少なくありません。ここでは源泉徴収票の内容を生命保険料控除などの各控除の種類から所得税額の計算まで詳しく説明していきます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
年末調整における生命保険料控除に必要な源泉徴収票の見方
会社にお勤めのサラリーマンやパートやアルバイトの方など、年末調整の資料の提出を求められていることと思います。
生命保険料控除の記入など、毎年申請している方も多いことでしょう。
12月か翌年の1月の給与で「源泉徴収票」をもらうことが多いですが、この源泉徴収票の見方についてよく分からないという方は少なくありません。
また、源泉徴収票は毎年同じような形式と思われがちですが、生命保険料控除欄の改正や平成28年からのマイナンバー導入などで、法律が改正されるたびに変更されています。
ここでは、皆さんが大いに関係してくる「生命保険料控除」など源泉徴収票の見方についてご説明していきます。
生命保険料控除を申請する為の必要書類
民間の生命保険や個人年金保険に加入している方が利用できる控除です。
年末調整の際に生命保険料控除を申請するために必要なものは、保険会社から送付される「保険料控除証明書」です。
一般的に10~11月位にはがきで送付されてきますので、年末調整まで紛失しないように大切に保管しておきましょう。
生命保険料控除証明書を元に申請した控除額は、源泉徴収票の「生命保険料の控除額」という欄で確認できます。
源泉徴収票で確認すべき給与所得控除の金額
この項目に記載されている金額が一般的にいう「年収」というものになります。
しかし、「所得」とはいわゆる年収とは別物で、年収から給与所得控除を引いた金額が所得になります。
つまり、「給与の支払金額(年収)-給与所得控除=給与所得」ということになります。
「給与所得控除」は生命保険料控除のように数ある控除の1つで、「給与所得」を求める際に必要な控除額となります。
給与所得控除額とその計算方法
給与所得控除とは、サラリーマンの特典ともいえる控除で、「サラリーマンの必要経費」と解釈されています。
つまり「サラリーマンもスーツやカバンを買う必要があるため、ある程度の経費がかかる」ということを考慮し、収入から一定額を控除してくれるというわけです。
皆さんがよくご存知の生命保険料控除も、支払った保険料を経費とみなして控除してくれるものなので、それと同じ仕組みです。
【給与所得控除の計算方法】
給与所得控除は、収入金額によって控除額の計算式が異なりますので、一覧表にまとめました。
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
162万5000円以下 | 65万円 |
162万5000円超~180万円以下 | 収入金額×40% |
180万円超~360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超~660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超~1000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1000万円超~1500万円 | 収入金額×5%+170万円 |
1500万円超 | 245万円(上限) |
この表に自分の年収を当てはめて給与所得控除額を算出することになります。
例えば、年収600万円の人は、600万円×20%+54万円=174万円となり、給与所得控除額は174万円となります。
給与所得控除後の金額の計算方法
上の例でいうと、年収600万円-給与所得控除額174万円=426万円。
426万円が給与所得控除後の金額ということになります。
年収からの控除といえば保険料控除がよく知られていますが、給与所得控除はそれ以上に節税効果のある控除といえます。
源泉徴収票の所得控除額を確認する
この欄には、生命保険料控除や配偶者控除、扶養控除といった各控除の合計額が記載されています。
例えば
「独身の人よりも既婚で妻や子供がいる人は、その分生活費もかかるため税金を減らしてあげよう」
「大学生の子供がいると学費が大変だから税金を減らしてあげよう」「生命保険に加入して保険料を負担しているなら少し税金を減らしてあげよう」
といったように、その人ごとの家族構成や生活状況などに応じて控除額が決まります。
代表的な所得控除と控除金額についてまとめましたので参考にしてみてください。
- 基礎控除(38万円)
誰でも一律に受けられる - 配偶者控除 (38万円)
所得が38万円以下の配偶者がいる場合に受けられる - 配偶者特別控除(3~38万円)
所得が38万円超76万円未満の配偶者がいる場合に受けられる - 一般扶養控除(38万円)
生計を一にする16歳以上の子供や親を扶養している場合に受けられる - 特別扶養控除(63万円 )
その年の12月31日時点で年齢が19歳以上23歳未満の子供を扶養しいている場合に受けられる - 同居老親扶養控除(58万円)
公的年金受給額が158万円以下であり、かつ同居している70歳以上の親を扶養している場合に受けられる - 別居老親扶養控除(48万円)
公的年金受給額が158万円以下であり、別居している70歳以上の親を扶養している場合に受けられる - 寡婦控除(27万円(+α))
夫と死別・離婚した女性が受けられる。条件によって増額される。 - 寡夫控除 (27万円)
妻と死別・離婚した男性で、子供を扶養しかつ所得が500万円以下の場合に受けられる - 社会保険料控除(支払った額 )
1月から12月までに支払った厚生年金・健康保険・雇用保険などの合計額が控除対象となる。 - 一般生命保険料控除(旧:最高5万円新:最高4万円)
一般生命保険料を支払った場合に受けられる。 - 介護料保険料控除(最高4万円)
介護・医療保険料を支払った場合に受けられる。 - 個人年金保険料控除(旧:最高5万円新:最高4万円)
個人年金保険料を支払った場合に受けられる。 - 地震保険料控除 (最高5万円)
地震保険料を支払った場合に受けられる。 - 医療費控除( 1年間の合計支払額-10万円)
1年間に支払った医療費10万円か所得金額の5%を超えた分が控除対象。
所得控除に基礎控除は記載されていない
なぜかというと、基礎控除は誰でも一律に控除されるものなので、特に記載しなくても自動的に控除合計額に算入されるためといわれています。
もし心配な方や時間のある方は、「所得控除の額の合計額」に基礎控除の38万円が組み込まれているか計算してみるといいかもしれませんね。
何もしなくても38万円が控除されるのは、節税においてかなりのメリットといえます。
所得控除額の計算方法
例えば、年間所得が38万円以下(年収103万円以下)の妻と16歳の子供を扶養している場合、次のように計算します。
基礎控除:38万円
配偶者控除:38万円
扶養控除:38万円
社会保険料控除:90万円
生命保険料控除:10万円
38万円+38万円+38万円+90万円+10万円=214万円 。
よって、所得控除の額の合計額は214万円となります。
控除の種類は人によって異なりますので、ご自身の家族状況や保険料の負担額が正しく反映されているかチェックしてみましょう。
源泉徴収票の課税所得額
ここで一度、いままでのおさらいをしておきましょう。
まず収入金額(年収)から給与所得控除を差し引いて給与所得を出しました。
次いで生命保険料控除などを合計した所得控除の額の合計額を算出しました。
ではここから、課税所得額の求め方と最後に所得税額を算出する方法の説明をさせていただきます。
課税所得とは
課税所得は、給与所得から生命保険料控除などの所得控除の額の合計額を差し引いて求めます。
上の例のケースで課税所得を求めてみると次のようになります。
給与所得426万円-所得控除の額の合計額214万円=課税所得212万円
最後に所得税額を求める
収入金額から給与所得控除や生命保険料などの各種控除を差し引いて、課税所得までの説明をしてきました。
所得税額は、源泉徴収票では「源泉徴収税額」という項目で記載されています。
所得税は「累進課税」になっているため、所得が多い方ほど税率も高くなっています。
所得税の税率は以下の通りです。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
上の例のケースで所得税額を求めると、次のようになります。
課税所得が212万円なので、表の課税所得金額「195万円超~330万円以下」の欄で計算します。
212万円×10%-97,500円=114,500円・・・①
そしてさらに、平成25年から平成49年までは復興特別所得税というものが加算されることになっています。
復興特別所得税は所得税額(①です)の2.1%で計算します。114,500円×2.1%=2,405(小数点以下四捨五入)・・・②
① +②=114,500円+2,405円=116,905円
100円未満は切り捨てますので、116,900円が所得税額となります。
まとめ 生命保険料控除の源泉徴収票の必要性
支払金額(年収)から給与所得控除をはじめ生命保険料控除などの各控除を差し引き課税所得を求め、そこに課税所得に応じた税率を乗じて所得税額を算出します。
節税のためには、課税所得をできるだけ抑えることがポイントになるため、控除できるものはもれなく申請することが大切です。
特に、年末調整の際に申請する生命保険料控除は医療保険の他に個人年金や介護保険にも適用されますし、加入者にとって貴重な節税対策の1つであり、最高で12万円の控除が可能なので、忘れずにもれなく申請しましょう。