生命保険の免責事由は要チェック!保険金が支払われないワケとは?

生命保険の免責を知らずに、いざ死亡や入院といったケースで保険金や給付金が支払われずに慌てる場面が、実は少なくありません。そういったことがないように、ここでは生命保険の免責について、わかりやすく詳しくご紹介したいと思います。

生命保険に入るなら、免責事由については勉強しておこう

生命保険に加入したら、どのような場合でも必ず保険金がおりるのかというと、そうではありません。


生命保険契約では、あらかじめ保険金支払いの対象外となるケースが決まっています。


これを把握しておかないと、将来、万が一あったときに、頼りにしていた保険金や給付金が下りなくて困るということにもなりかねませんから、生命保険の免責はしっかり把握しておきましょう。


この記事では、特に問題が起こりやすい免責ポイントとその理由と取り上げています。

困ったときはこの記事を参考にしてみてください。

生命保険の支払事由と免責事由とは

生命保険の支払事由とは、保険会社が保険金を支払わなくてはならない理由のことを言います。


例えば、終身保険に加入している場合の支払事由は、死亡もしくは高度障害状態です。


被保険者が死亡もしくは高度障害状態になった場合、保険会社は保険金を支払わなければなりません。


保険金や給付金の受取人側から見れば、支払事由が発生した時点で、保険金や給付金の請求権が発生することになります。


一方、免責事由とは、保険会社が保険金の支払いを免れる理由のことを言います。


例えば、終身保険に加入していて死亡した場合であっても、その死因が自殺で保険契約後7カ月だったというようなケースでは、保険会社は保険金を支払う義務はありません。


死因が自殺で保険契約後7カ月に発生したということが、免責事由であるからです。

契約時には自分で必ず確認することが必須

生命保険の契約をする際には、必ず免責を確認しましょう。


営業担当者に免責について質問することはもちろんですが、生命保険契約の際必ず渡される契約のしおりや約款には、免責の記載があります。


契約のしおりや約款を、自分で端から端まで読むのは大変ですから、この記事で特に問題となりやすいポイントは抑えておきましょう。


また、のちに約款で参照するために、あらかじめ営業担当者に、どの部分に免責の記載があるのかを質問しておくと良いです。

死亡保険金が受け取れないときの免責事由

生命保険に加入していて死亡した場合、基本的には死亡保険金を受け取ることができますが、免責事由に該当した場合は受け取ることができません。


いわば保険金受取の例外に当たりますが、どのようなケースに免責となるのか、個々に見て行きましょう。

生命保険加入後、3年以内の自殺

生命保険加入後、3年以内の自殺は免責事由となっています。


ただし、3年という期間については、保険会社や保険商品によって異なり、1年や2年の場合もありますから個別に確認する必要があります。


もともと1年以内の自殺が免責だったのですが、生命保険加入者の自殺件数が増え、保険数理上収支が合わなくなってきたことや、自殺抑止強化のため、1年以内という免責規定が2年や3年に変更されてきたという経緯があります。


自殺を決意してから1年であれば生き延びることが可能であっても、2年や3年になれば難しいと考えられているからです

保険金受取人の故意の殺人

被保険者が契約者または受取人によって故意に殺された場合は、免責事由となり、保険金は支払われません。


保険金目当てで被保険者を故意に殺しても保険金は支払われないことで、生命保険が殺人の目的とならぬよう抑止する意味があります。


保険金目当てで殺害が行われるという事件も過去に起こっていますが、だんだんと高度化してきており、受取人が直接手を下すことなく、間接的に殺し屋を雇って殺害するなどの場合でも、受取人と殺害者の利害関係があれば、死亡保険金は支払われない、という合理的な規約となっています。

法律に違反するような事故

例えば飲酒運転や無免許運転といった法律に違反する行為で事故を起こし死亡したようなケースは、災害死亡保険金の免責事由になります。


仮に、2000万円の終身保険に、災害割増特約という不慮の事故による死亡や高度障害になった場合に割増保険金が支払われる特約を1000万円付けていたとします。


2000万円の普通死亡保険金は支払われますが、1000万円の災害死亡保険金は免責事由に該当するため支払われません。


法律に違反するような事故がなぜ免責事由になるのかというと、こういった事故を免責にしないと、保険料を算出する根拠のひとつである事故率や死亡率などと数値が乖離し、保険として成り立たなくなる恐れがあるためです。

原発事故による放射能の被曝を原因とした死亡

東日本大震災時、東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れが大変大きな社会問題になり、保険会社の対応にも注目が集まりました。


保険金や医療保険やがん保険の給付金の支払いが免責になるのではないかという話もまことしやかにささやかれましたが、実際には、免責事由ではなく支払い対象となっています。


これは、1年更新が多い損害保険と違い、生命保険は保険期間が長く、契約当初に決められた支払事由や免責事由が途中で変更になることはないことが理由です。


ただ、被害や損害の大きさが予測しえない事故であることから、今後の契約については、免責事由になる可能性も否定はできません。

自然災害や戦争で死亡した場合はどうなるの?

大規模な自然災害が増え、テロや戦争のニュースに触れることも多くなり、こうしたことは自分の身に降りかかることはないとは断言できない状況になりつつあります。このようなリスクに対し、経済的に頼りになるのは生命保険ですが、果たして一般的な原因による死亡同様、保険金は支払われるでしょうか。

天災・自然災害時の免責事由

地震、噴火、津波などの天災による死亡は、災害死亡保険金の免責事由になっています。普通死亡保険金については支払われます。


これは、地震、噴火、津波の場合、被害の規模が大きすぎて、保険計算の基礎に重大な影響があり、生命保険会社の存続に影響するケースが多いためです。


しかし実際には、2011年の東日本大震災や2016年熊本地震の時には、保険金は全額支払われました。


このように、天災による死亡については、基本的には免責となっていますが、実際には損害額の状況等により判断されます。

戦争やテロ、乱変での志望の免責事由

戦争やテロなどの紛争による死亡は、免責条項があります。

これは、戦争や変乱による被害規模はあらかじめ計算をすることができず、戦争等による死亡を支払事由に含めると、保険として成り立たない恐れがあるためです。


ただしテロについては、保険会社によってその取扱いが異なることもあるため、生命保険加入時には確認することをおすすめします。

死亡時以外の保険金が支払われない免責事由

これまでは死亡した場合の免責事由について見てきましたが、死亡時以外にも保険金や給付金が支払われない場合があるので、注意が必要です。


特に、「免責期間」と「告知義務違反」の2つを詳しくみて行きましょう。

がん保険の免責期間中にがんになった

がん保険には90日間の待期期間があり、この間にがんと診断されても保険金は支払われません。これをがん保険の免責期間と言います。


なぜ、がん保険に免責期間があるのかというと、がんは発病しても自覚症状がないケースが多いため、免責期間がないと契約の公平性を保つことができないというのが理由です。

告知義務違反をした

生命保険に加入する際、被保険者は自分自身の健康状態について告知をする義務があります。


しかし、故意または重大な過失により、虚偽の告知がなされていた場合、「告知義務違反」とみなされ、保険金や給付金支払の免責事由となります。


告知義務違反の契約は解除となり、保険金や給付金の支払いはもちろん、それまで支払っていた保険料も返還されません。


なお、告知義務違反をした契約であっても、責任開始日から2年以上有効に継続した契約であれば、基本的には解除にはなりません。


しかし、2年以内に支払事由が発生していたり、告知義務違反が詐欺行為にあたる場合は、2年以上経過していても解除となります。


告知義務違反については「生命保険契約で告知義務違反をするとどうなってしまうのか徹底解説!」のほけんROOMの記事で詳しく説明しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

まとめ:生命保険の免責事由について

今回は、生命保険の免責事由に関して説明してきましたがいかがだったでしょうか?

この記事のポイントは
  • 保険加入時には免責を自分で確認するべき
  • 死亡保険金が受け取れないときの免責事由を確認しよう
  • 自然災害や戦争で死亡した場合には、保険会社に判断で免責になったり、ならなかったりする
でした。

生命保険の免責を知らないと、思わぬ落とし穴になりかねません。


本来告知すべき事項であるにもかかわらず、この程度であれば告知の必要はないであろうといった自己の判断により告知をしないケースなど、後の保険金請求時に告知義務違反に問われ免責となることも少なくありません。


免責事由は、保険会社によっても取扱が微妙に異なることもありますから、生命保険を契約する際は必ず確認しましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。


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