B型肝炎でも保険に入れる?加入基準や告知ポイントを解説!

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B型肝炎の持病がある方の中には「保険への加入を諦めていた」方がおられるかもしれません。確かに普通の保険では審査に通らないこともありますが、実はB型肝炎でも審査に通りやすい保険があります。今回はB型肝炎とその「加入しやすい保険」について取り上げます。

内容をまとめると

  • B型肝炎はHBVウイルス感染が原因
  • 肝硬変や肝がんにつながる
  • 既往歴があっても引受基準緩和型保険や無選択型保険なら加入できる
  • 告知義務違反は絶対NG
  • 集団予防接種によりB型肝炎に感染した人は給付金対象となるが、国に対して訴訟を行う必要がある
  • 事前の検査やワクチン接種はB型肝炎発症を予防するために効果的である
  • 出産や女性特有の病気に関するお金のことで少しでも不安や疑問があるならマネーキャリアのFP相談を利用するのがおすすめ!

契約者がB型肝炎の場合、生命保険や医療保険に加入できない?


生命保険や医療保険は「B型肝炎などの持病があると加入が難しい」というのはすでに認知されており保険への加入を諦めてしまった、という方もおられるかもしれません。


しかし、B型肝炎でも保険に加入できる可能性はあります。


そこで今回は、

  • B型肝炎ってどんな病気?
  • B型肝炎の既往歴があっても民間の保険に加入が可能?
  • B型肝炎でも加入しやすい保険とは?
  • B型肝炎患者が保険の加入時に告知義務違反をするとどうなる?
  • B型肝炎の場合に受け取れる給付金とは?
  • B型肝炎はどうやって予防する?
以上の点を取り上げていきます。

この記事をご覧いただければ、自分が「B型肝炎だから民間の保険には加入できない」と考えていた方にとって、新しい選択肢を見出すことができるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

B型肝炎について


まず、B型肝炎の原因と症状、そして治療方法などについて説明していきます。

B型肝炎の原因

B型肝炎は感染症だということ、そして特定のウイルス感染が引き起こす病気である、という点は重要です。


B型肝炎の原因ウイルスの名称は「HBV(Hepatitis B Virus)」です。


HBVに感染する経路は血液(体液)による感染であり、

  • 垂直感染:出生時の母子感染による(稀に父子感染もある)
  • 水平感染:注射器の使い回し、刺繍、性行為、輸血など
主な感染経路は以上の2つです。

もっとも多い原因が「垂直感染」、いわゆる母子感染であり、感染者の子どもも100%感染するとされています。

B型肝炎の症状

初期症状の段階では「風邪かな?」と思うような症状が出ますが、実際それは風邪どころか「肝硬変」や「肝がん」へ進行するなど、大幅に重症化するリスクがあります。


B型肝炎の症状はタイプによって異なり、

  • 急性肝炎1カ月~半年の潜伏期間を経て、倦怠感や嘔吐感、食欲不振などの症状が出る
  • 慢性肝炎:感染後すぐは発症せず、遅ければ十数年の潜伏期間を経てから肝炎になる(持続感染
たとえば母子感染は乳児の段階ですでに感染し、成長期を過ぎてから肝炎を発症するので「慢性肝炎」です。

肝がんにまで進行すると、肝性脳症によって意識の混濁や昏睡状態になることがあり、すでにその段階では肝機能が著しく低下しているので、非常に危険な状態です。

B型肝炎の検査方法

持病をよく知ることは、他人の命を守ることにもつながります。


乳児時に感染した後、何年にもわたって「無症状患者」、いわゆるキャリアとして生活する可能性が高いです。


HBVは血液(体液)感染なので一緒の空間にいただけでは感染しませんが、主に性交渉で自分以外に感染させるリスクが高いです。


ここで重要なのは「自分がキャリアであることに気付く」ことであり、B型肝炎の検査を受けることで他人への感染も防げます。


ちなみに検査で行われるのが、

  • HBs抗原検査
  • HBe抗原検査

これらの検査であり、抗原を保持しているかどうかがリスク度合いを測る基準となります。


まず「HBs抗原検査」陽性者は「HBe抗原」も調べ、重症化リスクや他人への感染リスクを測ります。

B型肝炎の治療方法

B型肝炎は、さきほど挙げた「慢性肝炎」か「急性肝炎」のどちらであるかによってリスクが異なり、治療法も異なります。


「慢性肝炎」の場合は、HBVウイルスを体内から100%取り除くことは不可能であるため、

  • インターフェロン療法:抗ウイルス薬を投与し、HBVの増殖を防ぐ
  • 肝庇護療法:肝臓の特定の数値(AST・ALT)を下げる薬を投薬し重症化を防ぐ
このような「原因を直接排除しない」治療法が主に用いられます。


基本的には抗ウイルス薬の継続的投与を行い、その抗ウイルス薬が効かなくても、「肝庇護療法」を行うことで、「肝がん」などの重大な病気への進行を予防することが可能です。


それに対して「急性肝炎」の場合は自然治癒が一般的ですが、重症化する危険性がある場合は「拡散アナログ製剤」という薬を投与して肝炎を抑えることもあります。


それらの治療法を行う理由は「急性肝不全」への進行、いわゆる重症化(=劇症化)を防ぐことにあります。

B型肝炎の治療は保険適用可能?既往歴がある場合、民間の保険に加入できる?


ここではB型肝炎について

  • 治療費の助成制度
  • 助成制度利用に必要な書類
についてみていきましょう。

B型肝炎に行われる「抗ウイルス治療」は医療費助成を受けられる

B型肝炎の治療が必要な場合、

  • インターフェロン治療
  • 拡散アナログ製剤治療
主に上記の治療法においては、各都道府県で費用の助成を受けることで、費用の負担を軽減できます。

たとえば東京都では「医療費助成制度」があり、上記の治療法を用いた場合に一定金額が都から助成されるため、都民がこれを利用できます。

具体的にどの薬が対象になのかは東京都の「制度の案内」を見ていただければ分かりますが、それぞれの薬の違いが判別できなくても、多様な種類の投薬に対応していることが分かります。

実際にどれくらいの金額を助成してもらえるのか、詳細は次の表をご覧ください。

分類(区市町村民税)患者の負担額
非課税負担なし
235,000円未満月額10,000円まで
235,000円以上月額20,000円まで

この金額に入院時の食事療養費や生活療養費をプラスした金額を、治療にかかった合計金額から差し引いた分が助成額となります。

助成期間は基本的に1年間と決められていますが、用いる治療法によって期間が短くなったり、投薬の延長が必要な場合には助成機関が延長されたりします。

医療費助成の申請に必要な書類は?

長期治療を行っていくために欠かせない医療費助成、受けられる恩恵は素早くそして確実に受けたいものですが、診断されたら勝手に適用される制度ではなく、個人で申請を行う必要があります。


申請するには各市町村へいくつかの必要書類を提出する必要があり、

  1. 治療費助成申請書
  2. B型肝炎の診断書
  3. 住民票
  4. 健康保険証のコピー
  5. 高齢受給者証(対象者のみ)
  6. 課税額を証明するもの(非課税証明書や納税通知書など・20歳未満以外)
主にこれらの書類を提出することになります。

たとえば東京都では各エリアの窓口で必要書類を受け取りますが、診断書はウェブサイトからオンラインでPDFを印刷し記入してから提出することもできるため、ネット環境がある方はこちらの方が早いでしょう。

ちなみに同じ世帯で生計が別の場合は、世帯全員の健康保険証のコピーや、同世帯での課税額の合算対象から除外するための書類などが別途必要になるので、各自治体のウェブサイトを確認するか、直接問い合わせてみましょう。

既往歴があった場合、民間の保険には入りにくい

民間の保険会社が販売する各種保険に対するイメージとして多くの方が抱いているのが、「持病がある」人が加入することへのハードルの高さです。


当然ながら保険会社にとっては保険金支払いのリスクが低い人に加入してほしいため、既往歴があるために審査に落ちる可能性があります。


B型肝炎のような難しい病気の場合は、特に保険の審査基準をクリアするハードルが高くなることは間違いありませんが、たとえ一度審査に落ちても諦める必要はありません。

B型肝炎でも入りやすい保険とは



B型肝炎の方でも入ることができる保険として以下の2点があります。
  • 引受基準緩和型保険
  • 無選択型保険

引受基準緩和型保険について

1つ目の選択肢は「引受基準緩和型保険」です。


これはその名の通り加入時の告知項目が少ないため審査基準が緩くなっている保険です。


詳しくは以下の記事をご覧ください。

無選択型保険について

2つ目の選択肢は「無選択型保険」です。


この保険では、本来加入時に必要な持病や既往歴などの告知が必要ありません


持病が保険加入のハードルとなっておりどのような保険にも加入できなかった、という方に強くおすすめできる種類の保険となっています。


詳しくは以下の記事をご覧ください。

保険に加入する際の告知義務・告知違反とは


保険の申込みをする時、必ず必要になるのが自分の病歴や入院歴などを詳しく告知することです。


虚偽の告知をすることを告知義務違反と言います。


告知の内容や告知義務違反について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください!

B型肝炎の給付金について


B型肝炎の給付金について以下の2点を解説していきます。

  • 対象者
  • 受け取り金額

給付金を受け取れる対象者は?

全国での持続感染者は40万人にものぼるB型肝炎ですが、7歳までに予防接種を行った感染者への補償の有無は、実は当人がすべて決められることではありません。


いわば「自分が給付を受ける基準を満たしている」ということを証明し、国に補償してもらう必要があります。


その「基準を満たしている人」が誰なのか、国はその指針を明確にしています。


その対象者とは、

  1. 一次感染者:1941年7月2日から1988年1月27日の間に出生、予防接種が原因でウイルスに持続感染
  2. 二次感染者:1の子どもであり、母子感染または父子感染によりウイルスに持続感染
  3. 三次感染者:親が2に該当し、母子感染または父子感染によりウイルスに持続感染
この3ついずれかに当てはまる人が給付金の支給対象です。

すでに取り上げたように感染経路は母子感染が多く、当事者として予防接種によりウイルスに感染した人は孫の代まで感染している可能性があるため、このような条件となっています。

給付金の受取金額は?

補償金額に関しても国は指針を明確にしています。


次の表をご覧ください。

病態給付金額
死亡・肝がん・肝硬変3,600万円
20年の除斥期間が経過している
死亡・肝がん・肝硬変
900万円
肝硬変2,500万円
20年の除斥期間が経過している肝硬変
現在罹患している
600万円
20年の除斥期間が経過している肝硬変
「現在罹患している」以外
300万円
慢性B型肝炎1,250万円
20年の除斥期間が経過している慢性B型肝炎
現在罹患している
300万円
20年の除斥期間が経過している慢性B型肝炎
「現在罹患している」以外
150万円
無症候性キャリア600万円
20年の除斥期間が経過している無症候性キャリア
「特定無症候性持続感染者」に該当
50万円

※厚生労働省「B型肝炎訴訟について」から「支給金額」を参照


重要なのはこの「給付金」は対象者なら申し込めば受け取れるような簡単なものではない、という点です。


国に対して訴訟(国家賠償請求訴訟)を起こし和解によってお金を受け取るという、裁判における正規の手順を踏む必要があります。


この点に関して、確実に給付金を受け取りたい方は、信頼できる弁護士に相談することをおすすめします。

B型肝炎の予防方法について

ここでは

  • B型肝炎の予防接種ワクチンは保険適用されるのか
  • 日常でできる予防方法
について解説します。

B型肝炎の予防接種ワクチンは保険適用される?

集団予防接種により感染した親から子どもへの母子感染を防ぐために、「B型肝炎母子感染防止対策」が行われています。


これは、ウイルスに感染している母親から生まれた子どもに対してワクチン接種を行うことです。


正確にいえば、乳児が「HBs抗原」を保有しているかどうかを検査し保有乳児対象にワクチン接種を行います。


このような母子感染を防止する目的のために行われるワクチン接種は、保険が適用されます。


自主的に予防接種を受けたい場合は基本的に自費となりますが、各自治体による助成金制度を利用することが可能です。

日常生活で気を付ける事は?

B型肝炎は血液感染が主であるため、キャリアとの血液または体液をともなう接触を避けることが予防となります。


しかし以下のことはしっかりと気をつけましょう。

  • 不必要に他人の血液・体液に接触しない
  • 血が混じる可能性のあるカミソリや歯ブラシなどの日用品を他人と共有しない
  • 性交渉の際は事前に検査をし、可能な限り避妊具を用いる
  • 海外渡航者は、海外での感染にも注意して生活する


特に、パートナーがいる場合お互いに検査を行うことは、B型肝炎以外の性感染症を防ぐことにもつながります。

まとめ


今回はB型肝炎でも加入できる保険について様々な点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • B型肝炎はHBVウイルス感染が原因
  • 肝硬変や肝がんにつながる
  • 既往歴があっても引受基準緩和型保険や無選択型保険なら加入できる
  • 告知義務違反は絶対NG
  • 集団予防接種によりB型肝炎に感染した人は給付金対象となるが、国に対して訴訟を行う必要がある
  • 事前の検査やワクチン接種は、B型肝炎発症を予防するために効果的である

以上の点です。


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