最悪差し押さえされる場合も!国民健康保険へ未加入で抱えるリスクとは?

国民健康保険へ未加入の場合、医療費が全額自己負担になるというデメリット以外にも様々なリスクがあります。この記事では国民健康保険へ未加入の場合のリスク、未加入期間分の保険料を請求される場合の金額の計算方法や請求されない場合について説明しいています。

国民健康保険に未加入の場合どうなるのか


会社を辞めて社会保険を脱退したのに国民健康保険の加入の手続きを忘れてしまったということはありませんか?


国民健康保険への加入は国民の義務となっていますが自分で手続きをしないと加入することができません。


そういう訳で国民健康保険に未加入の人も多いようですが、未加入の場合どうなるのか気になりますよね?


そこでこの記事では

  • 国民健康保険へ未加入の場合のデメリット
  • 未加入でも請求されないケース
  • 延滞金の計算方法
  • 保険料が支払えない場合はどうするか?
  • 加入の手続き方法・必要書類

以上の点を詳しく解説します。


国民健康保険に未加入だとデメリットが多くあり、万が一の時には大きな経済的な負担がかかります。この記事を読んで頂ければ、未加入の場合はどうしたら良いか分かるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

国民健康保険へ未加入の場合のデメリット

日本では何らかの健康保険に加入することが義務付けられています。会社員は社会保険、公務員は共済保険などでそれ以外の場合は国民健康保険に加入することになっています。


社会保険や共済保険はお給料から天引きされるので自動的に加入することになりますが、国民健康保険は手続きをしないと加入できません


「手続きが面倒」「お金がかかるのは嫌」「病院にかかることはないから加入しなくてもいいのでは?」と考えて未加入の人も多いようです。


それでは、未加入の場合はどうなるのでしょうか?


ここでは国民健康保険未加入の場合のデメリット

  • 医療費全額自己負担
  • 保険料が過去2年分遡って請求される
  • 10万円以下の過料が科される

について詳しく解説します。

未加入期間に病院にかかった場合には医療費全額自己負担

国民健康保険の未加入期間に病院にかかったら医療費はどのようになるのでしょうか?


加入している場合は医療費の負担は3割です。


しかし、未加入期間に受診すると全額自己負担することになります


例えば医療費が10万円かかったとしても国保に入っていれば3万円の負担で済みますが、未加入だとかかった医療費10万円を支払うことになります。


また、医療費が多くかかった時に一定額以上の医療費が返還される高額療養費制度の制度も使えません。


階段から落ちて入院したり、腫瘍が見つかって手術をすることになったりした場合、数万円~数十万円以上を支払わなければいけないこともあります。

保険料は過去2年分まで遡って請求される

国民健康保険料には2年の時効があるため、保険料を支払っていない場合は2年分までさかのぼって請求されます。


なお、一部の地方自治体では国民健康保険「料」ではなく国民健康保険「税」を課しています。保険給付などの内容は同じですが、国民健康保険税の時効は5年と国民健康保険料より長くなっています。

名称時効
国民健康保険料2年
国民健康保険税5年

請求された保険料が高額になり支払うことが難しい時はそのまま放置せずに必ず役所に相談しましょう。


保険料の分割払いや減免などに応じてくれる可能性もあります。特に分割払いには応じてくれる自治体が多いので早めに手続きをしましょう。

市町村によっては10万円以下の過料、最悪は財産差し押さえの罰則も

国民健康保険への加入は国民の義務なので、加入の手続きを怠ると罰金を科されることもあります。


国民健康保険法に違反したとして10万円以下の過料が科されることがあります。場合によっては延滞金もさかのぼって請求されます。


また、納付書が送られているのに無視し続けると最悪、財産を差し押さえられることもあります。


なるべく早く支払いをすることが大切ですが、少なくとも差し押さえの告知書が届いたら支払いが難しい場合でもすぐに連絡しましょう。

国民年金の受給が出来ない場合もある

国民年金の加入は、国民健康保険と同じように国民の義務となっています。


国民健康保険と国民年金は別々の独立した制度ですが、加入するタイミングなどはとても良く似ています。


たとえば会社員が退職して厚生年金と社会保険を脱退した場合、国民健康保険と国民年金に加入しないといけません。


国民健康保険に未加入の人は同じように国民年金加入の手続きをしていないことが多いので注意が必要です


国民健康保険に未加入の人は国民年金に加入しているか確認をするといいでしょう。国民年金に加入していないと将来の年金はもちろんのこと障害年金も給付されません。

国民健康保険に未加入はばれない?未加入分の請求がない場合とは

国保に入ることはは法律で義務付けられているので、加入するかどうかを自分の事情に合わせて決めることはできません。


では、国民健康保険に未加入のケースで、ばれることはないのでしょうか?


以前は未加入でもばれないこともありましたが、マイナンバーの導入で未加入であることはすぐにわかるようになるでしょう


先ほど述べたように、未加入分の保険料をさかのぼって請求されるので必ず国民健康保険加入の手続きをしておきましょう。


しかし、中には未加入分の保険料が請求されないケースもあります。

  • 社会保険に加入・扶養に入る場合
  • 転居する場合

以上のような場合では、そのままにしておいて大丈夫です。

再就職等で新たに社会保険へ加入する場合や扶養に入る場合

社会保険に加入

国民健康保険の手続きをしないまま会社に勤めることになり社会保険に入ることもあります。


例えば、会社員として社保に加入していたが退職。国保に入ることないまま半年後に再就職し改めて社保に加入するといった場合です。


このような場合は、国保の未加入分の保険料を支払うことなく社会保険に加入することができます。


扶養に入る

同じように結婚などで扶養に入る場合も未加入分の支払いをする必要はありません。


これは、転職先の会社で手続きをする際や、扶養に入る際に国民健康保険の資格を確認されることはないためです。


国民健康保険を取り扱う各自治体と社会保険のつながりはないので基本的に国民健康保険の未加入の情報が再就職先の会社に行くことはありません。

引越し等で転居する場合

再就職などで社会保険に加入する場合や扶養に入る場合は国民健康保険の未加入分を請求されることがないことを説明してきました。


それ以外のケースとして引っ越しなどで転居する場合も支払いが必要なくなります


転出届を出して引っ越しをした場合引っ越し先の自治体で国民健康保険に加入することになります。


また、海外に移住する場合も支払いが必要なくなります。海外転居により国民健康保険を脱退することになり資格がなくなるためです。

国民健康保険へ未加入の場合には年末調整での保険料控除はなし

サラリーマンは年末になると年末調整をします。少し面倒ですが、メリットも大きいのでしっかりやっておきましょう。


社会保険に加入していると控除を受けることができ、払い過ぎた税金がある場合は返還されます。


サラリーマンは社会保険料が給料から天引きされるため確定申告をすれば保険料控除が受けられますが、国民健康保険の場合はどうでしょうか?


国民健康保険の対象者は年明けに前年度分の確定申告をすることが多いですが、未加入の場合は社会保険料控除の欄は空欄となり控除を受けることはできません


確定申告は通常通りすることができますが、国民健康保険の保険料を支払っていないため当然ながら保険料控除はないので覚えておきましょう。

国民健康保険の未加入分の延滞金はいくらか計算方法を紹介

どうしてもお金がなくて国民健康保険料を支払えないということもあるでしょう。


その時はすぐに役所に連絡しましょう。延滞金の納付は未納分の保険料を支払った後にしますが、定期的に役所と密に連絡を取っておくと免除されることもあります。


自治体により対応が違うので一概には言えませんが、誠実な対応を心がけましょう。


そして気になるのが延滞金の金額ですが、計算方法を知っていますか?


延滞金の利率は市町村ごとに異なります


お住まいの自治体に相談するのが一番ですが目安となる神奈川県平塚市の例を紹介しますので参考にしてください。

延滞金の計算例

国民健康保険の延滞金の利率は自治体ごとに異なりますが、ここでは神奈川県平塚市の例を見てみましょう。

延滞金は該当する年によって変わります。
該当する年納付期限の翌日から1か月までの延滞金年率1か月を過ぎた日から納付日までの年率
平成27~28年2.8%9.1%
平成29年2.7%9.0%
平成30年~令和2年2.6%8.9%
たとえば、平成29年に35000円を90日延滞した場合は最初の1か月は2.7%、2か月目以降は9.0%の延滞金がかかります。

1か月目

35000円×0.027×31日÷365日=80.2円
80円になります。(1円未満切り捨て)

2か月目以降

35000円×0.09×59日÷365日=509.1円
端数を切り捨てて509円。

合計

80円+509円=589円
100円未満の端数、89円を切り捨てて、延滞金額は500円となります。

どうしても保険料が払えない場合は窓口に相談しよう!

国民健康保険の加入は国民の義務なので、加入して所定の保険料を支払う必要があります。


そうは言ってもどうしても保険料が支払えないこともありますよね。そのような場合は放置せずに窓口で相談しましょう。


場合によっては分割での支払い、減免に応じてくれることがあります。


分割での支払い

保険料がすぐに払えないことを説明し分割での納付をお願いしてみましょう。

  • 収入が減ってしまった
  • 急な出費がかさんだ
  • 借金がある

など支払いができない理由をはっきりと説明すれば応じてくれることが多いです。


保険料の減免

生活が困窮して保険料を支払う余裕がないことが認定されると保険料が減免されることもあります。

  • 職を失ってしまった
  • 病気になってしまった
  • 収入が著しく少ない

などの理由があれば証明できる書類をもって相談に行きましょう。

国民健康保険の加入手続きは?加入に必要な物を紹介!

国民健康保険の加入手続き・必要な物について解説します。


手続きの流れ

  1. 役所の窓口で手続き
  2. 国民健康保険証の発行

自治体によって保険証の発行は手続き当日のことも後日郵送されることもあります。


基本的に本人が手続きしますが、委任状と代理人の本人確認書類があれば代理人でも手続き可能です。その場合保険証は後日、本人のもとに郵送されます。


加入に必要なもの

  • 世帯主と加入者のマイナンバー
  • 本人確認書類(マイナンバーカード・免許証など)


その他は加入理由により変わってきますが主なものは

  • 会社を辞めた場合:社会保険資格喪失証明書・離職票など
  • 扶養から外れた場合:社会保険資格喪失証明書など
  • 子供が生まれた時:母子手帳
  • 他の自治体から転入した時:転出証明書

などです。

国民健康保険へ未加入の場合どうなるのかまとめ

ここまで国民健康保険へ未加入の場合はどうなるかに関して解説してきましたがいかがでしたでしょうか?


この記事のポイントは

  • 未加入のデメリットは治療費全額負担・さかのぼっての請求・過料など
  • 未加入でも再就職時・扶養に入る・転居の際は請求されない
  • 確定申告では社会保険料を控除できない
  • 保険料が支払えない場合、分割納付や減免に応じてくれることもある
  • 国民健康保険に加入する際に必要なものは加入理由によって異なる

でした。


国民健康保険は国民の義務なので必ず加入しましょう。支払いが難しい時は役所に行くと相談に乗ってもらえます。


ほけんROOMでは他にもお金や保険に関して知っておきたい記事が数多く掲載されています。ぜひ、ご覧ください。

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