更新日:2021/11/22
がん保険は控除対象?生命保険の一種で「介護医療保険控除」に該当する!
がん保険は生命保険の仲間です。そしてその生命保険には、控除制度があります。この控除制度について知っていれば、不要な保険の見直しや必要以上の課税を避けられる可能性があります。がん保険に入ることで受けられる生命保険料控除の仕組みについて解説します。
内容をまとめると
- がん保険でも保険料は控除の対象となり、介護医療保険料に分類
- 所得控除の上限は4万円だが、4万円が支給されるわけではないことに注意
- 利用するには申告が必要で、会社員は年末調整、自営業者は確定申告時に行う
- 自身の保険の控除額などが知りたい方は、マネーキャリアで無料相談がおすすめ
- 今ならスマホひとつで無料保険相談が可能!難しい控除についても聞いてみましょう!
目次を使って気になるところから読みましょう!
がん保険の保険料は生命保険料の控除対象!
がん保険は生命保険料控除の対象です。
支払った金額に対して、税金が軽減されることになります。
被保険者ではなく、保険料を支払っている人が減税されることに注意しましょう。自身が保障を受けられるがん保険だったとしても、保険料の支払いを行っている人が別の人の場合、控除の対象とはなりません。
一方、自分の保険料だけでなく、家族など他の人の保険料を支払っている場合には、その分も控除の対象となります。
利用する際には申請が必要となりますが、会社員の場合には会社で行う年末調整で申請を行うことが可能です。
もし忘れてしまった場合や会社員では無い場合には、確定申告などで申請しましょう。
生命保険料控除は3つの区分がある!介護医療保険料控除とは?
生命保険料控除には3つの区分があります。
- 一般生命保険料控除
- 介護保険料控除
- 個人年金保険料控除
です。
それぞれに対象となる保険の種類が決っており、がん保険は介護医療保険料控除に分類されています。
同じ区分にどのような種類が入っているのか気になりますよね?他の区分も気になるところです。3つの区分それぞれで控除を利用できれば、さらに多くの税金が軽減されることに繋がります。
また、上限金額なども設定されているため、最大限活用するためにはそれぞれの上限なども知っておく必要があります。
対象の区分や上限額など、しっかりとチェックしておきましょう。
①一般生命保険料控除
一般生命保険料控除では、
- 定期保険
- 終身保険
- 養老保険
- 学資保険
などが対象となっています。
死亡や生存などが支払い条件となる種類が多く分類されています。現在の区分ではがん保険は入っていません。
契約内容によって対象か非対象かが決ります。
- 受取人:契約者・配偶者・その他親族
という条件をクリアすれば、控除の対象となるのです。家族以外の保険料を支払っている場合には対象外となることに注意しましょう。
がん保険が含まれないことはご紹介した通りですが、区分は2012年に変更されています。それ以前に契約したがん保険では一般生命保険料控除の区分となるため気をつけましょう。
②介護医療保険料控除
介護医療保険料控除の対象となるのは、
- 介護保険
- 医療保険
- がん保険
- 就業不能保険
などです。入院・通院が支払い理由となる保険が分類されています。
がん保険以外にもこれらの保険に加入している場合には、保険料を合算して控除の対象とすることができます。
対象となるためには、
- 受取人:契約者・配偶者・その他親族
の条件を満たす必要があります。
生命保険とは別枠で控除の上限が確保されています。複数の控除を受けることで上限額をしっかりと対象とすることができるようになるため、忘れずに申請するようにしましょう。
③個人年金保険料控除
個人年金保険料控除の対象は、
- 個人年金保険
のみです。
他の2つの控除とは違い、厳しく条件が設定されている事が特徴です。
- 受取人:本人または配偶者・被保険者と同一
- 保険料支払い期間:10年以上
- 受取年齢・期間:60歳以上・10年以上
- 個人年金保険料税制適格特約の付帯
など、細かく条件が決まっているため、この控除を活用したい場合には保障内容などに最新の注意を払う必要があります。条件に当てはまらない場合は一般生命保険料控除が対象となります。
また、契約途中でこれらの条件に関わるような変更を行うことはできません。
条件に当てはめることができれば別枠での控除が活用できるため、上限額を大きく上げることができます。
がん保険の控除で気をつけるべき3つのポイントを紹介
保険料分の税金が安くなるなら、がん保険にはタダで加入できることになるのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、タダになるような仕組みではないことをしっかり理解しておきましょう。
その他にも気をつけたいポイントがいくつかあります。以下では、
- 控除の上限額
- 控除の方法
- 課税額と課税対象額の違い
について解説していきます。
保険料控除の仕組みなどを理解しておかないと、思っていたのと違う、とがん保険に加入したこと自体を後悔してしまう可能性もあります。しっかりと仕組みについて確認しておきましょう。
①控除額の上限は4万円
控除の対象となる金額には限度が設定されていることに注意しましょう。保険料が多い方はその分の節税効果を期待してしまうかもしれませが上限があります。
区分ごとに4万円までとなっています。
意外と少なく感じるかもしれませんが、保険料がまるまる対象になるわけではないため、限度いっぱいまで利用することを考えている場合の支払い金額はかなり高額です。
上限と同時に計算式なども確認していきましょう。
所得税
年間払込保険料 | 控除額 |
---|---|
2万円以下 | 全額 |
~4万円以下 | 保険料1/2+1万円 |
~8万円以下 | 保険料1/4+2万円 |
8万円超 | 4万円 |
年間払込保険料 | 控除額 |
---|---|
1.2万円以下 | 全額 |
~3.2万円以下 | 保険料1/2+6,000円 |
~5.6万円以下 | 保険料1/4+1.4万円 |
5.6万円超 | 2.8万円 |
- 所得税:12万円
- 住民税:7万円
②上限4万円が支給されるわけではない
次に理解しておきたいことは、上限である4万円が支給されるわけではないということです。
4万円の控除が受けられると聞くと、4万円が支給されると勘違いをしてしまう方も多いと思います。
対象額分課税対象額が減る、ということなのです。
仮に上限の4万円で所得税の控除がされた場合、軽減される税金は所得税の税率が10%の場合には4,000円ということになるのです。
思っていたよりも節税の効果が低いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。4万円が支給されることを考えていた場合には、かなりわずかな節税効果と感じてしまいますよね。
住民税は一律10%となるため、2,800円が軽減されます。合計してもそこまで多い金額ではありません。
所得税の税率は家族構成や収入によって違いがあります。税率が高いほど軽減額は大きくなるということになります。
対象となる金額が支給されるという仕組みではないことを覚えておきましょう。
③課税額と課税対象額は違う
課税額と課税対象額は違うということも大きなポイントとなります。
控除と聞くと、課税額が丸々減ることを想像する方も多いと思います。給料などにかかる税金が保険料分減るのであれば、税金がかなり少なくなり、収入が増えると考えてしまいますよね?
しかし、保険料控除で減るのは課税対象額です。所得税などのかかる元の金額が少し減ると言うことです。
課税対象額がもともと200万円で、所得税の保険料控除が12万円だった場合を考えてみましょう。税率は10%・控除額は97,500円とします。
- 保険料控除無し:102,500円
- 保険料控除あり:90,500円
となります。課税対象額は12万円減るためかなりの節税効果を期待してしまいますが、実際の課税額での減少は12,000円に留まります。
税額を計算シミュレーション!生命保険料控除が加わるとどうなる?
保険料控除を活用することで、どれくらいの節税効果があるのかはある程度理解できたかと思います。
上限が4万円となっていますが、この金額が支給されるわけではないことがわかり、ガッカリしている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、3区分を上手く活用することで、大きな節税効果が生まれると言えます。
以下の保険料の支払いがあった場合に、どれくらい減額となるのか計算してみましょう。
- 一般生命保険料:6万円
- 介護医療保険料:4万円
- 個人年金保険料:8万円
この場合の税額をシミュレーションしてみましょう。まずはそれぞれの控除額を計算します。
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
一般生命保険料 | 3.5万円 | 2.8万円 |
介護医療保険料 | 3万円 | 2.1万円 |
個人年金保険料 | 4万円 | 2.8万円 |
合計 | 10.5万円 | 7万円 |
合計は所得税はそのままの合計10.5万円、住民税は合計上限を超えてしまったため上限の7万円となります。
それぞれ税率が10%だった場合の軽減される税金を計算すると、
- 所得税:10,500円
- 所得税:7,000円
となります。合計で17,500円分税金の支払いが少なくなるのです。
がん保険の保険料控除の申告方法を解説
がん保険で控除を受ける場合には、自身で申告しなくてはいけません。この申告を忘れてしまうと、せっかく税金が安くなる制度も利用することができません。
どの様に申告を行っておくのか知っておく必要があります。
方法は、
- 会社員
- 自営業
それぞれで違っています。申告方法についてそれぞれの条件で解説していきたいと思います。
会社員は会社が必要書類を用意してくれる
会社員の場合には、どこかに出向いて書類を提出する必要などはありません。会社で行う年末調整時に同時に行うことができます。
会社で行う手続きになるため、必要書類は会社が用意してくれます。
申告方法は以下のようになります。
- 保険料控除申請書を記入する
- 保険料控除証明書を添付する
- 2つを会社に提出する
会社が処理を行ってくれるため、控除の申請は簡単に行うことができます。
ただし、保険料を記入する必要があるため、記入時には年間の保険料が分かるものが無いと手間取ってしまいます。保険料控除証明書を記入時にも準備しておくことで、スムーズに記入することが可能です。
申請書には
- 保険会社名
- 保険の名称
- 契約者名
- 受取人名と続柄
- 新旧の区分
- 保険料額
などを記入します。
もし添付書類をなくしてしまった場合には、保険会社に連絡することで再発行が可能です。間に合わない場合には確定申告での手続きが必要になります。
自営業者は確定申告によって行う
自営業者の場合、確定申告時に同時に申告することになります。
また、会社員であっても、
- 収入が2,000万円超
- 副収入20万円超
- 2ヶ所以上から給与をもらっている
- 年末調整に間に合わなかった
場合などには確定申告が必要になります。
確定申告には専用の書類が必要となりますが、税務署で貰ってくるほか、国税庁の確定申告書のサイトでダウンロードすることができます。
書類が入手出来たら、年末調整と同様にそれぞれの控除区分ごとに保険料などを記入していきます。
どちらの場合も控除対象額を計算する必要がありますが、分かりにくい方は生命保険料控除申告サポートツールなどを利用して計算することをおすすめします。
書類の記入が終わったら、保険料控除証明書などの必要書類と共に税務署に提出します。期間は2月16日から3月15日が基本です。忘れずに申告しましょう。
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