【徹底解説】人間ドックは医療費控除の対象になる?対象となる条件とは

人間ドックの費用は、医療費控除の対象になる場合がある?人間ドックの費用は、条件によっては医療費控除の対象となります。また、医療費控除の申請方法についても注意点があるようです。この記事では、その条件や注意点を解説していきます。

人間ドックは基本的に医療費控除の医療費の区分に入らない

健康管理も仕事のうちですし、要職についている人は業務上の影響が大きいので、きちんと健康診断を受けるのは当然のことです。


人間ドックは一般的な健康診断より検査項目が多く、より専門的な検査を受けられますが自己負担で受けなければなりません。


とはいえ、人間ドックの費用は決して安いとはいえず、医療費控除の対象にもならないので、受けてみたいと考えていても躊躇する人も少なくないと思います。


実は、人間ドックを受けた結果、重大な病気が見つかり、その後に治療を受けた場合には、医療費控除の対象になることを知らない人が多いようです。


そこでこの記事では「人間ドックの医療費控除」について、

  • 人間ドックが医療費控除の対象になるための条件
  • 受けておくべき検査内容と検査費用
  • 人間ドックを医療費控除するための方法

という3つの観点で解説します。


この記事を読むことで、人間ドックの費用を医療費控除するための基礎知識を得ることに役立つと思います。ぜひ最後までお読み下さい。

人間ドックで重大な疾病が見つかると、医療費控除の対象になる!


原則的には、自己負担で人間ドックを受けた費用は医療費控除の対象とはなりません。


ですが、人間ドックを受けたことで重大な疾病が発見され、必要な治療を始めた場合は例外です。

それは、「所得税基本通達7-34」に明記されています。


所得税基本通達7-34(健康診断及び美容整形手術のための費用)

  • いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、または容貌を変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする。

つまり、人間ドックでの検査が疾病治療に先立って必要な診察とみなされ、医療費控除の対象となるのです。(セルフメディケーション税制とどちらかしか用いることはできないが)

人間ドックが医療費控除の対象となる重大な疾病とは何か

人間ドックの費用は高額なので、医療費控除できると家計が助かります。


そこで、人間ドッグの費用が医療費控除される可能性がある、重大な疾病についてまとめておきます。

  • がん全般
  • 心疾患
  • 脳血管障害
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病

など、すでに発症しているものから、将来の病気リスクをあげてしまう生活習慣病まで含まれています。


ですが、生活習慣病を重大な疾病と認めるか否かの判断基準は曖昧なので、確定申告する際に人間ドックの費用が医療費控除として認められるかどうかは、税務署に確認しておく方が安心です。


また、人間ドックの検査結果の判定は

  • A 今のところ異常なし
  • B 日常生活に差し支えなし
  • C 要注意
  • D 要治療・通院
  • E 引き続き要治療・通院
  • F 要再検査
  • G 要精密検査
  • H 要経過観察

の8段階あります。


人間ドックの費用が医療費控除の対象になる可能性が高いのは、「D 要治療・通院」「F 要再検査」「G 要精密検査」です。


ただし再検査の結果、治療の必要がないと診断されると、人間ドックの費用は医療費控除の対象外となることも覚えておきましょう。

ピロリ菌が見つかったりメタボと診断されたら医療費控除になるか

人間ドックを受けた際に、ピロリ菌を保有していたり、メタボリックシンドロームだと診断される人は少なくありません。そうしたケースも医療費控除できるのか、気になる人もいることでしょう。


結論としては、ピロリ菌が発見されただけでは、人間ドックの費用が医療費控除されることはありません。というのも、ピロリ菌の保有者ががんを発症して死亡に至る確率や関係性が不明確だからです。


しかしメタボリックシンドロームの場合は、それが健診であっても医療費控除の対象となります。それは、「高血圧症」「脂質異常症」「糖尿病」などの疾病と、メタボリックシンドロームの関連が証明されているからです。


大腸ポリープが見つかり治療した場合なども、医療費控除の対象となります。

重大な疾病を発見する人間ドックの検査内容と検査費用

人間ドックの中で最も一般的なのは、日帰りの全身ドックです。


そこに含まれる検査は、

  • 基本検査
  • 血液検査
  • 胸部X線
  • 腹部超音波
  • 胃カメラ

です。


これらの検査を半日で受けた場合、3~6万円の費用がかかります。


もっと詳しい健康状態を知りたいなら、オプション項目を加える必要があり、1泊2日の人間ドックを受けることになります。


検査内容と費用は加えるオプションによって異なりますが、1回の人間ドックで最低でも10万円以上かかるのが普通です。


オプション検査とそれによってわかることは、

  • MRI・MRA/さまざまな臓器のがん発症の有無
  • 乳腺・前立腺エコー/乳がんまたは前立腺がん発症の有無
  • PET・CT検査/各種がんや脳梗塞発症の有無

です。


かける費用によって、検査内容が変わりますので、申し込む前にきちんと項目を確認することをおすすめします。

人間ドックの検査費用は4万円前後になる

日帰り人間ドックの費用は、半日で4万円前後が一般的です。


それが1日コースになると7~8万円、1泊2日コースだと10~12万円が目安です。


基本的に人間ドックは自己負担になりますが、加入している健康保険組合によっては補助が受けられることもあります。


その際には、指定された医療機関で人間ドックを受ける必要があるので、注意しましょう。

人間ドックの医療費控除は確定申告で行う!


人間ドックは、自分の健康状態を知るために受けるものなので、医療費控除の対象外です。


しかし、人間ドックで重大な疾病が見つかりその後に治療を始めると、医療費控除の対象となります。


ただし、人間ドックの医療費控除を受けるためには、会社員であっても確定申告をしなければならなりません。

医療費控除の対象となれば人間ドック代金も確定申告書に記載する

これまでも述べてきましたが、人間ドックの費用が医療費控除の対象となるのは、検査によって重大な疾病が見つかり、その後に治療を始めた場合に限ります。


この条件にあてはまれば、通院・入院・手術などにかかった費用も含めて医療控除として、確定申できます。


人間ドックでかかった検査費用も、確定申告書に記載しましょう。


その際注意してほしいのが、医療費控除は生計を同一にする家族も医療費控除の範囲であることです。


毎年1月から12月までにかかった、自分と家族にかかった医療費等の実質負担額が10万円を超えると、確定申告の対象となります。


また、所得金額が200万円未満の人は、所得金額の5%の実質負担があれば、確定申告が可能です。


医療費控除の上限は200万円となっていますので、節税のためにもきちんと確定申告しましょう。


ただし、医療費が保険金どで補填される場合には、その金額を差し引く必要があります。


補填とみなされる内容を具体的に紹介すると、

  • 健康保険から支給される出産育児一時金や配偶者出産一時金
  • 健康保険から支給される高額療養費
  • 補填を目的に支払われた損害倍書金など
  • 生命保険会社から支払われた傷害費用保険金や医療保険金、入院給付金
  • 医療費の補填を目的に支払われた給付金

などです。

医療期間から受け取った領収書を明細書に記載しよう

確定申告して、医療費控除を受けるためには、それを証明するための資料が必要です。医療機関から受け取った領収証はすべて保管し、明細書に記載しましょう。


医療費控除の対象となるのは、ケガや病気の治療を目的とする通院・入院・検査です。


具体的には

  • 医療機関胃支払った診察費と治療費
  • 治療のうえで必要だと医師が判断して作成した診断書代
  • 医師から指示された差額ベッド代
  • 治療目的の鍼・灸・マッサージ
  • 治療目的の松葉杖や義足の購入日
  • 特定健康検査
  • 特定保健指導
  • 入院時の食事代
  • 通院や入院のための交通費
  • 公共交通機関での移動が困難な状態の時のタクシー代
  • レーシック手術の費用
  • 医師が治療のために必要と判断した近視矯正手術やメガネ・コンタクトレンズの費用
  • 妊娠中の定期健診
  • 出産費用
  • 助産師の分娩介助除料
  • 流産した場合の入院・手術・通院の費用
  • 母体保護法に基づいた理湯で妊娠中絶した場合の手術費
  • 虫歯の治療費
  • 金歯や銀歯、入れ歯の費用
  • 治療目的の歯列矯正
  • 医師の処方箋により薬局で購入した医薬品の費用
  • ケガや病気の治療のために診察を受けずに購入した医薬品の費用

などです。


必ず領収書をもらい、ノートに添付するなどして管理しましょう。

給与取得者は年末調整から申告できないことに要注意!

会社員は毎年、年末調整を行います。ただし医療費控除の手続きは年末調整ではできません。


そのため、翌年に確定申告に行く必要があります。


忘れてしまうと、高額の人間ドック費を自己負担したままになるので注意しましょう。

参考:健康診断、がん検診、乳がん検診、妊婦検診も医療費控除の対象になる場合がある


病気の予防や健康増進が目的の健康診断やがん検診、乳がん検診は、基本的には医療費控除の対象とはなりません。


ですが、人間ドックと同じように、健康診断やがん検診で異常が見つかり、再検査で疾病が確定し、治療に入った場合には医療費控除の対象になります。


また、妊婦健診は自己負担とされていますが、妊娠や出産に関する医療費の中でも治療のためにかかった費用は医療費控除の対象となります。


具合的には

  • 不妊治療の費用
  • 人工授精の費用
  • 通院のためにかかった公共交通機関の交通費
  • 妊婦の定期検診費
  • 妊娠悪阻や切迫流産・切迫早産の際の入院費
  • 分娩費(帝王切開を含む)
  • 入院費(食事代も含む)
  • 新生児の入院費
  • 産後1カ月健診の費用
  • 乳腺炎の治療目的の母乳マッサージ費

などです。


しっかりチェックして、医療費控除を受けましょう。

まとめ

今回は、人間ドックは医療費控除の対象となる条件について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは

  • 人間ドックの費用は基本的には医療費控除の対象ではない
  • ただし、人間ドックで重大な疾病が発見され治療した場合は医療費控除の対象となる
  • 医療費控除を受けるためには確定申告が必要

です。


健康を守るためとはいえ、人間ドックを受ける際には高額な自己負担金が発生します。


そのうえ、病気が見つかって治療を始めるとなると、その出費は少ないものではありません。


人間ドックで重大な疾病が発見されれば、治療のための診断と見なされて医療費控除の対象となりますので、還付金の受給や節税のためにも、きちんと確定申告することをおすすめします。


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