学資保険がなくなるって本当?子どもの教育費の貯蓄手段の危機を解説

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学資保険は子どもの将来の教育資金を堅実に積み立てるものですが、今はそれがなくなる状況にあります。どうしてなくなるのか、またその仕組みはどうなっているのかについて確認することで学資保険との向き合い方と対処方法について確認しておきましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

学資保険の売り止めとは?学資保険がなくなってしまう?

近年、売り止め(販売停止)となっている学資保険があることをご存知でしょうか。

もちろんすべての学資保険の販売が停止されているわけではありませんが、運用の継続が厳しいと判断された学資保険や一部のプランなどが、売り止め(販売停止)となっているのです。


保険料などの改定後に販売を再開している学資保険やプランもありますが、なかには「販売の再開の見込みが立たない=学資保険がなくなる」ものもあるようです。


学資保険がなくなるということは、将来の教育資金の準備への手立てがなくなるということでもあり、加入を検討している人だけでなく、すでに加入している人としても心穏やかではない状況となってくるわけなのです。


そんな不安を打開すべく、学資保険がなくなると言われている状況・原因・対策についてわかりやすく解説していきます。

学資保険がなくなる原因とは

2016年1月、日本銀行は「マイナス金利政策」を打ち出しました。


この対策によって「マイナス金利政策」のメリットである「ローンの金利引き下げ」が起こり、住宅ローンや自動車ローンなど融資を利用する人が増えます。


その結果として多くの業界が活性化し、景気の回復へとつながって行くことが想定されます。


しかし残念なことに「マイナス金利政策」は、学資保険にとっては大きな痛手となってしまい、「学資保険がなくなる」原因となってしまうのです。

学資保険の売り止めにつながるマイナス金利政策とは


民間の金融機関は日本銀行に対して口座を持ち、多額のお金を預けています。


その預金の金利を意図的にマイナスにすることをマイナス金利といい、預貯金の額に対して、決められた利率の利息を民間の金融機関側が支払うことになります。


長い間、景気が悪く「物価が上がらない=デフレ」状態の場合、会社などの売り上げも伸びず給料も上がらないという『負のスパイラル』が続きます。


この状況を打開し景気を向上させることを目的として、日本銀行はマイナス金利政策を採用したのです。

マイナス金利と学資保険の関わり

標準利率

標準利率とは、金融庁が保険会社に対して設定している運用利回りのことをいいます。国債の利回りをもとにして決められるため、経済の状況に応じて変化します。


マイナス金利政策後、それまで1.50%だった標準利率は2017年3月に1.00%になり、4月1日には0.25%に…とその推移は低下の一途をたどっています。


予定利率

保険会社が保険料を決定する際に重要視される基礎率のひとつであり、金融庁が定めた標準金利をもとに、保険会社の状況や運用予測を踏まえたうえで決定されます。


一般的に予定利率が高ければ保険料は安くなり、予定利率が低ければ保険料は高くなります。つまり学資保険は、マイナス金利の影響をほぼストレートに受けるということになるのです。

マイナス金利政策の目的とは

マイナス金利政策は、一般の民間の銀行に預けている預貯金に対して適用されるのではなく、日本銀行にある民間の金融機関の口座に対して行われる対策です。


マイナス金利政策によって、民間の金融機関は日本銀行にお金を預けるよりも融資として活用することを選択しますので、

  • メリット…多くの人に融資を利用してもらうために金利を下げる
  • デメリット…金融機関ごとに定めている預貯金の金利が下がる

などの結果をもたらすことになります。


日本銀行に民間の金融機関からの多額のお金が留まったままでは、融資の流れや経済の動きが鈍くなってしまうため、景気が悪くなってしまいます。


この逆である融資や物流、そして経済の活性化から景気回復につながることを目的として選択されたのが、マイナス金利政策だったのです。

マイナス金利が学資保険に与える影響とは

日本全体の景気回復を見込んで採用した「マイナス金利政策」ですが、学資保険にとっては、マイナスと言うよりもむしろ大きなダメージを与える結果となってしまったようです。


実際に、マイナス金利の余波は

  1. マイナス金利になる
  2. 金融庁によって標準利率が下がる
  3. 標準利率を元に保険会社が予定利率を下げる
  4. 保険料が上がる
  5. 返戻率が下がる

という流れで影響を及ぼしていきます。


標準利率が低くなることで予定利率も低くなり、その結果保険料が上がることになってしまうので当然、返戻率は下がるという結果を招きます。


学資保険の魅力のひとつでもある「貯蓄性の高さ」が大きな打撃を受けたことで、「保険商品として成り立たなない学資保険やプラン」が出てきてしまったのです。

元本割れする学資保険が出てきた

マイナス金利による標準利率の改定に伴って、2017年4月の時点で多くの保険会社が保険料値上げを行いました。


しかし、予定利率は逆に低くなっていますので、保険料の支払総額に対して、受け取る満期保険金の額の割合が下がることになります。


現在、返戻率は以前よりかなり低くなっており、契約時の条件次第では満期までしっかり保険料を支払ったとしても、元本割れとなってしまう学資保険やプランもあります。


保険料改定による返戻率の低下だけであれば、学資保険のメリットでもある「払込免除」に重きを置いて加入することも選択肢のひとつになります。


しかし残念なことにさらなる影響が学資保険を襲い、まさに「学資保険がなくなる」ともいわれる、学資保険に加入できない状況が起きているのです。

売り止め(販売停止)になる学資保険も…。

そもそも加入時の契約で予定利率が高めに設定されている場合、保険料の変更は不可能となっています。


そのため以前の予定利率と実際の利率との差が生じ、プールしている資金では新規加入者の満期保険金を用意することが厳しい状態になってしまいます。


つまり保険料を高額にしない限り、このままでは学資保険の仕組み自体が成り立たないことになるのです。


もともと高い返戻率を売りにしていた学資保険としては、今後、新規加入者を受け付けない、いわゆる「売り止め(販売停止)」を余儀なくされることになったのです。


その後、改定を加えて販売を再開した学資保険もありますが、マイナス金利政策の長期化やそれに伴う更なる見直し、新たな売り止め(販売停止)なども含めて今後の予測が難しい状況でもあるのです。

自分の加入している学資保険がなくなるとどうなる?

学資保険も含めて、保険商品は【加入時の条件のまま】満期まで保障内容が継続します。

学資保険が途中で売り止め(販売停止)になった場合でも、これは変わることはなく、今後も同じ保険料を納め、予定通りの金額の満期保険金を定められた期間に受け取ることができます。

金利の影響で返戻率が下がる、あるいは保険料がいきなり高くなるというような契約者にとっての不利益は起こらないのです。

途中解約はNG!

加入している学資保険が売り止め(販売停止)になったらといって、慌てて途中解約をすることは、決しておすすめできません。


実は、現行の学資保険よりも「返戻率が高い」、「保険料の安い」学資保険に入っていることはかなりお得なことだということをしっかり覚えておきましょう。

なくなる可能性がある学資保険以外の選択肢を紹介

今後なくなってしまうかもしれない…と心配される学資保険の代わりにどんな方法で教育資金を準備したらよいのでしょう。


学資保険に代わる選択肢として、その貯蓄性の高さが注目されているドル建て保険があります。


ドル建て保険とは、ドルで保険料を支払い、満期保険金・解約返戻金などもドルで受け取る保険です。


そのメリットとしては

  • 円よりも金利が高いため貯蓄性が高い
  • 予定利率が高いので、保険料が安くなる

などがあげられます。一方デメリットとしては

  • 円と外貨を両替する時に手数料がかかる

と言われています。


ドル建て保険は「為替の変動」の影響を受けるため、その結果は時によってはプラスにもマイナスにもなり得る一面を持ち合わせていますので、その分を納得したうえでの活用が望ましいと言えるでしょう。

まとめ:学資保険以外の他の選択肢も検討すべし


予定利率の変更や保険料改定などの小さな変更を含めると、保険商品は頻繁に検討され内容の変更がなされています。さらに商品をより良い状態で継続販売できるように工夫されています。

学資保険がなくなる危険性があるので、その他の方法で学資保険を貯めたいという方は「学資保険vsドル建て保険」の記事で学資保険の代わりになる商品を紹介しているので確認ください。

今後さらに、学資保険の保険料が高くなることも考えらることですし、元本割れや売り止め(販売停止)などの状況を知ってしまうと、学資保険の加入の必要性について疑問を持ってもおかしくはありません。

先を読むのが厳しい今だからこそ、保険の無料相談などを利用して豊富な専門知識を持つFPとライフプランの話をしてみる…というのもおすすめの方法です。


子どもの誕生を意識するようになった時が、将来のライフプランの設計を始めるタイミング…家庭のライフスタイルに合った「ベストな教育資金の貯蓄方法』を賢く選択しましょう。

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