学資保険の契約者は妻の方がメリット大?契約者と受取人は違う方がいい?

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学資保険の契約者を夫婦で迷った場合、妻名義の方がメリットが大きいのです。今回は学資保険の契約者を父親ではなく母親にするメリットや、名義変更の方法、契約者と受取人の関係を解説。祖父母が孫のために学資保険の契約者になる場合も紹介します。学資保険で子どもの教育資金を確保すると同時に死亡保障としても活用しましょう。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

学資保険の契約者は夫婦のどちらにするのが良い?


全て公立で約1,000万円、全て私立だと約2,300万円かかると言われている子どもの教育資金。その準備のため、学資保険に加入される方は多くいます。

しかし、学資保険加入時に、妻と夫どちらの名義で契約するか夫婦で迷われている方も多いのではないでしょうか?

実は、学資保険の契約者は父親よりも母親がなったほうがメリットが大きい場合が多いのです。

この記事のポイントは、
  • 学資保険の契約者は夫と妻のどちらの方がいいか
  • 契約者を妻にすべき場合の具体例
  • 学資保険の契約者の死亡保障
  • 受取人と契約者の税金の問題
  • 学資保険契約後、母親や妻名義に変更するための名義変更手続き
  • 祖父母が孫のために学資保険の契約者になる場合
です。

この記事を読めば、学資保険の契約者や受取人設定の方法が分かります。学資保険の契約者選びで迷っている方はぜひ最後までご覧ください。

学資保険の契約者は妻名義の方がメリットが大きい!


学資保険を検討する際、契約者を夫婦のどちらにしようか、迷ってる方も多いでしょう。


夫(父親)の方が収入が多いからといった理由で、学資保険の契約者を夫(父親)にしている場合が多いかと思いますが、学資保険の契約者は妻(母親)にした方がメリットが大きい場合が多いのです。


学資保険の契約者を妻名義にするメリットとは、どのようなことなのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

妻を学資保険の契約者にした方が保険料が安く、返戻率も高い

学資保険を契約する際、契約を妻名義にするメリットは、保険料が安く、返戻率も高くなることが挙げられます。


生命保険の保険料は一般的に男性の方が高く、女性の方が安くなっています。女性の方が保険料が安くなる理由はなぜでしょうか。


生命保険は死亡保障のついた保険です。その保険料は平均寿命に基づいて計算されます。


日本経済新聞によると、2018年の日本人の平均寿命は男性が81.25歳、女性が87.32歳となっていますから、男性と女性では6年近く差があることが分かります。


つまり、生命保険では男性の方が早く死亡するリスクが高いため保険料が高くなり、女性は長生きする可能性が高いため保険料が安くなっているのです。


学資保険も死亡保障のついた保険ですから、一般の生命保険と同じように、女性の方が保険料が安くなっています。


保険料が安い、ということは保険会社にとっても死亡保障のリスクが少ないことになりますから、その分返戻率も上がるというわけです。

学資保険の契約者を妻にすべき場合の具体例3つ


妻を学資保険の契約者にすると、保険料が安くなり、返戻率も高くなるとお話しました。

契約者を妻(母親)にするということは、保険料の支払いも妻(母親)がしていくことになります。

つまり、学資保険の保険料の口座名義も妻名義に変更することになります

学資保険の保険料は契約者の口座から引き落とされるため、口座名義が違うと引き落としできないので注意が必要です。

妻(母親)が専業主婦やパートタイムで働く場合、保険料を支払い続けるのは難しい場合もあります。

では、どのような場合に妻(母親)が契約者となるべきなのでしょうか。

学資保険の契約者を妻にした方がよい場合を、下記の通り具体的に見ていきましょう。

  • 妻の方が収入が多い場合
  • 夫の健康状態が良くない場合
  • 妻の年齢の方がとても若い場合

妻の方が収入が多い場合

まず、学資保険の契約者を妻にすべき場合は、妻の収入が多い場合です。

平成30年度の国税庁の民間給与実態統計によると、男性の平均収入が545万円、女性の平均収入が293万円となっており、男性の収入が女性の収入より高いとされるのが一般的です。

しかし、給与所得者全体を見てみると、女性でも年収600万円以上を超えている女性が6%程いることが分かります。女性でも、男性並みに安定した収入を得ている方もいるのです。

専業主婦家庭も少なくなり、共働き家庭も増えてきていますので、今後、女性の年収が上がって行くことも予想されます。

女性が働き続け、年収も上がれば、妻(母親)が子どもの保険の支払いしていくことは容易になるでしょう。

妻(母親)の収入が夫と同等か、それより多い場合、学資保険は妻名義で契約することがおすすめです。

夫の健康状態が良くない場合


また、夫(父親)の健康状態がよくない、病気をしていたり、持病がある場合も、契約者を妻名義にするべきです。


学資保険の契約をする時、健康状態を告知する義務がありますが、夫の健康状態が悪かったり、持病があったりする場合、学資保険の審査に通るのが難しくなるでしょう。


中には、告知項目が少ない、または告知が必要ない学資保険もありますが、保険料が高くなったり、返戻率が悪くなったりと、デメリットが多くあまりおすすめできません。


夫(父親)が病気だったり、持病がある場合は、妻(母親)を学資保険の契約者にして、通常の返戻率の高い学資保険を検討する方がメリットが大きいでしょう。

妻の年齢の方がとても若い場合

また、妻(母親)の年齢が非常に若い場合も、学資保険の契約者は妻(母親)にするべきです。

男性と女性が同じ年齢で学資保険に加入した場合、保険料は女性の方が安くなると説明しましたが、夫婦に年齢の差があり、妻(母親)の方が若い場合、その差はさらに大きくなります

もう一度、A生命の学資保険でシュミレーションしてみましょう。

契約者が夫30歳、妻20歳で比較すると、以下のような試算になります。
  • A生命の学資保険(無配当)Ⅲ型
  • 契約者:30歳
  • 被保険者(子ども):0歳男性
  • 受取学資金総額:300万円
  • 支払期間:10年

年齢30歳妻年齢20歳
月額保険料23,310円23,244円
支払保険料総額2,797,200円2,789,280円
受取総額3,000,000円3,000,000円
返戻率107.2%107.5%
支払保険料総額では7,920円、返戻率では0.3%程、妻の方がおトクになりました。

このように、妻(母親)の年齢が若ければ若いほど、保険料は安くなり、返戻率も高くなります。

若い女性は、病気にかかるリスクや死亡するリスクが少なく、健康で長生きすると判断されるため、このように保険料は安くなり返戻率も高くなります。

ですから、妻(母親)の年齢が若いなら、妻(母親)を契約者にした方が、保険料や返戻率の面でおトクになる、ということです。

学資保険の契約者の死亡保障について


学資保険の契約者を妻名義にしておくメリットは、保険料や返戻率のためだけではありません。


学資保険は生命保険の一種ですから、ほとんどの学資保険には死亡保障が付帯しています。


死亡保障は夫(父親)にかけることが一般的ですが、妻(母親)に死亡保障をかけておくことも大切です。


学資保険の契約者を妻名義にしておくことのメリットについて、以下のようにみていきましょう。

  • 忘れがちな母親への死亡保障を学資保険でかける
  • 離婚した時の変更を考え、学資保険の契約者を選んでおく

忘れがちな母親への死亡保障を学資保険でかける

学資保険の契約者を妻名義にしておくことのメリットの一つは、忘れがちな妻(母親)へ死亡保障を補うことにあります。

家計の経済的基盤は夫(父親)が担っていることが多く、学資保険の契約者は夫(父親)であることが一般的です。

ですから、学資保険の契約者が夫(父親)の場合、夫(父親)に死亡保障がかけられているということです。

一方で、妻(母親)は保険に加入せず、死亡保障がかけられていないことがあります。

特に専業主婦であったり、パートタイムで働く妻(母親)には、生命保険に加入していない限り、死亡保障はかけられていません。

収入が多い夫(父親)に死亡保障をつけておくことは合理的ですが、妻(母親)に保障が必要ないわけではありません


一般的に女性の方が病気になりにくく、死亡率が低いからといって、突然亡くなったり病気にかからない、という絶対的な補償はありません。


死亡保障は、夫婦どちらにも必要になるものですから、学資保険の契約者を妻名義にしておいて、その死亡保障を妻(母親)のために使うこともできます。


妻(母親)が専業主婦やパートタイムで働いていても、死亡保障を妻(母親)のために使うというメリットはあるといえるでしょう。

離婚した時の変更を考え、学資保険の契約者を選んでおく

学資保険の契約者を妻名義にしておくことで、もう一つメリットがあります。

そのメリットとは、妻(母親)が学資保険の契約者になっておくことで、離婚の時にトラブルになりにくいことが挙げられます。

学資保険の契約者とは、保険を契約しその保険料を支払う人で、学資保険の受取人とは、その満期金の受け取りをする人です。被保険者子どもで、その子どもの教育資金をサポートしていくのが学資保険です。

学資保険に加入する際、一般的に収入が多い夫(父親)が契約者と受取人を兼ねるケースが多いですが、万が一夫婦が離婚することになった場合、その満期金を巡ってトラブルになりかねません。

夫婦が離婚し、妻(母親)が子どもの親権を取ったとしても、自動的に妻(母親)が学資保険の満期金を受け取りできるわけではありません。

夫婦のどちらが親権を取っても、学資保険の満期金は受取人に渡る仕組みになっています。

契約者も受取人も夫(父親)で学資保険に加入してしまうと、離婚時にトラブルを生む原因となります。

今は離婚する考えはなくても、将来どのようなことが起こるかわかりませんから、その時に備えておくことは大切です。

契約者も受取人も妻名義にしておくことで、将来の不安も取り除くことができるでしょう。

学資保険の契約者と受取人は同じ?別?税金の問題


学資保険の契約者は妻名義にしておくとメリットが多い、と頭でわかっていても、専業主婦やパートタイムで働く妻(母親)の場合、保険料を支払う契約者となるのは、不安がある方も多いでしょう。


契約者を夫(父親)にして、受取人を妻(母親)にすればよいのではないか、と考える方もいるのではないでしょうか。


実際、契約者を夫(父親)にして、受取人を妻(母親)にすれば、夫(父親)が支払いをし、妻(母親)が満期金を受け取ることができます。


それも学資保険の一つの受け取りかたですが、契約者と受取人が同じ場合と、契約者と受取人が違う場合では、かかってくる税金が変わってくるので注意が必要です。


2つの場合について、下記のように見ていきましょう。

  • 契約者と受取人が同じ場合
  • 契約者と受取人が違う場合

学資保険の契約者と受取人が同じ場合

まず、学資保険の契約者と受取人が同じ場合、満期金の一部は「一時所得」として課税され、所得税の対象となります。


課税の対象となるのは、契約者が払い込んだ保険料の総額と保険会社が運用した満期金の差額です。


払込保険料の総額と満期金の差額が50万円を超えた場合にのみ課税されます。


つまり、差額が50万円を超えない限り税金はかからない、ということです。


現在、学資保険の返戻率はよくても110%程度ですから、300万円くらいの学資保険に加入しても、課税の対象にはなりにくいでしょう。


学資保険に加入するなら、契約者と受取人を同じにした方が、税金を抑えることができることになります。

学資保険の契約者と受取人が違う場合

また、学資保険の契約者と受取人が違う場合、満期金全体が「贈与」として課税され、贈与税の対象となります。


満期金として受け取りする金額が、年間110万円以下なら贈与税の控除対象になります。


しかし、学資保険の満期金は大きな金額になることが多いため注意が必要です。


契約者を夫(父親)にして、受取人を妻(母親)として学資保険に加入していると、受取人であるを妻(母親)が贈与税を払うことになりかねません。


A生命に加入した場合、以下のような試算になります。

  • 満期金:3,000,000円
  • 払込保険料:2,789,280円
  • 返戻率:107.5%
  • 贈与税の対象となる金額:3,000,000円-1,100,000=1,900,000円
  • 贈与税200万円以下(10%):1,900,000円×10%=190,000円

このように年間300万円の満期金を受け取ると、19万円の贈与税が課税されることになります。


先程の資産と比べてみると、契約者と受取人が同じ場合は税金を払わなくてよかったのに対し、契約者と受取人が違う場合は、贈与税で19万円も支払うことになるのです。


契約者と受取人を同じで契約した方が、払うべき税金が少なくなることがわかるでしょう。


また、学資保険は生命保険の一種ですから、生命保険料控除の対象となります。


そのため、年末調整や確定申告の手続きが必要になりますが、年末調整の手続きの際に贈与税の確定申告も必要になることを覚えておきましょう。

学資保険契約後、母親や妻名義に変更するための名義変更手続き


すでに学資保険を夫名義で契約していて、契約者を妻名義に変更したいと考えたとき、どのような手続きが必要になるのでしょうか。


学資保険の契約者を変更するには、学資保険の名義変更の手続きが必要になります。


手続きを始める前に、契約後の名義変更は、保険によってできる場合とできない場合があるので、契約内容を確認することが必要です。


契約内容を確認して、名義変更ができるとわかれば、保険会社に連絡することから手続きが始まります。


保険会社への連絡手段として、以下のような連絡手段があります。

  • 保険会社のコールセンターに電話で連絡する。
  • 保険会社のホームーページから手続きをする。
  • 保険会社の窓口で手続きをする。
  • 保険会社の担当者に連絡する。

名義変更に必要となる書類は、以下の通りです。

  • 保険証券
  • 契約者の身分証明書
  • 新契約者の身分証明書
  • 印鑑
  • 戸籍謄本
  • 保険契約者継承請求書
  • 新契約者の口座振替依頼書

保険会社によっては、上記の書類以外にも必要になることがあります。詳細については、保険会社に問い合わせた時に、よく確認しましょう。


手続きには1ヶ月近くかかる場合がありますから、手続きは余裕を持って行うとよいでしょう。

参考:祖父母が孫のために学資保険の契約者になる場合

また、学資保険の契約者になれるのは、夫婦だけではありません。


祖父母が孫に教育資金を準備する目的で、学資保険を利用することもできます。


祖父母が学資保険の契約者になる場合は、契約者と受取人が同じか違うかに関わらず、贈与税がかかります


しかし、その分祖父母から孫への相続の際にかかる税金、相続税を減らすことができます


相続税と贈与税、一概にどちらが安いかと比べるのは難しいですが、贈与税は年間110万円までの控除枠がありますから、満期金を控除枠内に収めるように配慮すれば、贈与税の課税対象とはならず安心です。


ただ、祖父母が学資保険を検討する場合、年齢制限で加入しにくい場合があります。


その場合は、祖父母の年齢でも加入できる、年齢制限が70歳から75歳位までカバーしている学資保険がおすすめです。


また、祖父や祖母が学資保険を検討する際には、必ず子どもの父親と母親である両親に確認を取りましょう。保険会社によっては、両親の承諾が必要になる場合があります。


祖父母が孫の教育資金のために学資保険に加入することはできますが、贈与税がかかること、契約者の年齢制限、両親の承諾を得ることなど、いくつかのポイントに注意して検討することが大事です。

まとめ:学資保険の契約者は妻や母親の方がメリットが大きい!

学資保険の契約者を妻(母親)にする方がよいか、についてみてきましたが、いかがでしたか。


妻(母親)を学資保険の契約者にするメリットは以下の通りです。

  • 妻が契約する方が、保険料が安く、返戻率も高い
  • 妻の収入が高い場合、収入が安定して保険料が払いやすい。
  • 夫に病気や持病がある場合、妻なら保険料の安い学資保険に加入しやすい。
  • 妻の年齢が若い場合、保険料が安く返戻率も高くなる。
  • 妻を契約者にすれば、忘れがちな死亡保障も補える
  • 妻を契約者にすれば、離婚時のトラブルも避けることができる。

このように、妻(母親)を学資保険の契約者にした方が、メリットが多くなることがわかりました。


特に、夫(父親)に病気や持病がある場合は、かんぽ生命アフラックなど、告知なしや告知が簡単な学資保険もありますが、返戻率が悪くおすすめできません。


その場合、妻ならA生命のような返戻率の高い学資保険に加入することができるでしょう。


専業主婦やパートタイムで働く妻が契約者となる場合、生命保険の死亡保障も兼ねることもできて安心です。


学資保険では、契約者と受取人が同じ場合は所得税、学資保険の契約者と受取人が違う場合は、贈与税が課税されます。税金を節約するには、契約者も受取人も妻名義で契約することがおすすめです。


すでに夫名義で契約してある学資保険については、契約者の名義変更の手続きをすれば、妻名義に変更できます。その場合、保険料を引き落とす口座名義も同じにする必要があります。


夫婦だけでなく、祖父や祖母も学資保険に加入でき、相続税を節約できます。しかし、祖父母が孫のために学資保険を検討するには、年齢制限や両親の承諾、贈与税に注意が必要です。


学資保険の被保険者は子どもです。その子どもの教育資金は最善の方法でサポートしていきたいものです。

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