学資保険分で住宅ローンの繰り上げ返済をやることがお得な理由を解説

学資保険分で住宅ローンの繰り上げ返済をやることがお得な理由を解説-サムネイル画像

学資保険を優先するか、住宅ローン返済を優先するかと悩む方も多いはず。この場合、住宅ローンの繰上返済を優先するのがお得です。今回、教育資金の積立より住宅ローンの支払いを優先すべき理由を解説します。学資保険の加入・審査中の方、解約を検討している方、必見です。

学資保険を住宅ローンの繰り上げ返済した方がお得?

「学資保険の加入と住宅ローンの繰上返済するのはどっちがいいの?」と夫婦で喧嘩をしている話をよく耳にします。


子どもの教育資金の積立のために学資保険に加入して運用しておきたいという気持ちとは裏腹に、住宅ローンの金利の方が高いために住宅ローンの繰上返済を優先している方が圧倒的にお得なのです。


今回は、住宅ローンの定期返済をしていて、学資保険に加入中の方、学資保険にこれから加入しようと考えている方に向けて

  • 学資保険の新規加入と住宅ローン返済はどっちがどれだけお得か
  • 学資保険の控除と住宅ローンの控除も加味してどっちがどれだけお得か
  • 学資保険を中途解約して住宅ローンの繰上返済をする場合の注意点

を解説していきます。


住宅ローンを滞納しようとしている方、学資保険の解約を検討している方にはぜひ最後まで読んで理解してください。

学資保険の加入・支払いよりも住宅ローン返済がお得な理由とは?


住宅ローン返済をしていると、それとは別に子どもの教育資金を貯蓄しておきたいと思うものです。


教育資金の貯蓄方法としてまず頭に浮かぶのが学資保険ですが、住宅ローン返済をしている方は、まず学資保険を検討する前に、まず住宅ローンを先に返済することがおすすめです。


教育資金は、子どもの将来のために貯蓄しておくものですから、損はしたくないものです。


住宅ローンを組んでいると、毎月利息が発生し、その利息が返済額にプラスされていきます。貸付金額と高い金利分を長期間にわたって返済しなければなりません。住宅ローン返済を優先させる理由は、少しでも短い期間で返済を終えると利息分がお得になるからです。


では、そのお得になる分を試算してみれば、住宅ローン返済を優先した方がよいのかわかるはずです。


住宅ローン返済を優先した場合、どれだけお得になるか。以下の二つの場合を比較して、実際に試算してみましょう。

  • 学資保険に加入中、住宅ローン支払い中の場合
  • 学資保険を加入断念、住宅ローンを繰上返済をした場合

ただ、学資保険には「保障」としての機能があるので、単純な損得計算できるわけではありませんので、注意しましょう。

学資保険に加入中、住宅ローン支払い中の場合

住宅ローンと学資保険の両方に加入している場合、住宅ローンには変更がないので、お得となるのは学資保険の保険料と受け取れる保険金の差額分となります。



A生命の、10歳までの払込で18歳~22歳まで年間40万円、総額200万円(返戻率115.5%)が受け取れるプランで計算してみましょう。


子どもの年令が10歳までに保険料を払い終えるプランなので契約時のお子さまの年齢によって、月々の保険料が変わりますが、今回は0歳で契約し10歳までの支払い、つまりは10年間の支払いで計算すると以下のようになります。

  • 月々の保険料:14,424円
  • 保険料総支払額:1,730,880円

そして、総額2,000,000円の保険金が受け取れるので、差額である269,120円分がお得となるプランです。


つまり、この場合学資保険では、27万円ほどお得ということになります。

学資保険を加入断念、住宅ローンを繰上返済をした場合


次に学資保険に加入せず、住宅ローンのみとし、学資保険にかかる保険料分を繰り上げ返済に充てると仮定すると、どれだけお得となるか計算します。

まず、住宅ローンに掛かる支払総額を考えてみましょう。


例)住宅ローン:フラット35の場合(長期固定金利型住宅ローン)

  • 借入額:3,000万円
  • 金利:1.5%

として、試算(元利均等)した場合に毎月の返済額が91,855円で総支払額は38,579,013円となります。


そして、先程の学資保険の支払期間10年分の総支払額約1,730,000円として、このを分のお金を住宅ローンの繰り上げ返済(期間短縮)にまわすと仮定して計算します。


すると、住宅ローンは毎月の返済額が91,595円で支払総額は37,849,708円となり、元の支払総額との差額は729,305円となり、約73万円ほどとなり、学資保険と比べても46万円もお得になります


つまり、学資保険分の保険料を住宅ローンの繰越返済にまわす方がお得だということです。更に支払い期間も32年10ヶ月となり、負担をかなり軽減することができます。


この記事を読んでいて、住宅ローンがあるのにもかかわらず学資保険にも加入していた方は直ちに対応をとるべきです。


また、損をしているのは住宅ローンと学資保険だけではないかもしれません。ほかにも本来はもっとお得になるはずなのに実際は損をしているということがあるかもしれません。


そういった複雑なことは、なかなか自分では見つけられませんよね。


そこでおすすめしているのはファイナンシャルプランナー(FP)との無料相談です。オンラインでできますし、保険商品を売りつけられることもないので気軽に相談できます。

学資保険の控除と住宅ローンの控除も加味して比較!

学資保険に加入している場合でも、住宅ローンを支払っている場合でも、節税のメリットがあるのは知っているでしょう。


学資保険には「生命保険料控除」があり、年間の支払い額に応じて、支払う税金から控除されます。


学資保険の保険料は、「一般生命保険料」に分類され「生命保険料控除」の対象になります。


ただし、保険期間が5年に満たない場合、控除対象にならないこともありますし、他に生命保険に入っていると、上限金額以上は控除されないことにも注意が必要です。


また、住宅ローンにも「住宅ローン減税制度」があり、控除の対象になり節税のメリットがあります。


住宅ローン減税制度」とは、10年間住宅ローン残高の1%、所得税から控除できる制度です。所得税で控除しきれない場合は住民税からも一部控除ができます。


ここでは、学資保険の控除と住宅ローンの控除を考慮した場合、どちらががどれだけお得か、以下の二つの場合を比較して考えてみましょう。


  • 【控除活用】学資保険の加入を優先、住宅ローンも支払いの場合
  • 【控除活用】学資保険に加入なし、住宅ローンの繰上返済をする場合

【控除活用】学資保険の加入を優先、住宅ローンも支払いの場合

では、まず学資保険の加入を優先し、住宅ローンの支払いを続ける場合、どのくらい控除を受けられるのか計算していきましょう。


2012年に「生命保険料控除制度」が改正されています。所得税、住民税の控除金額は以下のようになっています。


所得税:新制度(一般・介護医療・年金それぞれに適用)

年間の支払保険料等控除金額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円


住民税:新制度(一般・介護医療・年金それぞれに適用)

年間の支払保険料等控除金額
12,000円以下支払保険料等の全額
12,000円超32,000円以下支払保険料等×1/2+6,000円
32,000円超56,000円以下支払保険料等×1/4+14,000円
56,000円超一律28,000円


上限の表からわかるように、控除対象になる上限金額は所得税が4万円、住民税が2.8万円となっています。旧制度の時に、加入した保険には、改正前の控除金額が適用されます。


先ほどの、A生命で計算してみましょう。


控除額は、年間の保険料に対して金額が決まるので、月々の保険料が14,424円だとすると、年間保険料が173,888円となり、年間支払額が80,000円を超えます。その場合の控除金額は、以下の通りです。


  • 年間支払い総額:80,000円超
  • 学資保険の控除金額:40,000円


控除はその他の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料も対象となります。これらの保険の合算金額に対して控除されるので、上限に達している場合は、控除額をさらに増やすことはできない点に注意が必要です。


次に、住宅ローンではどのくらい控除されるのでしょうか。


新築物件でも中古物件でも、一定の条件を満たせば、控除の対象になります。住宅ローンの控除を受けるには、残存ローン期間が10年以上あることが必要なため、繰り上げ返済をして返済期間が10年以下になる場合は、控除が受けらないので注意してください。


例)住宅ローン:フラット35の場合(長期固定金利型住宅ローン)の場合、10年目の控除額は下記のようになります。

  • 年末時点での住宅ローンの残高:23,030,537円
  • 住宅ローン控除金額:230,305円

では、学資保険の加入を優先して、住宅ローンの支払いを続けた場合、控除できる金額はこのようになります。

学資保険の控除40,000円+住宅ローンの控除230,305円=270,305円

学資保険の加入を優先して、住宅ローンの支払いを続けた場合、控除が受けられる金額は、最大で約27万円になります。

【控除活用】学資保険に加入なし、住宅ローン繰上返済をする場合

次に学資保険に加入せず、住宅ローンの繰り上げ返済をする場合をみていきましょう。


まず、学資保険には加入しないので学資保険の控除はありません。


そして、学資保険に加入する予定だった金額1,730,000円を繰り上げ返済に回すとします。借り入れから10年目に繰り上げ返済すると仮定する場合、残りの借り入れ金額は21,237,470円となります。


年末時点で借り入れ金額がこのままであったと仮定した場合、1%の控除額を計算すると以下のようになります。

  • 年末残高:21,237,470円
  • 住宅ローンの控除額:212,374円

学資保険への新規加入をせず、繰上返済を優先した場合、控除を受けられる金額は、最大で約21万円になります。


控除を最大に利用できた場合、学資保険を優先した場合の控除金額270,305円と、住宅ローンを優先した場合の控除金額212,374円の差額は、57,931円となります。住宅ローンを繰り上げ返済すると控除金額で損をするのは、約6万円ということです。


先ほど、住宅ローンを繰上返済するときにお得になる金額は、約46万円とお伝えしましたが、損をする控除金額役6万円を引くと、約40万円となります。


こうして、住宅ローンを繰り上げ返済した方が、控除金額を併せても40万円近くお得になることがわかると思います。このように運用に差が出てくるのです。


ただし、やみくもに繰上返済してよいとい訳ではありません。ローン期間が10年以上残っているか必ず確認しましょう。

住宅ローンの繰り上げを優先して学資保険を途中解約する注意点


住宅ローンがある場合は、学資保険を契約するより、その保険料分を繰り上げ返済に当てる方が支払い総額では得をするのですが、すでに学資保険を契約している方や預貯金が極端に少ない方は注意が必要です。

学資保険の途中解約は元本割れになることが多い

また、途中解約の際に注意したいのは、これまで保険料を納めていた年数によって返戻率が違ってくることです。


返戻率(へんれいりつ)とは、支払ったお金に対して、受け取ることのできるお金の割合のことです。


例えば、3年目に解約しようとする時にそれまでに支払ったお金が50万円で返戻率が90%だと、45万円しかお金は戻ってきません。つまり、5万円も損をしている事になります。


いつくかの学資保険では、この返戻率が初めの数年の解約で90%を割り、中には70%満たない学資保険もあります。


なので、この返戻率が出来る限り100%を切らないように、もしくは低くなりすぎないように解約時期を見定める必要があります


第1のポイントは、学資保険の返戻率です。学資保険は、ある程度の年数が経過すると返戻率が100%に近づき、そ契約期間の半分から3分の2を超えると大体100%を超えるようになっています。


すでにこの返戻率が100%を超えている場合は、即解約しても損はありません。しかし、返戻率が極端に低い期間での解約になるとかなりの損をしてしまうことになります。


中には70%前後となるような学資保険もあるので注意が必要です。その場合は、一部減額や一部解約といった保険そのもののプランの見直しを図ることをおすすめします。

学資保険の保障分がなくなってしまうことに要注意

学資保険は、教育資金を貯蓄する役割がありますが、子どもの将来の保障としての役割も忘れてはいけません。学資保険保険に加入しないのであれば、その保証分がなくなってしまうことにも注意が必要です。


学資保険には、特約をつけることによって、医療保障や傷害保証、災害保証など様々な保証をつけられる商品があります。


満期保険金や満期祝い金や、入学祝い金や学資祝い金として、子どもの成長の節目に祝い金を受け取ることのできる商品もあります。


また、学資保険は、「保険料払込免除特約」や「育英年金特約」の保証をつけることもできます。これは、保険料を支払っている契約者(親)が死亡したとき、または、高度障害状態になってしまった場合に、それ以降の支払いが免除される特約です。


特約をつけすぎると学資保険の保証部分が高くなってしまい、元本割れすることもある反面、予期しない人生の危機に対応できる保証内容は、保険として大事な部分です。


学資保険に加入しない、解約の手続きをするということは、教育資金の貯蓄とは別に、保証が必要かについて吟味するようにしましょう。

【住宅ローン滞納の方】学資保険の一部解約・契約者貸付を検討要


学資保険を解約すると元本割れになってしまうし、かといって今にも住宅ローンを滞納してしてしまいそうだ、という方も中にはいるでしょう。


住宅ローンを滞納してしまうとどうなるのでしょうか。


住宅ローンを滞納してしまうと、最短3か月程度で「期限の利益」を喪失し、分割で返済することができないとみなされ、一括で返済を求められます。


返済が苦しくなってきたら、住宅ローンを借りている金融機関やほけんROOMなどの専門家に、できるだけ早く相談することが大事です。


その他に、学資保険の契約者貸付制度を利用することもできます。「契約者貸付制度」とは、解約返戻金の上限7割から9割を、保険会社から貸付てもらえる制度です。


クレジットカードでのキャッシングの金利は15%~18%前後。それに比べると「契約者貸付制度」の金利は低くなっています。契約時期や保険会社で異なるものの、大体2%~8%程度となっています。


インターネットで申し込みをすると、当日~2営業日と短期間で入金されます。上限金額の範囲の中であれば、回数に制限なく借り入れができ、面倒な審査もなく保証人も要らないのでスピーディに借り入れが可能です。


ただ、借り入れ金額が複利で計算されていくので、長期間に渡る貸付は高金利になることも。一時的な借り入れにとどめておくのが無難です。


また、学資保険には一部解約という手続きも可能です。部分的に解約をすることを、減額と言いますが、保険の一部を解約して、保険料を下げるというものです。


例えば、保険料を月々20,000円支払っている場合、保険料を半分に減らして月々10,000円にすることができます。


ただ、契約内容にもよりますが、月額の支払いが数千円程度になるような場合は、一部解約は認められず、全額解約になるケースもあります。


住宅ローンを滞納してしまいそうになったら、学資保険の「契約者貸付制度」や「一部解約」の手続きを活用して、出来るだけ損失を減らせるようにしましょう。

まとめ:学資保険よりも住宅ローンを優先すべし!

学資保険の加入と住宅ローンの繰上返済するのはどちらがお得か、について見てきましたが、いかがでしたか。


子どもの教育資金を貯蓄するために学資保険に加入するか、住宅ローン返済に回すか、非常に悩むところです。住宅ローン返済を優先させた方が、お得になる理由は、下記の通りです。

  • 住宅ローン返済を優先させた場合、約46万円が得
  • 住宅ローン返済を優先させた場合、控除で損をする金額は約6万円
  • 住宅ローン返済を優先させた場合、控除の額を差し引いても約40万円お得

お得になったお金を他の投資で運用すれば、余裕のある生活を送ることができるでしょう。


しかし、現在学資保険に加入していて解約を考えている場合には、解約金が元本を下回ってしまう可能性もあるので解約するタイミングを考えましょう。学資保険には、保証も付いているので、その保証についても吟味した方がよいでしょう。


住宅ローンは、なるべく早く返したほうが利息を多く払わずに済みますが、急な入り用の資金まで返済に回してしまってはいけません。余裕を持って返済を行いましょう。


もし、住宅ローン返済を滞納してしまいそうな時は、学資保険の「契約者貸付制度」や「一部解約」は審査や手続きが簡単なので、急な入り用の時には利用しましょう。返済が苦しくなったら、金融機関やほけんROOMなどの専門家に、相談しましょう。


教育資金として投資するのも大事ですが、急な入り用の時に、手元にお金がないのも困ります。将来の積み立てと手元のお金と適度なバランスを考えて、最善のお金の運用方法を考えていきたいものですね。

ランキング