生活保護受給者は学資保険に加入できない?理由と例外について解説

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子どもの教育資金の為の学資保険。子どもの事を考えているのに、生活保護受給者は学資保険に加入できないのはなぜなのでしょうか。その理由を調査してみました。先に学資保険に加入していて生活保護受給者になると解約を迫られるのは本当なのか?その例外とはどのようなものか。

生活保護を受給すると学資保険には入れないの?


保護者となる親の離婚や病気、失業など生活保護を受給するようになる理由は様々だと思いますが、生活保護になると加入中の学資保険はどうしたらいいの?と悩んでしまいますよね。


生活保護と学資保険、一見すると関係がないように思われますが、実は生活保護を受給すると学資保険への加入はできなくなってしまうのです。


また、現在加入中の学資保険も生活保護を受給する時点で解約しなくてはいけない場合がほとんどです。


では、どうして生活保護受給者は学資保険への加入を認められていないのでしょうか。


その理由や加入を認められる例外、さらには生活保護受給者でも入れる保険などを解説していきます。

基本的に生活保護受給者は学資保険に加入できない

生活保護受給者は”原則”学資保険への加入はできません。

その理由は、生活保護の4つの原理の内の「補足性の原理」にあります。これは、保護をする場合の条件を表しており、資産がなにもなくなり生活に困窮している場合には最低限の保護をします、という内容になります。


つまり、生活保護を受給する場合には資産を持つことはできないのです。資産を作る余裕があるということは、生活保護の対象からは外れるということになります。

学資保険が資産と見なされる理由

では、どうして学資保険は”資産”とみなされるのでしょうか。

保険には掛け捨て型と貯蓄型の2種類があります。掛け捨てはいくら保険料を支払ったとしても、契約者に返ってくるお金はありません。

一方で学資保険や生命保険など貯蓄型の保険は、満期になれば満期金がもらえますし、途中解約してもある程度の金額は返ってきます。

そういった意味で学資保険は貯金などと同じ”資産”とみなされてしまうのです。

学資保険に加入している場合は原則解約を

学資保険に加入したまま、生活保護を受給しようとする場合には本当に資産はないのかチェックされます。その時に学資保険に加入していることが分かれば、まず学資保険の解約を求められます。

そして、解約返戻金を生活費に充てた後に生活保護の受給対象とみなされます。つまり、学資保険に加入したままでは生活保護は受給できないのです。

生活保護受給者が学資保険を解約しないで済む条件


生活保護を受給する場合には学資保険を解約しなければならないとお伝えしましたが、中には例外もあります。
  1. 学資保険の被保険者と受取人が同一世帯
  2. 学資保険の満期受取時期が15歳満期又は18歳満期
  3. 生活保護を開始する時点での解約返戻金が50万円以下
以上の3つの条件を満たせば、学資保険を継続できる可能性があるのです。(生活保護法による保護の実施要領について)

途中解約すれば元本割れとなりせっかく貯めた資金が無駄になってしまいます。例外となるケースをしっかりチェックし、継続できるのならば満期まで支払いを続けてしっかりと教育資金を受け取りましょう。

①被保険者と受取人が同じ世帯に住んでいる場合

学資保険を契約する際には三者が登場します。「契約者・被保険者・保険金受取人」です。

学資保険の場合、被保険者はお子さんということになります。


一般的には契約者と受取人は父もしくは母など同一人物になる場合が多いですが、その限りではありません。祖父が契約者、父が受取人という場合もあります。


ここで述べているのは「被保険者と受取人が同じ世帯」です。間違わないようにしましょう。

②学資保険の満期受取時期が15歳満期又は18歳満期

学資保険の満期金を受け取る時期が15歳、もしくは18歳に設定されていることも条件の一つとなっています。

生活保護の受給世帯の子供には、小学校から高校まで学費などの扶助があります。ですので、通常ならば学資保険の資金は必要ないものとなります。

しかし、高校入学、大学入学時には大きなお金が必要となりますので、その場合の備えに関しては許されているのでしょう。

③生活保護を受給する時点で解約返戻金が50万円以下

生活保護を受給する段階で学資保険を解約した際に戻ってくるお金が50万円以下であることも条件の一つです。

万が一解約返戻金が50万円以上ある場合には、解約して生活費に充てるよう指導されてしまいます。

生活保護受給者には学資保険以外に学費を補助してくれるシステムがある



生活保護を受給している場合には、学資保険への加入は条件があり継続できない場合も多いでしょう。

しかし、代わりに生活保護を受給している世帯の子供は学費を補助してもらえる制度があるのです。
  • 小・中学校生は教育扶助
  • 高校生には生業扶助
教育扶助とは、生活保護を受給している世帯の小・中学生を対象とした扶助です。学校に通う上で必要となる教科書や文具、給食費などの費用が支給されます。

一方で生業扶助とは生活保護を受給している、もしくはその予備軍である世帯の高校生を対象とした扶助となります。

こちらは高校に通う上で必要な費用に加え、受験代も援助してもらえるのです。

生活保護の受給者は学資保険こそ加入できないものの、こうした国からの補助があり、最低限の学生生活を送ることは保証されているのです。

生活保護受給中でも加入できる保険がある


生活保護の受給中は、学資保険や生命保険のように貯蓄型の保険には加入できませんが、場合によっては加入できる保険もあるのです。


加入できる可能性のある保険の条件は

  • 掛け捨てである(解約返戻金がない)
  • 保険料が低額である
などが挙げられます。

学資保険や低解約返戻金型終身保険などは貯蓄型の保険ですが、掛け捨て型の医療保険や終身保険などは加入できる場合があります。

しかし、生活保護を受給している人には医療扶助や葬祭扶助が支給されるので実際のところ必要性は低いと考えられます。

また、生活保護の受給者は継続・もしくは加入できる保険料の上限が決められています。各市町村によって異なりますが、最低生活費の約10~15%が一般的な金額とされています。

その上限を超えない範囲の低額な保険なら加入できる場合もあるのです。

また、最近では自転車保険加入が義務化されつつあり、生活保護の受給者も例外ではありません。

自転車保険の保険料は一般的な保険に比べて低額となっているので、生活保護の受給者も加入可能となります。

自転車保険加入の義務は自治体によって異なりますので、該当する場合には早めに加入するようにしましょう。

困った時は専門家に相談しよう


生活保護の受給者は、保険に関して多くの制限を受けることとなります。

学資保険などの保険加入・継続や学費の補助などで困ったことがあったら、まずは福祉事務所に相談してみましょう。

また、生活保護受給中でも入れる保険や今後のライフプラン、お金の悩みなどを無料で相談できる窓口もあります。

生活保護から脱出したい、お子さんのために少しでもお金を作りたいと考えている場合には、プロに相談してみましょう。

まとめ:生活保護の受給世帯は学資保険以外の貯蓄を検討しよう

いかがでしたか?


今回の記事のポイントは

  • 生活保護を受給している世帯は”原則”学資保険に加入できない
  • 生活保護を受給する場合には学資保険は解約しなくてはいけない
  • 例外として所定の条件を満たせば学資保険の継続が可能である
以上となります。

生活保護を受給している場合、原則として学資保険など保険への加入は認められませんが、例外として条件を満たせば継続可能な場合もあるのです。

学資保険と途中解約してしまってはせっかく貯めてきた資金が無駄になってしまいます。継続可能な条件をしっかりと確認し、可能な限り継続して満期金を受け取りましょう。

生活保護受給中の保険など不明なことがあれば保険福祉事務所の担当者に尋ねてみましょう。

また、無料でライフプランをFP(フィナンシャルプランナー)に相談できるサービスもあります。

現在のお金の状況や今後のプランなど、一人で考えるのは大変です。ぜひ活用して生活保護からの脱出を試みましょう。

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