学資保険や年金保険の「返戻率」と年利・利回りの違いと計算方法とは

学資保険や年金保険で使われる「返戻率」(読み方:へんれいりつ、別名:戻り率)。実は、年利(年利率)や利回りとは異なるものなので注意が必要です。今回は、返戻率と年利(年利率)・利回りの違いと計算方法を徹底解説します。学資保険や年金保険を検討する時に活用ください。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

学資保険や年金保険の返戻率と年利(利率)・利回りの違いを解説

学資保険や年金保険に加入しようとする場合、どのような内容に注目するでしょうか。


やはり、返戻率(戻り率)が一番気になるところですよね。


2017年のマイナス金利政策導入後、積立保険は低迷しています。


では、年利(利率)や利回りといった言葉はどういったものを指すのでしょうか。


この2つによって、さらに返戻率にも影響が出るのです。


そこで、この記事では「返戻率と年利、利回り」について

  • 返戻率の具体的な内容
  • 返戻率と利回りと年利の違い
  • 学資保険で年利や利回りを計算
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、間違いやすい年利や利回りの違いがわかり、より学資保険や年金保険への加入の検討材料になることでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

返戻率(読み方:へんれいりつ)の意味とは?

返戻率とは、保険を解約した時に戻ってくるお金の割合を示す戻り率です。


それまで払い込んだ保険料に対して、どれだけの保険金がうけとれるのか、ということになるのですが、返戻率が高ければ高いほど貯蓄性のある保険といえるでしょう。


払い込んだ保険料よりも多くのお金を得るためには、この返戻率を100%以上で解約、または満期を迎える必要があります。


長い期間支払を続けていても返戻率に気をつけず解約してしまうと少ない金額しか返ってこず損をしてしまうこともあります。



返戻率の計算方法は?学資保険を例に考える

300万円積み立てる学資保険を例にして、返戻率の計算方法を考えてみましょう。


大学の進学に向けて17歳満期で検討した場合、A保険会社では保険料が24,030円でした。


保険料の支払いは10歳までとし、契約期間は0歳から17歳までの17年間となります。この場合の返戻率を計算してみましょう。

返戻率=学資保険金受取総額÷払込保険料総額×100

この式に当てはめると

24,030円×12カ月×10年間=2,883,600円

これが払込保険料総額となります。


返戻率は

3,000,000円÷2,883,600円×100≒104.03%

この場合の学資保険は、返戻率が100%を超えているため、支払った保険料よりも受け取り金額が少なくなるという元本割れが起きず、得する学資保険となります。


もし、これが100%を下回るような返戻率であれば、損をする学資保険だと思って気をつけてください。

返戻率と年利(年利率)と利回りの違いとは?

利回り(年利回り)とは投資した金額に対する年間収益の割合が定義となっており、元本に対してどれだけ増えたかを指し示す割合のことです。 

利回り(%)=収益額÷投資金額÷投資年数×100

年利(年利率)とは、一定期間内の元本に対する利息の割合が定義となっています。

保険料の場合、純保険料(積み立て保険料)と付加保険料(掛捨て保険料)とに分かれており、運用されるのは、純保険料のみです。

この純保険料の運用利率のことを年利(年利率)と言います。

年利率とは、運用している利率を用いることから利回りと同じ意味を持ちます。


年利(年利率)は、基本的には契約時から変わることはありません




返戻率(戻り率)とは、支払った保険料に対して、どれだけの保険金が受け取れるかの割合のことを言います。


返戻率(戻り率)が100%を超えると、支払った保険料よりも多く保険金を受け取れることになります。 

返戻率(%)=受取保険金÷支払い保険料×100

学資保険で年利(年利率)・利回りを計算してみる

先ほど解説したように、返戻率と年利(年利率)と利回りは、全く別々のものです。


学資保険の利回りを計算するには、

収益額÷投資金額÷投資年数×100

このような計算式に当てはめる必要があります。


ここでいう収益額とは、学資保険における保険金の総額から、支払った保険料の総額を差し引いた金額のこととなります。


投資金額とは、支払った保険料の総額のことを指し示しているので、ここのところを間違わなければ自分自身で学資保険の利回りを計算することが可能となります。


特に、収益額のところで、満期保険金をそのまま当てはめてしまうと、とんでもなく間違った計算となってしまうので、注意が必要です。

保険会社は年利換算を明示していない?その理由とは?

保険会社のホームぺージでは、返戻率が主に紹介されています。


「年利」ではなく「返戻率」が明示される理由として、利率が関係してくるからです。


それは、実際に加入者が支払った保険料の「利率」と、保険会社の「予定利率」が異なる数字となるためです。


保険会社は加入者より預かった保険料から、まず経営に必要な費用を差し引いて、残った分を運用にまわしています。


この運用に回された分の利率は「予定利率」として開示されますが、この予定利率は加入者の払い込んだ保険料に適用されるものでないことになるからです。

学資保険で年利(年利率)・利回りを計算してみる

では、実際に返戻率しか明示されていない学資保険で、年利(年利率)や利回りを計算してみましょう。


ここからは、具体的な計算も取り入れていますので、加入しようとしている学資保険と照らし合わせてみてください。

払い込み期間・月額保険料・受け取り時期が変数になる

年利(年利率)を計算するにあたり、払い込み期間や月額保険料、受け取り時期は、加入しようとしている学資保険によって様々です。


そのため、計算しようとする学資保険によって、年利(年利率)が変わるので、一概にどれくらいとは言えません。


年利(年利率)を知ろうとするなら、決まったプランの学資保険に合わせて計算することとなります。


学資保険には17歳満期や22歳満期、払い込み期間であれば10年間であったり22年間であったりと、学資保険のプランによって異なります。


つまり、一定範囲内の年利(年利率)であるけれども、どの特定値とは限らずに考えた場合の数字、いわゆる変数となってしまうのです。

学資保険の具体的な商品での年利・利回りはどのくらい?

ここまで解説してきたように、返戻率と年利回り(利回り)は同じではないので、学資保険の年利(年利率)を計算するためには、保険料保険金をもとに計算することになります。


先ほどの学資保険の返戻率を求めたプランで考えてみることにしましょう。


300万円を受け取れる学資保険で月額24,030円の保険料を10年間支払うとします。


まずここで先に考えなければならないのは、収益分がいくらになるかです。


保険料支払いの総額は2,883,600円なので



300万円-2,883,600円=116,400円


ここで、利回りの式に当てはめてみると



116,400円÷2,883,600円÷10年間×100≒0.40%

104.03%の返戻率を持つ学資保険を利回りで表わすと、約0.40%になることがわかりました。


これを高い利回りとみなすかどうかは、人それぞれだと思いますが、近年では銀行預金の金利が0.2%だったりと低いため、預貯金よりは効率の良い積み立て方法と言えるでしょう。

まとめ:積立保険(学資保険・年金保険)では利回りに注目!

学資保険や年金保険の返戻率と利率(年利率)と利回りについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは

  • 返戻率と利率と利回りの違い
  • 返戻率の計算方法
  • 学資保険の利回りをしる計算方法
です。


子供の教育資金の準備として有名な学資保険や、老後の生活資金の準備として扱われる年金保険では、返戻率(読み方:へんれいりつ)が明示されていますが、利回りは明示されていません。


学資保険で子供の教育資金を準備するか、それとも預貯金などで準備をしたら良いのか迷っている場合、まずは学資保険の利回りを計算する必要があります。


利回りが計算できれば、銀行の預貯金との比較ができるようになりますので、学資保険に加入しようとしている場合は、ぜひこの利回りを計算してみてはいかがしょうか。


保険ROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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