学資保険が一時所得になる場合って?雑所得・贈与税とはどう違うの?

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学資保険が一時所得として扱われる場合があります。学資保険の満期金の受け取り方次第で所得税(一時所得、雑所得)や、贈与税(受取人≠契約者)のように異なる税金が課せられます。場合によっては確定申告が必要になる場合もあるので注意が祝い金など満期の受取には注意です。

学資保険で受け取ったお金には税金がかかる?

学資保険に加入している方は満期を迎える際に税金がかかることはご存じでしょうか。


知っているという方も多いと思いますが、その種類までを説明することができる方はそう多くないはずです。

ちなみに学資保険には主に所得税贈与税のどちらかが課せられます。

所得税にも2パターンあり、学資保険の満期金が雑所得・一時所得のどちらかに分類された場合に所得税としても扱いになります。

そこで、この記事では、「せっかく貯めるお金に税金がとられるのは嫌だ」「税金を減らす方法を知りたい」という方に向けて
  • 学資保険で税金は本当にとられるのか
  • 学資保険で受け取ったお金に税金がかかる3つの場合
  • かかる税金を減らす方法
について解説します。

この記事を最後まで読んでいただければ、学資保険の税金に関する疑問はすべて晴れるはずです。

ぜひ最後までご覧下さい。

実は学資保険で税金がとられることは稀である

学資保険の満期金が一時所得となり税金がかかる場合があるとお伝えしましたが、実は税金がかかる例はほとんどありません。  


では、税金を気にしなくていい場合とはどのような時なのでしょうか。 

  • 契約者と受取人が同一名義である場合
  • 学資保険の満期金が500万円以内の場合
  • 学資保険の返戻率が150%未満の場合
  • 契約者が会社員の場合
  • 満期金を一括受取する場合
以上のように、一般的なプランに加入していれば満期金を受け取る際に税金がかかる可能性は低く、万が一かかっても少額で済むでしょう。

学資保険の満期金に税金をかけないためには、加入時の契約内容が大切です。一時所得や贈与税など税金がかかるパターンを知った上で加入するようにしましょう。

必要とあれば無料で保険相談ができる窓口などもありますので、活用してみましょう。

学資保険で受け取ったお金に税金がかかる3つのパターン


学資保険の満期金を受け取る際に税金がかかってしまう場合とは、実際にはどんな時なのでしょうか。

そのパターンは主に3つです。
  • 年間に50万円以上の一時所得としての利益が発生した場合
  • 学資保険の受取人が契約者以外の場合
  • 学資保険を一括受取ではなく学資年金として受け取る場合
以上のパターンに当てはまる場合には、一時所得贈与税、さらには雑所得などの課税対象となります。

これより、パターン別に税率の計算方法なども詳しく解説していきます。

パターン①年間に50万円以上の一時所得の利益があった場合

学資保険の祝い金や満期金を受け取る際、支払った保険金の総額と受け取った金額の差が50万円以上ある場合には、一時所得として課税の対象となる場合があります。

一時所得の計算方法は以下の通りです。

課税金額=(受け取った学資保険総額[所得金額]-支払った保険料総額[必要経費]-50万円[特別控除])×1/2

式を見ただけでは複雑ですので事例をあげて計算してみましょう。 

〇課税されないケース 

事例:以下の条件の学資保険に加入し18年後に満期金を受け取った場合 

  • 毎月の支払保険料:13,000円
  • 受取総額:300万円

13,000円(毎月の支払保険料)×12ヶ月×18年=280万8,000円(支払保険料総額) 

(300万円-280万8,000円-50万円)×1/2=-15万4,000円 


計算するとマイナスになるためこの場合、一時所得は課税されません。 


〇税金がプラスのケース 


事例:学資保険に加入して18年後に満期金を受け取った場合

  • 毎月の支払保険料:13,000円
  • 受取総額:350万円

13,000円(毎月の支払保険料)×12ヶ月×18年=280万8,000円(支払保険料総額) 

(350万円-280万8,000円-50万円)×1/2=9万6,000円 

こちらのケースでは税金の計算額が9万6,000円となります。 


ただし、一時所得で税金がプラスになった場合でも、加入契約者が給与所得者(会社員等)の場合には、次のような条件に合えば申告の必要はありません。


給与所得者が次の条件全てに該当する場合は、事例のように一時所得で税金がプラスとなるケースでも、確定申告の必要はありません。

  1. 1か所から給与の支払を受けている人
  2. 学資保険の満期金受取等の一時所得のみ
  3. 計算後の金額が20万円を超えない
  4. 給与等の年間収入金額が2,000万円以下

パターン②受取人がこどもの場合:贈与税に該当

学資保険の契約者と祝金や満期金の受取人が別名義な場合には贈与税の対象となる可能性があります。例えば、学資保険の契約者は父親で、祝金や満期金の受取人が母親、もしくは子供などの場合です。

贈与税の計算方法は以下の通りです。 

(満期金-110万円[基礎控除])×税率-控除額=税金

学資保険で受け取ったお金が、年間110万円(基礎控除)を超えれば贈与税の対象になります。また、受取人である子が20歳未満であるか、それとも20歳以上かで、基礎控除後の課税価格・税率・控除額もそれぞれ違ってきます。下表を参考にしてください。


○一般税率:子が20歳未満

年間110万円の基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%-
200万円超~300万円以下15%10万円
300万円超~400万円以下20%25万円
400万円超~600万円以下30%65万円
600万円超~1,000万円以下40%125万円
1,000万円超~1,500万円以下45%175万円
1,500万円超~3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

○特例税率:子が20歳以上

年間110万円の基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%-
200万円超~400万円以下15%10万円
400万円超~600万円以下20%30万円
600万円超~1,000万円以下30%90万円
1,000万円超~1,500万円以下40%190万円
1,500万円超~3,000万円以下45%265万円
3,000万円超~4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

事例をあげて計算してみましょう。


○保護者から子へ、満期金200万円(一括で受取)のみが贈与された場合


前述した表に当てはめると基礎控除後の課税価格(200万円-110万円)は90万円なので、子が20歳未満でも20歳以上でも控除額は0円です。


(200万円-110万円)×10%-0円=9万円


贈与税は9万円になります。

パターン③受取方法が学資年金の場合:雑所得に該当

学資保険の受け取り方は、大学入学時などに一括で受け取る以外にも学資年金として受け取るという方法があります。

学資年金とは、一括で満期金を受け取るのではなく、大学在学中に毎年決まった額を受けとるという方法です。

雑所得は次のように計算します。

1回分の学資年金-(1回分の学資年金×支払保険料総額÷学資年金総額)=税金

では、詳しく事例をあげて計算してみましょう。


○支払保険料総額は180万円で、満期金200万円を学資年金として5分割で受け取る場合

満期金の200万円を5年分で割ると、1年で受け取る金額はは40万円となります。

40万円-(40万円×180万円÷200万円)=4万円

つまり、雑所得は4万円となります。


また、学資年金に特約として追加することができる育英年金も雑所得の課税対象となります。


育英年金とは、契約者が死亡した場合に受取人に毎年決まった年金が支払われるという特約で、年金とは別に特約満期給付金や特約死亡給付金なども受け取ることができます。


しかし、年金が支払われる間は例え子どもであっても課税の対象となり、雑所得を払わなければなりません。さらに、受取人が子どもの場合には所得があるといことで親の扶養から外れてしまったり住民税の納付義務も発生してしまいます。

一時所得などの学資保険でかかる税金を減らすためにできる対策

せっかく貯めた子供の教育費を損しない為にも、一時所得などにかかる税金はなるべく減らしたいところです。


税金対策で大切なことは、税金の仕組みをきちんと理解することです。

  • 一時所得でかかる税金をなくす方法
  • 雑所得でかかる税金をなくす方法
  • 贈与税でかかる税金をなくす方法
これより、それぞれの対策をパターン別に解説していきたいと思います。

学資保険の一時所得でかかる所得税をなくすためにできること

学資保険の満期金に一時所得の税金がかからないようにするためには

  • 学資保険の満期金を500万円程度に収める
  • 高額な満期保険金を受け取りたい場合には、保険を二つに分ける
などの方法があります。

また、加入する保険会社にも注意が必要です。

返戻率100%以上を維持している学資保険に加入している場合は、支払った保険料と満期金にプラスの利益が発生する可能性が高いと言えます。

返戻率が高いということは本来ならば望ましいことですが、満期金が高額な場合には注意が必要となります。

学資保険の雑所得でかかる所得税をなくすためにできること

学資保険の祝い金や満期金を受け取る際に雑所得がかからないようにするためには

  • 契約者は会社員か専業主婦にする
  • 契約者が自営業の場合には学資年金での受け取りは控える
  • 育英年金を契約する場合は受取人を配偶者にする
などの方法があります。

雑所得には特別控除がありません。

会社員は課税対象額が20万円以下の場合、専業主婦は課税対象額が38万円以下の場合には確定申告が必要ありませんが、自営業の場合には雑所得の全額が課税対象となってしまうため、学資年金としての受け取りは不向きと言えます。

ですので、契約者が自営業の場合には一括受取にして、一時所得の対象にならない程度の満期金で学資保険を契約しましょう。

また、育英年金を付ける場合には受取人を子供ではなく配偶者にしておくほうがいいでしょう。

学資保険の贈与税をなくすためにできること

学資保険の祝い金や満期金への贈与税をなくすためには、学資保険の契約者と受取人を同一名義にして加入しましょう。


現在学資保険に加入していて、契約者と受取人の名義が異なっている場合には、受取人の変更手続きを行いましょう。


もう一つ注意が必要なのが、祖父母が学資保険に加入してくれている場合です。


両親が子どものために学資保険の満期金を受け取っても贈与税の対象とはなりませんが、祖父母から孫への教育資金の贈与は課税の対象となってしまいます。


ですが、そういった場合の対応策として教育資金の一括贈与の非課税制度という制度も誕生しています。


贈与税にかかる税率は高めです。祖父母が学資保険に加入している場合には、必ずこの制度を利用しましょう。

まとめ:課税対象を確認して、必要があれば確定申告!

学資保険で受け取ったお金が一時所得扱いとなる場合と雑所得扱いとなる場合、または贈与税扱いとなる場合などがあることについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは
  • 学資保険の満期金には一時所得がかかる場合がある
  • 学資保険の契約者と受取人が別名着だと贈与税がかかる
  • 学資保険を学資年金として受け取る場合には注意が必要
以上となります。

まずは学資保険にかかるかもしれない税金を理解し、学資保険の内容を見直してみましょう。そして、万が一課税対象となってしまった場合には、必要経費と割り切って確定申告をして税金を納めましょう。

これから学資保険に加入しようと考えている人は、一時所得のかからない祝金や満期金で契約したり、アフラックやソニー生命など返戻率の高い場合は学資保険に資金を集中させず、ドル建て終身保険を検討するなど、税金対策を検討して加入しましょう。

当人だけで考えるのが大変な場合には、保険の営業担当者に相談したり、保険のプロに相談してみるのもいいでしょう。

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