更新日:2020/01/12
学資保険が一時所得になる場合って?雑所得・贈与税とはどう違うの?
学資保険が一時所得として扱われる場合があります。学資保険の満期金の受け取り方次第で所得税(一時所得、雑所得)や、贈与税(受取人≠契約者)のように異なる税金が課せられます。場合によっては確定申告が必要になる場合もあるので注意が祝い金など満期の受取には注意です。
目次を使って気になるところから読みましょう!
学資保険で受け取ったお金には税金がかかる?
- 学資保険で税金は本当にとられるのか
- 学資保険で受け取ったお金に税金がかかる3つの場合
- かかる税金を減らす方法
実は学資保険で税金がとられることは稀である
学資保険の満期金が一時所得となり税金がかかる場合があるとお伝えしましたが、実は税金がかかる例はほとんどありません。
では、税金を気にしなくていい場合とはどのような時なのでしょうか。
- 契約者と受取人が同一名義である場合
- 学資保険の満期金が500万円以内の場合
- 学資保険の返戻率が150%未満の場合
- 契約者が会社員の場合
- 満期金を一括受取する場合
学資保険で受け取ったお金に税金がかかる3つのパターン
学資保険の満期金を受け取る際に税金がかかってしまう場合とは、実際にはどんな時なのでしょうか。
- 年間に50万円以上の一時所得としての利益が発生した場合
- 学資保険の受取人が契約者以外の場合
- 学資保険を一括受取ではなく学資年金として受け取る場合
パターン①年間に50万円以上の一時所得の利益があった場合
課税金額=(受け取った学資保険総額[所得金額]-支払った保険料総額[必要経費]-50万円[特別控除])×1/2
式を見ただけでは複雑ですので事例をあげて計算してみましょう。〇課税されないケース
事例:以下の条件の学資保険に加入し18年後に満期金を受け取った場合
- 毎月の支払保険料:13,000円
- 受取総額:300万円
13,000円(毎月の支払保険料)×12ヶ月×18年=280万8,000円(支払保険料総額)
(300万円-280万8,000円-50万円)×1/2=-15万4,000円
計算するとマイナスになるためこの場合、一時所得は課税されません。
〇税金がプラスのケース
事例:学資保険に加入して18年後に満期金を受け取った場合
- 毎月の支払保険料:13,000円
- 受取総額:350万円
13,000円(毎月の支払保険料)×12ヶ月×18年=280万8,000円(支払保険料総額)
(350万円-280万8,000円-50万円)×1/2=9万6,000円
こちらのケースでは税金の計算額が9万6,000円となります。
ただし、一時所得で税金がプラスになった場合でも、加入契約者が給与所得者(会社員等)の場合には、次のような条件に合えば申告の必要はありません。
給与所得者が次の条件全てに該当する場合は、事例のように一時所得で税金がプラスとなるケースでも、確定申告の必要はありません。
- 1か所から給与の支払を受けている人
- 学資保険の満期金受取等の一時所得のみ
- 計算後の金額が20万円を超えない
- 給与等の年間収入金額が2,000万円以下
パターン②受取人がこどもの場合:贈与税に該当
(満期金-110万円[基礎控除])×税率-控除額=税金
学資保険で受け取ったお金が、年間110万円(基礎控除)を超えれば贈与税の対象になります。また、受取人である子が20歳未満であるか、それとも20歳以上かで、基礎控除後の課税価格・税率・控除額もそれぞれ違ってきます。下表を参考にしてください。
○一般税率:子が20歳未満
年間110万円の基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
200万円超~300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超~400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超~600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超~1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超~1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
○特例税率:子が20歳以上
年間110万円の基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
200万円超~400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円超~600万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円超~1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,000万円超~1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
3,000万円超~4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
事例をあげて計算してみましょう。
○保護者から子へ、満期金200万円(一括で受取)のみが贈与された場合
前述した表に当てはめると基礎控除後の課税価格(200万円-110万円)は90万円なので、子が20歳未満でも20歳以上でも控除額は0円です。
(200万円-110万円)×10%-0円=9万円
贈与税は9万円になります。
パターン③受取方法が学資年金の場合:雑所得に該当
1回分の学資年金-(1回分の学資年金×支払保険料総額÷学資年金総額)=税金
では、詳しく事例をあげて計算してみましょう。
○支払保険料総額は180万円で、満期金200万円を学資年金として5分割で受け取る場合
満期金の200万円を5年分で割ると、1年で受け取る金額はは40万円となります。
40万円-(40万円×180万円÷200万円)=4万円
つまり、雑所得は4万円となります。
また、学資年金に特約として追加することができる育英年金も雑所得の課税対象となります。
育英年金とは、契約者が死亡した場合に受取人に毎年決まった年金が支払われるという特約で、年金とは別に特約満期給付金や特約死亡給付金なども受け取ることができます。
しかし、年金が支払われる間は例え子どもであっても課税の対象となり、雑所得を払わなければなりません。さらに、受取人が子どもの場合には所得があるといことで親の扶養から外れてしまったり住民税の納付義務も発生してしまいます。
一時所得などの学資保険でかかる税金を減らすためにできる対策
せっかく貯めた子供の教育費を損しない為にも、一時所得などにかかる税金はなるべく減らしたいところです。
税金対策で大切なことは、税金の仕組みをきちんと理解することです。
- 一時所得でかかる税金をなくす方法
- 雑所得でかかる税金をなくす方法
- 贈与税でかかる税金をなくす方法
学資保険の一時所得でかかる所得税をなくすためにできること
学資保険の満期金に一時所得の税金がかからないようにするためには
- 学資保険の満期金を500万円程度に収める
- 高額な満期保険金を受け取りたい場合には、保険を二つに分ける
学資保険の雑所得でかかる所得税をなくすためにできること
学資保険の祝い金や満期金を受け取る際に雑所得がかからないようにするためには
- 契約者は会社員か専業主婦にする
- 契約者が自営業の場合には学資年金での受け取りは控える
- 育英年金を契約する場合は受取人を配偶者にする
学資保険の贈与税をなくすためにできること
学資保険の祝い金や満期金への贈与税をなくすためには、学資保険の契約者と受取人を同一名義にして加入しましょう。
現在学資保険に加入していて、契約者と受取人の名義が異なっている場合には、受取人の変更手続きを行いましょう。
もう一つ注意が必要なのが、祖父母が学資保険に加入してくれている場合です。
両親が子どものために学資保険の満期金を受け取っても贈与税の対象とはなりませんが、祖父母から孫への教育資金の贈与は課税の対象となってしまいます。
ですが、そういった場合の対応策として教育資金の一括贈与の非課税制度という制度も誕生しています。
贈与税にかかる税率は高めです。祖父母が学資保険に加入している場合には、必ずこの制度を利用しましょう。
まとめ:課税対象を確認して、必要があれば確定申告!
学資保険で受け取ったお金が一時所得扱いとなる場合と雑所得扱いとなる場合、または贈与税扱いとなる場合などがあることについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- 学資保険の満期金には一時所得がかかる場合がある
- 学資保険の契約者と受取人が別名着だと贈与税がかかる
- 学資保険を学資年金として受け取る場合には注意が必要