【FP監修】子供が就職で独立したら、老後に向けた保険の計画をすべし

更新日:2018/05/20
子供が就職して独立するタイミングは、夫婦の保険を見直し、老後に向けた計画を立てるべきタイミングでもあります。この記事では、子供が独立したタイミングで夫婦の保険の見直し、老後に向けた計画を立てるためのポイントについて、現役FPの意見を交えながら解説していきます。
アンケートにご協力いただいたFPの方々(50音順、敬称略)









この記事の目次
クリックすると見出しに飛べます【FPアンケート】子供が独立したときの夫婦の保険の見直しのポイントとは?
そのため、子供の「誕生」をきっかけに生命保険へ加入したり、保障内容を見直すというのは一般的になっています。
しかし保険を見直す重要なタイミングである、自分たち夫婦が60歳くらいになり、子供が「独立」したときには、保険を見直さず、そのままにしている方も多いようです。
そこで今回は、子供が独立したときの夫婦の保険の見直しポイントについて、現役FPの意見を交えながら解説していきます。
これから子供が独立するという方も、すでに独立していて保険がそのままになっているという方も、ぜひご覧ください。
子供が独立したときの夫婦の保険の見直しポイント
また、貯蓄性を生かした老後資金対策や、税制メリットを生かした相続対策としての役割もあります。
では、子供が独立したタイミングにはどのようなポイントで見直しをすればいいのか、それぞれの目的ごとに見ていくことにしましょう。
死亡保障の見直し
医療保障の見直し
医療保険やがん保険などの医療保障は、これらのリスクに備える有効な対策のひとつであり、子供の独立後も夫婦に必要となる保障です。
まずは以下のポイントについて、加入している医療保険をチェックしましょう。
- 現在の医療にあった保障内容となっているか
- 収入の減少する老後に保険料の負担が重くならないか
- 保障はいつまで続くのか
チェックした結果、加入中の保険が自分にあっていないのであれば、保険の見直しを行います。
ただ医療保障については、十分な貯蓄があれば保険で備える必要がない場合もあり、公的保障の内容や資産状況なども考慮した上で、保障が不足する部分に備えるということがポイントです。
医療保障見直しのポイント
公的保障や貯蓄では保障が不足する部分に備える
老後の貯蓄やキャッシュフローの見直し
まずは現在の資産状況を確認し、将来受け取れる年金額などをもとに、老後の生活費がいくら不足するのかを大まかでいいので把握しておきましょう。
必要のない保障は削って保険料を下げたり、貯蓄型の保険に変換(コンバージョン)するなどして、お金を老後の貯蓄へシフトさせます。
また、どこまで保険でカバーしどこまで貯蓄でカバーするのか、そして年金生活で収入が減っても保障を続けられるのかという点を見据えた上で見直すことがポイントとなります。
相続財産と相続税対策の見直し
相続は「争族」ともいわれるように、家族の争いの原因となることもあります。
また一定額以上の相続財産には相続税もかかります。
そのため、のこされた家族に財産を残す方法についても、子供の独立を機に考えておくことが大切です。
生命保険には「死亡保険金の非課税枠」と「保険金受取人の指定」という特徴があるため、これを相続対策に有効に活用していきましょう。
【死亡保険金の非課税枠】
「500万円×法定相続人数」までの死亡保険金は非課税です。
そのため、一時払終身保険に加入するなどして現金を減らしておくことで、相続税を減らすことがにつながります。
【保険金受取人の指定】
また、死亡保険金は契約者が指定した保険金受取人の固有の財産とされ、相続財産とならないことになっているため、遺産を残したい人に残すことができます。
遺産が土地・建物のみといった場合には分割することが難しい場合が多く、争族の原因となることもあります。
そのような場合には、保険金受取人を土地・建物を相続しない相続人(遺族)とする生命保険に加入しておき、相続する財産額のバランスをとるという対策も有効です。
家をどうするかの見直し
持ち家
持ち家であればそのまま住み続けるというのが一般的ですが、老朽化などで改修やリフォームが必要となってくるため、その費用に備えておく必要があります。
また実家を引き継ぐ子供がいない場合には、その後家をどうするのかということも考えておかなければなりません。
賃貸
賃貸であれば、子供が独立したのを機に、間取りの小さな家に引っ越すのもいいでしょう。
固定費である家賃を下げることで、家計には大きなプラスとなります。
一方賃貸の場合には家賃負担が続き、持ち家の場合に比べて多くの生活費かかることが想定されます。
老後資金の貯蓄や保障について考える際には、それを踏まえて考えることが大切です。
FPの方たちの子供が独立したときの保険の見直しに対するコメント
- 子どもが独り立ちしたときの、見直しポイントは、
1.これから家をどうするか?売るつもりならその後の住まいが毎月いくらかかるか、売っていくらになるか予測。足りない分を終身保険。
2.相続財産がどのくらいあるか確認。多いようなら終身保険に入り、相続税対策を。
資産を減らす意味や、渡したい相続人に保険金を渡せるので。 3.持ち家に住むなら、住宅総合保険も手厚く。
万一地震で家に何かあっても住宅総合保険に入っていれば、給付金が出る可能性も高いので。
(拝野 洋子)
- 死亡保障は本当に必要ないのか子供が大学を卒業し社会人になったところで、一般的には世帯主の死亡保障の必要性は低くなります。
世帯主に万一のことがあっても子供は一人で生きていけるからです。
では、妻はどうでしょう。中高齢寡婦加算など、公的なもので生活していけるのであれば、子供が独立してからの死亡保険は必要ありません。
また、老化からの体力の低下も感じる時期でもあり、「夫に先立たれた後、自分が病気や介護になったら」を心配される女性が多いのも事実です。
妻自身の保険を充実させるのか、夫の死亡保険で準備するのか、今一度考える時期でもあります。
老後の貯蓄はできているか 保険に初めて加入した時よりも、『老後』というキーワードに強く反応する時期です。
高齢化という現実から、定年退職まであと〇年、そこから老齢年金で足りないお金はいくらか、具体的に試算する必要性が出てきます。
また、自分の親の介護を始める人も多く、『介護』に関しての現状から、自分の将来を考えるようになります。
この時に、老後と介護にどんなリスクがあり、いくらあるとカバーできるのかを知ること、この目標金額をいつまでに準備するのかを明確にすることが大事です。
介護に関しては、医療保険の特約で準備できる商品も出てきていて、保険料も貯蓄で準備するより高くはないので、介護に関してのリスク対応の一部の方法として医療保険の介護特約で準備する、というのは賛成です。
但し、この場合、介護1にならずに死亡した際には給付されません。
人生におけるリスクを書き出してみる 子育ても終わり、第二の人生に入る時でもあります。
自分の夢、夫婦の夢を描き、それに向かう際のリスクを書き出してみましょう。
夫婦の夢が実現できなくなる原因を書き出すのです。
現実的なのが大きな病気になってしまうことです。
その場合でも、完治さえできれば夢を叶えることは可能です。完治するためには治療費がかかります。
このように、具体的にリスクを想像しながらリスクを回避させる保険に見直しをしましょう。
(下澤 純子)
- ①死亡保障の見直し:子供が独り立ちした後は、学資を考える必要がない分、夫婦で必要な金額は下がる。
保険料も当然のことながらカットできる。
②入院・傷害補償の見直し:65歳から75歳未満で就業しているかしていないか、75歳以上で公的健康保険の負担が大きく変わるので、その内容に応じて保障内容も見直す必要がある。
公的保険で賄えない部分だけ補てんする保障内容に改める。
③退職後の生活資金を確保するための見直し:退職(経営の第一線からの引退を含む)により、生活資金を手当てするのに保険商品を利用するのか、しないのかを本格的に検討する時期に入る。
年金額との兼ね合いで個人年金保険にするのか、定期預金にするのか、証券投資を含めた投資商品にするのか、リスク対効果を自分で分析して決めることになる。
その情報を提供するのがFPの役割である。
(鳥海 光夫)
- 保障を減額する ・老後の生活費を考える
子どもへの教育費などの負担がなくなれば、必要保障額は減ります。
そのため、保障を減額することを考えても良いでしょう。
減額する分、老後資金の貯蓄に充てるのがよいと思います。
老後資金にどれくらいのお金が必要かを考え、貯蓄でまかなえるかどうかチェックしておくと安心です。
(前佛 朋子)
- 死亡保険金額の確認
保険は、万一の場合の遺族の生活費と死後の整理費用。持ち家であれば、住居費はあまりかからないが、賃貸であればずっと賃料がかかるので多めに。
ただし、保険以外に貯蓄などで用意があれば、死後の整理費用としてお葬式代程度の小さい保障を残すのみでよいかもしれない。
医療保険の保障の確認。終身払いの医療保険であれば、ずっと必要か見極めも。
子供名義の保険子供に掛けていた保険があれば、契約者や受取などを変更して子供に渡す。
相続対策。
子供が複数にいるが、資産としては土地建物のみといった場合、家を継ぐ子供以外が受取人となる保険を検討する。
(正田 きよ子)
- 1.過剰な保険が残っていないか点検します。
2.退職後の収入減に備えて不要な保険は解約、払済等を検討します。
3.相続に向けた保険の活用法について検討を開始します。
家族が独立、減りますので必要保障額は一般に大幅に減ります。
死亡保障等は不要となることも多いですので過剰な保険加入となっていないか見直すと良いと思います。
相続対策としての保険活用がありますので必要に応じて検討を開始してもいいと思います。
ただしライフプランを見ながら自分たちの老後資金が枯渇しないように慎重に検討する必要があります。
(林 健太郎)
- この先の死亡保障は子どものお金がかからないので、保険は卒業です。
妻が専業主婦で貯蓄がないなどのケースを除くとほぼ必要ありません。
減額等を検討してください。
つい、医療保険などに加入したくなりますが、不利な金融商品のため・全体的に見直し、貯蓄を増やすことを第一に考えてください。
入院せずに亡くなるケースも多いものです。
(横川 由理)
- 1セカンドライフで必要な資金について考える
2、今後のキャッシュフローについて考える
3、家計のバランスシート(資産と負債)を作る子どもが独り立ちして、支出がぐっと下がると思います。
しかし、定年後に年金生活になった時の収支を考えて、どこまで保険でカバーして、どこまで貯蓄で賄うかを考えなければいけません。
年金生活後に、保険料を払い続けられるか、を考える必要があります。
まとまった資金があれば、一時払い商品を活用する方法もありますが、現在の資産や負債を書き出し、キャッシュフロー表などを作成すると良いでしょう。
これから定年までにいくらお金を貯められるか?ということも明確になります。
(冨士野 喜子)
- 夫に万一時の死亡保障の適正化(大型の保障は不要)
夫婦の老後に向けた生活費の確保
夫婦の老後に向けた医療や介護への備え子どもが独立して夫婦のみの生活になれば、次に考えるのは自分たちの老後への備えです。
公的年金や退職金、私的年金で不足がないかどうか確認し、不足があればどのようにして備えるか、収入が限られていく中で想定外の医療費や介護費が必要になった時に困ることのないような備えをどのようにしておくか等がポイントになります。
(松浦 建二)
まとめ
FPの方のコメントからも、子供が独立した後には死亡保障の見直しと、老後を見据えた計画的な貯蓄が大切だということがわかりますね。
子供が独立した後も保険がそのままになっている方は、加入中の保険を一度見直しておきましょう。
老後を見据えた計画的な貯蓄方法については、次の記事でFPの方たちにより詳しく具体的に説明してもらっています。
ぜひご覧ください。


おすすめ
アンケートにご協力いただいたFPの方々(50音順、敬称略)








