更新日:2021/04/05
生命保険金は特別受益に原則ならない!遺産についてわかりやすく解説
生命保険金が遺産相続において特別受益になるのか?ならないのか?を具体的な事例を交えながらくわしく解説しています。また遺産相続において生命保険が円滑な相続を手助けしてくれることや、相続を考えた生命保険の見直しなどもお伝えしていきます。
内容をまとめると
- 相続で何が特別受益になるのか知っておく
- 生命保険金が特別受益になる・ならないケースをわかっておく
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目次を使って気になるところから読みましょう!
生命保険金は特別受益に原則ならない!遺産についてわかりやすく解説
みなさんも突然家族や親戚が亡くなり、遺産分割をしなければいけない時が訪れるのではないでしょうか?
また、誰もが「遺産分割を円滑に終わらせたい。」と思いながら、行動されるのではないでしょうか?
さらに、遺産としてご自身が受取人となっている生命保険金を手にした時、遺産分割をどう考えればいいのか迷われるのではないでしょうか?
この記事では、
- そもそも特別受益とは?
- 生命保険金は特別受益として原則扱われない
- 特別受益とみなされる基準・条件とは?
について解説していきます
最後まで見ていただくことで必ずお役に立てると思います
ほけんROOMでは他にも生命保険に関する記事や相続・保険全般に関する記事を掲載していますので、お悩みの方は他の記事も参考にしてみて下さい。
そもそも遺産相続に関わる「特別受益」とは
特別受益とは、相続人の一人が亡くなった人から生前や死後に譲り受けたお金や価値のことをいいます。
また、こうしたお金や価値を生前に受取った人を特別受益者といいます
特別受益者の範囲は法定相続人までになります。法定相続人以外への贈与や遺贈は基本的に特別受益になりません。
特別受益の対象は、主に遺贈・学費・結婚式費用・開業資金・不動産の購入資金・生活費の援助などが挙げられます。
ここに挙げたものが全てすぐに特別受益として扱われるわけではなく、実際には個別の事情などを考慮しながら判断していくようになります。
また、このように特別受益という仕組みがあることによって相続人間の不公平な相続を起こりにくくすることができるのです。
ただし、特別受益を適用するには財産調査によって亡くなった人の通帳に特定の相続人への贈与が確認できる記帳が残っている場合など一定の条件が必要になってきます。
さらに、特別受益が認められれば特別受益の持ち戻しが行われ、法定相続分の計算を再度行うことになります。
以上のことから、特別受益を事前に知っておくことで相続手続き時に遺産分割でもめることを少しでも減らせますし、相続人間での話し合いもスムーズに進めていくことができるのではないでしょうか。
生命保険金は原則、特別受益にならない
生命保険から支払われる死亡保険金は原則「受取人固有の財産」として扱われます。
具体例を挙げると、契約者(父母)と被保険者(父母)が同一人の生命保険があり、死亡保険金受取人(子)が指定されている契約があるとしましょう。
この場合に被保険者が死亡して保険金が支払われたとしたら、原則 死亡保険金は「受取人固有の財産」という扱いになります。
これは平成16年10月29日の最高裁判決でも言われています。
ただし、死亡保険金を一人の相続人だけが受け取ることによって、他の相続人の平等性を著しく侵害する場合は死亡保険金を持ち戻し(特別受益)の対象にすると言われています。
これらのことから、
- 生命保険を活用して相続対策や財産分与をする時は相続人の間に著しく不平等な金額の差が出ないように配慮する必要があります。
- また、死亡保険金金額が相続財産の60%以上の保険金額にならないように注意することも必要になります。
以上のことに注意すれば、相続を円滑に進めていけると思います。
また、例外はありますが相続人以外への贈与(孫)なども考えられてもいいでしょう
これまでのことで、生命保険は上手に活用すれば相続を円滑に進めていけることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
その他、生命保険を活用することで、相続人の負担する税金を軽くすることもできるのです。
相続に備えて生命保険の見直しが必要です!
みなさん相続を考えた生命保険の見直しをされたことはありますか?
おそらくほとんどの方が見直しされたことがないのではないでしょうか?
そんな生命保険の見直しのポイントをお伝えしていこうと思います。
- ライフステージに合わせて保険を見直す。
多くの方がライフイベントとして、就職・結婚・教育・住宅・子供の独立・退職・老後などを体験していかれると思います。
その中で、必要な保障はイベントごとに違うのです。
例えば、子供が小さい時は死亡保障が必要になり、老後はご自身の介護・入院時の保障を必要として保険を準備されるなどイベントごとに必要な保障が変わっていくでしょう。
- 公的保障に上乗せするつもりで考える
ご自身が加入している健康保険の種類・保障などを一度確認されることをおすすめします
なぜなら、健康保険を利用することで医療費の負担は3割以下になります。
また傷病手当金・高額療養費制度を併せるとある程度の保障はみなさんもたれているからです。
これでも足りない保障を保険で補えばいいのではないでしょうか。
今までのような話を無料で気軽に相談できるのがマネーキャリアになっています
お金のプロに一度くわしく相談してみるのもいいのではないでしょうか?
生命保険金が特別に特別受益とみなされる条件
生命保険金が支払われる時に死亡受取人を指定している生命保険は特別受益とし、生命保険金を受取っていないとみなして遺産分割をしていきます。
それは、生命保険金を特定の個人が受取り残りの遺産を法定相続分で分けた時に、生命保険金を受取った人と受取ってない人とで金額に差が生じ不公平になるからです。
最高裁の判例(最高裁平成16年10月29日)でも、保険金を受取る相続人がいることで甚だしい不均衡が発生した時は特別受益の持ち戻しを行い相続人達が受け取る金額を計算しなおすとなっています。
これは、特別受益となるかどうかの判断には、保険金の額・保険金の額の遺産総額に対する割合など以外の色々な事情を思慮し判定していくようです。
生命保険金を特別受益とし、不公平をなくすべきと判断されたとき
生命保険金の受け取り方によって特別受益の判断がわかれます。
この判断基準は次の2パターンに分かれます
- 個人を指定せず相続人全員(法定相続分)で受取る
- 生命保険金の受取人が個人を指定してる
生命保険金を相続人全員で分けた場合は、特別受益となりにくいです。
なぜなら、相続人の間で金額に不平等が起きづらいからです。
また、生命保険金受取を個人に指定している場合は特別受益となりやすいです。
それは、相続人の間で著しく不平等な相続が発生し問題があるからです。
具体例をあげれば、
被相続人 | 母 |
---|---|
相続人 | 長女・次女 |
遺産 | 預金1000万円 |
生命保険金 | 5000万円(長女受取) |
この場合、預金1000万円は、長女と次女がそれぞれ500万円づつ相続します。
さらに、長女は5000万円の生命保険金も受け取ります。
以上のことから相続金額の差は生命保険金を特別受益として取り扱い、不公平を是正すべきではないかと判断されます
保険金受取人と他の相続人との不公平を検討する基準とは?
生命保険金を受取ったことによって相続人間の相続金額に差が出ることがありますが、
不平等を検討する基準は以下の様々な事情を考慮して判断されています。
例えば、
- 保険金の金額 または保険金額と遺産総額の比率
- 同居の有無
- 他の共同相続人と被相続人との関係
などが挙げられます。
判例としては、名古屋高裁(平成18年3月27日)で生命保険金の特別受益が認められたケースをご紹介します。
- 被相続人:夫
- 相続人:後妻、先妻との長男・次男
- 遺産額:8000万円
- 生命保険金:後妻 受取人で5000万円
この場合の遺産を法定相続分で分けると、後妻は生命保険金の5000万円を受け取り、併せて9000万円の財産を取得したことになります。
後妻が相続した金額は、遺産総額の62%近くあることから著しい不平等が起きていると判断されました。
また、長男・次男による同居を伴う介護などの寄与分が認められればより相続金額の差が不平等であると判断されてもおかしくないでしょう。
このように判断基準は、相続人の様々な事情を考慮して判断されますが、判例からもわかるように弁護士や専門家の見解もケースによって判断がわかれています。色々な判例を参考にすることをおすすめします。
生命保険金が特別受益となった・ならなかった事例や判例
生命保険金が特別受益となるか?ならないかは?過去の事例や判例から裁判所の見解も分かれています。
また、生命保険金は原則特別受益にならないとされるケースとなるケースの両方が存在することも事実です。
それぞれのケースの具体的な判例を見ていくことで、少しでも生命保険金の特別受益に対する考え方や判断材料の1つになればいいと思います。
また、将来自身が生命保険金を受け取るようなことがあれば、相続トラブルを防ぐ一助になるのではないでしょうか?
生命保険金が特別受益となった事例
裁判所の判例によると、
- 1.相続財産が1億134万円に対し、生命保険金約1億円(相続財産との比率が約99%)・・・東京高等裁判所(平成17年10月27日決定 )
- 2.相続財産が8423万円に対し、生命保険金5154万円(相続財産との比率が約61%)・・・名古屋高等裁判所平成18年3月27日決定
この2つの判例から生命保険金が特別受益となるかどうかの判断は、相続財産に対する生命保険金の金額がどのくらいであるかが1つの判断基準になっていることが伺えます。
また、相続人同士の著しく不平等な相続が起きた時は、生命保険金は特別受益とみなされ持ち戻ししなければいけなくなることが考えられます。
以上のことから、2つの判例にあるような生命保険金が高額になるときは特に注意が必要になります。
さらに、生命保険金を使って円滑な相続を考えている方は、相続財産を調査し自身の生命保険金が高額になりすぎていないかを一度確認されることをおすすめします。
もし、生命保険金が相続財産に対して高額になっている場合は、早めに弁護士やファイナンシャルプランナーに相談することで、将来の思わぬ相続トラブルをさけることができるのではないでしょうか。
生命保険金が特別受益とならなかった事例
主な2つの判例があります。
- 相続財産が6963万円に対し、生命保険金428万円(相続財産との比率が約6%)・・・大阪家庭裁判所堺支部平成18年3月22日審判
- 相続財産が5247万円に対し、生命保険金792万円(相続財産との比率が約15%)・・・最高裁判所第2小法廷平成16年10月29日決定
2つの判例から、やはり生命保険金が特別受益となるかどうかの判断は、相続財産に対する生命保険金の金額がどのくらいであるかも1つの判断基準になっていることが考えられます。
また、一概にはいえませんが生命保険金が相続財産の60%以上を占めているかどうかも判断基準になっている可能性が考えられます。
ただ判例からも、相続財産に対して生命保険金が何%までなら特別受益にならないのかは、一概に判断ができません。
以上のことから、生命保険金が特別受益とならないためにどうすればいいかを個人で判断するのはなかなか難しいものがあります。
さらに、間違った判断で相続の準備をすると、将来相続トラブルになりかねません。
まずは弁護士や専門家に相談することで、安心して相続を進めていくことができるのではないでしょうか。さらに相続人間の争いもさけることができるのではないでしょうか。
まとめ
これまでの生命保険金の特別受益に関する解説はいかがだったでしょうか。
ポイントをまとめると、
- 相続で何が特別受益になるのか知っておく
- 生命保険金が特別受益になる・ならないケースをわかっておく
ということです。
遺産相続において、生命保険金を上手に活用することは相続での争いを少なくできるだけでなく、税制面でのメリットなども多くあります。
また、生命保険金は上手に活用することで相続手続きを簡単にできます。
以上のことから、生命保険金を相続で受取った時は相続人間で金額の差が大きくならないように考えながら進めていきましょう。
また、判断に迷ってしまう時は弁護士やファイナンシャルプランナーなどの専門家の判断も仰ぎながら、将来の円滑な相続の準備をしていきましょう。
ほけんROOMには他にも多数の役立つ記事が掲載されていますので、ぜひご覧ください。