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2018年8月から介護保険利用料が3割負担に!?対策はバッチリですか?

2018年8月から一部利用者の介護保険利用料3割負担の導入が決定しました。 では、3割負担の対象になるのは一体どんな人なのか?介護保険利用料軽減のためにはどんな方法があるのか?制度の概要とその対策について、わかりやすく解説させていただきたいと思います。

介護保険の一部利用者は介護保険利用料3割負担になる

2017年4月に介護保険法改正案が可決され、2018年8月から現役並み所得者の介護保険利用料3割負担の導入が決定しました。  

「えっ、ついこの前1割が2割になったんじゃなかった?」 そう思われた方も多いのでは。 

そう、2015年8月に一定所得以上を2割負担に引き上げてからわずか3年での3割負担の導入。


利用者とその家族からは「2割でも限界なのに」という悲痛な声が上がっています。


2017年8月から現役世代並みの所得者は介護保険利用料3割負担へ

介護保険利用料3割負担となるのは

「現役世代並みの所得者」と定義されています。

ではそれはどのような人で、どういった困難が生じるのか。 

そしてどんな対策をとればいいのか。 


間もなく来るそのときに備えて、利用料3割負担の概要とその対策をお伝えしたいと思います。

現役並み所得者の条件

3割負担となる「現役並み所得者」とは? 

その条件は以下のようになります。

 

・合計所得金額が220万円以上であり、


・単身世帯なら

年金収入+その他合計所得金額=340万円以上の人

(単身で年金収入だけの場合は344万円以上の人)


・二人以上世帯なら

年金収入+その他合計所得金額=463万円以上の人


(ちなみに合計所得金額=収入-必要経費。 

 給与所得者である場合は給与所得-所得控除で計算されます。) 


3割負担になる方は約12万人で、上位3%にあたります。 

ただし、40~64歳の第2号被保険者は、所得にかかわらず1割負担となります。


これまでの介護保険法改正の流れ

2000年に介護保険制度が創設されてから、まもなく18年。

介護保険にまつわる国民の負担は、上昇の一途をたどっています。  


まずは、40歳以上の国民全員が納める介護保険料。 


2000年は全国平均2,911円であったものが 、

2017年度の平均額は

会社員の方は5,642円 

国民健康保険の方は5,555円。

(自治体により額は異なります) 

実に倍にせまる勢いです。 


また、介護保険利用料も同様に上がって行きます。


2005年、特別養護老人ホームなど介護保険3施設で、 

居住費・食費が介護保険の給付から外されて全額自己負担となりました。 


2001年以降に新しくできた特養はホテルコストのかかる個室に限られていることもあり、 

もはや特養は

「格安で入れる救済施設」

とは言いがたいものになってきています。 


そして負担増の足音は、在宅の利用者にも確実に忍び寄ります。


2015年介護保険法が改正され2割負担が導入される

2015年に定められた2割負担に当たる人は約33万人で、全体の2割。

・合計所得金額が160万円以上であり、


・単身世帯なら

年金収入+その他合計所得金額=280万円以上の人


・二人以上世帯なら

年金収入+その他合計所得金額=346万円以上の人


となっています。

決して高収入とは言いがたいこの数字。 

2015年に2割負担になった約40万3,000人のうち、 サービス利用を減らした人は約16万7,000人、特養・老健・介護療養からの退所を余儀なくされた人は1,600人以上もいるのです。


 私の職場の利用者であるTさん(男性・当時87歳・要介護1)のことをお話しします。


 Tさんはギリギリの所得額で2割負担になってしまった方です。 2割の介護保険利用料は、とても払うことができないものでした。

Tさんは独り暮らしであるため、家のことをしてくれる訪問ヘルパーを止めることはできません。結局、週2回の機能訓練型デイサービスをあきらめることになったのです。 


その後半年もたたないうちに、伝い歩きをしていたTさんは車椅子になりました。現在の区分は、要介護2。でも介護保険利用料が払えないため、デイサービスにはやっぱり行けません。 

「リハビリを続けて、ずっと自分の足で歩きたかった」とTさんは言います。自宅にこもりきりであることから、最近は認知機能も低下してきてきたようです。 


2017年介護保険法案が可決され3割負担導入が決まった

そして2割負担導入のわずか2年後、介護保険利用料3割負担の導入が決まりました。  

3割負担者の条件である、収入が単身で344万円・夫婦で463万円以上という数字。高齢者としては確かに高収入であるようにも感じます。


しかし3割負担該当者の中には、たまたまその前年に臨時の不動産収入があっただけの方もいます。 また現代の高齢者は、住宅ローンを抱えている・配偶者が高額の施設に入っている・子世帯を支援しているなど、リタイア後でもなかなか悠々自適とは言いがたい事情をお持ちの方も少なくありません。


たった4年で介護保険利用料が1割負担から3割負担へ、つまり3倍になってしまうわけです。これは当事者にとっては、もはや死活問題と言っても過言ではないでしょう。


介護保険利用料の負担を軽減するための高額介護サービス費制度

では、例えば3割負担者である要介護5の方が単位数すべてを使った場合。

計算上の介護保険利用料は

36,065×10×0.3=108,195となります。 

(等級別単価10円/1単位の場合)


自己負担は、10万円をゆうに超えてしまうのでしょうか?


いいえ、その場合は介護保険利用料負担軽減のための

「高額介護サービス費制度」

を利用することができるのです。  

高額介護サービス費制度の対象者

収入により設定された負担限度額を超えて介護保険利用料を支払ったすべての方が、高額介護サービス費支給の対象となります。

ただし福祉用具の購入費や住宅改修費は支給対象とはなりません。

申請しないと戻って来ないのでご注意。 

また、 2年以内に行わないと無効となります。


介護サービスを利用して支払いを終えたのち、支給の要件を満たす方には通知と申請書が届きます。申請書に必要事項を記入して市区町村の窓口へ提出しましょう。一度申請すると、それ以後の申請は不要です。 


なお、申請の際には介護保険利用料の領収書が必要ですので保管しておきましょう。

高額介護サービス費制度による自己負担額

自己負担限度額は収入により以下のように異なります。(月額)

第1段階…15,000円(個人)

 生活保護受給者/老齢福祉年金受給者で世帯全員が住民税非課税


第2段階…15,000円(個人)
 全員が住民税非課税で公的年金等収入が80万円以下

第3段階…24,600円(世帯)
 全員が市民税非課税で第2段階に該当しない世帯

第4段階…上限額44,400円(世帯)
 住民税課税世帯

第5段階…上限額44,400円(世帯)
 現役並み所得者がいる世帯


第4段階は2017年8月に、37,200円から第5段階と同額に切り上げられました。

ただし第4段階のうち介護保険利用料が1割負担の世帯については、年間上限額が44万6,400円という3年間の措置があります。月当たりでは3万7,200円となり、実質は今まで通りとなります。


そしてまた出ました、第5段階の「現役並み」。先ほどの3割負担者とは定義が違うので注意です。 以下の条件をどちらも満たす世帯が該当します。


・世帯内に課税所得145万円以上の被保険者がいる

(課税所得=合計所得金額-所得控除) 


・世帯内の第1号被保険者の収入の合計額が520万円

(単身世帯なら383万円)以上


まとめ

2000年、介護を「家庭内の問題」から「社会全体の問題」としてとらえることを目的に始まった介護保険制度。

しかし17年が過ぎたいま、介護保険利用料の2割負担や3割負担が導入されることにより、要介護者は前出のTさんのように再び家庭に押しこめられようとしています。 


今回お伝えした高額介護サービス費制度だけでなく、


・高額医療高額介護合算制度を使う

・市町村特別給付(オムツの補助・住宅改修費助成など)を使う

・介護タクシーの代わりに福祉有償運送(ボランティアによる送迎)を利用する

・ヘルパーに買い物をしてもらう代わりにスーパーの宅配を頼む

・ヘルパーに食事を作ってもらう代わりに宅配弁当を取る


などを検討し、介護保険利用料の軽減に取り組んでいただければと思います。


介護は長丁場です。 ご家庭の経済状況はしっかりケアマネジャーに伝え、できる限り適切なサービス受けられるよう納得いくまで話し合ってください。たとえプロが相手だからといって遠慮することはありません。


3割負担・2割負担の利用者さんとそのご家族が、今まで通りの穏やかな生活を続けられることを心からお祈りしています。


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