あなたは1割負担?それとも2割負担?介護保険制度の内容と考察

2015年以前は、基本的に誰しも1割負担だった介護保険制度でしたが、このたびの介護保険法の改正で、第1号被保険者の方は所得により1割負担と2割負担に割り振られることになりました。2割負担の人が新たに設定された裏には、介護保険制度が抱える切実な問題がありました。

介護保険の自己負担割合が1割になる人2割になる人

介護保険料の根拠となる法律は介護保険法です。

この法律は、三年ごとに改正され、最近では2017年に改正されました。


これにより平成30年(2018年)度における介護保険制度は、再び変更されることになりましたが、ここではその内容には触れないこととし、現行の制度を決定することとなった2014年の改正内容をもとにご説明します。


また、介護保険には公的介護保険と民間の介護保険の2種類があります。

単に「介護保険」と表記した場合、それは公的介護保険を意味している場合がほとんどです。

本稿でも公的な介護保険についてご説明します。

介護保険の自己負担額は2種類ある

介護保険の自己負担額には、1割負担、2割負担の2種類があります。

正確に言うと、もう1種類(3割負担)あるのですが、こちらは介護保険料を滞納した場合におけるペナルティとしての措置になります。

これに関しましては、別稿で詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。



また、実は自己負担の方法(残りの割合の支給方法)にもいろいろな種類があるのですが、これも介護保険料の滞納と関係があるので、割愛します。

介護保険の1割と2割はどうやって分けられているのか

後で述べるように、介護保険の基本原則は「国民全体の助け合い」です。

つまり、所得が多い人などは2割負担になりますし、また65歳以上など介護を必要としている割合が多い世代では、よりその傾向が強まります。


実際に、1割負担と2割負担の区別があるのは65歳以上の方(第1号被保険者)の方のみで、40歳以上65歳未満の方は所得にかかわらず一律1割負担となっています。


65歳以上の所得上位20%が2割負担

介護保険料が1割負担か2割負担かは、「相対的に」決定されます。

つまり、65歳以上の所得上位20%に当たる場合には自己負担割合が2割となります。

反対に、残りの80%に該当される方は、1割負担になります。


ところで、上記の通りあくまで「相対的」な高所得者ですので、絶対的に見れば必ずしも豊かとはいえない方も2割負担の対象となっていることもあります。

2015年以前は全員が1割負担だった

2014年に介護保険法が改正され、2015年にその制度が施行されるまでは、第1号被保険者、第2号被保険者の区別に関係なく、全員が1割負担でした。

※介護保険料対応によるペナルティとしての1割負担から3割負担への一時的な負担割合の変更は除きます。


※正確に言うと、第2号被保険者の年齢層に当たる40歳から65歳未満の方で、生活保護を受給されている場合は、医療保険とともに介護保険からも脱退しますので、全額自己負担となります。


※しかし、生活保護受給者の方には、別途介護扶助といって、介護に必要なお金が支給されます。


このように、いくつかの例外はあるものの、きちんと介護保険料を納めている方は、誰であっても1割負担のころがありました。

介護保険制度が改正され一部の人の自己負担割合が2割にアップした

上述のように、2015年の介護保険法の改正で、新たに2割負担という枠が新設され、65歳以上の方のうち、上位2割の相対的高所得者の方の自己負担割合が2割に上がりました。

なぜ引き上げられたのか



これは、介護保険法の基本理念や、今後の介護保険制度の行方を考えるうえで重要なので、やや詳しくご説明します。

介護保険法の第1条には、「国民の共同連帯の理念」に基づくという定めがあります。

そのうえで、介護保険については以下のポイントに分けて議論されてきました。


まず、「制度の持続可能性」について。

これは、大変重い問題です。

というのは、介護保険制度は税金や介護保険料を納める人たちによって成り立っているからです。


これが、変化しない、または減少する傾向にあるうえで、しかも介護保険の給付対象者や給付額は年々増加しています。


※厚生労働省が2013年に行った調査によりますと、65歳以上のいわゆる第1号被保険者の数は2000年度の約1.43倍。

要支援・要介護認定を受けた方は約2.59倍。

介護サービス利用者は約3.16倍となっています。


一方で、「明るく活力のある超高齢社会の構築」「社会保障の総合化」は、必ずしも「制度の持続可能性」と両立しません。


例えば、要支援・要介護者にとって住みよい社会とするためには、1割負担を継続したほうが良いのですが、1割負担の収入のみでは、財源が不足してしまいます。


したがって、2割負担(またはそれ以上)に増やしたほうが制度の持続可能性は高まりますが、それにより困難を強いられる要支援・要介護者は増加するでしょう。


日本の介護保険制度が、年々負担割合の増加、支給割合の減少(これまで1割負担だった場合には9割支給されていたものが、2割負担になることによって8割しか支給されない)の方向に動いているのは、それだけ制度の持続可能性が揺らいでいるからです。


しかし、生活困窮者の方の負担を増やすわけにはいきませんから、あくまで比較的介護サービスを利用する割合の多い、65歳以上の第1号被保険者の方に着目し、一部の方に2割負担をお願いした、ということになります。

高額介護サービス費も変わった

高額介護サービス費とは、1か月の自己負担額が一定額以上になると、それを超過した分については、支給を受けられるというものです。

これについても、所得の金額に応じて、高所得世帯の高額介護サービス費支給の条件がより厳しくなりました。

要介護度ごとに支給限度額は違う



介護保険の認定を受けると、要支援・要介護度が決定されます。

要支援は1と2の2段階。

要介護は、要支援よりも重い状態であり、全5段階あります。


ところで介護保険を利用して、様々なサービスを受けられますが、その支給額には限度額が設定されています。


利用者はケアマネジャーと相談の上、通常、限度額の範囲内でサービスを受け、その1割(所得により2割)を自己負担することになります。限度額を超えてサービスを利用した場合には、超えた分は全額(10割)を自己負担しなくてはなりません。詳細な金額は、市町村によって異なります。(詳細の金額が知りたい場合は各自治体に確認すると教えてくれる場合が多いです。)

まとめ

いかがだったでしょうか。

ちなみに、自分が1割負担か2割負担かについては、介護保険負担割合証を見ることで確かめられます。

※年度中に1割負担⇒2割負担や、2割負担⇒1割負担に変更となる事情がある場合には、届け出が必要なことがあります。


今後、さらなる超高齢社会が予想される中、負担割合の増加は避けられないテーマです。

最初に述べました通り、2017年にふたたび介護保険法が改正され、2018年から新たな介護保険制度が始まります。


それに関する詳細は、また別の機会にご説明いたします。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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