介護保険料が介護保険料控除制度で所得税や住民税を軽減できます。

介護保険料も介護医療保険料控除を利用することで、私たちが支払っている所得税や住民税を軽減することができます。特に介護保険料の控除については税制改正によって新設された枠で、節税効果が期待できる制度ですから、ニーズに合わせてぜひ有効的に活用してください。

介護保険料控除控除に関して知っておくべき知識まとめ

介護保険には、要介護状態により介護サービスを受けた場合には、一定の費用が自己負担になる『現物給付』の公的介護保険と、要介護状態になった場合に一時金や年金等のかたちで現金が支払われる『現金給付』の民間の介護保険とがあります。


65歳以上の人の公的介護保険料は、年末調整や所得申告などの社会保険料控除の対象となりますが、民間の保険会社が取り扱う介護に備える介護保険料は、『介護医療保険料控除』(介護保険料控除)として平成22年の税制改正であらたに生命保険料控除へ加えられて、生命保険料控除と個人年金保険料控除、介護医療保険料控除(介護保険料控除)の3つの控除が適用されることになりました。

また、民間企業介護保険料の介護医療保険料控除(介護保険料控除)の対象となる保険契約は、平成24年1月1日以後に契約した医療保険や介護保険などで、保険契約の保障内容は、疾病や身体の障害等による医療費の支払いに対して保険金を出すものです。




介護保険料控除に注目すべきタイミング

介護保険料控除に注目すべきタイミング


① 保険の更新とき

保険契約が平成23年度12月31日以前の場合でも、更新時は新制度の適用がされ、これまで控除対象でなかった保険料が控除対象となる可能性があるのです。



② 医療保険などに新規加入するとき


平成24年以降に加入した保険はすべて新制度が適用されます。

今まで生命保険のみで所得税や住民税を控除していた場合、上限で計算をすると68,000円も控除できる金額が増える可能性があります。


③ 年末調整・確定申告とき


年末調整や確定申告を忘れてしまったら、還付金がもらえませんので注意が必要です。



生命保険料控除の種類

生命保険料控除の種類


新制度(平成24年1月1日以後の契約)



  • 一般生命保険料控除 
  • 介護医療保険料控除 (介護保険料控除)
  • 個人年金保険料控除


旧制度(平成23年12月31日以前の契約) 


  • 一般生命保険料控除
  • 個人年金保険料控除


介護保険料控除の対象となる保険契約は?




介護医療保険料控除(介護保険料控除)の対象となる契約

 

平成24年1月1日以後に契約した下記等の契約です。


  • 医療保険
  • 医療費用保険
  • がん保険
  • 介護保障保険
  • 介護費用保険

 

入院・通院等にともなう給付部分にかかる、主契約保険料や特約保険料が対象と考えると分かりやすいでしょう。


生命保険料控除の対象となる保険を大きく分けると、新生命保険料、介護医療保険料(介護保険料控除)、新個人年金保険料とに分かれ、平成23年12月31日以前のものは、旧生命保険料、旧個人年金保険料と定義されています。


 ① 新生命保険料


  〇 生存や死亡に対して保険金が支払われる契約

   

    ・生命保険会社や外国生命保険会社等と締結した保険契約が対象となります。


 
  〇 旧簡易生命保険契約


    ・旧簡易生命保険契約とは、2007年の郵政民営化以前に契約されたものを指し、旧簡

     易生命保険契約のうち、生存や死亡に対して保険金が支払われる契約が対象となり

     ます。


  〇 農業共同組合と締結した生命共済に関わる契約


 ② 介護医療保険料(介護保険料控除)


  〇 生命保険会社や損害保険会社等と締結した契約のうち、医療費に対して保険金が支払

    われるものが対象となりますが、傷害保険は対象となりません。


  〇 簡易生命保険契約のうち、疾病や身体の障害等に対して保険金が支払われる契約(た

    だし医療費のみ対象とする)


 ③ 新個人年金保険料


  〇 年金の受取人が払い込みをした本人または配偶者


  〇 10年以上にわたって定期的に保険料を支払う契約

    ・一括支払いのように、一時的に大きな金額を払い込む契約は対象外となります。


  〇 年金の受け取りが満60歳以降とされている契約


介護保険料控除で控除できる金額

生命保険料控除に金額を計算するときは、契約日が平成23年12月31日以前なのか、それとも平成24年1月1日以後なのかということが関係してきます。


年間払込保険料は、その年の1月1日から12月31日までに払い込んだ保険料ですが、税制適格特約の付加された個人年金保険以外は、一般的にその年に支払われた配当金を差し引いた金額になります。 


最大限の控除が受けられるのは年間保険料8万円以上 


3種類ある控除を最大まで利用するためには、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除について対象となるような生命保険を、それぞれに年間8万円以上支払っていることが条件になります。 


◎ 所得税:年間払込保険料8万円以上・・・控除額4万円 

◎ 住民税:年間払込保険料56,000円以上・・・控除額28,000円 


たとえ数十万円の高額な保険料を支払っていたとしても、控除額が大きくなるわけではありません。



一般生命保険料・介護医療保険料(介護保険料)・個人年金保険料の生命保険料控除額


所得税 


年間払込保険料額控除額
20,000円以下保険料全額
20,000円超 ~ 40,000円保険料の1/2 + 10,000円
40,000円超 ~ 80,000円保険料の1/4 + 20,000円
80,000円超40,000円(一律)

住民税


年間払込保険料額控除額
12,000円以下保険料全額
12,000円超 ~ 36,000円保険料の1/2 +  6,000円
32,000円超 ~ 56,000円保険料の1/4 + 14,000円
56,000円超28,000円(一律)

 

旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

年間支払保険料合計控除される金額
25,000円以下払込保険料の全額
25,000円超 ~ 50,000円以下(正味払込保険料×1/2)+ 12,500円
50,000円超 ~ 100,000円以下(正味払込保険料×1/4)+ 25,000円
100,000円超一律50,000円

新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

年間支払保険料合計控除される金額
20,000円以下払込保険料の全額
20,000円超 ~ 40,000円以下(正味払込保険料×1/2)+ 10,000円
40,000円超 ~ 80,000円以下(正味払込保険料×1/4)+ 20,000円
80,000円超一律40,000円

旧契約と新契約が混在するときの控除額

旧契約と新契約の両方の保険契約があり、両方の支払保険料について、生命保険料控除または個人年金保険料控除、介護医療保険料(介護保険料)の適用を受ける場合には、それぞれの控除ごとに計算した控除額のうち、最も有利なものを選ぶことができます。 

いずれの場合も、介護医療保険料控除と合わせた最大の控除額は、所得税の場合12万円となります。


なお、住民税の計算の場合の適用金額は、所得税の場合と異なっていますのでご注意ください。


納付した介護保険料額の確認方法

1.市から発行された納付書を使って現金で介護保険料を納められた方は、お手持ちの領収書に

 て確認できます。


2.口座振替を利用して介護保険料を納められた方は、市区町村から送付される『口座振替済通

 知書』で、前年中に口座振替で納付された介護保険料額が、記載されていますので確認でき

 ます。


3.年金からの天引きで介護保険料を納められた方は、市区町村から送付される『介護保険料決

 定通知書等』または、1月に年金保険者(日本年金機構等)から送られてくる公的年金等の

 源泉徴収票に、前年1年間に特別徴収された社会保険料額(介護保険料・後期高齢医療保険

 料・国民健康保険料の合算)が、記載されていますので確認できます。 


 ※ 遺族年金、障害年金については公的年金等の源泉徴収票は発行されません。




普通徴収で納められた方の確認方法

65歳以上の方が介護保険料の年税額を4回に分けて、現金または口座振替にて納付されるのが普通徴収です。


市区町村から発行された納付書を使って、現金で介護保険料を納められた方は、お手持ちの領収書を確認し、1月1日から12月31日までの1年間に納付された金額を合計した額が、1年間に納めた介護保険料額となります。


また、口座振替を利用して介護保険料を納められた方は、振替口座の通帳もしくは前年中に口座振替された介護保険料額を記載した『口座振替済通知書』が、市区町村より送付されますので、その通知書にても確認することが可能です。


特別徴収で納められた方の確認方法

65歳以上の方が介護保険料の年税額を、受給されている年金からの天引きで納付されるのが特別徴収です。


市区町村よりお送りしている『介護保険料決定通知書等』を参考に、前年2月(昨年度の6期分)から12月(今年度の5期分)に支給された、年金から引かれている介護保険料額を合計した額が、1年間に収めた介護保険料となります。


なお、年金保険者(日本年金機構等)から送られてくる公的年金等の源泉徴収票に、前年1年間に特別徴収された社会保険料額(介護保険料・後期高齢医療保険料・国民健康保険料の合算)が記載されています。 


遺族年金、障害年金については公的年金等の源泉徴収票は発行されません。  


介護保険料控除の手続き方法

納税者が生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度が生命保険料控除です。 


平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料と、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料では、生命保険料控除の取扱いが異なります。 


国税庁 No.1140 生命保険料控除 生命保険料控除を受けるための手続よると、下記のように記載されています。


生命保険料控除を受ける場合には、確定申告書の生命保険料控除の欄に記入するほか、支払金額や控除を受けられることを証明する書類を、確定申告書に添付するか又は、確定申告書を提出する際に提示してください。


ただし、平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)等で年間保険料が9千円以下のものと年末調整の際に控除を受けたものは、その必要がありません。




会社員の場合の生命保険料控除の手続きは、一般的に生命保険会社が発行する生命保険料控除証明書を勤務先に提出して、年末調整で手続きをされる場合が多いと思われますが、 仮に勤務先で手続きをしなかった会社員の方についても、生命保険料控除証明書を確定申告書に添付して還付申告を行うことができますので、年末調整で手続きされていない方は確定申告が必要です。


一方自営業者の方の場合には、原則として生命保険料控除証明書を確定申告書に添付し、手続きを行うことになります。



介護保険料控除で注意すべきポイント

介護医療保険料控除(介護保険料控除)で注意すべきポイントとして、下記に記載している4点が必要です。


  1. 保険の更新が必要 
  2. 5年未満の保険には適用されない 
  3. 貯蓄型の保険にも適用されない 
  4. 傷害保険には適用されない 

詳しい内容に関しては、次の章以下でそれぞれに記載いたしましたのでご覧ください。


保険の更新が必要

介護医療保険料(介護保険料)の控除を受けられるのは、平成24年1月1日以降に契約された保険に限られますので、それ以前から更新を行っていない保険に関しては、控除の適用外になります。介護医療保険料控除証明書をよく確認してください。 

5年未満の保険には適用されない

保険期間が5年未満の生命保険などの中には、控除の対象とはならず、介護医療保険料の控除が適用されないものもありますので注意してください。 

貯蓄型の保険にも適用されない

貯蓄型の保険も控除の対象にはなりませんので、契約している保険のタイプをしっかりとチェックしてください。  

傷害保険には適用されない

控除が受けられる保険は、生命保険や損害保険であり、病気に対する医療費に対してのみ控除される制度ですので、傷害保険は控除の対象にはならないので注意しましょう。

まとめ

納税者が生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合に、一定金額の所得控除を受けることができる制度が生命保険料控除です。

所得税控除を受け還付金をもらうためには、生命保険料控除を年末調整もしくは確定申告にて、申告をする必要があります。


その際、支払金額や控除を受けられることを証明する書類を添付、または提示しなければなりませんので必ず保管してください。


2月15日から3月15日までが確定申告の期間となりますので、申告を忘れないようにしてください。


申告の仕方は非常にシンプルで、生命保険料控除の欄に記入して、支払金額や控除を受けられることを証明する書類を添付するだけです。


保険の見直し・加入の際には、保険料の安さだけに目を奪われて、単純に安い保険に切り替えると、結果的に損をすることも考えられます。生命保険料控除や介護医療保険料控除、個人年金保険料控除なども含め、総合的な観点から判断するようにしてください。

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