【体外受精中の体温】妊娠判定前の移植後や受精後の基礎体温とは

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体外受精中は基礎体温を測ると思いますが、妊娠判定前に体温が上がらない、下がらない、温度低下した。と様々な不安がありますよね。体温は排卵後に上がりますが、体温低下して妊娠したケースもあります。今回、不妊治療中の基礎体温を紹介し、異常体温で陽性になった事例も紹介します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

体外受精の体温を測る必要とは

そもそも基礎体温とは、生命を維持するにあたって、必要最小限のエネルギーでしか消費していない安静時の体温のことです。


女性の基礎体温には高温期低温期があり、一定のサイクルで繰り返しています。

排卵後に黄体ホルモンであるプロゲステロンの分泌に合わせて体温が上がります。この時期を高温期といい、約2週間ほど続きます。


この高温期に妊娠しなければ、次の排卵が起こるまでの約2週間の間で月経が始まり、体温が下がる低温期が続きます。


基礎体温を測ることで高温期と低温期のサイクルを把握し、排卵日を予測することができるため、最適なタイミングで体外受精を行うことができるので、体外受精の際に基礎体温を測ることは必要だと言えます。

体外受精の流れから見る基礎体温


体外受精の際に基礎体温を測ることの必要性について解説していきましたが、体外受精の流れがどのようになっているのだろう、と気になる方もいらっしゃると思いますので、体外受精の流れについて解説していきたいと思います。


まず、低温期に排卵誘発(卵巣刺激)を行い、その後同じ日に採卵・採精を行います。

その後体温が上がっていき、高温期になると受精を行い、胚培養を経て胚移植をします。そこで着床する確率が上がるように黄体ホルモンを補充し、胚移植から約2週間後に妊娠しているかどうかの判定を行います。


ちなみに高温期と低温期はどのくらいの温度になるのかというと、平均では高温期は36.7度より高く、低温期は36.7度より低くなり、およそ0.3度〜0.5度の温度差があります。

排卵誘発(卵巣刺激):低温気

先ほどはざっくりと体外受精の流れを解説しましたが、ここからは詳しく体外受精について説明していきます。


まず低温期に行う排卵誘発(卵巣刺激)について説明します。

体外受精は多くの卵子を採卵することが大事なので、この採卵誘発(卵巣刺激)では十分に成熟させて採卵するためにホルモン薬で排卵をコントロールします。


排卵誘発(卵巣刺激)には代表的な3つの方法があります。


  • 高刺激法
  • 低刺激法
  • 完全自然周期法
それぞれの方法の違いとして、年齢や希望採卵数、使用するホルモン薬の種類や投与方法、またそれぞれの方法で負担する費用にも違いがあります。そのため、体外受精を受ける方の希望や個々の卵巣状態に合わせて医師が相談し合い、決定していきます。

排卵後、採卵の時の基礎体温:低温気から高温期になる

排卵誘発(卵巣刺激)後、卵巣から成熟した卵子を排卵日直前に体外に取り出します。これを採卵といいます。


この採卵では、いかに良好な状態で多くの卵子を取り出すことができるかが重要となります。

特に問題がなければ、左右両方の卵巣からなるべく多くの卵子を採卵することや卵子の質にも配慮しながら採卵します。


排卵後、採卵する際にどのような原理で低温期から高温期になるのか気になるかと思います。実はこの排卵後の卵胞の残骸が黄体に変わります。


黄体とは、卵巣内で排卵によって成熟した卵子が放出された後に発達する小さく一時的な内分泌構造のことです。


この黄体から分泌される黄体ホルモンであるプロゲステロンが脳の体温調節中枢に働きます。そうすると平均0.3度以上体温が上がり、低温期から高温期になります。

受精の時の基礎体温:高温期

高温期になり、シャーレ上で卵子と精子を一緒にし、精子が自然と自ら卵子に進入し受精します。


この受精には2つの方法があり、それぞれのメリットやデメリット、費用も違います。また、この2つの方法を組み合わせた別の方法もあるため、採卵当日の卵子と当日使用予定の精子を確認し、最終的な受精方法を相談しながら決定します。


  • コンペンショナルIVF
  • 顕微授精(ICSI)


コンペンショナルIVFがいわゆる自然授精と呼ばれる方法で、メリットとしてはより自然な状態で受精することができるため、ストレスが少なくてすみます。しかし、受精障害であれば受精率が低下したり、約5%とという稀なケースではありますが多精子受精が起こってしまったりする可能性があるというデメリットがあります。


また、顕微授精(ICSI)とは顕微鏡下で細いガラス管を使って精子を卵子に注入させる方法です。これは受精障害が予測される場合や精子所見不良等の際に使われる方法です。

精子所見が不良であっても受精が可能であるというメリットもありますが、細いガラス管を使うことで卵子へのストレスがかかってしまうというデメリットもあります。

胚培養の時の基礎体温:高温期

受精した受精卵は胚培養されます。胚培養とは、この受精卵を培養器の中で専用の培養液で培養することです。


このとは、受精卵が細胞分裂を開始した時の呼び名です。次のステップとなる胚移植を行うまでの期間(受精してから2〜5日目まで)は、温度とガス濃度をコントロールすることができる「インキュベーター」という培養器の中で培養します。


受精前の卵子や受精後の胚は必要とする栄養素が変化するため、使用する培養液は受精方法や初期胚培養用・後期胚培養用、また受精から胚盤胞(約5日目)までの同じ構成の培養液等、卵子や胚の状態に最も適している培養液を準備し、使用しています。

胚卵胞移植の時の基礎体温:高温期

胚培養が終わると、胚移植が行われます。これは原則1つの胚を子宮内に戻すことです。この胚移植は5分程度で終わり、痛みもほとんどありません。


肺移植には3つの方法があるため、説明していきます。

  • 分割期胚移植
  • 胚盤胞移植
  • 二段階移植

まず分割期胚移植ですが、受精後2〜3日の分割期胚を子宮内に戻すことです。これはわりかし昔から行われている方法です。


次に胚盤胞移植です。これは受精卵を5〜6日培養した胚盤胞を着床直前に子宮に戻すことです。先ほど説明した分割期胚移植よりも移植あたりの妊娠率が高いと言われています。


最後に二段階移植ですが、分割期胚と胚盤胞を同じ周期で連続して子宮へ戻す方法です。しかし、この方法は多胎妊娠の確率が高まる可能性があります。

妊娠(着床)の時の基礎体温:高温期

胚移植が終わってから、高温期に着床環境を整えるために黄体ホルモンの補充を行います。

それから約2週間後、胚が子宮腔内に到達して着床したかどうかを調べるため、通常の尿による妊娠検査を行います。


尿による妊娠検査はどうやって着床したのかがわかるのか不思議に思われている方もいらっしゃると思います。


それは胚が着床するとのちに胎盤になる組織である絨毛からhCGという糖蛋白質ホルモンが分泌され、尿中に検出されため、尿検査で妊娠がわかるのです。


この時に、残念ながらごく初期の流産の場合、市販の妊娠検査薬で検査では検出できないことがあるため、尿検査や血液検査が必要になります。

体外受精の時の基礎体温がバラバラで体温がわからない!


体外受精の流れを詳しく解説してきましたが、あくまで平均的な基礎体温の高温期や低温期であった場合は良い目安になりますが、基礎体温がバラバラのため今高温期なのか、それとも低温期なのかわからないという方もいらっしゃると思います。


ではなぜ基礎体温がバラバラになってしまうのかというと、まず睡眠不足や起床する時間帯が同じでなく不規則な生活が続いたとき室温に影響されたときにバラバラになってしまします。


また、月経はあるけれども排卵を伴わない無排卵周期症という病気の可能性もあります。

この無排卵周期症は排卵が起きず、生理のように出血する破綻出血で月経と勘違いされる方も多いです。この病気の場合、排卵が起こらないため体温の変化が起こらない状態なので基礎体温のグラフをつけた際に2相に分かれません。

体外受精の胚移植後、基礎体温が上がらないと妊娠する可能性がないの?

また、体外受精の胚移植後は着床環境を整えるため黄体ホルモンを補充するため、基礎体温は上がるはずですが、基礎体温が上がらなければ妊娠する可能性がないのか、と不安になる方がいらっしゃると思います。


しかし、基礎体温は室温に影響されるため基礎体温が下がることもあります。

また、平熱も個人差があるのと同じように基礎体温にも個人差があります。一般的な目安として、基礎体温の高温期と低温期で0.3度以上の温度差があれば問題ないと言えます。


他にも、基礎体温表をつけている方はその体温表が2相性になっていれば排卵が起こっている

可能性が高いです。


ただし、月経周期が長かったり高温期が全くはっきりわからなかったり等のような場合には早めに病院で黄体ホルモン値の採血検査をしたほうが良いでしょう。


体外受精の胚移植後に基礎体温が低いままで陽性(妊娠)の可能性も

先ほどの解説を読まれた方は、基礎体温が胚移植後も低いままだったら妊娠できないとショックを受ける方がいらっしゃると思います。


しかし、胚移植後に基礎体温がほとんど上がらなかったにもかかわらず、妊娠された方(Aさん)がいらっしゃるのでご紹介させていただきます。


Aさんは自然周期による胚移植を行いました。移植時の黄体ホルモンの数値に異常はなかったのですが、基礎体温がほどんど上がりませんでした。


Aさんの低温期は36.3度〜36.4度くらいだったのですが、移植後から判定日前日までの基礎体温は36.5度前後しかなく、高温期と低温期の平均的な温度差である0.3度の差もありませんでした。


しかし、胚移植をしてから約1週間後に陽性判定が出ました。

Aさんのように、必ずしも胚移植後に基礎体温が低いままだから妊娠できないというわけではないので、諦めずに頑張っていきましょう。

まとめ:体外受精時に体温が低下しても焦らず、まず医師に相談

今回は体外受精時の場合の妊娠判定前の移植後や受精後の基礎体温について解説しましたが、いかがだったでしょうか?


今回の記事の大事なポイントは以下の3点になります。

  • 基礎体温を測り、自分の高温期や低温期のサイクルを把握する
  • 自分に合った体外受精の方法を医師と相談して決定する
  • 基礎体温がバラバラだったり、胚移植後上がらなかったりした際は自己判断せずに医師に相談する

体外受精や不妊治療を行う上で基礎体温を測り、高温期や低温期、排卵日等のサイクルを把握することはとても重要になります。


しかし、この基礎体温だけで全てを判断することは難しいので、基礎体温がバラバラだったり、胚移植後なのに基礎体温が上がらなかったり等の不安がある際には、まず医師に相談をしましょう。


また、体外受精の方法はステップごとに複数の方法があるため、年齢や希望採卵数、メリット・デメリット、費用について十分に考え、医師と相談しながらご自身に合った体外受精の方法を見つけて、焦らずに頑張っていきましょう。

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