更新日:2020/05/09
体外受精のデメリットが怖い!メリット・デメリットやリスクを紹介
体外受精ってなんだか怖い。デメリットはあるの?と不安な人もいますよね。実際に、体外受精は、妊娠率が不妊治療の中でも1番高くて有名ですが、費用や身体に大きく影響があるのも事実です。この記事では、体外受精のメリットとデメリット、デメリットの場合のリスクを紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
体外受精はデメリットがあるの?
早く赤ちゃんが欲しいと思っているのに、なかなか授かれないと、焦りや辛さが募りますよね。
これから体外受精を受ける人で注意してほしいことは、身体的負担が大きいことです。
体外受精を行うと、妊娠・出産できる可能性が上がりますが、いくつかのデメリットもあるため、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
この記事では、
- 体外受精の大まかな流れ
- 体外受精による妊娠率・出産率
- 体外受精の治療でかかりやすい病気
- 体外受精の費用
- 対外受精による多胎妊娠のリスク
について、解説していきます。
体外受精は、身体的負担と同時に子宮がんや子宮内膜症を後々発覚するケースも多く、不妊治療は中止になり、別途で手術費・入院費がかかる事例もあります。
よって、不妊治療中は医療保険に加入する方が多いようです。
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それでは紹介していきます。
「体外受精のデメリットやリスクが不安」体外受精の流れとは
体外受精の大まかな流れは、以下のようになります。
排卵誘発
質のいい卵子を採取するために排卵誘発剤の投薬・注射を行います。排卵誘発剤は様々な種類があり、刺激の強さや頻度が異なるため、卵巣の状態に合わせて排卵をコントロールしていきます。
採卵・採精
成熟した卵子を排卵日の直前に体外へ取り出します。採卵日に採精も行い、受精の準備をします。
受精
採精した精子のうち、運動性の高い精子を選んで採卵した卵子と受精させます。受精の方法は体外受精・顕微授精の2種類があります。
胚培養
受精を経た受精卵を培養液で2~3日間または5~6日間培養します。受精卵は細胞分裂を開始すると、胚になります。
胚移植
胚を以下のような方法で子宮内に移植します。
- 分割期胚移植
- 新鮮胚移植
- 凍結胚移植
移植後は黄体ホルモンの補充などを行い、着床率を高めます。
妊娠判定
胚移植から約1~2週間後、血液測定や尿判定などで妊娠判定をします。
体外受精のメリット
自然妊娠でなかなか授からず、体外受精を行ってみたいと考える人は多いと思います。その前に、体外受精にはどんなメリット・デメリットがあるのかを理解しておきましょう。
体外受精における最大のメリットは妊娠率・出産率が上がることですが、具体的にどれくらいの数値になるのか見ていきましょう。
また、不妊の原因は女性側だけにあるのではありません。男性側に原因がある場合、どのような診療を受けるのかについても説明していきます。
ここでは、体外受精のメリットについて、以下の内容を説明していきます。
- メリット①:妊娠率・出産率が上がる
- メリット②:男性不妊にも対応できる
妊娠率・出産率が高い
体外受精におけるメリットの1つ目は、妊娠率・出産率が上がることです。
一般的に、妊娠率・出産率は年齢とともに減少し、35歳・40歳でさらに減少率が加速します。しかし、体外受精の技術は日々進歩しているため、自然妊娠・出産を諦めた人も、適切な治療により妊娠・出産が実現する場合があります。
体外受精による妊娠率・出産率を神奈川レディースクリニック「これまでの妊娠実績」で見てみましょう。ここでは、2018年度の対外受精(新鮮胚移植・凍結胚移植)における妊娠率・出産率が公表されています。
新鮮胚移植は採卵した生理周期に胚を戻す方法で、凍結胚移植は一度凍結し子宮環境が整っている状態の時期に胚を戻す方法です。
2018年の体外受精による妊娠率/出産率(%)
年齢 | 新鮮胚移植 妊娠率/出産率 | 凍結胚移植 妊娠率/出産率 |
---|---|---|
29歳以下 | 48.1/37.0 | 57.4/49.2 |
30~32歳 | 48.3/39.7 | 48.3/40.3 |
33~35歳 | 35.9/30.1 | 55.8/45.4 |
36~38歳 | 22.8/16.1 | 42.0/31.9 |
39~41歳 | 18.7/14.0 | 31.8/23.4 |
42~44歳 | 10.7/5.7 | 26.3/14.2 |
45歳以上 | 3.2/0.0 | 16.4/8.2 |
体外受精も年齢とともに妊娠率・出産率は減少しますが、凍結胚移植では33~35歳の妊娠率55.8%、出産率45.4%という高い数値が出ています。
男性不妊にも対応している
体外受精におけるメリットの2つ目は、男性不妊にも対応できることです。
世界保健機構(WHO)のマニュアルでは、夫婦が避妊せず一般的な夫婦生活を行っているにもかかわらず、1年以上妊娠できない状態を不妊症と定義しています。
不妊症の原因は、女性側にある場合が多いですが、男性側にある場合や両方にある場合、原因不明の場合など様々です。
不妊の相談・治療では、女性主導になることが多く、最初に女性が婦人科で受診して、後から男性が受診するケースがほとんどでした。しかし、最近は男性不妊の認知が高まり、最初から夫婦一緒に受診することが増えています。
男性不妊は以下のような原因が挙げられます。
- 精巣(睾丸):無精子症
- 精路閉鎖
- 性交障害
- 内分泌ホルモン異常
男性不妊の診療では、問診・検査・画像診断・精液検査などが行われます。精液検査の結果をもとに薬物療法や外科手術、体外受精へと進みます。
体外受精のデメリット
- デメリット①:排卵誘発剤による卵巣過剰刺激症候群のリスク
- デメリット②:排卵誘発剤により太るリスク
- デメリット③:採卵時の出血や感染症のリスク
- デメリット④:体外受精にかかる高額費用
- デメリット⑤:多胎妊娠のリスク
排卵誘発剤による卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になるリスク
排卵誘発剤により太るリスク
体外受精におけるデメリットの2つ目は、排卵誘発剤による体重増加のリスクです。
排卵誘発剤であるクロミッド錠を服用した後、体重増加を経験する人は多いようです。
医学的には、クロミッド錠に体重増加の副作用はないとされています。しかし、クロミッド錠の服用により、卵胞刺激ホルモンが多く分泌されて、食欲の増進および体重の増加が誘発されるようです。
卵胞刺激ホルモンは卵胞を形成して排卵を促し、妊娠しやすい状態に近づけます。その際に、身体に脂肪を貯め込もうとして体重が増えやすくなるのです。
また、クロミッド錠の副作用には情動不安が挙げられます。食べることでストレスを発散させるタイプの人は、食事量が増えて体重増加が起こることも考えられます。
このように、クロミッド錠の服用においては、脂肪がたまりやすくなったり食欲が増えることによる間接的な体重増加の傾向が見られます。
採卵時の出血や感染症のリスク
不妊治療費が高い
体外受精におけるデメリットの4つ目は、費用が高いことです。
体外受精にかかる費用は、薬剤や手術の方法によって異なりますが、一回でおよそ40万円~70万円が相場です。
実際に体外受精の費用総額をシミュレーションでしてみましょう。
例えば、35歳女性が卵管性不妊で、初期胚1個を移植して残った胚3個(胚盤胞)を凍結保存したケースでは、約2周期間で費用総額は460,000円~495,000円になります。
費用内訳を見ていきましょう。
1周期目:12,900円~
- ホルモン検査
- 超音波エコー検査(1~2回)
2周期目: 460,000円~495,000円
- 排卵誘発剤注射
- 超音波エコー検査(5~6回)
- アンタゴニスト注射(4回)
- 末梢血検査・hCG注射
- 採卵費用+材料費+麻酔管理料=123,800円
- 3日間培養費+AHA+胚移植費+黄体管理費用=162,800~166,900円
- 胚盤胞追加培養費+胚凍結費+胚凍結保管費1年分+タイムラプス7日間= 112,000円
多胎妊娠のリスク
体外受精におけるデメリットの5つ目は、多胎妊娠のリスクです。
体外受精は自然妊娠よりも多胎妊娠(ふたご・みつご等)の可能性が高くなります。多胎妊娠の場合、低出生体重児として生まれることが多く、それゆえに先天異常のある障害児も多くなる傾向があります。
多胎妊娠における母体・児へのリスクをそれぞれ見てみましょう。
母体へのリスク
- 切迫早産による長期入院
- 妊娠高血圧症候群
- 妊娠糖尿病
- 前期破水
- 羊水過多
- 帝王切開
- 常位胎盤早期剥離
- 分娩時大量出血
- 母体死亡
児へのリスク
- 早産率が高い
- 子宮内胎児発育遅延および早産による低出生体重児・未熟児
- 無脳児・髄膜瘤・脊髄破裂などの神経系の異常
- 心奇形
- 食道閉鎖
- 子宮内胎児死亡
- 脳性麻痺
まとめ:体外受精のデメリットを知った上での決断を
体外受精のメリット・デメリットについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- 自然妊娠できない人も体外受精で妊娠・出産できる可能性が上がる
- 男性不妊が原因でも対応できる
- 排卵誘発剤により卵巣過剰刺激症候群になったり、太るリスクがある
- 採卵時に出血があったり、感染症になるリスクがある
- 体外受精の費用は40~70万円が相場
- 体外受精は多胎妊娠の可能性が高く、母子へのリスクがある
でした。
体外受精を行うと、自然妊娠が難しい人でも妊娠・出産できる可能性があります。まずは、不妊の原因や対策を知るために、夫婦で産婦人科へ行き、相談・診療するのがおすすめです。
体外受精のデメリットとしては、薬の副作用で卵巣過剰刺激症候群になったり、採卵時の出血や感染症になることなどが挙げられます。また、高額費用がかかり、多胎妊娠で母子へのリスクがあることも留意すべきポイントです。
体外受精を検討している人は、これらのデメリットも把握したうえで、実際に行うかどうかを決めるのが良いでしょう。
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