幼稚園の費用・私立と公立の違いは?無償化制度でどれくらい変わる?

幼児教育無償化により幼稚園費用がどれくらい変わるのか気になる方は多いと思います。無償化制度の利用には正しい知識が必要なので注意しましょう。ここでは私立と公立幼稚園の費用、や無償化制度、保育園との違いも解説します。またコロナの影響で費用が返ってくるのかも検討します。

幼稚園にかかる費用はどれくらい?内訳や無償化制度を徹底解説


幼稚園・保育園費用は、大きな支出です。


しかし費用だけでなく、時間や教育内容など、子供と親にとってバランスのよい選択をしたいものですね。

3歳になるタイミングで、保育園を継続するか、幼稚園へ転園するかで悩む保護者の方が多いのも事実です。


そこで、主に幼稚園への入園を検討されている保護者の方向けに

  • 公立・私立幼稚園の3年間の費用
  • 保育園との違い
  • 私立幼稚園の補助金
  • 令和元年から始まる幼児教育無償化制度

について解説していきたいと思います。


特に令和元年10月からスタートした幼児教育無償化制度は幼稚園の費用に大きく変わる制度です。無償化制度の内容や注意点も踏まえてご紹介します。


この記事を読めば、幼稚園にかかわる具体的な費用について知ることができるはずです。


ぜひ最後までご覧ください。

幼稚園の費用は私立と公立の違いが大きい!3年間の総額をそれぞれ解説

幼稚園には、公立幼稚園と私立幼稚園があります。

公立幼稚園は、自治体が運営し、比較的経済的負担が軽いのが特徴。  
私立幼稚園は学校法人などが運営し、園によって特徴を活かしたカリキュラムが組まれていることが多く、費用も高い印象です。
 

公立と私立の費用を全国の平均で比較してみましょう。
学費総額(円)公立私立
1年間平均223,647527,916
3年間(3~5歳) 649,0881,584,777

文部科学省発表 「平成30年度子供の学習費調査


3年間の学費総額を比較すると、私立は公立の約2.4倍になります。


学費総額の内訳は、「教育費」・「給食費」・「園外活動費」ですが、最も差が大きいのは、「教育費」で私立は公立の約2.7倍となっています。


また初年度に支払う入園料は公立で0~1万円、私立で5~20万円と言われています。

私立は園によって入園料の額に幅があり、受験料も必要になりますので、よく確認しておきましょう。


紹介した金額を全て保護者が負担するとなると、私立幼稚園の選択肢は消えてしまう家庭が多くなるかもしれません。

補助金制度や無償化制度は、この負担を小さくし、選択肢を広げるための制度と言えます。

幼稚園と保育園の違い|費用以外にも様々な違いがある

次は、幼稚園と保育園の違いを見ていきましょう。


保育園の保育料は、課税状況に応じてランクが決まり、預ける子供の人数や年齢や市区町村によって補助金額が変わります。

そのため同じ所得の人であっても、条件により保育料はかなり大きく差があります。


参考例として、3才児の場合の幼稚園・保育園で1ヶ月の平均的な保育料+給食費の相場は以下の通りです。

施設月平均(円)
公立幼稚園11,646
私立幼稚園30,188
保育園
(認可・無認可すべて)
21,138

厚生労働省平成27年地域児童福祉事業等調査の概況

及び文部科学省平成30年学習費調査より試算


なお認可外保育園は補助金が下りない施設が多いことから、平均保育料より高くなることが多くなっています。


さらに上記以外にはPTA会費や、制服代、教材費、バス代、延長保育料などが通園する園により加わってきます。

費用以外にもある幼稚園と保育園の違い

幼稚園と保育園は、管轄や根拠法令が異なることから、同じ子供を預かる場でも目的や方針が違うことを知っておきましょう。


ここでは幼稚園と保育園の大まかな特色を挙げてみます。

幼稚園の特色

  • 管轄・根拠法令:文部科学省・学校教育法
  • 目的:就学前の基礎をつくるための幼児期の教育を行う学校
  • 先生の保有資格:幼稚園教諭免許、定期的な更新がある
  • 対象年齢:満3歳~就学まで
  • 入園条件:なし。入園料がかかる場合がある
  • 給食:給食または弁当持参。
  • 保育時間は9:00~14:00頃の4時間程度、長期休みあり
  • 保護者同士の関わりや、役員負担・行事が多い
保育園の特色
  • 管轄・根拠法令:厚生労働省管轄、児童福祉法
  • 目的:健やかな保育をおこなう福祉施設
  • 先生の保有資格:保育士資格
  • 入園条件:親が就労や病気などにより、子供の保育が必要な状態であること
  • 対象年齢:0歳から就学まで
  • 給食:あり
  • 保育時間:7:30~18:00頃の8時間程度、長期休みなし
  • 保護者同士の関わりが少ない
幼稚園と保育園の両方の特色を併せ持ったのが、最近増え始めている「認定こども園」です。

幼稚園費用には補助金制度がある

主に私立幼稚園の通園に対する経済的負担を軽減する措置として、各自治体が補助金制度を設けています。


補助金の種類としては、私立幼稚園に対する就園奨励費補助金保育料補助金入園料補助金などになりますが、自治体によって補助金額の差が大きくあります。


また令和元年10月からの無償化の制度により、それ以前の補助金制度が廃止していたり、内容を変更している自治体が多くありますので、まずはお住まいの自治体にお問い合わせすることをおすすめします。

自治体ごとの幼稚園費用補助制度具体例を紹介

一例として、東京都世田谷区における幼稚園費用補助金制度をご紹介します。

対象者 

  • 世田谷区内在住
  • 私立幼稚園(子育て新制度へ未移行)の在籍園児(満3~5歳児)と同じ世帯 
  • 保育料他、園費用を納入している

補助金制度詳細

  1. 入園料補助:90,000 円(入園時)
  2. 保育料補助:月額上限28,500円
  3. 預かり保育利用料補助:月額上限11,300円
  4. 副食費補助:月額上限4,500円
  5. その他補助金:月額上限3,000円

無償化後も、区として入園料を補助し、保育料の上限額を上げる形で幼児教育費用の軽減措置をとっています。

令和元年10月より幼稚園の費用が無償化に!そのメリットデメリットは?

少子化の原因ともなっている「子供の教育費が高い」課題。 

その対策の一つとして、幼稚園・保育園・認定こども園の無償化制度が導入されました。
これは子育て世帯にとって、家計が救われる嬉しい制度ですよね。 

もちろん全てが無料になるわけではありません。 
対象年齢、適用条件、上限額など、我が家ではどうなるの?

今までと何が変わったの?
詳細を確認したいと思っている方は多いでしょう。
  
幼稚園の無償化について押さえるべき大きなポイントは以下の3点です。 
  • 満3歳~卒園までの保育料が無償(公立・私立、世帯収入問わず)
  • 年収360万円未満世帯と全世帯第3子以降は、副食(おかず・おやつ等)の費用免除 
  • 幼稚園の預かり保育が、幼稚園の利用日数に加え450円✕日数分、最大月額1.13万円まで無償
保育料無料についてですが、通園する幼稚園が平成27年4月年からスタートしている子ども子育て支援新制度に移行しているかどうか、を園か自治体に確認しておく必要があります。 

この制度に幼稚園が移行しているかどうかで無償化上限額の有無が変わります。
 

幼児教育費用無償化制度は注意点|全額無料になるわけではない、対象外も

世帯収入も問われず、かなり大盤振る舞いな印象ですが、上限額注意点もあります。

必ず確認しておきましょう。

  • 子育て支援新制度へ移行していない幼稚園の場合、上限は月額2.57万円まで
  • 預かり保育の無償化は、自治体から「保育の必要の認定」が必要(就労や介護、病気、妊娠などの理由がある等)
  • 預かり保育の無償化は3歳になったあとの4月から適用
  • 給食費、送迎費、制服・教材費、PTA会費、行事費などは変わらず自己負担 
  • 副食費が免除となる第3子とは、小学3年以下の子供で3人目以降 
  • 新制度に移行していない幼稚園は申請手続きが必要
なお、入園料も保育料とともに教育に要する費用を賄うためのものと考えられており、月分割にした額を保育料に加えて、月額25,700円まで無償化となります。

幼児教育費用無償化のメリット・デメリット

費用の面だけで考えればメリットが大きいように感じますが、多面的にみるとメリットだけでなくデメリットも浮き上がってきます。

メリット 

  • 幼児期の子供の教育費の大幅な軽減 
  • 経済負担が少ないため園を選択しやすくなった  
  • 子供に平等な教育を受けさせることができる

デメリット 

  • 財源不足が明らかで、継続が不安視されている
  • もともと高い保育料の私立幼稚園や保育園に子供が集中し、公立幼稚園は逆に子供不足という両極端な状況となる
  • 保育園の需要が高まることで、待機児童の増加保育士の不足がおこる
  • 保育士不足により、保育の質の低下子供の安全面への不安を感じる
費用の心配が少なくなることから、教育内容など子供にとっての優先順位で園を選ぶことができることは大きなメリットです。
しかし財源の問題から、長くこの制度が続いていくのかという懸念は残ります。

幼児教育無償化の影響で児童手当が減額される恐れがある

幼児教育無償化により、財源の確保についての課題が大きくなっています。


消費税の10%への増税は財源を確保する一つの手段ですが、将来的に賄いきれないことが予想されています。

もともと高所得世帯に対する児童手当の特例給付の廃止の検討がされている段階であり、無償化に伴って幼稚園保育園世帯の負担が軽減したことから、児童手当減額は想定しておくべきことかもしれません。

参考:コロナの影響で幼稚園の費用は返ってくるのか

2020年は新型コロナウィルスによる感染拡大防止策として、登園自粛や臨時休園になった幼稚園が全国的に多いと思います。 


内閣府は登園自粛中の保育料について各自治体に通達しました。

内容は、自治体の要請により、休園となった場合や登園を自粛場合した場合は、日割りにて保育料と給食費を減額するとしています。 

原則手続きなどは不要です。


各自治体のHPにコロナウィルスによる休園に伴う保育料の記載がありますので、ご確認下さい。 


なお、保護者判断により登園自粛した場合は対象外となり、費用は返ってこない可能性があります。

また、認可外保育園に関しては対応が異なることがありますのでご注意下さい。 

まとめ:幼稚園の費用は私立と公立で違いあり!無償化制度も利用しよう

 幼稚園に関わる費用について、解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
 


今回の記事のポイントは 

  • 私立幼稚園の費用は公立幼稚園の2.4倍 
  • 自治体により私立幼稚園は補助金制度がある
  • 無償化に伴い上限額や条件はあるが、保育料や預かり保育料の負担が軽減される
  • 新型コロナウィルスでの休園は自治体要請であれば費用が返ってくる 

でした。


上限27,500円の場合、3年間で990,000円の費用負担がなくなることになります。

さらに対象園児が2人、3人いる場合、無償化制度のインパクトはかなり大きいものです。


経済的なことを理由に子供を断念していた家庭の考え方が変わり、少子化問題に明るい兆しが見えてくるのではないでしょうか。


将来的な財源不足への不安もありますが、支援が手厚いときにはしっかり将来の教育費を確保しておきたいものですね。 

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