幼児教育無償化は専業主婦でも受けられる?幼稚園や認可外の場合も解説

2019年から開始された幼児教育の無償化ですが、専業主婦の方も対象内か気になりますよね。今回専業主婦家庭の場合に幼児教育無償化は受けられるのか、また幼稚園や預かり保育、認可外保育園の場合はどうなるのかも解説します。幼稚園や保育園に通うお子さんがいる方必見です。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

専業主婦の場合、幼児教育無償化を利用できる?


2019年10月幼児教育の無償化が始まりました。同じ年に消費税が増税され、生活費の負担に悩むご家庭も多かったはずです。しかし、幼児教育の無償化で、上手に家計の負担を軽減したいものです。


幼児教育の無償化の内容ですが、共働きでお忙しいご家庭には手厚い制度のようです。


この幼児教育無償化の制度は、専業主婦の方々には有利とならないのでしょうか?専業主婦の皆さんはとても気になるところでしょう。


そこで、この記事では「専業主婦と幼児教育の無償化、その際の注意点」について

  • 幼児教育無償化の対象施設や対象年齢はどうなるのか
  • 専業主婦でも一部を除き幼児教育無償化を利用可能
  • 幼児教育無償化が専業主婦に与える影響とは?
  • 結局のところ専業主婦家庭と共働き家庭のどちらが得か?

以上を中心に解説します。


この記事を読めば、幼児教育無償化の対象となる幼児に関する施設、無償化に該当する幼児の年齢、無償化が及ぼす影響について良くおわかりとなるでしょう。


ぜひ、最後までご覧ください。

幼児教育無償化の対象施設・対象年齢などをおさらい

幼児教育無償化の対象年齢・対象施設など

幼児教育無償化の対象年齢・対象施設など

※内閣官房「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会 報告書


幼児教育無償化は幼稚園だけに限定されてはいません。その他、保育所・認定こども園の教育費や保育料が補助されます。


住民税非課税世帯ならば0~2歳児、3~5歳児の場合は世帯年収に関係なく全世帯が幼児教育無償化の対象になります。


とはいえ、幼児に関する施設ならばどこでも無料となるわけではありません。幼児に関する施設の種類、認定区分で無償となるか有償となるか違いができます。


また、共働き家庭か専業主婦(夫)の家庭かで、違いが出てくる点に注意も必要です。ご自分の世帯へ条件を当てはめ、補助の度合いを慎重に検討してみましょう。

参考:0~2歳児の部分における「住民税非課税世帯」とは?

住民税非課税世帯はどんな条件で決められるのでしょうか。次の3つの条件いずれかにあてはまることが必要です。

  1. 生活保護を受けている
  2. 障害のある方々、未成年者、寡婦(夫)の方々で、前年中の合計所得125万円以下
  3. 前年中の合計所得金額が各自治体の定める額以下
ほとんどの皆さんは「3」の金額が気になるはずです。

こちらは各自治体によってそれぞれ異なります。東京都東村山市を例に住民税非課税世帯となる金額をみてみましょう。

扶養親族数年間給与収入額(合計所得金額)
0人1,000,000円(35万円)以下
1人1,560,000円(91万円)以下
2人2,059,999円(126万円)以下
3人2,559,999円(161万円)以下

参考:「保育の必要性の認定事由」とは?専業主婦でも該当?

「保育の必要性の認定事由」は一見すると、共働き夫婦等に該当する場合がほとんどのようです。


しかし、専業主婦でも実は認定事由に認められる可能性のある事由として

  1. 専業主婦が出産の前後に当たる場合
  2. 専業主婦が病気やケガ、精神障害のある場合
  3. 専業主婦が同居親族の介護・看護に当たっている場合
  4. 専業主婦がマイホーム等の災害復旧に当たっている場合
等があげられます。

上記の「2」の場合は専業主婦の症状によって、認定事由に該当するか否か判断が分かれることでしょう。

また、「3」の場合も同居親族の介護・看護を要するほど深刻な状態なのか、お住いの市町村の判断次第となるはずです。

「4」の場合は、家屋等の損壊の深刻さを市町村からチェックされることになります。認定事由に該当するかどうかはご自分や家族ではなく、あくまで市町村の判断となります。

専業主婦は一部を除いて幼児教育無償化を利用できる


※内閣官房「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会 報告書


幼児教育の無償化は、共働きの家庭に優位な制度と言われています。


それは、女性にも社会へ出てもらい、労働人口を増やしたいと考える政府の方針を見れば、妥当な判断だと言えるでしょう。


ですから、無償化制度の適用される範囲は、専業主婦家庭より共働き家庭の方が広くなっていま


かといって、専業主婦家庭の方が無償化の制度を利用できないというわけではありません。


ただし、専業主婦の方が無償化の制度を利用する場合、全ての施設が対象となるわけではないので、覚えておく必要があります。


では、専業主婦が利用できる無償化の施設にはどのような施設があるのでしょうか。


次項では対象となる施設について見ていきましょう。

幼稚園の預かり保育、認可外の保育施設の場合は対象外となる

幼児教育の無償化は主に3歳から5歳の子どもが対象になります。ただし、専業主婦(主夫)の方が利用する場合、全ての施設を利用できるわけではありません。


専業主婦(主夫)の方が無償化を利用する場合、公立私立問わず幼稚園を利用することができます。


しかし、幼稚園の預かり保育と、認可外の保育施設の利用は、無償化の対象外とされます。


無償化制度を利用できる判断基準は、「保育が必要な理由があるかどうか」です。


両親が仕事で働いている家庭や、シングルマザーで働いている家庭などは、子どもに保育が必要であると判断され、優先的に無償化が利用できるようになります。


一方で、専業主婦(主夫)家庭では、子どもの面倒をみる親が自宅にいるわけですから、無償化の利用の優先順位が低くなることは、容易に理解できるでしょう。


しかし、専業で子育てをしている家庭でも教育は必要ですから、対象となる施設や時間を限定して利用できるようにしているわけです。


一般的に幼稚園の預かり時間は午前9:00から午後14:00ですが、その時間を超える部分と、認可外の保育施設の利用は、無償化の対象とならないことを覚えておきましょう。

私立幼稚園は認可された施設のみが無償化の対象となる

では、専業主婦(主夫)の場合、無償化の利用は幼稚園に限定されていますが、それはどうしてなのでしょうか


一般的に、保育園は子どもの生活をサポートする「保育」行う施設なのに対し、幼稚園は子どもの「教育」を行う学校として認識されています。


ですから、自宅で子供を保育することができる専業主婦(主夫)の方は、保育の必要性が少ないと判断され、保育園の利用が制限されてしまうのです。


そもそも保育園には入所基準がありますから、それらを満たしていなければ保育園を利用することは難しくなります。


そこで、専業主婦(主夫)の方が無償化を利用するには、保育園ではなく幼稚園を利用することになります。


幼稚園であれば公立でも私立でも無償化の対象となりますが、私立幼稚園を利用する場合には、認可された施設のみと制限されているので、注意が必要です。


公立・私立問わず幼稚園を利用する場合、全額無料とはなりませんが、月額25,700円を上限として無償化の対象となります。


私立幼稚園の中には、無償化の制度に併せて保育料の値上げを検討している施設もあります。


そのような施設を利用する場合、一概に保育料が安くなるとは言えませんが、無償化の制度を利用し、保育料の負担を軽くすることはできるでしょう。

幼児教育無償化は専業主婦にどんな影響を与えるか


幼児教育の無償化が実施されてから、数ヶ月が経ちました。専業主婦の方たちの生活にどのような影響を与えたのでしょうか。


今まで保育料を気にして働きへ出られなかった専業主婦の方は、仕事しやすい環境になったとも言えるでしょう。


一方で、近くに無償化の対象となる施設がない、通わせたい施設が無償化の対象にならない、という方もいるでしょう。


無償化の恩恵を受けるために、仕事をしなければいけない状況に追い込まれる専業主婦の方もいるのではないでしょうか。


幼児教育の無償化で専業主婦がどのような影響を受けるのか、詳しくみていきましょう。

幼児教育無償化によって専業主婦は自由な職を得ることができる

パートで働いている方や、保育料を気にして働きに出られなかった専業主婦の方は、この幼児教育の無償化で、随分と働きやすくなるでしょう。


専業主婦の方が利用できる施設は限られていますが、専業主婦を辞めてパートで働き始めるなら、利用できる保育施設が増えることになります。


パートやアルバイトの仕事を始めれば、無償化の対象として幼稚園だけでなく保育園も利用できるようになります。


今まで保育料を気にし、働きへ出られなかった専業主婦にとっては、就業の機会が増えるチャンスでもあるのです。


また、専業主婦でなくなれば、預かり保育も無償化の対象となります。


時間単位なら支給額は1日上限450円、月単位なら支給額は上限月11,300円まで利用できることになります。


子どもを預けられる施設が見つかれば、空いた時間に仕事がしやすくなるため、専業主婦から一歩踏み出して、自由に仕事を選択することも容易になるでしょう。

幼児教育無償化を受けるために求職活動を始める専業主婦も

母親が働いていても働いていなくても、公立幼稚園・私立幼稚園では一定額の無償化を利用することができます。


しかし、認可保育園に落ちて、認可外の保育園を利用し働く母親もいますし、サポート体制が整っているからと認可外の保育園を利用する専業主婦ママもいるでしょう。


このように認可外の保育園には、働く母親と専業主婦が混在しています。


認可外の保育園では、就業しているお母さんは無償化の対象となるのに対し、就業していないお母さんは無償化の対象にはなりません


同じ保育施設に子どもを通わせていても、無償化を利用できる母親とそうでない方ができ、お互いの格差を生む結果となっているのです。


このような状況を受けて、専業主婦の方の中には求職活動を始める動きも出てきています。

幼児教育無償化では専業主婦家庭と共働き家庭のどちらが得か


では、幼児教育の無償化において、専業主婦家庭と共働き家庭ではどちらが得をすると言えるのでしょうか。


専業主婦家庭では、無償化を利用できる施設は限られていますが、制度を利用できないわけではありません。


「幼稚園の預かり保育・認可外の保育施設の利用」が、制限されているだけです。


一方、共働き家庭では、これらの「幼稚園の預かり保育・認可外の保育施設の利用」が無償化の対象となります。


しかし、仕事が忙しくなり保育施設の利用時間を増えたら、無償化の範囲を超えてしまうこともあるでしょうし、子どもと一緒に過ごせる時間も制限されてしまいます。


子どもを保育園に入れて働いても、収入が保育料と変わらない、ということにもなりかねません。


収入状況によっては、専業主婦を続ける方が、無駄な出費が増えずに済むこともあるはずです。


ですから、専業主婦家庭と共働き家庭、一概にどちらのほうが得だとは言い切れません


専業主婦家庭でも共働き家庭でも、無償化は最大限に利用して、各家庭の状況に合わせて、働くか専業のままでいるか決断するのが大切です。

独自アンケート!幼児教育無償化に対する実際の専業主婦の声

では、幼児教育の無償化について、専業主婦(主夫)の方は実際どのようなことに不安を感じているのでしょうか。


実際の質疑応答を例として、見ていきましょう。

  • 幼児教育の無償化はママを働かせるための制度なのか?
  • ママが働きやすい環境を作るため

  • 専業主婦が認可外保育園の無償化を利用できないのはなぜ? 
  • 無償化の対象となったのは元は認可保育園のみ。認可外保育園は基準を満たしているものだけ後々対象となったため、これでも無償化の対象範囲は緩和されたと言える。


  • 認可外の幼稚園を利用する専業主婦は、働くべきか?
  • 認可外の幼稚園は、働いていても無償化の対象外。認可外の保育園なら無償化の対象となる。

  • 出産の前後に無償化の対象となる預かり保育は?
  • 条件に合えば、産後8週間のみ支給(上限額あり)

  • 子どもに障害がある場合、無償化の利用はどうなる?
  • 幼稚園なら時間内は無償。預かり保育の無償化は、就労証明書が必要。

  • 許可外保育施設も無償化の対象にならないの?
  • 無償化は、子供を産みやすい社会と共働きを推奨するための制度だから。


  • 私立幼稚園を利用する予定の専業主婦は、無償化の対象となるか?
  • 基本、年収や就業形態に関わらず無償化は受けられる。私立幼稚園の利用は、上限金額あり。


  • 3-5歳児なら、収入に関係なく、専業主婦でも無償化を利用できるか?
  • 幼稚園なら保育料が無償化されるが、給食費等は別


  • 非課税世帯(パート収入あり)でも、保育料の無償化を利用し続けられるのか?
  • 保育料の無償化は利用できるが、扶養申告をする必要あり。


  • 二人目が生まれたら働きたいと考える専業主婦。子ども二人を預けて働くには、どのような保育施設が最適か?
  • 認可保育園の利用は難しく、申請時に就労証明が必要になることも。認可外保育園なら可能性あり。しかし、認可外保育園は保育料が高いので、よく検討する必要あり。
家庭によって状況は異なりますので、対象となるかどうか不安に感じるなら、内閣府のホームページで確認してみるとよいでしょう。

本格化する教育費に備えて、お金のプロと一緒に家計の見直しがおすすめ

幼児教育の無償化を利用できたとしても、当然ながら小学校・中学校・高校そして大学と進学する度に教育費はかかっていきます。


子供の教育費が本格的に必要となる前、家計の見直しをしてみた方が良いでしょう。


ほけんROOMでは、お金のプロであるファイナンシャル・プランナー(FP)への無料相談を受け付けています。


ファイナンシャル・プランナーとは略してFPとも呼ばれ、税金・保険・金融関係に深い知識を有する専門家です。


FPは各ご家庭の年収・世帯員の数に応じたライフプランを提案することができます。このお金のプロに、教育費で心配な点や不明点をどんどん相談してみましょう。

まとめ:幼児教育無償化は専業主婦でも一部利用可能

専業主婦と幼児教育の無償化、その際の注意点について解説してきましたが、いかがでしたか。


今回は

  • 住民税非課税世帯ならば0~2歳児、3~5歳児の場合は世帯年収に関係なく全世帯が幼児教育無償化の対象
  • 専業主婦でも出産や病気やケガ等で、保育の必要性の認定事由が認められる可能性はある
  • 無償化制度の適用される範囲は、専業主婦家庭より共働き家庭の方が広い
  • 無償化の影響で専業主婦の方の中には求職活動を始める動きも出てきている

でした。


幼児教育の無償化は、専業主婦の方でも働きに出やすい環境を作り出す効果はありますが、子どもと一緒に過ごす時間が少なくなることも考えられます。


そのため、専業主婦が無理に仕事へ就くことが好ましい選択だとは、一概に言えません。


幼児教育の無償化を可能な限り利用しつつ、家計状況に応じて、ファイナンシャル・プランナー等の専門家の意見も参考にしながら、ご夫婦でよく相談して決定しましょう。


ほけんROOMでは他にもお金や保険に関する記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。

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