公立高校の学費平均!私立高校との差、無償化・母子家庭への援助も紹介

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公立高校三年間の学費は平均でいくらなのでしょうか?また、私立高校無償化も気になりますよね。今回、公立高校の学費総額はどれくらいか、私立高校と公立高校の学費の差を解説します。また2020年4月から開始された高校授業料無償化や母子家庭向けの補助金も紹介します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

公立高校の学費の平均はいくら?

内容をまとめると

  1. 公立高校の3年間にかかる学費の平均は、1,351,336円
  2. 入学時にかかる費用は、平均10万円~15万円(入学金と通学関係費)
  3. 公立高校に通う生徒の約35%は塾に通っており、1年間の平均塾費用は106,767円
  4. 年収910万円以下の場合は、授業料は国が負担してくれるため実質無料
  5. 低所得世帯を対象とした返済不要の奨学金がある
  6. 母子家庭の方向けの手当等もある


子供の高校進学を考える時に気になるのが「学費」ですよね。


私立の学費と比べると公立高校の学費は安いですが、それでもまとまった資金が必要になることに変わりはありません。


高校無償化が導入されたとはいえ実質の学費が0円になっているわけではないのが現状です。


そのため、実際に進学費用はいくらかかるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。


この記事では公立高校の学費について

  • 公立高校進学にあたってかかる平均費用
  • 公立高校の学費内訳
  • 母子家庭の方など、学費の支払いが困難な場合に使うことができる様々な制度(高校無償化・奨学金等)
  • 国公立高校の全日制と定時制の授業料の違い
  • 就学支援金の申請方法と受け取り方

以上のことを中心に公立高校の学費と私立高校の学費を比較しながら解説していきます。


また、母子家庭の方など、低所得世帯向けの支援についても解説しておりますので、是非参考にしていただけたらと思います。


私立高校と比較して解説していきますが、私立高校の学費について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください!

公立高校の学費の内訳を私立高校の学費と比較

では、実際の公立高校進学においてかかる学費についてみていきます。


文部科学省の調査「平成28年度子供の学習費調査の結果について」によると、全日制公立高校の3年間の学費平均は1,351,336円となっています。


さらに、学費の内訳についてみていきましょう。


ここで、学費を「学校教育費」「学校外活動費」に分けて考えます。


1年間にかかる学費総額と学校教育費・学外活動費の平均費用は次の表のようになっています。(給食費については高校の場合はない場合がほとんどなので省略)


項目公立高校私立高校
学費総額450,862円1,040,168円
学校教育費275,991円755,101円
学校外活動費174,871円285,067円

この図から分かるように、私立高校の学費は公立高校の約2.3倍かかることがわかります。


とはいえ、公立高校も年間45万ほどかかるため、しっかりと準備をしておくことが大切です。

公立高校の学費①公立高校受験から入学までにかかる費用

高校進学をする際にかかってくるのは学費だけではありません。


受験費用や入学金のほか制服代や教科書代などの、公立高校に通学するにあたって必要なものを揃えるための「通学関係費」もかかります。


ここでは受験から入学までにかかる費用を比較していきます。


受験料と入学金

項目公立高校私立高校
受験料2,200円平均15,988円
入学金5,650円平均163,272円

(ただし、鳥取県、佐賀県、福岡県、長崎県の入学金は5,550円)


続いて、通学関係費について比較していきます。


文部科学省の調査によると、公立高校と私立高校の通学関係費の平均は以下の表のようになっています。


通学関係費の比較

項目公立高校私立高校
通学関係費79,157円109,048円


公立高校の通学関係費の内訳の平均相場

項目公立高校私立高校
制服40,000~60,000円50,000~100,000円
体操着7,000~10,000円10,000~20,000円
通学用の靴5,000~10,000円5000~10,000円
運動靴3,000~10,000円3,000~10,000円
通学鞄5,000~10,000円5000~10,000円
教材費30,000~50,000円30,000~50,000円

この3つの表を見るとそこまで大きな差がない項目もありますが、私立高校の入学金には学校によってかなり差があることがわかりますね。


この平均金額程度の学校もあれば30万円から50万円と高額な学校もあります。


また、通学関係費も教科書代などを含む教材費など、一見公立高校と私立高校であまり差がないようにも見えますが、揃えなければならないアイテムが多い場合などは相場よりも高額となるようです。

公立高校の学費②学校教育費の内訳

学校教育費は、学校内での教育に関連する費用のことを指します。


具体的には、次のものが学校教育費に含まれます。

項目公立高校私立高校
総額275,991円775,101円
授業料23,368円271,835円
修学旅行
遠足・見学費等
34,892円54,096円
学校給付金等49,762円228,864円
図書・学用品
実習材料費等
40,662円41,636円
教科外活動費44,276円41,636円
通学関係費79,157円109,048円
*その他3,874円4,858円

*(その他は、学校のバッジ・上履き・卒業アルバム代金等の費用)


また、公立高校の学費は高校の授業料の就学支援金制度により、実質無償化されています。これについては後述いたします。


ただし、所得制限がありますので、平均は0円とはなっていません。

公立高校の学費③学校外活動費の内訳

学校外活動費とは、塾代や家庭教師代などの学校の外でかかる教育費用を指します。


具体的には次のものが学校外活動費に含まれます。

項目公立高校私立高校
総額174,871円285,067円
家庭内学習費14,669円23,019円
家庭教師費等10,513円19,232円
学習塾費106,767円171,462円
その他の補助学習費10,753円16,390円
体験・地域活動4,037円8,483円
*芸術文化活動9,836円19,148円
**スポーツ
レクリエーション
活動
7,937円10,626円
***教養・その他10,359円16,707円

*芸術文化活動は、ピアノや舞踏、絵画等の習い事の月謝や経費・芸術鑑賞等。

**スポーツ・レクリエーション活動は、スポーツの習い事の月謝や経費等。

***教養・その他は、習字やそろばん、英会話の月謝や経費等。


この表からは、私立高校の生徒のほうが芸術文化活動(ピアノなどの習い事)に力を入れてることがわかりますね。

参考:公立高校・私立高校の学年別学費!塾費用が高い?

塾費用は、先ほど説明したとおり学校外活動費に含まれていますが、文部科学省の調査によると塾に通うための年間の塾費用の平均は、私立高校の方が公立高校より高くなっています。


習い事・塾費用はは学費と同様に私立高校に通う生徒のほうが高いのです。


しかし、公立高校に通う場合でも塾費用はかなりの金額がかかってきます。


また、学年を追うごとに金額も大きくなっていることが分かります。

項目公立高校私立高校
1年生79,887円119,421円
2年生112,975円177,665円
3年生127,908円219,791円
年間費用の平均106,767円171,462円

同調査によると、公立高校に通う生徒の約35%、私立高校に通う生徒の約43%が塾に通っているという結果が出ています。


いわゆる進学校とよばれる高校を対象にすると数字はより高くなってくるでしょう。


公立高校の塾代費用は、私立高校よりは安い傾向にあるとはいえ、大学進学を目指す場合には必要になる可能性もあることを頭に入れておきましょう。

国立・都道府県立(全日制)・都道府県立(定時制)高校の学費比較

国公立高校は私立高校に比べて、授業が安いですが、それでも3年間におよそ106万円もの学費がかかります。


親御さんが病気など、なんらかの理由で働けない学生さんは、全日制を諦めて定時制高校への進学を選ぶ方もいるでしょう。


そこで、国公・都道府県立高校の全日制と、定時制でどのくらい授業料が異なるのか、より具体的に見ていきましょう。


 1.全日制の国公・都道府県立高校の授業料


授業料は1年間で23,368円ととても安いですが、その他に教本代、実験費用などがおそよ40,762円かかります。


2.定時制の国公・都道府県立高校の授業料


年度制の定時高校ですと、1年に32,400円の授業料がかかり、4年間で合計12,9600円になります。


単位制の場合は、全74単位習得するには12,8760円の授業料が必要です。


授業だけをみた場合は、全日制よりも定時制の方が費用が高いことが分かりますね。

【学費の支払いが大変な方向け】高校無償化・学費の補助制度

ここまで公立高校の学費について解説してきました。


いくら私立よりも学費がかからないといっても、中には公立高校の学費を払うのが難しいという人もいると思います。


その場合には、国や都道府県からの補助や返済不要の奨学金制度があります


ここでは、それらの制度について概要を説明していきます。


公立高校の学費が払えないかもしれないと悩んでいる方は是非参考にしてください。

公立高校等の授業料の就学支援金制度(実質無償化)

就学支援制度とは、簡単にいうと高校の授業料を国が負担・無償化してくれる制度です。


現時点では公立高校の授業料が国から支給され、公立高校では実質無償化、私立高校でも同額が支給されている状態となっています。


支給される金額は、次の表の通りです。


<支給額>

課程金額
公立高校(全日)月額9,900円
公立高校(定時)
月額2,700円
公立高校(通信制)月額520円
国立・公立特別支援学校月額400円
国立高校月額9,600円

ただし、保護者の道府県民税所得割額と市町村民税所得割額の合計が507,000円を下回っていることが条件となり、年収の目安としては約910万円未満になります。


市町村民所得割高が分からない、という方は、6月ごろに勤務先から「市町村民税・県民税特別徴収税額通知書」が渡されるので、この書類を確認してください。申請時にも必要な書類となります。


この制度は、高校生の約8割が利用している制度で、奨学金と違い返済の必要はありません。申請は決められた期間内に行わなくてはなりませんが、申請時期になると学校から案内があり、書類の提出も学校を通じて行います。


申請には

  • 受給資格認定申請書
  • マイナンバーカードのコピー(マインバーが無理なときは課税証明書などで代用OK)
が必要で、これらを入学する際に学校に提出してください。

ただし、各都道府県によって提出先が異なる例もありますので、事前に確認しておきましょう。

基本的に、学校側が受け取り、授業料に補填するため生徒やその家族が直接もうらうことはできません

また、学校によっては前もって授業料を全額徴収してから、就学支援金の分だけ還付するスタイルをとっている場合もあります。

この制度では私立高校に通っている場合、授業料の一部しか支給されていませんでした。しかし、2020年4月から私立高校での支給額が私立高校の平均授業料まで引き上げられることになりました。


こちらの制度にも所得制限があり、目安として年収約590万円未満、とされています。


これを超えてしまっても、年収約910万円未満ならば就学支援金は支給されます。

返済不要の高校生等奨学給付金

高校生等奨学給付金は低所得世帯を対象として授業料以外の教育費(教材費や学用品、修学旅行費など)の負担を減らすために国から受けることが出来る補助です。


文部科学省が提示している補助基準は以下の通りです。


生活保護受給世帯(全日制・通信制)

  • 国立・公立高校に在学する者…年額32,300円
  • 私立高校に在学する者…年額52,600円
非課税世帯(全日制・第一子)
  • 国立・公立高校に在学する者…年額82,700円
  • 私立高校に在学する者…年額98,500円
非課税世帯(全日制・第二子以降)
  • 国立・公立高校に在学する者…年額129,700円
  • 私立高校に在学する者…138,000円
非課税世帯(通信制)
  • 国立・公立高校に在学する者…年額36,500円
  • 私立高校に在学する者…年額38,100円
ただし、制度の詳細については各都道府県ごとに異なりますので詳しくは各都道府県への問い合わせが必要です。

各自治体の実施する学費支援制度


国が行っている就学支援金制度についてご紹介してきましたが、自治体によっても学費支援制度を行っている場合があります。


例を挙げると、

  • 東京都:私立高等学校等授業料軽減助成金事業
  • 大阪府:授業料無償化制度

などで学費支援制度が行われています。


東京都の場合を詳しくご紹介する以下のようになります。

年収目安軽減額(年額)
250万円未満152,000円
250万~350万円未満211,400円
350万~590万円未満270,800円
590万~760万円未満330,200円
今までは年収約760万円未満の家庭が対象となっていましたが、2020年度から国が私立高校への就学支援を始めることから、年収約910万円未満まで広げる予定となっています。



このように、自治体によって国とは違った就学支援を行っている場合があります。一度お住まいの自治体に就学支援が無いかを確認することをおすすめします。

【母子家庭の方向け】公立高校の学費に備える助成金や手当

ここでは母子家庭の方向けに、公立高校の学費を準備するのに役立つ3つの助成金や手当について解説します。

  • 児童扶養手当
  • ひとり親家庭支援奨学金制度
  • 日本政策金融公庫の国の教育ローン
それぞれの制度の支給金額や支給条件などを詳しく解説してきます。

児童扶養手当の受給

母子家庭で学費の助けとなるものの一つが児童扶養手当になります。児童扶養手当が支給される期間は、18歳に達する日以降の最初の3月31日まで、ということになっています。


児童手当が中学生までなのに比べて、長い期間支給されるのが特徴です。


支給される金額は以下のようになります。

子供の人数1月あたりの支給金額(全額)
1人目42,910円
2人目の追加金額10,140円
3人目以降の追加金額6,080円

児童扶養手当には所得制限が設けられています。所得制限の所得の計算方法は以下のようになります。

収入金額-給与所得控除額+養育費の8割相当額-諸控除額

この計算で出された所得が限度額未満の場合、児童扶養手当が支給されます。所得限度額は以下のようになります。

扶養親族等の人数全部支給の限度額一部支給の限度額
0人49万円未満192万円未満
1人87万円未満230万円未満
2人125万円未満268万円未満
3人163万円未満306万円未満

児童扶養手当を受け取るには、手続きが必要となります。忘れずにお住まいの自治体で手続きを行うようにしましょう。

ひとり親家庭支援奨学金制度

この制度は、一般財団法人全国母子寡婦福祉団体協議会が運営し、ローソングループがサポート及び支援を行っている「ひとり親(母子)家庭」のみを対象としている奨学金です。


<奨学金概要>

  • 奨学金…月額30,000円(返済不要・他の奨学金との併用可)
  • 募集人数…全国400名(各都道府県4名~)
  • 対象…中学校3年生・高校、高専1年生~3年

<応募資格>

  1. ひとり親家庭等で就学が経済的に困難な生徒
  2. 夢を実現するための意欲があり社会貢献を希望する生徒
  3. 全母子協の加盟団体の会員、およに入会希望の方のお子さん(生徒)
  4. 全母子協理事長、または全母子協加盟団体代表者の推薦を受けることが出来る品行方正な生徒
(1~4の全てに該当しなくてはならない)


以下の場合は応募することが出来ません。

  • 1人あたりの収入平均が90万以上の場合
  • 前年度の学校の出席率が80%未満の場合(ただし病気やケガの場合は除く)
  • 兄弟姉妹が申請している場合の年少者(1世帯1人)

申請については、全母子協のホームページまたは全母子協の加盟団体に依頼して行うことが出来ます。申請は、申請用紙のほかに収入に関する証明書、個人調(高校1年生の場合は在学証明書)が必要になります。


参考:夢を応援基金(ひとり親家庭支援奨学金制度)

日本政策金融公庫の国の教育ローン

日本政策金高校では、「国の教育ローン」という貸付を行っています。このローンは、高校・大学・専修学校に入学または在学している人の保護者を対象として、入学費用や授業料、通学費を借りることが出来ます。


ただし、借りることが出来るのは今後1年間に必要な金額になります。金額は1人につき350万円までとなりますが、2年目以降も総額が350万円の範囲内であれば申込可能です。


国の教育ローンは、返済期間は最長15年と比較的長く(母子家庭・父子家庭・交通遺児家庭は18年まで)、無担保で借りることが出来ます。


申込手続きは日本政策金融公庫のほか、取扱いの各金融機関ですることが出来ます。

まとめ:公立高校の学費は一年間で45万円程度

公立高校の学費に関して解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントをまとめると

  • 公立高校の3年間にかかる学費の平均は、1,351,336円
  • 入学時にかかる費用は、平均10万円~15万円(入学金と通学関係費)
  • 公立高校に通う生徒の約35%は塾に通っており、1年間の平均塾費用は106,767円
  • 年収910万円以下の場合は、授業料は国が負担してくれるため実質無料
  • 低所得世帯を対象とした返済不要の奨学金がある
  • 母子家庭の方向けの手当等もある
公立高校の学費は私立よりは大分低いとはいえ、それなりに大きい金額です。


そのためには、進学費用として早いうちから準備しておくと安心です。


ただ、支払いが難しいという場合には、国の補助や奨学金、教育ローン等の様々な制度が用意されており利用することが出来ます。


子供を安心して進学させてあげるためにも是非、この記事を参考に今後の資金計画の参考にしてみてください。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたいお金や保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。 

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