更新日:2023/01/25
公立高校の学費平均!私立高校との差、無償化・母子家庭への援助も紹介
公立高校三年間の学費は平均でいくらなのでしょうか?また、私立高校無償化も気になりますよね。今回、公立高校の学費総額はどれくらいか、私立高校と公立高校の学費の差を解説します。また2020年4月から開始された高校授業料無償化や母子家庭向けの補助金も紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 公立高校の学費の平均はいくら?
- 公立高校の学費の内訳を私立高校の学費と比較
- 公立高校の学費①公立高校受験から入学までにかかる費用
- 公立高校の学費②学校教育費の内訳
- 公立高校の学費③学校外活動費の内訳
- 参考:公立高校・私立高校の学年別学費!塾費用が高い?
- 国立・都道府県立(全日制)・都道府県立(定時制)高校の学費比較
- 【学費の支払いが大変な方向け】高校無償化・学費の補助制度
- 公立高校等の授業料の就学支援金制度(実質無償化)
- 返済不要の高校生等奨学給付金
- 各自治体の実施する学費支援制度
- 【母子家庭の方向け】公立高校の学費に備える助成金や手当
- 児童扶養手当の受給
- ひとり親家庭支援奨学金制度
- 日本政策金融公庫の国の教育ローン
- まとめ:公立高校の学費は一年間で45万円程度
目次
公立高校の学費の平均はいくら?
- 公立高校の3年間にかかる学費の平均は、1,351,336円
- 入学時にかかる費用は、平均10万円~15万円(入学金と通学関係費)
- 公立高校に通う生徒の約35%は塾に通っており、1年間の平均塾費用は106,767円
- 年収910万円以下の場合は、授業料は国が負担してくれるため実質無料
- 低所得世帯を対象とした返済不要の奨学金がある
- 母子家庭の方向けの手当等もある
子供の高校進学を考える時に気になるのが「学費」ですよね。
私立の学費と比べると公立高校の学費は安いですが、それでもまとまった資金が必要になることに変わりはありません。
高校無償化が導入されたとはいえ実質の学費が0円になっているわけではないのが現状です。
そのため、実際に進学費用はいくらかかるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
この記事では公立高校の学費について
- 公立高校進学にあたってかかる平均費用
- 公立高校の学費内訳
- 母子家庭の方など、学費の支払いが困難な場合に使うことができる様々な制度(高校無償化・奨学金等)
- 国公立高校の全日制と定時制の授業料の違い
- 就学支援金の申請方法と受け取り方
以上のことを中心に公立高校の学費と私立高校の学費を比較しながら解説していきます。
また、母子家庭の方など、低所得世帯向けの支援についても解説しておりますので、是非参考にしていただけたらと思います。
私立高校と比較して解説していきますが、私立高校の学費について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください!
公立高校の学費の内訳を私立高校の学費と比較
では、実際の公立高校進学においてかかる学費についてみていきます。
文部科学省の調査「平成28年度子供の学習費調査の結果について」によると、全日制公立高校の3年間の学費平均は1,351,336円となっています。
さらに、学費の内訳についてみていきましょう。
ここで、学費を「学校教育費」「学校外活動費」に分けて考えます。
1年間にかかる学費総額と学校教育費・学外活動費の平均費用は次の表のようになっています。(給食費については高校の場合はない場合がほとんどなので省略)
項目 | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
学費総額 | 450,862円 | 1,040,168円 |
学校教育費 | 275,991円 | 755,101円 |
学校外活動費 | 174,871円 | 285,067円 |
この図から分かるように、私立高校の学費は公立高校の約2.3倍かかることがわかります。
とはいえ、公立高校も年間45万ほどかかるため、しっかりと準備をしておくことが大切です。
公立高校の学費①公立高校受験から入学までにかかる費用
高校進学をする際にかかってくるのは学費だけではありません。
受験費用や入学金のほか制服代や教科書代などの、公立高校に通学するにあたって必要なものを揃えるための「通学関係費」もかかります。
ここでは受験から入学までにかかる費用を比較していきます。
受験料と入学金
項目 | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
受験料 | 2,200円 | 平均15,988円 |
入学金 | 5,650円 | 平均163,272円 |
(ただし、鳥取県、佐賀県、福岡県、長崎県の入学金は5,550円)
続いて、通学関係費について比較していきます。
文部科学省の調査によると、公立高校と私立高校の通学関係費の平均は以下の表のようになっています。
通学関係費の比較
項目 | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
通学関係費 | 79,157円 | 109,048円 |
公立高校の通学関係費の内訳の平均相場
項目 | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
制服 | 40,000~60,000円 | 50,000~100,000円 |
体操着 | 7,000~10,000円 | 10,000~20,000円 |
通学用の靴 | 5,000~10,000円 | 5000~10,000円 |
運動靴 | 3,000~10,000円 | 3,000~10,000円 |
通学鞄 | 5,000~10,000円 | 5000~10,000円 |
教材費 | 30,000~50,000円 | 30,000~50,000円 |
この3つの表を見るとそこまで大きな差がない項目もありますが、私立高校の入学金には学校によってかなり差があることがわかりますね。
この平均金額程度の学校もあれば30万円から50万円と高額な学校もあります。
また、通学関係費も教科書代などを含む教材費など、一見公立高校と私立高校であまり差がないようにも見えますが、揃えなければならないアイテムが多い場合などは相場よりも高額となるようです。
公立高校の学費②学校教育費の内訳
学校教育費は、学校内での教育に関連する費用のことを指します。
具体的には、次のものが学校教育費に含まれます。
項目 | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
総額 | 275,991円 | 775,101円 |
授業料 | 23,368円 | 271,835円 |
修学旅行 遠足・見学費等 | 34,892円 | 54,096円 |
学校給付金等 | 49,762円 | 228,864円 |
図書・学用品 実習材料費等 | 40,662円 | 41,636円 |
教科外活動費 | 44,276円 | 41,636円 |
通学関係費 | 79,157円 | 109,048円 |
*その他 | 3,874円 | 4,858円 |
*(その他は、学校のバッジ・上履き・卒業アルバム代金等の費用)
また、公立高校の学費は高校の授業料の就学支援金制度により、実質無償化されています。これについては後述いたします。
ただし、所得制限がありますので、平均は0円とはなっていません。
公立高校の学費③学校外活動費の内訳
学校外活動費とは、塾代や家庭教師代などの学校の外でかかる教育費用を指します。
具体的には次のものが学校外活動費に含まれます。
項目 | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
総額 | 174,871円 | 285,067円 |
家庭内学習費 | 14,669円 | 23,019円 |
家庭教師費等 | 10,513円 | 19,232円 |
学習塾費 | 106,767円 | 171,462円 |
その他の補助学習費 | 10,753円 | 16,390円 |
体験・地域活動 | 4,037円 | 8,483円 |
*芸術文化活動 | 9,836円 | 19,148円 |
**スポーツ レクリエーション 活動 | 7,937円 | 10,626円 |
***教養・その他 | 10,359円 | 16,707円 |
*芸術文化活動は、ピアノや舞踏、絵画等の習い事の月謝や経費・芸術鑑賞等。
**スポーツ・レクリエーション活動は、スポーツの習い事の月謝や経費等。
***教養・その他は、習字やそろばん、英会話の月謝や経費等。
この表からは、私立高校の生徒のほうが芸術文化活動(ピアノなどの習い事)に力を入れてることがわかりますね。
参考:公立高校・私立高校の学年別学費!塾費用が高い?
塾費用は、先ほど説明したとおり学校外活動費に含まれていますが、文部科学省の調査によると塾に通うための年間の塾費用の平均は、私立高校の方が公立高校より高くなっています。
習い事・塾費用はは学費と同様に私立高校に通う生徒のほうが高いのです。
しかし、公立高校に通う場合でも塾費用はかなりの金額がかかってきます。
また、学年を追うごとに金額も大きくなっていることが分かります。
項目 | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
1年生 | 79,887円 | 119,421円 |
2年生 | 112,975円 | 177,665円 |
3年生 | 127,908円 | 219,791円 |
年間費用の平均 | 106,767円 | 171,462円 |
同調査によると、公立高校に通う生徒の約35%、私立高校に通う生徒の約43%が塾に通っているという結果が出ています。
いわゆる進学校とよばれる高校を対象にすると数字はより高くなってくるでしょう。
公立高校の塾代費用は、私立高校よりは安い傾向にあるとはいえ、大学進学を目指す場合には必要になる可能性もあることを頭に入れておきましょう。
国立・都道府県立(全日制)・都道府県立(定時制)高校の学費比較
国公立高校は私立高校に比べて、授業が安いですが、それでも3年間におよそ106万円もの学費がかかります。
親御さんが病気など、なんらかの理由で働けない学生さんは、全日制を諦めて定時制高校への進学を選ぶ方もいるでしょう。
そこで、国公・都道府県立高校の全日制と、定時制でどのくらい授業料が異なるのか、より具体的に見ていきましょう。
1.全日制の国公・都道府県立高校の授業料
授業料は1年間で23,368円ととても安いですが、その他に教本代、実験費用などがおそよ40,762円かかります。
2.定時制の国公・都道府県立高校の授業料
年度制の定時高校ですと、1年に32,400円の授業料がかかり、4年間で合計12,9600円になります。
単位制の場合は、全74単位習得するには12,8760円の授業料が必要です。
授業だけをみた場合は、全日制よりも定時制の方が費用が高いことが分かりますね。
【学費の支払いが大変な方向け】高校無償化・学費の補助制度
ここまで公立高校の学費について解説してきました。
いくら私立よりも学費がかからないといっても、中には公立高校の学費を払うのが難しいという人もいると思います。
その場合には、国や都道府県からの補助や返済不要の奨学金制度があります。
ここでは、それらの制度について概要を説明していきます。
公立高校の学費が払えないかもしれないと悩んでいる方は是非参考にしてください。
公立高校等の授業料の就学支援金制度(実質無償化)
就学支援制度とは、簡単にいうと高校の授業料を国が負担・無償化してくれる制度です。
現時点では公立高校の授業料が国から支給され、公立高校では実質無償化、私立高校でも同額が支給されている状態となっています。
支給される金額は、次の表の通りです。
<支給額>
課程 | 金額 |
---|---|
公立高校(全日) | 月額9,900円 |
公立高校(定時) | 月額2,700円 |
公立高校(通信制) | 月額520円 |
国立・公立特別支援学校 | 月額400円 |
国立高校 | 月額9,600円 |
ただし、保護者の道府県民税所得割額と市町村民税所得割額の合計が507,000円を下回っていることが条件となり、年収の目安としては約910万円未満になります。
市町村民所得割高が分からない、という方は、6月ごろに勤務先から「市町村民税・県民税特別徴収税額通知書」が渡されるので、この書類を確認してください。申請時にも必要な書類となります。
この制度は、高校生の約8割が利用している制度で、奨学金と違い返済の必要はありません。申請は決められた期間内に行わなくてはなりませんが、申請時期になると学校から案内があり、書類の提出も学校を通じて行います。
申請には
- 受給資格認定申請書
- マイナンバーカードのコピー(マインバーが無理なときは課税証明書などで代用OK)
こちらの制度にも所得制限があり、目安として年収約590万円未満、とされています。
これを超えてしまっても、年収約910万円未満ならば就学支援金は支給されます。
返済不要の高校生等奨学給付金
高校生等奨学給付金は低所得世帯を対象として授業料以外の教育費(教材費や学用品、修学旅行費など)の負担を減らすために国から受けることが出来る補助です。
文部科学省が提示している補助基準は以下の通りです。
生活保護受給世帯(全日制・通信制)
- 国立・公立高校に在学する者…年額32,300円
- 私立高校に在学する者…年額52,600円
- 国立・公立高校に在学する者…年額82,700円
- 私立高校に在学する者…年額98,500円
- 国立・公立高校に在学する者…年額129,700円
- 私立高校に在学する者…138,000円
- 国立・公立高校に在学する者…年額36,500円
- 私立高校に在学する者…年額38,100円
各自治体の実施する学費支援制度
国が行っている就学支援金制度についてご紹介してきましたが、自治体によっても学費支援制度を行っている場合があります。
例を挙げると、
- 東京都:私立高等学校等授業料軽減助成金事業
- 大阪府:授業料無償化制度
などで学費支援制度が行われています。
東京都の場合を詳しくご紹介する以下のようになります。
年収目安 | 軽減額(年額) |
---|---|
250万円未満 | 152,000円 |
250万~350万円未満 | 211,400円 |
350万~590万円未満 | 270,800円 |
590万~760万円未満 | 330,200円 |
このように、自治体によって国とは違った就学支援を行っている場合があります。一度お住まいの自治体に就学支援が無いかを確認することをおすすめします。
【母子家庭の方向け】公立高校の学費に備える助成金や手当
ここでは母子家庭の方向けに、公立高校の学費を準備するのに役立つ3つの助成金や手当について解説します。
- 児童扶養手当
- ひとり親家庭支援奨学金制度
- 日本政策金融公庫の国の教育ローン
児童扶養手当の受給
母子家庭で学費の助けとなるものの一つが児童扶養手当になります。児童扶養手当が支給される期間は、18歳に達する日以降の最初の3月31日まで、ということになっています。
児童手当が中学生までなのに比べて、長い期間支給されるのが特徴です。
支給される金額は以下のようになります。
子供の人数 | 1月あたりの支給金額(全額) |
---|---|
1人目 | 42,910円 |
2人目の追加金額 | 10,140円 |
3人目以降の追加金額 | 6,080円 |
児童扶養手当には所得制限が設けられています。所得制限の所得の計算方法は以下のようになります。
収入金額-給与所得控除額+養育費の8割相当額-諸控除額
この計算で出された所得が限度額未満の場合、児童扶養手当が支給されます。所得限度額は以下のようになります。
扶養親族等の人数 | 全部支給の限度額 | 一部支給の限度額 |
---|---|---|
0人 | 49万円未満 | 192万円未満 |
1人 | 87万円未満 | 230万円未満 |
2人 | 125万円未満 | 268万円未満 |
3人 | 163万円未満 | 306万円未満 |
児童扶養手当を受け取るには、手続きが必要となります。忘れずにお住まいの自治体で手続きを行うようにしましょう。
ひとり親家庭支援奨学金制度
この制度は、一般財団法人全国母子寡婦福祉団体協議会が運営し、ローソングループがサポート及び支援を行っている「ひとり親(母子)家庭」のみを対象としている奨学金です。
<奨学金概要>
- 奨学金…月額30,000円(返済不要・他の奨学金との併用可)
- 募集人数…全国400名(各都道府県4名~)
- 対象…中学校3年生・高校、高専1年生~3年
<応募資格>
- ひとり親家庭等で就学が経済的に困難な生徒
- 夢を実現するための意欲があり社会貢献を希望する生徒
- 全母子協の加盟団体の会員、およに入会希望の方のお子さん(生徒)
- 全母子協理事長、または全母子協加盟団体代表者の推薦を受けることが出来る品行方正な生徒
以下の場合は応募することが出来ません。
- 1人あたりの収入平均が90万以上の場合
- 前年度の学校の出席率が80%未満の場合(ただし病気やケガの場合は除く)
- 兄弟姉妹が申請している場合の年少者(1世帯1人)
申請については、全母子協のホームページまたは全母子協の加盟団体に依頼して行うことが出来ます。申請は、申請用紙のほかに収入に関する証明書、個人調(高校1年生の場合は在学証明書)が必要になります。
日本政策金融公庫の国の教育ローン
日本政策金高校では、「国の教育ローン」という貸付を行っています。このローンは、高校・大学・専修学校に入学または在学している人の保護者を対象として、入学費用や授業料、通学費を借りることが出来ます。
ただし、借りることが出来るのは今後1年間に必要な金額になります。金額は1人につき350万円までとなりますが、2年目以降も総額が350万円の範囲内であれば申込可能です。
国の教育ローンは、返済期間は最長15年と比較的長く(母子家庭・父子家庭・交通遺児家庭は18年まで)、無担保で借りることが出来ます。
申込手続きは日本政策金融公庫のほか、取扱いの各金融機関ですることが出来ます。
まとめ:公立高校の学費は一年間で45万円程度
公立高校の学費に関して解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントをまとめると
- 公立高校の3年間にかかる学費の平均は、1,351,336円
- 入学時にかかる費用は、平均10万円~15万円(入学金と通学関係費)
- 公立高校に通う生徒の約35%は塾に通っており、1年間の平均塾費用は106,767円
- 年収910万円以下の場合は、授業料は国が負担してくれるため実質無料
- 低所得世帯を対象とした返済不要の奨学金がある
- 母子家庭の方向けの手当等もある
そのためには、進学費用として早いうちから準備しておくと安心です。
ただ、支払いが難しいという場合には、国の補助や奨学金、教育ローン等の様々な制度が用意されており利用することが出来ます。
子供を安心して進学させてあげるためにも是非、この記事を参考に今後の資金計画の参考にしてみてください。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたいお金や保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。