歯学部の学費|学費の内訳、国立と私立の歯科大の比較、学費免除やローン制度を紹介

歯科医になるために通う歯学部。医学部よりは学費は安いイメージですが、やはり他の学部と比較すると学費の高い学部です。この記事では、歯学部の学費の内訳と金額、そして有名歯科大の費用と一緒に国立と私立の歯学部の学費の比較、そして学費免除や教育ローン制度を紹介します。

歯学部・歯科大の学費はいくら?

歯学部や歯科大に通うとなると一番気になってくるのが「学費」です。


一般の大学よりも医学部・歯学部の学費は高くなる傾向にあり、かつ6年制ということもあり、家計に大きな負担となる場合が多いです。特に私立大学に進学する場合は、国公立の歯科大学よりも更に学費が高くなります。また、私学の場合は入学金や授業料の他に共済金や委託徴収金など別途費用がかかることも多く、それらの費用がどれほど必要かによって私学の中でも大学によって学費には大きく差が出ることがあります。


実際歯学部・歯科大学に行くためには学費はいくらかかるのかいくら準備しておくべきなのかは大学別にしっかり確認しておく必要があるということです。


そこでこの記事では「歯学部・歯科大の学費」について


  • 歯学部、歯科大の学費の内訳
  • 学費免除や奨学金制度の紹介
  • 学費と偏差値の関係性


以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、歯学部・歯科大の学費がいくらかかるのか、どのように対策をすればいいのかの参考になるかと思います。


是非最後までご覧ください。

歯学部・歯科大の学費の内訳

歯学部・歯科大の学費にはどのようなものが必要になるのかを確認してみましょう。


まず国公立、私立を問わず入学金と前期後期の授業料が必要になります。ここに検定料や施設維持費などが加算され、共済金などがかかる場合もあります。


医療系の大学では設備を最新のものに揃えておく必要があり、教育充実費や施設維持費などが他学部や一般の文系大学などと比べ割高になるケースが多いです。


私立の歯科大学である大阪歯科大学の歯学部の学費を参考に確認してみます。


【大阪歯科大学の学費】

  • 入学金      600,000円
  • 年間授業料 3,800,000円
  • 教育充実費    325,000円
  • 施設維持費    350,000円
  • 委託徴集金      40,000円
  • 共済会費     600,000円


これらの費用を初年度納入する必要があり、合計で6,390,000円ものお金が必要となります。


次に同じ私立の歯科大学である日本歯科大学の学費を確認してみましょう。


【日本歯科大学の学費】

  • 入学金    600,000円
  • 年間授業料 3,800,000円
  • 教育充実費  730,000円
  • 施設維持費  600,000円
  • その他費用    35,000円


これらを合計すると、初年度納入金額は合計で5,765,000円必要になります。

国立歯学部と私立歯学部の学費の違いと比較

国立歯学部と私立私学部の大きな違いは、国立歯学部は学費が全国一律であることと、私立歯学部に比べ学費が安いことが挙げられます。これは、文部科学省による標準額を基にした入学金や授業料の設定になっているため、一律で低額の学費設定となっているのです。国立大学は国からの援助によって不足分の経費を補って運営しています。


私立歯学部は大学側で施設を維持したり、設備を最新のものに変えたり、高度な研究など行う際の経費を賄う必要があるため、入学費や授業料が高くなります。


反面、国立歯学部は私立歯学部と比較して学費が大幅に安くなることから、偏差値や倍率が共に高くなる傾向があります。

国立歯学部の学費

国立大学である東京医科歯科大学を参考に国立歯学部の学費について確認してみましょう。主な費用は以下の通りです。


【東京医科歯科大学の学費】

  • 入学金       282,000円
  • 年間授業料 535,800円


国立歯科大学では年間の学費が合計で817,800円程度必要になります。仮に6年間通った場合は合計で3,496,800円必要となります。


6年間で3,496,800円であれば、ここに検定料やその他諸経費が重なったとしても私立歯学部の大阪歯科大学や、日本歯科大学の1年間の納入金よりも、国公立の6年間の納入金の方が低い計算になります。


なお、その他の国立大学歯学部も同様に初年度の学費が817,800円、6年間の学費が3,496,800円となっています。なるべく学費を抑えたいと考えているのであれば、まずは国立大学歯学部の受験をおすすめします。


国立大学歯学部は以下の通りです。


【国立大学歯学部一覧】

  • 北海道大学
  • 東北大学
  • 東京医科歯科大学
  • 新潟大学
  • 大阪大学
  • 岡山大学
  • 広島大学
  • 徳島大学
  • 九州大学
  • 長崎大学
  • 鹿児島大学


ほとんどが旧帝国大学となっており、それらを中心に一部の国立大学にしか歯学部は存在していません。


偏差値にも若干の違いがありますが、学費は全国一律となっているため、お近くの大学を目指すか、自身の偏差値に合った国立歯学部を狙うのが良いでしょう。

私立歯学部・歯科大の学費の安いランキング

2021年現在、全国の歯学部がある私立大学は全17大学あります。以下に17大学の大学名と初年度納入金、6年間の学費合計の3項目を表にしましたので参考にしてみて下さい。


【私立歯学部の初年度納入金と学費合計】

大学名初年度納入金6年間の学費合計
明海大学
351万円1,931万円
朝日大学353万円1,998万円
奥羽大学405万2,155万円
昭和大学450万円2,200万円
北海道医療大学410万円2,460万円
松本歯科大学428万円2,528万円
福岡歯科大学428万円2,630万円
神奈川歯科大学395万円2,700万円
鶴見大学525万円2,790万円
岩手医科大学610万円2,800万円
愛知学院大学534万円2,862万円
日本大学松戸歯学部690万円2,940万円
日本歯科大学新潟生命歯学部573万円3,138万円
日本歯科大学576万円3,141万円
大阪歯科大学575万円3,150万円
日本大学歯学部690万円3,160万円
東京歯科大学945万円3,214万円


最も学費が安い明海大学でも、6年間の学費は合計1,931万円ものお金が必要になります。


しかし、最も学費の高い東京歯科大学では、6年間で合計3,214万円お金が必要であり、明海大学歯学部に比べると1,283万円もの差があることが分かります。


国立大学歯学部と、私立大学歯学部を比較検討することはもちろん大切ですが、私立大学歯学部の中でも学費には大きな差があるということを考えながら大学選びをする必要があるということです。

歯学部の学費が払えないと心配の方に、学費免除や補助制度を紹介

以上に紹介した通り、私立大学歯学部に子供を通わせるというのは簡単なことではありません。あまりお金を教育にかけられない場合はそもそも私立大学歯学部に通うことは難しい場合が多いでしょう。国立大学限定と条件を付けて受験させることも必要になる程学費負担は簡単なことではありません。


しかしながら、あまりお金をかけられないから私立大学歯学部には絶対にいけないというわけではありません。実は、学費を用意するために以下のような制度が設けられています。代表的なものを4つ挙げておきます。


【代表的な学費対策制度】

  • 大学無償化制度
  • 特待生制度
  • 奨学金
  • 教育ローン


大学無償化や特待生制度には条件がありますので、全員が受けられるということはありません。もし、ご自身がこれらの制度に当てはまるのでしたら、制度を利用することで学費負担を少なくすることが可能です。

歯学部志望で、国の大学無償化の制度の対象になる家庭は少ない

大学無償化法が2019年5月10日に成立しました。


これは、「低所得者世帯であっても、社会で自立し、活躍できる人材を育成する大学等に就学できるよう経済的な負担を軽減すること」を目的とした制度であり、1.授業料免除制度、2.給付型奨学金の支給の拡充という二つの柱で構成されています。


しかし全員が無償化されるわけではく、本制度を受けるためには所得の制限があり、所得に応じて支給額が変化します。


【大学無償化法の適用条件】

世帯条件免除金額
①年収250万円未満
(住民税非課税世帯)
国立大学:全額免除
私立大学:約70万円減免
②年収300万円未満の世帯①の額の3分の2を支給
③年収380万円未満の世帯①の額の3分の1を支給


また、本制度による授業料・入学金の減免上限額についてはこのようになります。


【減免上限額】

  • 【国公立】授業料・入学金ともに省令で規定されている国立の学校種ごとの標準額までを減免
  • 【私立】入学金については私立の入学金の平均額まで、授業料については、国立大学の標準額に、各学校種の私立学校の平均授業料を踏まえた額と国立大学の標準額との差額の2分の1を加算した額までを減免
※参照:文部科学省

つまり、本制度は年収250万円未満で、かつ国公立に通う生徒は全額無償化となりますが、私立に通う生徒にとっては全額無償化にはならず、歯学部志望の場合本制度の対象になる家庭は少ないことになります。

給付型奨学金(返済不要)についても、年収250万円未満世帯については以下のように変更されました。

【給付型奨学金の内容】
  • 【国公立】自宅通学の場合:約35万円。自宅外通学の場合:約81万円
  • 【私立】自宅通学の場合:約46万円。自宅外通学の場合:約91万円

奨学金についても歯学部の授業料を賄えるようなものではなく、本制度は歯学部志望の家庭については当てはまらないことの方が多いです。

つまり本制度は低所得者向けに作られたものであって、広く歯学部に進学を望む学生にとって利用できるとは限らないのです。

大学の特待生制度を利用しよう

私立大学には特待生制度があり、本制度の適用となった場合授業料が減免されます。


特待生制度には所得の高低は関係ありませんが、優秀であればだれでも受けることができる制度なので、歯学部志望の家庭にとって大学無償化制度よりも利用する可能性が高いです。


例えば、大阪歯科大学の場合、成績優秀者特待生度にはA種とB種が存在し、以下のようになっています。


【大阪歯科大学特待生制度】

種別内容減免額減免額
A種・初年度学校納付金免除
・2年次以降は授業料免除
1年次:515万円
2年次以降:380万円×5年
2,415万円
B種・初年度学校納付金免除515万円515万円


A種に当てはまることが出来れば、大幅な減免が望め学費負担を大幅に減らすことができます。


日本歯科大学の場合も確認してみましょう


【日本歯科大学特待生制度】

区分特待生一般学生
入学金300,000円600,000円
年間授業料1,900,000円3,800,000円
年間教育充実費365,000円730,000円
年間施設維持費300,000円600,000円
6年間合計14,690,000円31,380,000円


日本歯科大学の場合も、特待生制度を利用できた場合一般学生よりも6年間でかかる合計費用を約半分程度減免することが可能となります。


【鶴見大学特待生制度】

年度項目金額
初年度入学金600,000円
授業料400,000円
二年次以降授業料1,000,000円
6年間合計7,000,000円


【北海道医療大学特待生制度】

区分S特待生A特待生
入学金300,000円300,000円
授業料517,800円1,900,000円
2年次以降授業料535,800円4,100,000円


【福岡歯科大学特待生制度】

年度特待生制度先願特待生制度
1年次なし
2年次以降年額1,500,000円6年間で650万円免除


以上確認した通り、特待生制度を利用すれば私立歯学部の就学にかかる費用を大幅に減らすことが可能です。


特待生制度を利用するには、各大学指定の要件がありますので、ご自身の進学を予定している大学のHPなどを参照しておくと良いでしょう。

医療系大学生向けの教育ローンがある

医療系大学のような費用の大きくかかる学生に向けた国の教育ローンがあります。


この教育ローンは「日本政策金融公庫 国民生活事業部」が取り扱っており、大学に入学する時や在学中の費用を対象に公的な融資を受けることが可能になっています。


また本制度は受験前に手続きをすることが可能となっており、審査に通るか心配の

方は、先に利用が可能か判断することも可能です。


概要は以下の通りとなっています。


【国の教育ローン概要】

融資額学生・生徒一人当たり350万円以内
利率固定金利年1.71%(母子/父子家庭で世帯収入200万円以内または子供が3人以上の一部世帯は年1.31%)
返済期間15年以内(交通遺児家庭、母子/父子家庭、世帯収入200万円以内または子供が3人以上の一部世帯は18年以内)
使い道入学金、授業料、教科書代、マンション・アパート敷金、家賃など教育にかかる資金
返済方法毎月元利均等払い(ボーナス併用可能)


国の教育ローンを利用することで、入学金などの一括で多額の資金が必要な場合であっても対応することが可能です。教育ローンと特待生制度を利用することで、資金が多く必要となる歯学部を志望することも現実的となってきます。

参考:歯学部の学費と偏差値は反比例?

歯学部の学費と偏差値の一覧をまとめましたので参考にしてみて下さい。


【偏差値の高い大学と学費合計】

順位私立大学歯学部偏差値(河合塾)6年間の学費合計
1位東京歯科大学57.53,214万円
2位昭和大学552,200万円
2位日本歯科大学553,141万円
2位大阪歯科大学553,150万円
5位日本大学歯学部503,160万円


【偏差値の低い大学と学費合計】

順位私立大学歯学部 偏差値(河合塾)6年間の学費合計
17位鶴見大学352,790万円
15位岩手医療大学37.52,800万円
15位奥羽大学37,52,155万円
14位松本歯科大学402,528万円
14位北海道医療大学402,460万円


私立歯学部は学費が高くなるので、一般的に学費が低い大学の倍率が上がります。


また、歯科医になるための国家資格合格率の高い大学も人気で、これらの条件を揃えている大学の倍率が高くなる傾向があります。例年、東京歯科大学や昭和大学の倍率が他に比べて高くなるのもそのためです。


河合塾を参照した場合では、偏差値と学費は比例して高くなっていく傾向があります。しかし、偏差値の低い大学は国家資格合格率が低い場合が多く、大学側も試験合格の見込みがない生徒を進級させないなどの措置を取る可能性があり、仮に年間の学費が少なくても卒業までの合計が増えてしまう場合もありますので注意が必要です。


歯学部は6年間ありますので卒業することも一苦労ですが、何よりも国家資格に合格しなければ意味がないということを理解しておく必要があります。

歯学部の学費のまとめ

歯学部の学費について解説しました。


今回の記事のポイントは

  • 国立大学歯学部の学費は一律。私立歯学部の学費は大学によって大きな差がある。
  • 特待生制度や奨学金制度、教育ローンを利用することで学費の対策が可能
  • 偏差値(河合塾)に比例して学費が高くなる傾向にあるものの、国家資格合格率が低かったり、進級できないなどの可能性もあり。

歯学部は6年間の就学が必要ということもあり、学費についてはきちんと対策をしておきたいものです。進学したい大学の年間の学費を把握することは、試験対策することと同様に重要なことです。

特待生制度や奨学金制度、教育ローンなど様々な学費対策を講じ、自分の一番行きたい大学に進学できることが何よりも重要です。大学によっては独自に補助制度を設けいている場合もありますので、一度確認しておくのが良いでしょう

もし一番に学費を抑えたいのであれば、まず学費の安い国立歯学部を目指し、その後で私立歯学部を検討してみてはいかがでしょうか。

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