更新日:2021/04/12
私立大学の4年間の学費内訳|理系と文系の違い、国公立との比較も解説
私立大学の4年間の学費は合計でどのくらいなのでしょう?今回四年制私立大学の学費の内訳(入学金・授業料含む)はいくらか、国公立との比較、私立文系・私立理系など学部による学費、学費の高い順と安い順ランキングを紹介します。また、学費無償化や学費免除制度も紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 四年制私立大学の学費の平均はいくら?学部や国公立との違いも解説
- 私立大学の学費の平均と内訳、国立大学との比較
- 私立大学の入学金と授業料、施設設備費
- ゼミや飲み会費用などその他考慮するべき費用
- 私立大学で4年間でかかる学費は合計いくらか国公立と比較
- 私立大学の学費!文系と理系
- 私大文系、私大理系、私大医学部の学費の比較
- 学費が高い・安い順の私立大学の学費ランキング
- 私立大学の学費の高いランキング
- 私立大学の学費の安いランキング
- 私立大学の無償化や学費免除、奨学金の紹介
- 参考:お子さんの私立大学進学には早めの準備が不可欠
- おすすめ教育資金準備方法①:学資保険
- おすすめ教育資金準備方法②:ジュニアNISA
- まとめ:私立大学の学費はトータルでいくらか
目次
四年制私立大学の学費の平均はいくら?学部や国公立との違いも解説
日本にある大学は現在782校、そのうちの603校が四年制私立大学です。(文部科学省 平成30年度学校基本調査より)
このことから、大学に行く予定なら私立大学に通うことを前提に学費を準備しておくと安心です。ただ、どれぐらいの学費が必要になるのか心配に思われる方が多いのではないでしょうか。
大学の場合、授業料のほかにも入学金や施設利用料などが必要になり、かなり高額になります。
短い期間で準備できるお金ではないので、平均金額を知って早めに準備していきたいものです。
そこで、この記事では「四年制私立大学にかかる費用や教育資金の貯め方」について、
- 私立大学の平均学費と内訳
- 国立大学との差
- 大学に通うことで学費以外にかかる費用
- 学部ごとの学費の比較
- 私立大学の学校別、学費で見るランキング
- 確実に教育資金を貯めていく方法
以上のことを中心に解説していきます。
私立大学の学費は高額ではありますが、早めに準備していけば、負担を軽くすることができます。
また後半では、条件を満たせば学費をほぼ免除できる上に、奨学金の給付も受けられる制度もご紹介します。
この記事を読んでいただければ、私立大学に通うための必要な学費を知ることができ、目標を持って準備していけるかと思います。
私立大学の学費の平均と内訳、国立大学との比較
私立大学の学費と一言でいっても、その内訳は大学や学部によって異なります。しかし、ほぼ全ての私立大学(の学部)で徴収されている内訳を確認していきましょう。
私立大学の学費は主に以下の3つの科目に分類することができます。
- 入学料(入学金)
- 授業料
- 施設設備費
科目 | 納付に関する詳細 |
---|---|
入学料 | 入学初年度のみ納付する |
授業料 | 原則、在籍している限り毎年度納付する |
施設設備費 | 原則、在籍している限り毎年度納付する |
私立大学をモデルにご紹介しましたが、学費の内訳については私立と国立で大きな違いはありません。
しかし、その金額には大きな差があります。 次のトピックで詳しく解説します。
私立大学の入学金と授業料、施設設備費
学費の各科目の平均額を私立大学と国立大学で比較したものが以下の表です。
その差が年間で50万円以上あります。4年間に換算すると200万円を超える差があることになります。
これは国立大学には多額のお金(税金)が国から投入されるのに対して、私立大学は一部の補助金を除いては、施設や設備の新設、補修も含め、原則的に自費で大学を運営しなければならないことに起因しています。
平成29年度 私立大学と国立大学の初年度平均学費比較表(単位:円)
科目 | 私立大学 | 国立大学 |
---|---|---|
入学料(円) | 252,030 | 282,000 |
授業料(円) | 900,093 | 535,800 |
施設設備費(円) | 181,294 | - |
合計(円) | 1,333,418 | 817,800 |
※私立大学の各種データは、「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果」を参照
※国立大学の入学料、授業料は文部科学省が定める標準額を適用
ゼミや飲み会費用などその他考慮するべき費用
大学生活を送る上で必要なお金は学費だけではありません。
特に一人暮らしをする方は住宅費や食費がかかりますし、加えて大学生になるとゼミやサークルでのお付き合いも生まれ、娯楽費が多くなる傾向にあります。
それぞれの費用が一体どれ位必要なのか、以下の表をご覧ください。
自宅生と下宿生の1ヶ月の生活費(単位:円)
区分 | 自宅生 | 下宿生※ |
---|---|---|
住宅費・光熱費 | ー | 38,833 |
食費 | 8,500 | 23,000 |
保健衛生費 | 3,008 | 3,067 |
娯楽、し好費 | 11,183 | 12,592 |
その他の日常費 | 11,708 | 13,767 |
合計 | 34,399 | 91,259 |
参照:日本FP協会「大学の暮らしって、どれ位お金かかるの?」
※下宿生とは、間借、学生マンション、親戚・知人宅を含み、修学の為に家族と別居している場合を言う(学生寮に居住している場合は除く)。
このように、実家を離れて暮らす方は生活費にもお金がかかります。特に住宅費は住む地域や家によって大きく費用が異なりますので、注意が必要です。
私立大学で4年間でかかる学費は合計いくらか国公立と比較
文部科学省の平成30年度の調査によると、私立大学の初年度にかかる費用の平均金額は、
- 授業料…904,146円
- 入学料…249,985円
- 施設設備費…181,902
でした。授業料は1年分を何回かに分けて納付することができますが、入学時期の段階で高額の学費が必要となります。
また、この金額は学部に関係なく平均した金額です。理系、文系などと学部によって大きく異なります。学部別の平均金額、国立、公立について比較してみましょう。
区分 | 授業料+施設設備費 | 入学料 |
---|---|---|
国立 | 535,800円 | 282,000円 |
公立 | 538,633円 | 393,618円 |
私立文系 | 936,925円 | 229,997円 |
私立理系 | 1,290,654円 | 254,309円 |
(参考:文部科学省「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金
平均額(定員1人当たり)の調査結果について」「国公私立大学の授業料等の推移」)
国立と公立の施設設備費は学部によって異なります。
4年間で試算すると以下のようになります。
4年間にかかる費用の目安 | |
---|---|
国立 | 約243万円 |
公立 | 約255万円 |
私立文系 | 約398万円 |
私立理系 | 約542万円 |
初年度の平均金額を4年間で試算してみましたが、学年が上がると授業料や施設設備費も上がる傾向があるようです。
上記でご紹介したゼミや飲み会などの費用に加え、通学定期代などさまざまな費用が必要になります。
私立大学の学費!文系と理系
話を学費に戻しましょう。
冒頭でお伝えした通り、私立大学の学費といっても学部によって大きく異なります。
一般的に文系学部<理系学部<医学部という順番で学費が高くなりますので、希望する学部の学費をしっかり確認する必要があります。このトピックでは、各学部の平均学費や私立大学別の学費ランキングを見ていきましょう。
私大文系、私大理系、私大医学部の学費の比較
私立大学の文系、理系、医学部(歯科も含む)の学費の平均は以下の通りです。
私立大学各学部における1年間あたりの学費比較(単位:円)
区分 | 平均学費 (入学初年度) | 平均学費 (2年次以降) |
---|---|---|
私立文系学部 | 1,165,310 | 933,499 |
私立理系学部 | 1,540,896 | 1,285,956 |
私立医歯系学部 | 4,770,957 | 3,720,651 |
参照:平成29年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について
このように医学部は学費が非常に高額となります。
入学初年度だけで、文系学部より360万円ほど学費が高くなります。そのほかにも薬学部や看護学部は比較的に高いとされています。
また、文系学部と理系学部の比較については、以下の表で詳しくご覧ください。
私立大学文系学部と理系学部の学費比較(単位:円)
学費内訳 | 私立文系学部 | 私立理系学部 |
---|---|---|
入学料 | 231,811 | 254,941 |
授業料(4年間) | 3,124,012 | 4,407,416 |
施設設備費(4年間) | 609,984 | 736,408 |
4年間学費合計 | 3,965,807 | 5,398,764 |
私立大学の文系学部と理系学部の4年間の学費は、理系学部の方が約140万円ほど高額になります。
学費が高い・安い順の私立大学の学費ランキング
同じ私立大学でも学部によって大きく違いましたね。しかし大学が違えば、同じ学部であっても学費に差があることをご存じでしょうか。
「地方を選べば学費が安くなるのではないか」と思われている方もいるかもしれませんが、そういったことでもないようです。
学費が心配で選択肢に入れられなかった学部も考えられるようになるかもしれません。
ここでは、学費の高さと安さで比較した大学をランキングでご紹介します。
大学によってどれぐらい違いがあるのか、一番高い大学はどこなのかなどを見ていきましょう。
私立大学の学費の高いランキング
学部毎の学費の相場を理解したところで、各大学の学費を覗いてみましょう。以下の表は、学費が高い私立大学(学部)トップ10の一覧です。
ランクインする学部のほとんどが医学部になります。
※最新の情報は各大学のHPをご確認ください。
初年度納付金の高い私立大学ランキングTOP10
順位 | 大学・学部名 | 初年度納付金 |
---|---|---|
1位 | 帝京大学 医学部医学科 | 14,207,320 |
2位 | 川崎医科大学 医学部医学科 | 12,015,000 |
3位 | 金沢医科大学 医学部医学科 | 11,789,970 |
4位 | 埼玉医科大学 医学部医学科 | 11,070,000 |
5位 | 獨協医科大学 医学部医学科 | 10,300,000 |
6位 | 杏林大学 医学部医学科 | 10,050,700 |
7位 | 大阪歯科大学 歯学部歯学科 | 9,640,000 |
8位 | 福岡大学 医学部医学科 | 9,624,710 |
9位 | 大阪医科大学 医学部医学科 | 9,600,000 |
10位 | 愛知医科大学 医学部医学科 | 9,500,000 |
医学部も大学によって学費が大きく異なる特徴がありますが、総じて医学部の学費がいかに高額であるかを示したランキングになっています。
医学部の学費についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
私立大学の学費の安いランキング
続いて、学費が安い私立大学(学部)トップ10の一覧はこちらです。
「第二部」という表記が目立ちますが、これは夜間制であることを意味します。
※最新の情報は各大学のHPをご確認ください。
初年度納付金の安い私立大学ランキングTOP10
順位 | 大学・学部名 | 初年度納付金 |
---|---|---|
1位 | 東京電機大学 工学部第二部 | 443,500 |
2位 | 九州産業大学地域共創 (地域づくり(夜間特別枠)) | 456,350 |
3位 | 福岡大学 商学部第二部 | 472,370 |
4位 | 北海学園大学 法学部第二部 | 609,000 |
4位 | 北海学園大学 経済学部第二部 | 609,000 |
4位 | 北海学園大学 経営学部第二部 | 609,000 |
7位 | 大阪経済大学 経営学部第二部 | 613,000 |
8位 | 北海学園大学 人文学部第二部 | 621,000 |
9位 | 熊本学園大学 社会福祉第二部 | 645,500 |
10位 | 日本大学 法学部第二部 | 660,000 |
私立大学は原則として国立大学よりも学費が高額であるとご説明しましたが、ここにランクインしている私立大学は国立大学の初年度納付金の平均額よりも安くなっています。
主に第二部(夜間)であることも大きな特徴です。
私立大学の無償化や学費免除、奨学金の紹介
「学費が払えない」「少しでも学費を節約したい」という方にとっては、学費の安い大学は魅力的かと思いますが、大学選択の幅が狭められてしまうことも事実です。
そこで次にご紹介するのは、学費が高くても実質学費を下げることができる方法です。
それが、学費の減免制度や奨学金の利用です。
最近ニュースでよくみかける「大学無償化」を中心に学費の減免や奨学金についてご紹介します。
▪️大学無償化について
大学の無償化とは、「大学の入学金と授業料が減免される」ことに加え、「返還不要の給付型奨学金が支給される」制度で2020年4月から実施されます。実際にどれほどの額が支援され、対象はどのような学生なのでしょうか?
(1)私立大学における無償化の減免額および給付額について
- 入学金は最大約26万円、授業料は最大約70万円を免除
- 給付奨学金は自宅外在住で最大91万円、自宅在住で最大46万円を給付(返還不要)
(2)大学無償化の適用を受ける条件について
次の2つを満たす必要有
- 無償化の対象校として文部科学省に認定された大学であること
- 学生の世帯が「住民税非課税世帯」か「それに準ずる世帯」であること
この他にも、大学が独自に用意している奨学金や日本学生支援機構(JASSO)が用意する奨学金もあります。
奨学金には返還が不要な「給付型」と将来に返還が必要な「貸与型」がありますので、その辺りに注意して調べてみてください。
参考:お子さんの私立大学進学には早めの準備が不可欠
冒頭でもお伝えしましたが、お子さんの私立大学進学には早めの準備が不可欠です。
私立の中でも比較的安い文系を選んだとしても、4年間で約400万円と簡単に準備できる金額ではありません。
これほど多くのお金を準備できるか不安に思っている方も多いと思います。リスクの低い学資保険や投資を活用して、お子さんの大学入学に向けて準備を進めるのはいかがでしょうか。
早めに始めれば準備期間も長くなり、多くの資金を準備することができますよ。
おすすめ教育資金準備方法①:学資保険
子供の教育費の貯蓄といえば、学資保険を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
学資保険は、満期になるまでにどのくらい貯蓄していたいかによって月々の保険料が違います。
学資保険で用意する金額は、一般的に200万円くらいのようです。
子供が小さなころから学資保険に加入できれば満期を迎えるまでに長い年月があるため、月々の支払いも家計を圧迫しない程度(1~2万円程)に抑えられるでしょう。
大学進学時に保険金を受け取れるように、満期を迎えたい時期をしっかり計算しておくとよいですよ。
学資保険に加入する前には、返戻率が100%を切っていないかも確認しましょう。
元本割れしている商品は支払ったお金のほうが多くなってしまうので、100%以上の貯蓄性の高い商品を選んでくださいね。
おすすめ教育資金準備方法②:ジュニアNISA
学資保険や銀行での定期預金のように、子供の教育費の貯蓄として活用できるのが「ジュニアNISA」です。
現代の日本は低金利のため預貯金をしていても利息がほとんどつきません。しかし、物価はどんどん上昇しているので、銀行に預けているだけでは資産が減ってしまうこともあります。
ジュニアNISAの場合は年間に80万円まで投資することができ、投資から得られた利益には税金がかかりません。
「子供のために投資をすると、将来渡すときに贈与税がかかりそう」と考える方も多いでしょう。
ジュニアNISAの場合は、贈与税がかかる年間110万円以内なので、贈与税対策にもなります。
投資は少なくてもリスクがあるものなので、100%投資で教育費を準備するのではなく、預貯金と併用するのがおすすめです。
まとめ:私立大学の学費はトータルでいくらか
私立大学の学費について解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- 私立大学の学費は、国公立と比べると最低でも100万円以上高くなる
- 進学する学部によっても、学費が大きく違ってくる
- 大学で必要なお金は学費だけではなく、子供が1人暮らしをする場合は家賃や生活費など、プラスでお金がかかる
- 将来の大学進学に備えて、子供が小さなころから貯蓄を進めることが大切である
私立大学は国公立と比べて学費が高額になるだけでなく、子供が1人暮らしをする場合は家賃や生活費、通信費など、親が負担するお金がかなり大きくなります。
また、子供によっては留学をする場合もあるので、留学費用もプラスでかかってくると思うと「私立大学に行かせられるか不安」と、今から心配な人も多いでしょう。
しかし、私立大学は学費が高い分、施設や設備が充実していて様々なサービスが受けられるメリットもあります。
子供が小さなころから学資保険やジュニアNISAなどで少しずつ教育資金の準備ができると、家計に負担をかけずに大学費用も支払っていけるでしょう。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい学費に関する記事を多数掲載しています。
また、栄養士の専門学校の学費についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。