学資保険は年末調整の控除の対象!区分は何?控除額はいくらが上限?

生命保険料控除での所得税の節税は学資保険に加入するメリットの1つです。ただ、控除の分類(区分)や控除額はいくらが上限なのか、年末調整での手続き・書類の書き方はどうしたら良いのかなど、わからないことだらけです。今回は年末調整での学資保険の控除について解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

学資保険の保険料は年末調整の控除対象!

年末調整の時期になると大変なのが、保険料控除などの書類の整理と申請ですよね。


学資保険も死亡保険や医療保険と同様に、年末調整で保険料控除の対象となります。  


しかし、年間数万も支払っている学資保険の保険料であれば、いくら控除されるかご存知ですか?


また、どうやって年末調整の手続き・書類の書き方をするのかご存知ですか?


今回は、年末調整の時の学資保険の保険料控除について

  • 生命保険料控除のうち、どの分類(区分)なのか?
  • 年末調整では控除額の上限はいくらまでなのか?
  • 年末調整時に学資保険の申告や手続きをどのようにするのか?
  • その他、年末調整と保険料控除についての注意点

について、簡単にわかりやすく解説します。


「最大でいくら控除されるのか」というポイントは特に気になるかと思いますが、最後まで読んで手続きをミスなくできるようにしましょう!

年末調整での学資保険の保険料控除の分類(区分)

学資保険とは、教育資金を貯蓄する目的で積み立てる生命保険の一種ですが、 契約者(親)の死亡・高度障害時の保障があったり、被保険者(子ども)の保障があったりするなど、保険としての意味合いが実はメインです。


そのため、学資保険は死亡保険と同じく「一般生命保険料控除」という分類(区分)に該当します。


まずは、「一般生命保険料控除」について解説するため、年末調整の保険料控除の仕組み・大枠についてみていきましょう。

3分類(区分)の保険料控除枠とは?

生命保険料控除には、3つの種類があります。
  1. 一般生命保険料控除
  2. 医療介護保険料控除
  3. 個人年金保険料控除

一般生命保険料控除

  • 死亡保障付きの生命保険(終身保険など)
  • 学資保険

医療介護保険料控除

  • がん保険
  • 医療保険
  • 介護保険

個人年金保険料控除

  • (国民年金・厚生年金以外の)個人年金

ですので、学資保険は一般生命保険料控除の対象となります。


学資保険の契約者は、一般的に両親のどちらかかと思いますが、父親が契約者、または就業中(正社員)の母親が契約者の場合、それぞれの年末調整で控除されます。


仮に専業主婦である母親が、学資保険の契約者となっている場合でも、父親の年末調整の控除対象となりますので、ご安心ください。

学資保険は一般生命保険料控除の対象なのはなぜ?

学資保険は、一般生命保険料控除の対象となります。


なぜ学資保険が「一般生命保険料控除」の対象となるのかというと、学資保険の内容は貯蓄が主になりますが、保険料を支払い、子どもの保障をするという役割を持っています。


被保険者(子ども)の死亡や高度障害になった場合、また契約者が死亡や高度障害・重度障害になった場合、保険料払込み免除という制度を受けることができます。


このように、生命保険のような死亡保障の面を持つため、学資保険は年末調整の際、「一般生命保険料控除」の対象となるのです。

学資保険は年末調整でいくら控除されるの?上限は?

ここからは実際に学資保険がいくら控除されるのかを解説します。


結論から申しますと、学資保険以外に生命保険に加入していない場合、最高で4~5万円控除されます。


控除金額には上限があるので、保険料を多く支払っているからといって全額控除対象になるわけではありません。


契約した時期や、他に何の保険に契約しているかによって控除額や計算方法は異なります。


実際の計算例も載せてありますので、こちらでご確認ください。

【注意】生命保険料控除の新契約と旧契約について

学資保険の契約年月日により、年末調整の控除を受ける金額が異なります。

毎年年末調整を行っている方は、ご存知でしょうが、年末調整の控除は「新契約」と「旧契約」の2種類にわかれています。
  • 旧契約:平成23年12月31日までに契約をしたものが対象となります。
  • 新契約:平成24年1月1日以降に契約したものが対象となります。

いつ学資保険に加入したかによって、年末調整の控除額が異なりますので、注意が必要です。

年末調整における控除額の計算方法と上限額

新契約と旧契約の控除額について計算方法をそれぞれ見ていきましょう。

旧契約の年末調整控除額の計算方法

年間保険料
支払額
年末調整控除額
25,000円以下保険料支払額全額
25,000円~
50,000円以下
保険料支払額×1/2+12,500円
50,000円~
100,000円以下
保険料支払額×1/4+25,000円
100,000円以上一律50,000円

新契約の年末調整控除額の計算方法

年間保険料
支払額
年末調整控除額
20,000円以下保険料支払額全額
20,000円~
40,000円以下
保険料支払額×1/2+10,000円
40,000円~
80,000円以下
保険料支払額×1/4+20,000円
80,000円以上一律40,000円

このように、いつ学資保険の契約をしたかによって、年末調整で控除される金額が異なってきます。


学資保険の契約時期を確認した上で、計算しましょう。

学資保険の控除額の限度額は4万円

旧契約に該当する場合、控除額の上限は50,000円となり、新契約に該当する場合は、控除額の上限が40,000円となります。

控除額の計算法を用いて、計算してみましょう。


例1:旧契約の例

平成23年に学資保険に加入し、年間保険料支払額が80,000円の場合

平成23年に契約しているので、旧契約の計算法に当てはまります。

保険料支払額×1/4+20,000円

80,000円×1/4+20,000円=45,000円

控除対象額は45,000円となります。


例2:新契約の例

平成26年に学資保険に加入し、年間保険料支払額が80,000円の場合

平成24年以降に契約しているので、新契約の計算法に当てはまります。

保険料支払額×1/4+20,000円

80,000円×1/4+20,000円=40,000円

控除対象額は40,000円となります。


いつ契約したかにより、同じ保険料を支払っていても計算法が異なりますので、間違えないようにしましょう。

ただし、控除額の上限額は終身保険や死亡保険との合算の金額

例えば新契約で学資保険を8万円以上支払っていても、その金額すべてが控除されるとは限りません。


学資保険は一般生命保険料控除の対象となりますが、終身保険や死亡保険もその枠に入ります。


そのため学資保険以外にも保険に加入している場合は、それらの保険の合算された金額が控除対象額となります。


そしてその枠は8万円以上で最高額4万円の控除(新契約の場合)となるので、年間8万円以上生命保険金を支払っても4万円までの控除額となります。


多く払っているからといってその分控除額がずっと大きくなるわけではないので注意しましょう。


自分の加入している他の生命保険がどの枠に入るかは、生命保険会社が発行した控除証明書に記載されているので確認してみてください。

学資保険の年末調整における申告方法

学資保険の年末調整を申告するには、10月~11月ころまでに保険会社から郵送される「生命保険料控除証明書」が必要となります。

年末調整まで、紛失することがないようにしましょう。

生命保険料控除証明書を会社に提出する

年末調整を行う際、保険会社から郵送された「控除証明書」を勤務している会社に提出する方法があります。

会社から「控除証明書を持ってきてください」と指示があった場合、他の控除証明書と一緒に学資保険の控除証明書も持っていきましょう。


また、会社から「給与所得者の保険料控除等申請書 兼配偶者特別控除申告書」を記入するよう指示が出る場合もあります。


その場合、先ほどの「学資保険控除額の計算法」に当てはめ、自分でいくらなのか計算する必要があります。


年に一度のことなので、毎年記入していても忘れてしまう場合もあるでしょう。しっかりと書き方を間違えないよう記入しましょう。


会社に「給与所得者の保険料控除等申請書 兼配偶者特別控除申告書」を提出する際、「控除証明書」も一緒に提出しましょう。


金額を記載しただけの「給与所得者の保険料控除等申請書 兼配偶者特別控除申告書」では、所得控除を受けることができません。

学資保険の年末調整における注意点

年末調整で学資保険の控除を受ける際、注意してもらいたい点があります。

  • 学資保険の保険料を滞納している場合
  • 学資保険の保険期間が5年未満の場合
  • 学資保険の保険料を一括払いにしている場合 
  • 学資保険の保障に損保系の特約を付帯している場合
この4点に該当する場合、保険料控除の対象とならない場合があるので、注意しましょう。

滞納している分があると控除されない

保険会社から郵送される「控除証明書」には、その年の1月から12月まで納められるであろう保険料支払額が記載されています。

仮に、年内に学資保険の保険料の支払いができていない場合、滞納とみなされ控除の対象となりません。


滞納しているのが、1回分の保険料でも、控除の対象外とされてしまいます。


もし、滞納している期間がある場合は、年内に保険料を納めることで、控除の対象となりますので、早めに納付しましょう。

保険期間が5年未満の学資保険は控除対象ではない

一般的に学資保険は、長期契約と言われています。

早い方だと出産予定日前から加入し、15年~20年ほどの期間加入することとなります。

最近では、子どもが12歳になるまで加入することができる学資保険も存在しますが、その場合18歳払い済みとしても5年間保険期間があります。


5年未満の学資保険は、なかなか出回っていないようです。


しかし、仮に保険期間が5年未満の学資保険に加入している場合、年末調整で控除の対象となりません。

学資保険の保険料が一括払い(一時払い)の場合

学資保険の返戻率を高めるために一括で支払う形にしている方もいるかと思います。


保険料を一度に収めるといっても、保険の取り扱い上一時払い期前納と区別されています。


一時払いは字のごとく一度にすべてを支払う方法で、全期前納は保険会社に一度預けるという形になります。

一時払いの特徴

  • 全期前納払いよりも、保険料の総支払額が安くすむ。
  • 被保険者の死亡時に支払った保険料は返還されない。(払込免除特約が適用されない)。
  • 生命保険料控除は保険料を支払った最初の年のみ受けられる。

全期前納払いの特徴

  • 年払いでや月払いに比べて、保険料の総支払額が安い。
  • 被保険者の死亡時や解約時などに、未経過分の保険料は返還される(払込免除特約が適用される)
  •  生命保険料控除は保険料払込み期間中毎年受けられる。

保険料が最も安くなるのは一時払いですが、生命保険料控除がされる期間が長いのは全期前納払いとなっていますね。

学資保険に付帯する傷害特約などは控除の対象とならない

平成22年度税制改正により控除の対象外となる特約があります。


学資保険には子どもの怪我に備えて「傷害特約」などを付帯している方もいます。


しかし、身体の傷害のみに起因して保険金などが支払われるような傷害特約災害割増特約については控除の対象とはなりません。


そのため実際の学資保険の払込保険料と、生命保険料控除証明書に記載される金額が異なる場合があります。


契約内容によっては全額が控除の対象にはならないということを覚えておきましょう。

学資保険が対象だと知らず、年末調整に遅れたら?忘れたら?

出すべき書類を出し忘れてしまったり、そもそも学資保険が対象と知らなかったので出さなかった、という場合も安心してください。


会社が年末調整に対応してくれるのは、1月末までが多いです。


それを過ぎると会社では対応をしてくれませんが、この1月末という期限は会社が行うことができる期限です。


自分で確定申告をすることで、多く源泉徴収された所得税を取り戻すことができます。


翌年の住民税は所得から判断されるので、少し手間だと感じても必ず確定申告しましょう。


確定申告は国税庁のホームページで簡単に行うことができます。


確定申告の期限(3月15日)を過ぎてしまった場合も5年以内であれば還付申告(確定申告)をすることが可能です。

まとめ:学資保険の年末調整における保険料控除の上限と条件

いかがでしたか?

子どもの教育資金を準備するために加入している学資保険が、年末調整で控除の対象となることがわかりましたね。

今回のポイントは
  • 学資保険は一般生命保険料控除の対象になる
  • 契約した時期により、控除額の計算方法は異なる
  • 新契約なら4万円、旧契約なら5万円が控除の上限
  • 控除額は学資保険と他の生命保険と合算した金額
  • 年末調整に遅れた場合も5年以内なら自分で確定申告することで控除できる
ということでした。

控除証明書は年末調整の時期より早く郵送されますので、なくさないようにしましょう。


また、控除できるものは控除して節税に取り組みましょう。


控除証明書は聞きなれない言葉も多いため内容がよくわからなく、面倒だなと思う人もいらっしゃると思います。


しかし自分で手続きをしない場合は、この内容をすべて理解しようとしなくても大丈夫です。


大事なのは自分の加入している学資保険も生命保険料控除の対象になるということを知っておくことです。


自分で確認しておきたい場合も、加入した保険を契約した保険ショップや銀行では質問や相談に乗ってくれますので、わからないことは聞いてみましょう。


ほけんROOMではほかにも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので是非ご覧下さい。


学資保険の節税についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

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