更新日:2022/10/26
外貨建て保険の満期戦略について!損しない受け取り方法を解説
外貨建て保険の満期には、損をしない受取り方法・税金、税務に関する手続きの2つを意識しましょう。特に、外貨建て保険の満期金は為替相場の変動次第で元本割れする恐れがあるので、円転のタイミングを見定めましょう。また確定申告の申告漏れ、ペナルティに注意しましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
外貨建て保険の満期戦略について!受け取りから税務まで解説
高い運用利率が魅力の外貨建て保険ですが、近ごろはそのリスクについて取り沙汰されることが多くなりました。
あなたも自分が加入している外貨建て保険に不安を覚えて、いろいろと調べているのではありませんか。
せっかく長い間温めてきた保険ですから、損することだけは避けたいですよね。
しかし実は外貨建て保険は、満期になったときの対応を誤ると大損しかねない商品です。
そこで、この記事では外貨建て保険が満期を迎えたときの対応について、
- 外貨建て保険のリスクとは
- リスクを回避するための満期保険金の活用方法
- 満期保険金の税金や確定申告について
以上のことを中心にお伝えしていきます。
この記事を読めば、あなたが加入する外貨建て保険が満期となったときにどう対応すべきかが分かり、大事な資産を最大限有効活用できるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
外貨建て保険の満期金受け取りに要注意!
最近「銀行の窓口で加入した外貨建て保険への苦情が増加している」というニュースをよく目にします。
2017年度に銀行で販売したの外貨建て保険について受けた苦情は2076件と、5年前の3倍超にまで増えています。
その内容の多くは「加入時にリスクについての説明を受けなかった」というもので、退職金や老後資金をつぎ込んでしまった高齢者からの苦情が目立ちます。
一時払いの外貨建て保険は、保障を得る目的の保険というよりは資産運用商品です。
特に満期保険金を受け取るときに外貨の取り扱いに十分注意しないと、かなりの損失を被る可能性があります。
ここからは、一時払い外貨建て保険の満期保険金を受け取るときの注意点として
- 外貨建て保険のリスク
- 有効な保険金の活用方法
これら2点についてお伝えしていきます。
外貨建て保険のリスクについて把握しよう
外貨建て保険には、大きく分けて「安全性面」「手数料面」というの二つ方面においてリスクがあります。
それぞれのリスクについて解説していきましょう。
安全性面
外貨建て保険は、保険料が比較的高金利の米ドルや豪ドルで運用され、10年ほど後の満期時に運用利回りがプラスされて戻って来るという商品です。
しかし「満期返戻金は120%」とうたっていても、安全というわけではありません。
この利率はあくまで外貨ベースで考えたときのものだからです。
たとえば満期が来たときに米ドルベースで20%増えていたとしても、米ドル相場が円換算で20%減の円高となっていたなら、
1.2×(1.0-0.2)=0.96
満期返戻金は積立金の96%ということになり、元本割れの状態です。
手数料面
「ドル相場が20%も下がることなんてそうないから、元本割れはしないだろう」と油断していてはいけません。
実は保険会社から事前に伝えられる高利率は、保険料から各種手数料を差し引いた後に残る「積立部分」にしか適用されないものです。
まず円をドルに換算するための為替手数料、その後に4%~9%の初期手数料が引かれます。
つまり外貨建て保険は、契約直後にすでに大幅に元本割れしています。
その後にも「保障のための費用」「運用のための費用」「付加した特約保険料」などの各種費用がずっとかかり続け積立部分を減らしていきます。
さらに一定期間内の解約には「解約控除費用」もかかるため、中途解約すればまさに大損です。
不本意な契約でも解約はできず、八方塞がりとなっている加入者は少なくありません。
有効な保険金の活用方法について3パターン解説
では満期の時点で円高になってしまっているときには、どうすれば良いのでしょうか。
有効な対策として、3つの方法について解説していきたいと思います。
外貨のまま受け取る
まずは、円に両替せず外貨のまま受け取るという方法についてです。
円転しない限り為替損益を被ることはありませんし、為替手数料もかかりません。
外貨のまま持っていても、海外旅行や子どもの留学資金などに使うことができます。
外貨預金と連動したカードを作れば、海外旅行や出張の際に現地のATMで現金引き出しやカード決済ができて便利です。
また、カードを使って海外のウェブサイトで外貨決済の取引をすることも可能になります。
発想を変えてグローバルな視点に立てば、わざわざ円に変えなくても十分に資産を有効活用することはできるのです。
為替状況を見て円転する
外貨のまま受け取った後に保有しておき、為替のタイミングを見計らって円に両替するという方法です。
その場合には、保険の「据え置き機能」を利用してもよいでしょう。
据え置きとは資産運用型の保険に設けられたシステムで、これを利用すれば満期後でも運用しないままの状態で保険会社に預けておくことができます。
据え置きすると「小出しにして使えない」というデメリットはありますが、いざ円転するときに生命保険の安い為替手数料が適用されるというメリットがあります。
外貨預金は銀行の為替手数料が適用されるため、比較的コストが高くなる可能性があります。
他の保険商品で運用する
今後しばらく使う予定もないし、据え置きして寝かせておくのはもったいないという人は他の保険商品で運用する方法はいかがでしょうか。
同じ通貨で次の運用商品に投資すれば、為替手数料を支払う必要もなく運用益も得られるため、ただ寝かせておくよりはずっと有効な活用方法です。
ただしその際には、商品の選択に十分気を付けましょう。
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外貨建て保険の税金や確定申告について
生命保険の満期保険金や解約返戻金で利益が出ていれば、確定申告が必要になる場合があります。
(保険期間が5年以内の一時払養老保険などは源泉分離課税となるため、確定申告は不要です。)
なお、満期保険金は税法上の一時所得に該当しますので「満期保険金-支払済保険料」が50万円を超えなければ確定申告する必要はありません。
50万円を超えた場合は、以下の式で一時所得が算出されます。
一時所得=(収入金額-支出した金額-50万円)×1/2
外貨建て保険は、以下3つのいずれかの税の対象となります。
贈与税
契約者・被保険者・受取人がすべて異なる場合、贈与税の対象となります。
例としては以下のようなケースです。
- 契約者…夫
- 被保険者…妻
- 受取人…子
相続税
契約者=被保険者で受取人が他の親族であれば、相続税の対象となります。
例としては以下のようなケースです。
- 契約者…夫
- 被保険者…夫
- 受取人…妻
所得税と住民税所得割
契約者=受取人で、被保険者が親族なら所得税と住民税の対象になります。
例としては以下のようなケースです。
- 契約者…夫
- 被保険者…妻
- 受取人…夫
外貨で受け取った場合は円貨換算で税金が決まる
保険料や保険金を円でやり取りしたなら、実際の支払金額や受取金額にもとづいて課税されることになります。
しかし、外貨で支払った・外貨のまま受け取った場合は、為替レートはどのように認識されるのでしょうか?
この場合は、保険料を払込んだ日と受け取った日の為替レートによってそれぞれの円換算額が算出され、その差額を利益とします。
為替差益が発生したらどうなる?
やりとりした通貨が円であろうが外貨であろうが円換算額によって利益が算出されるわけですから、運用益と一緒に為替差益にも課税されていることになります。
外貨預金が「円転しない限り為替差益が認識されない」のと比べて不公平な気もしますが、そういうルールになっています。
なお、外貨建の個人年金保険を年に何度も受け取るなら、円換算額の算出に「受取時の為替レート」は使われなくなります。
この場合は「その年における最初の年金支払日の為替レート」を使って、1年間に支給されるすべての個人年金の円換算額が確定されます。
他の保険商品で資産形成!FPさんと出口戦略について相談しよう
なるべく損をしないように、できれば得する方法で外貨建て保険の満期保険金を受け取りたいですよね。
しかし外貨建て保険は内容が難しく、円転のタイミングや再投資の商品選択についていまいち理解できないこともあるでしょう。
そんなときは、ぜひ保険や投資の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談しましょう。
FPはあなたにとってベストな方法を考え、的確なアドバイスをしてくれるはずです。
ほけんROOMの「ほけんROOM相談」ではFPの無料相談を受けることができますので、ぜひご活用ください。
まとめ:外貨建て保険の満期金の取り扱いについて
外貨建て保険が満期を迎えたときの対応についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは、
- 外貨建て保険の主なリスクは為替の変動と手数料である
- 満期後でも円転するタイミングを図ることで為替リスクを軽減することができる
- 満期保険金などで利益が出ていれば、確定申告が必要になる場合がある
以上のことでした。
最近は「外貨建て保険は危ないから加入しない方がいい」という意見が目立ちますが、過度に警戒や悲観をする必要はありません。
外貨建て保険を吉とするも凶とするも、商品選択と出口戦略次第です。
満期が来たそのときに慌てないよう、しっかりその後のことについて学んでおきましょう。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事を多数掲載しています。
ぜひご覧になってください。