変額保険って加入してはいけないの?訴訟問題について徹底検証!

変額保険は最近再び注目を集めています。過去には、訴訟問題も起こった変額保険がなぜ再び注目を集めるようになっているのでしょうか。変額保険の仕組みと、なぜ訴訟問題にまでなったのか、どのような人におすすめできるのかなど詳しく解説しますので、最後までお読みください。

変額保険で訴訟問題が多発!?なぜ訴訟問題が多発したの?

変額保険って名前は聞いたことはあるけど、具体的にはよくわからないという方が多いですよね?そもそも変額保険とは、どういうものなのでしょうか。


変額保険とは、保険会社の運用成績によって、将来受け取れる満期金や保険金が変動する保険を言います。


変額保険は、株式や債券など有価証券を中心に運用を行うため、為替の変動や株価の値動きなどにより運用成績がよければ、保険金などの額は大きくなりますが、運用成績が悪ければ、払い込み金額を下回ることもあるハイリスクハイリターン商品です。


日本では金融の自由化や顧客ニーズの多様化に伴って、昭和61年より販売され、人気のあった保険です。


この記事では、なぜ訴訟問題が多発したのかについて

  • 訴訟問題の背景
  • 訴訟問題のその後 
  • 変額保険をお勧めできる人  

等について詳しく解説いたします。

この記事を読んで頂ければ、変額保険を考えるときの参考になるでしょう。

是非最後までお読みください。

変額保険は1980年代のバブルが原因で元本割れを引き起こし訴訟問題へ!

変額保険は、1980年代のバブル期に販売されました。誰もがこの景気はずっと続くのではないかと夢をみていた時代といえるかもしれません。

しかし、夢はながく続きませんでした。変額保険は、バブルがはじけて、運用がうまくいかなくなり、元本割れを起こして訴訟問題を起こしてしまいました。


訴訟問題をも起こしたその状況を詳しく述べていきます。

バブル期の1989年~1991年に高齢者に相続税対策として販売

では、どのような経緯で販売されどうして訴訟問題になっていったのでしょうか。


変額保険はバブル期の1989年から、1991年に高齢者のための相続税対策として銀行と保険会社が協力して販売されたものがありました。


その当時のうたい文句として、一銭もかからない相続税対策として、銀行から借り入れをして、一時払いをするという土地を担保にした融資一体の販売方法がおもでした。


この方法によると、当時は借入金が多ければ多いほど債務控除がなされるということもあり、また死亡保険金により、この債務と土地の相続税が現金で支払えるとうたわれたものでした。

1992年変額保険の契約を巡り訴訟が多発!500件以上に及ぶ裁判が起こされ4件の自殺者が出た

しかし、バブルの夢はやがて消え去り、運用の利率はどんどん下がりました。


しかも銀行と保険会社の協力というこの販売方法に問題がありました。


訴訟問題を起こした方の例をあげながら、ご説明しましょう。

Aさん(女性)は、相続税のことを悩んでいました。土地の価格が高騰していたこともあり、息子のBさんに相続税で負担をかけることを心配していたのです。


そんなとき、銀行より紹介された保険会社C氏により、あたかも将来もこのバブル状況がつづき、運用利益が借入金を大きく上回るような錯覚を与えるような説明を受けました。


C氏はあえて、ハイリターンのみを強調して説明しました。


ハイリスクのことを詳しく説明していなかったのです。そして、銀行より借り入れをして、相続税対策のためにと、変額保険に加入したのです。


その後運用利率はどんどん下がり、また悪いことに土地の価格もどんどん下がっていきました。


土地が担保の借金も当然賄えなくなってしまいました。そのため、土地を競売にかけられたり、借金の返済をせまられるようになったのです。そして、訴訟問題へと発展していきます。


この場合でしたら、Aさんが亡くなった場合には、最低保証額のある死亡保険金は支払われますが、被保険者を子供や配偶者にしたりという契約もあり、運用が悪ければ、相続税対策にならないものまで、契約は広い範囲に及びました。


また有期型と終身型があったため、有期型の場合は、満期保険金は運用成績で元本保証がなく、大きく元本割れを起こしてしまうという状況でした。


このような悲惨な状況になった方々が、訴訟を起こしたり、果てには、自ら命を絶って、その保険金をあてようとされたりする方も出てきました。


そのように、不法行為を訴える損害賠償の訴訟の件数は500件以上に及びました。


また、訴訟になったのは、保険会社のみならず、銀行や税理士なども訴えられました。

バブル崩壊後は変額保険の見直しが行われた

バブルが崩壊し、訴訟問題など、多くの問題を残した変額保険ですが、その後は、大きく見直しが行われました。

契約者の保護のため、1998年に保険契約者保護制度制定と、2006年の保険業法の改正により、特別勘定が設けられ、一般勘定とは別にするように義務づけられました。

融資一体型変額保険などをはじめ、仕組みをしっかりと説明されるようになった

変額保険の訴訟問題を受けて、2000年5月に金融商品販売法が成立しました。この法律が制定されることによって、契約者の保護が図られるようになりました。

融資一体型変額保険などをはじめ、金融商品の契約において、販売する側の説明義務と、説明しなかったことによって、損害を被ったことの損害賠償の責任、販売する側の勧誘方法の策定と公表が義務づけられました。


このことにより、変額保険の融資一体型などをはじめとして、その仕組みや、リスク喚起などがしっかりと書面をもって、説明されるようになりました。

変額保険は売り止めになり現在はソニー生命か一部の外資系生保だけの販売

沢山の問題を残し、多くの訴訟問題を起こした変額保険ではありますが、2009年2月には、保険会社の中ではじめて、ある一社が売り止めにしました。

その後次々と大手の保険会社各社が変額保険を売り止めにしました。

やがて、米国の保険会社も日本から撤退しました。また興味深いことに、大手1社は、5月になって、他社の変額保険が売り止めになり、人気が集中し、リスクが高まったと9月に売り止めすることになりました。


そして現在では、ソニー生命か一部の外資系のみの販売になっています。

変額保険がおすすめな人

ここまで、変額保険について見てきましたが、どうしても、訴訟問題やハイリスクハイリターンなどのマイナスなイメージを持ってしまわれた方も多いかと思います。

しかし、それなのにどうしてまた、注目が集まっているのか、疑問を持たれたのではないでしょうか。


変額保険は、きちんとリスクの部分を理解することによって、活用できる保険でもあります。


どのような場合に活用でき、またどのような人にはおすすめできるのか、詳しく解説していきたいと思います。

最低限の保障を確保しておき長期的な運用をしたい人

まず、おすすめできる方は、最低限の死亡保障を確保し、長期的に運用をしたいと思っておられる方です。


変額保険は、あくまでも保険として考えるならば、終身型においては、死亡保険金の最低保証があるという点で、元本割れをすることがないので、おすすめします。


払い込み保険料も、普通の定額保険よりは、安くなっているのも、魅力です。


死亡保障はいらない。ただ資産運用をしたいんだ。という場合においては、あまりおすすめすることはできません。


なぜなら、運用実績によっては、解約返戻金が元本を下回ることもあるからです。その場合は、死亡保険金と資産の運用を分けて考えることが、必要です。


また死亡保障という点でも長期的運用をしたい方に向いています。途中で、資金が必要であっても他で確保できるなどならば、十分活用できます。


はっきりいってしまえば、契約後一切解約をしないで、亡くなるまでそのまま置いておく。ということならば、リスクはほとんどない。ということになります。


ここで、ほとんど、というのは、保険会社が長期に渡って絶対に倒産しないとは、言えないためです。

相続税対策など、変額保険で税制優遇を受けたい人

変額保険をお勧めできる方のもうひとつの例は、相続税対策を考えておられる方です。


相続税というのは、資産について掛かってきますので、とにかくその資産の額を減らしておくという観点においては、この保険が有効です。


また、大抵の場合死亡保険金は、払い込んだ保険料を上回るので、お勧めです。

そして、なによりお勧めする理由は、死亡保険金には、相続税の非課税枠があるという事です。

死亡保険金の相続税の非課税枠=500万円×法定相続人の数

となっていますので、この枠を利用します。

例えば、家族4人で、父、母、子供2人の家庭があったとします。


その家庭で不幸にも父が亡くなった場合ですが、法定相続人は母と子供2人の合計3人となりますので、500万円×3=1,500万円までは、相続税の非課税枠となります。


ですので、この非課税枠を利用して、相続税対策をされたい方には、お勧めです。

まとめ

ここまで、変額保険の訴訟が起こった理由や、メリット、デメリットなど説明させて頂きましたが、ご理解いただけましたでしょうか?

今回の記事のポイントは

  • 変額保険は、運用によっては、元本割れをすることもある
  • 訴訟問題が起きてからは、しっかりとした説明がされるようになった
  • 変額保険は、長期的な運用をするにはおすすめ
  • 変額保険は、相続税対策にはおすすめ

リスクをしっかり知ったうえで、有効な活用をしていきましょう。

ランキング