生命保険の解約は日割りができないと言われたけど、これって普通?

日割りを対応可にすると、結果的に生命保険会社のコストが増え、保険料が上がる要因になる。生命保険の解約の少なさ・生命保険の加入しやすさを考慮し、日割り計算は実施されないのが実情。日割り・月割りのどちらでもいいというのが法務省の見解。解約時はしっかりと確認が必要。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

生命保険の解約金は日割りで行われない

生命保険に加入して今は毎月保険料を支払えていても、この先は何があるか予測はできません。


例えば、転職やリストラなどで急に保険料が支払えなくなることも考えられます。

そんなときは生命保険を解約せざるを得ないこともありますが、生命保険の解約は、元々解約返戻金自体が少ないのに加え、日割り計算が行われずに月割りの算定等が多くなされているのが実情です。しかも、年払いの契約なら、月割りもしてくれません。

そこで、この記事では「生命保険の解約による解約返戻金の清算」について、
  • なぜ生命保険は日割り計算が行われないのか
  • 生命保険のベストな解約のタイミングはいつか
  • 年払いの生命保険の解約だとどうなるのか
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読めば、なぜ保険には日割り計算がないのか、日割りのない生命保険をいつ解約すれば最も損をしないかということについて、ご理解いただけます。

是非最後までご覧ください。

生命保険の解約金が日割りで行われない理由

まず前提として、そもそも生命保険は、解約を前提とした商品ではありません

基本的には働いている間ずっと保険料を納め、その納めている期間にもしものことがあった際の事を考え、それに備えるための商品です。


貯蓄性や投資性は基本的にありません(最近は既存の生命保険に保険料を上乗せし、それらの性質を持った生命保険も出回っています)。


上記の理由により、生命保険の保険料自体が、解約を前提に決定されていないのです。


では、日割りかどうかは別として、そもそも生命保険の保険料というはどうやって決まるのでしょうか?ここからは生命保険の保険料の算出方法について説明します。

生命保険の保険料の算出方法とは?

生命保険の保険料の仕組み

生命保険の保険料の仕組み


生命保険の保険料は、保険金を支払う源となる純保険料と、保険会社の経費になる付加保険料の二つで成り立っています。

 

純保険料は、死亡保険金などによる返還率(死差益)と資産運用による利回り(利差益)に基づいて計算されます。厳密には、利差益に解約返戻金などの返還も含まれており、統計データを元に決定されます。


また、付加保険料は、人件費など運用のための事業費(費差益)を計算しています。


保険会社は営利なので、この差益の合計である、基礎利益がプラスになるように収支を調整して保険料を算出しているわけです。

生命保険の月払いは年払いの分割払いという位置付けでない

生命保険の保険料の払込方法には、月払い年払いがあります。


 しかし、月払いというものは年払いの分割払いということではありません。 


 保険料の年払いは1年間の保険料を一括で振り込むものであり、月払いは1ヶ月分の保険料を振り込んでいくものであり、契約としては全く別の形態となります。


 なお年払いにすると月払いを12回行うよりも、保険料の合計は安くなります。

保険料不可分の原則

保険料不可分の原則というものがあります。

保険契約が中途で終了した場合に保険者は保険料計算の基礎とした単位期間である保険料期間全部の保険料を取得することができ、保険料期間のうち未経過期間に対応する保険料を保険契約者に返還する必要がないという原則年払契約は保険料期間が1年、半年払契約は同期間が半年(6か月)、月払契約は同期間が1か月であり、解約後の残余の期間に相当する保険料すなわち未経過の期間に相当する保険料(以下「未経過保険料」という)を各々返還する必要がないという原則を意味する。

出典: http://www.jili.or.jp/research/search/pdf/D_184_6.pdf


この原則に基づき、未経過保険料(日割り分)は返還する義務がありません。

すなわち、払わなくていいものは払わないというのが保険会社としての解釈、ということでしょう。納めた保険料の、日割りや月割りの分は考慮しなくてもよいのです。

生命保険のベストな解約のタイミングを考える

生命保険を解約するときの目的は二つあり、一つは保険契約そのものをやめてしまうことです。

 このときは後のことを考える必要がないため、いつ解約しても構いませんが、日割りはないためなるべく損をしたくないのであれば、月払いであれば解約月の最後の日付で手続きを行うと、最も保障期間が長くなります。

 またもう一つは、保険の乗り換えです。このときは新しい保険が成立すれば古い保険は

不要ですが、保障が途中で途切れないようにすることが大事です。 

 この場合もやはり日割り計算がされないため、新しい保険が成立する月の月末で解約することが、最も得をするタイミングになります。  

解約は即日で行うことができる

解約は即日に行うことができます。具体的に、解約が成立するタイミングは以下のものになっています。

  • 郵送なら解約関係の書類が保険会社に到達した日
  • 手渡しなら書類を渡した瞬間

その時・その日付にて生命保険は直ちに解約されます。(日割り計算かどうかは、聞かなければ説明されないこともあります)


契約者本人が、行為能力を持った成人であれば、撤回はできません。


自分の意志でやることですので、意思能力を持った人物だと認められれば、訴訟になっても敗色濃厚でしょう。


よく考えてから実行しましょう。

日割りを加味した解約時期のポイント

解約のポイントとしては、保険が途切れないが重複して保障される期間は短いこと、1日も長く加入している保険の恩恵を受けられるように工夫すること、です。


日割りはできないため、ギリギリまで加入しておく方が、僅かな差ではありますが、損をせずに解約できます。


また、解約返戻金の返還率の良いタイミングも加味すると良いです。


返還率が上がり下がりする保険もあるので、自分の保険はいつの月に解約すると良いのか考えておくと良いと思われます。


これらを確認した上で、納得できたら解約の手続きに進みましょう。

営業マンが解約を阻止する場合もある

いざ解約をしようとしても、担当営業マンが色々な事を言って止めてくる場合も多いでしょう。
彼らの収入源が減る話ですので、当然といえば当然ですが・・・

コミッションの関係もあり、強引に解約を先延ばししてくる可能性があります。


その場合は、コールセンターに問い合せてみたり、保険料を支払わない対応策等を検討してみましょう。


ちなみに、解約時に日割りにしてほしい等の交渉は難しいと思われます。


生命保険解約の理由についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

まとめ:生命保険に日割りの計算はありません

生命保険の日割りについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回のこの記事のポイントは、
  • 生命保険を解約したとき、保険料は日割りで計算されない
  • 生命保険は即日解約できる
  • 生命保険のベストな解約のタイミングは基本的に月末
です。

生命保険に加入、または解約する時は日割り計算自体がないものとして考慮しましょう。

どうしても納得いかない場合は、加入時に担当営業マンとよく話し合い、納得のいく商品を選ぶようにしましょう。


ただ前提としては、生命保険という商品が解約を考えずに契約したほうがいい物であるということ・選択肢として他の保険(日割り有)や金融商品も考えるべきであるということも覚えておきましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。


生命保険解約のタイミングについてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

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