孫のために養老保険を考える!養老保険の被保険者に受取人は?

孫のために養老保険で資産を残そう!と考える人は少なくありません。現代でも養老保険の活用方法は様々です。しかし、いざ契約しようとしても被保険者や受取人を孫にするのが正しいのか考えてしまいます。今回は養老保険の被保険者や受取人などについて詳しく解説していきます。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

祖父(祖母)が養老保険の被保険者を孫にしても相続対策にならない?

かわいい孫が生まれたともなれば「孫のためにお祝い金を準備してあげよう」と考える人もいらっしゃいます。


ひと昔前では、孫のために祖父母が学資保険を契約する人も多くいらっしゃいました。


しかし、年々保険契約は厳しくなっていき、現代では契約者が祖父母で受取人が孫の契約形態では、加入できる保険会社も限られてきました


さらに加入できたとしても必要書類が多かったり、加入できる年齢の上限に引っかかってしまったり健康状態の結果で断られてしまったり…


一筋縄ではいかなくなってしまいました。


さらに最近、注目を集めているのは「生前贈与


孫の為に加入した養老保険で贈与対策になる?なんて疑問を浮かべる方もいらっしゃいますが、実は契約形態によっては相続対策にはならない場合もあります。


今回は祖父母が孫のために考える養老保険について詳しくご紹介していきます!



養老保険の契約者と受取人が祖父(祖母)で、孫を被保険者にするケースについて解説

【ケース①】

  • 契約者…祖父母
  • 被保険者…孫
  • 受取人…祖父母


このケースで養老保険に加入した場合について解説していきます。


このケースの場合では、被保険者が孫の為、保険料が安い可能性が高いです。


保険料の算出方法は基本的に被保険者がベースとなっています。


祖父母よりも圧倒的に年齢の若い孫の場合、保険料が安くなり、貯蓄性も高くなることが考えられます。


そのため、保険料を支払っていく祖父母にとって貯蓄しやすい保険料になると思われます。


しかし、一方で多くのデメリットも発生します。


祖父(祖母)が亡くなっても、孫は受取人でないので養老保険の満期保険金を受け取れない

上のケースで養老保険の満期前に契約者である祖父母が亡くなったとき、孫が保険金を受け取ることはできません。


まず、契約者が祖父母であることからこの養老保険は祖父母の相続財産の一部となります。


通常の相続人は遺産分割協議において誰が相続するのかを決めます。

その際、一般的には祖父母の子(孫の親)となります。


親が法定相続人となり、孫は法定相続人では無いため、孫が養老保険の相続をすることはできないのです。


しかし、孫の親(祖父母の子)が先に亡くなっている場合は、孫は相続人になることもあります。


この養老保険の満期保険金を孫が受け取れるようにする方法は2つ

  • 祖父母が亡くなった後にこの契約者を孫に変更する。
  • 祖父母が生きている間に、契約者は祖父母で満期保険金の受取人を孫にする。

税金を気にせず、孫が絶対に受け取れる方法となります。


この方法をとった場合は、孫に対し税金が課せられる可能性が出てきますので、詳しく解説していきます。


孫は法定相続人ではないので、孫が受け取ると贈与税がかかる

養老保険の死亡保険金や満期保険金は、法定相続人では無い孫が受け取ることは基本的にはできません。

被保険者が孫であっても、法定相続人とはまったく別の話です。

しかし、家族間の話合いなどで円満に話が進んだ時に孫が受け取ることになったときは、孫が贈与税を支払うことになります。


贈与税の控除額は110万円までとなりますので、110万円を超えた額は必ず申告しましょう。


この場合は法定相続人の親に契約者変更して、被保険者を孫にしたら良い

養老保険の満期金額が大きすぎて税金の支払いが…となってしまった場合は、養老保険の契約者変更を行いましょう!

被保険者は孫のままで、契約者と受取人を孫の親(祖父母の子)へ変更することをおすすめします。


そもそも、契約者の方が亡くなってしまった場合はこの方法しか選択できません。


保険会社によって異なりますが、契約者を孫の親(祖父母の子)に変更してから継続か解約かを選択できるようになります。


被保険者を孫にしていても、養老保険の権利は契約者にあり、契約者が亡くなられた場合は相続人へと権利が移ります。


このように、契約者になれるのは法定相続人である孫の親(祖父母の子)のみです。


そして、この保険は死亡保険金として扱われないため、保険金の非課税計算(500×法定相続人)の適用はされません。


孫の親(祖父母の子)が解約返戻金または満期金を受け取った場合は「一時所得」の扱いとなり、所得税の課税対象となります。


被保険者を祖父(祖母)にして、契約者と受取人を孫にすると相続税がかからない

これらのように法定相続人ではない孫が満期保険金や解約返戻金を受け取ることは難しいのが現状である中、加入するときの契約形態を変えることで孫でも保険金を受け取ることができる契約形態があります。

【ケース②】

  • 契約者…孫
  • 被保険者…祖父母
  • 受取人…孫


この契約形態の場合、孫は相続税や贈与税を支払うことがなく、受け取った保険金は一時所得に分類され、節税対策をとることができます。


孫の一時所得扱いになり、節税になる

ケース②の契約形態で加入した時の税金の計算方法は「一時所得」扱いとなります。

【計算方法】

受け取った保険金-総支払保険料-50万円=所得税


そのため、プラスになった利益が50万円を超えた分が一時所得の課税対象となり、贈与税よりもはるかに節税となります!


しかし、このケース②の契約形態の場合のデメリットも多くあります。


まず1つ目のデメリットは保険料!


保険は被保険者の年齢と性別で保険料を算出します。

そのため、祖父母を被保険者とする場合、保険料がかなり割高となります。


被保険者が孫である場合は年齢から保険料が割安になる一方で、年齢の高い祖父母を被保険者とする場合の保険料は圧倒的に高いと言えます。


さらに年齢によっては、加入年齢の上限に引っかかる可能性も出てきます。


2つ目のデメリットは、契約者は基本的には20歳以上の成人のみとなります。


ここは加入する保険会社によって異なりますが、契約者が未成年の場合、親権者の同意欄に記入をすれば契約できるケースがあったり、18歳でお勤めされている人は契約できるケースもありますので、契約を検討している保険会社に問い合わせておくことをおすすめします。


途中から契約者変更をすると、それまでに払っていた保険料分は受け取り時に贈与税がかかる

ケース②のような契約形態で養老保険を考える場合は、加入時に考えましょう!


現在加入している養老保険の契約者を孫へ変更した場合、これまで払ってきた保険料分は贈与税として課税されてしまい、結果として孫が多くの税金を支払う可能性が出てきてしまいます。


節税対策を考えるのであれば、加入する時に検討しましょう!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

かわいい孫のために蓄えを少しでも残してあげたい!と考えても養老保険や学資保険での契約形態によっては大きな税金が降りかかってしまったり、場合によっては相続できずに孫が受け取ることができない可能性も出てきてしまいます。


契約者や被保険者と言われても、なかなかピンとこないのが保険です。


さらに自分で調べようと思っても難しい…と謙遜してしまうこともあります。


かわいいお孫さんのためになる養老保険を考える際は、契約者や被保険者に受取人など、しっかりと相談してから加入を検討しましょう!


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