養老保険とはどんな保険なのか、すべてわかる簡単丸わかり解説

養老保険は、終身保険などとは違って、その名前からは保険の内容がわかりません。それも手伝ってか養老保険とは何かと聞かれて、どんな保険か答えらる人も多くありません。ここでは今後の保険選びの役にも立つように、養老保険とは何かをわかりやすく解説します。

養老保険とは一体どんな保険?その仕組みや特徴を徹底解説

養老保険とはどんな保険なのでしょうか。養老という言葉からは、なかなか保険の内容は推測しにくいですが、文字通り老人時代を養うことを目的とした保険として、当初は販売されていたようです。

今では貨幣価値が大きく変わってしまったこともあり、老後資金をまかなう役割は薄くなってしまい、結果として名前から保険の目的や内容を類推しづらくなりました。


では養老保険とは具体的にどのような保険なのか、詳しく見ていきましょう。

養老保険とは生命保険の一種である

養老保険とは、保険という名前がついているとおり、生命保険の一種です。終身保険や定期保険と並んで、死亡した場合に死亡保険金がおります。

養老保険の仕組みについて

では、養老保険とはどのような仕組みになっているのかについて、ご紹介します。養老保険は生死混合保険という種類に分類されます。終身保険や定期保険は死亡した場合に保険金が下りる死亡保険、年金保険は生存してる場合に保険金がおりる生存保険に分類されますが、養老保険は、その両方の機能を持っている生死混合保険に分類されるわけです。

養老保険では満期保険金に加え死亡保障がついている

たとえば、30歳男性が60歳満期の養老保険1,000万円に加入して、無事60歳を迎えた場合、満期保険金として1,000万円が支払われます。ただしこれだけなら、銀行預金や財形貯蓄と同じです。30歳から毎月給料から一定額のお金を引き去り銀行口座に積み立てて、60歳になったときに1,000万円が貯まっているというのと変わりません。

しかし、養老保険には、この貯蓄機能以外に死亡保障がついています。保険期間のあいだに万が一のことがあった場合には、死亡保険金が下りると言うのが、銀行預金との一番の違いです。

契約期間内に被保険者が死亡した場合、死亡保険金が受け取れる

前述の例では、30歳から60歳の間に被保険者に万が一のことがあった場合には、1,000万円の死亡保険金を受け取ることができます。

つまり、無事満期を迎えても1,000万円を受け取れ、残念ながら保険期間中に死亡した場合でも1,000万円受け取れるという、どちらの場合でも同じ金額を受け取れるのが養老保険です。


ただし、養老保険には定期保険特約が付けられる場合も多いです。定期保険特約とは、死亡した場合にのみ保険金が支払われる特約で、例えば前述の契約例に、1,000万円の定期保険特約をつけると、満期を迎えた場合は1,000万円の受取ですが、30歳から60歳の間に死亡した場合は、養老保険部分の1,000万円と定期保険特約の1,000万円の合計2,000万円が死亡保険金として支払われます。


このように定期保険特約がつくと、満期保険金よりも多い金額の死亡保険金が支払われることになります。

契約期間が終了すると、満期保険金が受け取れる

養老保険お契約期間が満了すると、生存保険金である満期保険金を受け取ることができます。これが、養老保険が貯蓄型の保険である所以です。

しかも満期保険金の金額は、かけたお金(保険料)の総額くらいにはなるので、保険契約者にしてみれば、保険に加入して万が一のことがなかったのにもかかわらず、かけたお金がほぼ全額戻ってくるという満足感が得られる保険でもあります。


それがゆえに、養老保険は戦後長い間、数ある保険種類の中でも最も人気のある保険でした。戦後機関投資家として、保険を通じてお金を集めたかった保険会社の販売戦略も相まって、一番人気の保険の座に君臨していました。

養老保険の特徴

養老保険は、万が一あった場合にも、無事満期を迎えた場合でも保険金を受け取れることが最大の特徴です。その貯蓄性について、もう少し詳しく見ていきましょう。

貯蓄性が高く、老後の蓄えとして活用できる

養老保険の最大の特徴が、貯蓄性が高いということです。

養老保険と並び、3つの保険種類のうちのひとつである定期保険は掛け捨てですから、貯蓄性は全くありません。また、もうひとつの終身保険は貯蓄性がありますが、養老保険ほどではありません。


貯蓄と聞けばすぐにイメージできるのが、積立貯金だと思います。養老保険を貯蓄性の面で積立貯金と比較した場合、積立貯金は比較的短期の積み立てで、養老保険は20年・30年といった中長期的な積み立てという違いがあります。


長期の貯蓄に向いている

たとえば、30歳で60歳満期1,000万円の養老保険に加入した場合、10年・20年経過した時点での解約返戻率(払ったお金に対して戻ってくるお金の割合)は100%を大きく下回っていますが、20年を経過した後あたりから急激に高くなり、満期時には積み立てた金額に近いところまで増えています。


従って、5年スパンといった短い期間の貯蓄にはあまり向いておらず、長期的な貯蓄に向いています。30代に加入しておけば、ちょうど老後が始まるころに高い解約返戻率となるため、老後の生活資金を目的として加入するのも良い保険です。

かけた保険料はほぼ戻ってくるため、リスクが低い

戦後からバブル期にかけて、日本の市場金利は5%を超えていました。今では考えられない高金利の時代でした。その時代の養老保険は、かけたお金の総額を満期保険金が大きく上回り、数ある金融商品の中でもトップクラスの利回りを誇っていました。

しかし、ご存知の通り、その後市場金利は大きく下がり、それとともに養老保険の利回りも大きく下がりました。それもあって現在では、一時払い養老保険は各社とも販売停止になり、月払や年払のみの取扱となっています。それでも満期まで掛け続ければ、かけたお金のうちかなりの金額が戻ってくるため、損をするリスクは低いと言えます。


たとえば30歳男性が65歳満期の養老保険1,000万円に加入した場合、かけたお金の総額(保険料総額)は11,088,000円で、満期保険金は1,000万円ですから戻り率は90.2%となります。(かんぽ生命普通養老保険「新フリープラン」)昔のように100%を超えるのは難しくなりましたが、それでも9割程度は戻ってくるという言ことです。

手厚い保障で安心?養老保険のメリットとは

養老保険は貯蓄もできて死亡保障もあるというのがメリットですが、貯蓄機能と保障機能について、詳しく見ていきましょう。

満期保険金に加え死亡保障付きのダブル保障は最大のメリット

先ほども少し触れましたが、養老保険は万が一のことがあっても、無事満期を迎えても、どちらの場合でも保険金を受け取れるのが最大のメリットです。

たとえば、1,000万円の養老保険に加入して1か月して死亡してしまった場合でも、保険料は2~3万円程度しか支払っていないにもかかわらず受け取れるお金は1,000万円ということになります。これは、積立貯金では決してできない芸当です。


養老保険に加入しても、実際にはほとんどの人が死亡することなく、無事に満期を迎えます。その際にもまとまったお金を受け取ることができるのは、終身保険でも定期保険でもありえないことです。


この貯蓄と死亡保障のタブルの保険金は、あらゆる金融商品・保険の中で、養老保険にしかない機能なのです。

貯蓄性が高く、元本割れもしにくいため財産形成に向いている

生命保険の保険料は、保険会社の経費にあたる付加保険料と、それ以外の純保険料に分けられます。その純保険料も、死亡保険金の支払いにまわる死亡保険料と解約金や満期保険金の支払いにまわる貯蓄保険料にわけられます。従って、たとえば貯蓄性があるといわれる終身保険の保険料も、すべてが貯蓄にまわるわけではないため、なかなか解約返戻率(解約したら戻ってくるお金の割合)が100%にはなりません。

養老保険も解約返戻率が100%になるのはレアケースではあるものの、ほかの保険に比べれば総じて解約返戻率が高く、その意味で長期的な資産形成に向いていると言えます。

自営業の方向け、退職金や社員の福利厚生に法人用養老保険を活用

養老保険は、法人の退職金準備にも適しています。養老保険の契約方法によっては、養老保険の保険料の1/2を福利厚生費として損金計上することができます。つまり、支払った保険料の半額を損金計上して節税しながら、社外である保険会社で資産を形成しつつ、役員・従業員の死亡保障も準備することができるということです。

法人向け養老保険による退職金準備プラン

契約者:法人

被保険者:役員・従業員

満期保険金受取人:法人

死亡保険金受取人:役員・従業員の家族

という契約形態で、役員・従業員の福利厚生を目的にして、養老保険に加入します。


被保険者を任意に選ぶことはできず、例えば入社3年以降の役員・従業員というように、加入の基準を設けて、一律に加入することが必要です。また、保険金の金額は、役職等によって差をつけることは可能ですが、退職金規定に明記しておく必要があります。


万が一あった場合は、保険会社から役員・従業員の家族に直接保険金が支払われます。また、満期になれば、法人に満期保険金が支払われますが、法人はそのお金を役員・従業員への退職金として活用することができます。


養老保険による退職金準備プランの注意点

注意点のひとつめは、必ず退職金規定を用意しておくことです。養老保険の保険料の1/2を損金計上できるのは、そのお金が福利厚生費だと認められることが条件です。退職金規定なしに、ただ保険料を支払っても、それが何の目的の保険料なのかがはっきりしません。場合によっては国税当局から、損金計上を否認されることもあります。


ふたつめは、弔慰金規定に、生命保険金の支払いをもって弔慰金とすることを明記しておくことです。役員・従業員が死亡した場合、保険金は法人ではなく直接役員・従業員に支払われます。会社からはお金を受け取っているわけではないので、死亡した役員・従業員の遺族から死亡退職金を二重請求される恐れがあります。


法人向け養老保険による退職金準備プランは、「ハーフタックス」や「1/2養老」とも呼ばれ、昔から役員・従業員の退職金準備の定番ですが、注意すべき点もあるので、社会保険労務士や税理士によく確認の上、導入することが必要です。



万一途中で解約しても解約返戻金が発生する


養老保険は貯蓄性が高い保険で、満期になれば満期保険金が支払われますが、途中で解約しても、解約返戻金が発生します。しかも、ほかの保険の場合は、解約返戻金が貯まるスピードが遅いのですが、養老保険の場合は比較的早期に、解約返戻率が90%前後になるのが特長です。


たとえば、とある生命保険会社の養老保険で、30歳男性が60歳満期養老保険1,000万円に加入した場合の支払保険料、解約返戻金、解約返戻率は以下の通りとなっています。

支払保険料総額解約返戻金解約返戻率
40歳時3,381,600円309.6万円91.55%
50歳時6,743,200円640.4万円94.96%

10年経過した40歳時で、すでに9割以上の解約返戻金が貯まっていることが、お分かりいただけると思います。この解約返戻率は、保険会社によっても異なります。金融系の雑誌等やWEBサイトで、養老保険の返戻率ランキングといった記事もありますが、利回りの改定はランダムに行われるため、解約返戻率で養老保険を選ぶ場合は、最新の情報を確認することが大事です。


ここに注意!養老保険の見落としがちなデメリットについて



養老保険は、万が一あった場合は死亡保険金が支払われ、無事満期を迎えた場合は満期保険金が支払われるという、一見理想的な保険に見えますがデメリットもあり、しかもそれが見落とされがちです。あとで後悔しないためにも、デメリットをしっかり把握しておきましょう。

月々の保険料は生命保険の中でも割高である

養老保険の保険料は高いです。保険会社から見れば、被保険者が死亡しても満期を迎えても、どちらの場合でも保険金を支払う必要があるため、その分のお金を徴収する必要があるからです。

終身保険や定期保険との比較

たとえば、とある生命保険の養老保険を、終身保険や定期保険と比べてみましょう。

同じ条件にするために、加入年齢30歳、性別男性、保険金額1,000万円、保険期間(保険料払込期間)30年とします。


それぞれの保険の月払保険料は、以下の通りです。

養老保険:28,180円

終身保険:21,740円

定期保険:2,203円

一番保険料が安い定期保険と比べれば、養老保険は13倍近く保険料が高いわけです。


養老保険だけで死亡保障を考えるには無理がある

このように同じ1,000万円の保障でも、保険種類によって保険料は雲泥の差があります。養老保険は、無事満期を迎えても、定期保険のように掛け捨てにならずに損をしないからと言って、養老保険だけで死亡保障をまかなうのは無理があります。日本人男性の生命保険加入金額の平均は2,000万円ですが、30歳男性が2,000万円の養老保険に加入した場合、月払保険料は5万円を超えます。毎月5万円を一人分の保険料として支払うのは、あまり現実的ではありません。



安易な解約は損のもと

養老保険はいくら貯蓄性が高いとは言っても、途中で解約すれば払ったお金が戻ってくる割合は低くなります。とくに、契約した後の経過年数が短ければ短いほど(早期解約ほど)、戻ってくる割合は低くなります。

たとえば契約後10年経過してから解約すれば、解約返戻率が90%を超えることも少なくありませんが、極端な話契約した年に解約をすれば、解約返戻金がゼロということも十分にあり得ます。いくら貯蓄性が高いと言っても、早期解約は損だということです。いつ解約しても元本が保証されている銀行預金とは性質がまったく異なることを認識しておきましょう。


解約よりも払い済み

しかし、たとえば保険料の支払いが困難になって解約せざるを得ないという状況も考えられます。解約返戻金をあてにしている場合は解約もやむを得ませんが、そうでない場合は、損を回避するために、解約のかわりに払い済み保険にすることをおすすめします。


払い済み保険とは、保険料の支払いをストップして、保険金額は下がるものの保障は保険期間満了まで継続させる保険のことを言います。例えば、10年満期の養老保険1,000万円に加入して5年経過時に払い済み保険に変更したとします。保険金額は1,000万円から350万円*に下がるものの保険料の支払いはなくなり、10年後満期がきたときに満期保険金として350万円*受け取ることができます。もちろん、保険期間中に死亡した場合も死亡保険金として350万円*が支払われます。

(*350万円はあくまで例であり、払い済み保険に変更した場合の保険金額は、保険会社に確認してください)


死亡保障は満期を迎えると終わってしまう

養老保険の弱点のひとつは、保険期間が終わると保険自体が終わってしまうことです。終身保険とは違い、死亡保障の期間には期限があるということです。たとえば、40歳女性が20年満期の養老保険500万円に加入したとして、その女性が60歳を迎えた瞬間、500万円の満期保険金が支払われて、それで保険自体は完全に終了します。

掛け捨て保険の定期保険も「期間」が「定まった」保険ですから、死亡保障の期間には期限がありますが、更新型の定期保険であれば、いったん保険が終了しても自動更新で保障が延長されます。


たとえば、40歳女性が10年満了の定期保険に加入したとしたら、50歳になれば保険は終了しますが、自動更新によりあらためて10年満了の定期保険がスタートします。このような仕組みは養老保険にはありません。養老保険には死亡保障の機能はありますが、どちらかというと貯蓄機能に死亡保障が付属しているという認識でいたほうが良い場合もあります。

昔は高かった予定利率も今では低くなっている

昔は養老保険という言葉をよく聞いていたのに、最近はめっきり聞くことがなくなったという方も多いでしょう。確かに、一昔前、とくにバブル期までは、「貯蓄」や「運用」という話の中にはほとんどと言っていいほど、養老保険が登場していました。

それもこれも、昔は予定利率(保険会社が保険契約者にあらかじめ約束する運用利率)が高く、他の金融商品と比べても、高い利回りを誇っていたからです。たとえば1985年~1990年までは、保険期間10年以下の養老保険の予定利率は6.25%でした。


現在、銀行の定期預金の利回りは高くても0.2%程度です。それが予定利率とはいえ6.25%だったのは、考えられないほどの高利回りです。今では見る影もなく1%を割り込んでいます。


こうなると、貯蓄性が大きなメリットである養老保険の魅力は一気になくなってしまいます。養老保険といえば、返戻率が100%以上は当たり前だったのが、今では逆に100%以上になることのほうが珍しいという状況です。

特約をつけると元本割れすることも

何も特約が付いていない純粋な養老保険でも、返戻率が100%以上というのはなかなかお目にかかれない状況ですが、養老保険に特約が付くとさらに返戻率は悪化します。

たとえば、かんぽ生命の養老保険500万円に30歳男性が加入した場合、満期時までに支払う保険料の総額は5,472,000円で、満期保険金は500万円ですから、返戻率は91.4%になります。一方、この養老保険に500万円の定期保険特約を付けた場合、満期時までに支払う保険料の総額は5,760,000円で、満期保険金は500万円のままですから、返戻率は86,8%となってしまいます。


死亡保障をより厚くする定期保険特約にしても、入院のリスクに備える入院特約にしても、特約と名の付く保障部分の保険料は掛け捨てですから、どのような特約でも、養老保険に付加すれば返戻率は悪化します。従って、どうしても必要な特約以外は養老保険に付加しないことをおすすめします。




養老保険の高額な保険料を節約する方法

ここまでお伝えしてきた通り、養老保険は生命保険の中でも保険料が高い保険です。保険料は保険業法上割引はききませんが、それでも実質上保険料を節約できる方法をご紹介したいと思います。

養老保険における年末調整について、最大5万円の控除も

養老保険の保険料は、生命保険料控除の対象になります。生命保険料控除とは、所得税の課税対象となる所得から控除することができる制度で、結果として節税効果があります。養老保険が該当するのは、生命保険料控除のひとつである一般生命保険料控除です。生命保険料控除は、加入した時期によって、控除できる金額と枠が異なるため、注意が必要です。

生命保険料控除の新旧制度

養老保険に加入したのが平成23年12月31日までの場合は生命保険料控除の旧制度、平成24年1月1日以降に加入した場合は新制度が適用されます。


旧制度

控除額は以下のとおりです。

年間の支払保険料等控除額
25,000円以下支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円以超一律50,000円

新制度

控除額は以下のとおりです。

年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料等×1/2+10.000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円

旧制度の場合は最大50.000円、新制度の場合は最大40,000円を課税対象額から控除することが可能です。所得税は累進課税になっており、適用される税率は所得の大きさによって異なりますが、たとえば20%が適用となる場合で控除額が50,000円のケースでは、おおよそ10,000円の税金を節約することができます。


養老保険の年末調整に必要な書類

年末調整では、

・給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書

・生命保険料控除証明書

の2点が必要となります。

給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書は、勤めている会社で、年末調整の時期になると配布されますので、記入の上、生命保険料控除証明書と一緒に人事担当部署に提出します。


生命保険料控除証明書は、毎年10月中旬から下旬にかけて、保険会社から契約者あてに郵送されますから、大事に保管しておきましょう。

養老保険に入るべき人・必要ない人

ここまで、養老保険の特徴についてさまざまな角度からお伝えしてきましたが、養老保険への加入を検討する際、何を基準に考えれば正しい加入判断ができるのか、まとめました。

養老保険に入る絶対条件は「保険金を払いきれる」かどうか

まず最初の判断基準は、自分が養老保険の満期までずっと保険料を払い続けることができるかどうかです。養老保険の大きなメリットは貯蓄性ですが、中途解約をするとその大きなメリットを損なってしまうからです。

満期保険金が大きな契約は大変魅力的ですが、その分保険料も高くなります。今は払うことができても、たとえば子供が生まれたり、家を購入したりといった経済状態が変化しても払い続けることができるのか、十分に考える必要があります。


保険料の支払いが困難になる状況にはならないか

特に、これから5年間の間に子供が生まれる可能性がある場合は、慎重な判断が必要です。子供が生まれれば否応なく、家計も子供中心となります。子供には何かとお金がかかるため、それまでは余裕で払えていた保険料も、支払が困難になる可能性もあります。


預貯金であれば、積み立てをストップしたり、解約をしても、元本割れをすることはありませんが、養老保険の場合は、ほぼ100%元本割れをします。将来のための貯金として良かれと思って養老保険に加入しても、逆に失敗することもありますから、くれぐれも無理のないプランにしましょう。

リスクを回避して資産を増やしたい人に養老保険はおすすめ

資産形成には、養老保険以外にもいろいろな方法があります。しかし、死亡保障の機能がついているのは、養老保険だけです。死亡保障を確保しながら資産形成もしたいという人には、養老保険は向いています。「保険はこれ」「積み立てはこれ」といろいろ検討するのが苦手な方には、これひとつでどちらの機能も持っている養老保険はおすすめです。

自分で資産を運用できる人には不要

一方、資産形成のための金融商品を選ぶための知識は持っている、という人は、養老保険は不要です。というのも昔と違って、養老保険の運用利回りには魅力がないからです。

たとえば、かんぽ生命の養老保険を例に挙げると、加入年齢30歳、性別男性、保険金額1,000万円、保険期間30年という加入例の場合、養老保険の月払保険料は30,600円です。つまり、毎月30,600円養老保険の保険料として30年間払えば、1,000万円の死亡保障を確保しつつ、30年後には1,000万円受け取れるということです。


いっぽう、養老保険に加入する代わりに、1,000万円の定期保険(保険料2,203円)に加入し、養老保険に加入したと思って養老保険の保険料30,600円から定期保険の保険料2,203円を引いた28,397円を毎月積み立てると、30年後には10,922,920円となり、養老保険の満期保険金を上回ります。しかもこれは金利を考慮していませんから、実際に金利も含めるとさらに養老保険よりも有利になります。このように、金融の知識を持っていて自分で資産を管理・運用できるという人には、養老保険は不要です。

まとめ

養老保険の特徴は、死亡保障機能と貯蓄機能の両方が備わっていることです。万が一のことがあった場合でも、無事に満期を迎えた場合でも、保険金を受け取ることができる唯一の保険です。これだけ見れば、大変理想的な保険に見えますが、デメリットもあります。

一番のネックは、保険料が高いことです。定期保険と比べると13倍程度の違いがあります。さらに、ここ数年来続く低金利時代には、養老保険の運用利回りも低く、昔は100%を軽く超えていた返戻率も、今では100%を超える方がまれな状態です。


従って以前と比べると、貯蓄商品としての魅力は著しく失われてしまっているため、豊富な金融知識を持ち、自分で資産を運用できる人には、養老保険は向かない商品になりました。逆に、あまりその分野には詳しくないという人には、死亡保険を主目的に加入したにもかかわらず、満期になったら気づかないうちに払ったお金がかなりの割合で戻ってくるという養老保険は、おすすめの保険です。

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