生命保険には加入できる限度額がある!その上限の決め方とは?

更新日:2020/08/11
生命保険は、必要だと感じる保障額に加入できると思われがちですが、実は加入できる死亡保障には、限度額があるのです。一定の条件をもとに、各保険会社では限度額を設けており、限度額以上の生命保険に加入することはできません。ここでは、生命保険の限度額について解説します。
生命保険には加入できる保険金・保険料に限度額があります
生命保険の契約者・被保険者による上限額について説明します
もし、契約者の年収が500万円だった場合、年間の保険料が300万円の保険料を支払うことができるのでしょうか。
もちろん、多額の預貯金があり、それを切り崩して保険料を支払うことができる場合もあるかもしれませんが、一般的に考えるとそれは現実的ではありません。
このように、契約者が支払う保険料は、各保険会社によって一定ではありませんが、上限が決められているのです。
また、保険の対象者となる被保険者についても、生命保険に加入できる保険金額に、上限が設けらえています。
契約者(支払者)の年収で制限して契約者を守ります

実は、これが保険会社が申し込みされた契約を引き受けるかどうかの1つの判断材料になるのです。
多額の保険料を支払わなければならない生命保険に加入し、その保険料に対して年収が少ない場合は、支払う保険料で家計はみるみるうちに、破綻してしまいます。
生命保険は、万が一のときのための保障として、長く継続していかなければならないものなので、途中で家計が破綻してしまう恐れのある保険契約は、保険会社では引き受けないことになっています。
また、専業主婦など、収入のない人が生命保険の契約者になろうとしたときには、保険会社から、どのように保険料を支払う予定なのかと確認されることになります。
この場合、配偶者の収入で保険料を支払うという事前申請を行うことによって、やっと生命保険に加入できるというシステムとなっています。
被保険者の仕事内容や趣味で、死亡保険金額や入院給付金日額に制限
これは、職業を原因として、けがなどで入院する確率や、万が一のときには死亡してしまう可能性が、一般の職種に比べて、とてもリスクの高い職業だと考えられているからです。
引受基準については、保険会社それぞれ相違します。
職業 | 保険金 | 入院給付金(日額) |
---|---|---|
潜水士 | 3,000万円 | 付加できない |
高所作業職 | 3,000万円 | 10,000円 |
トラック運転手 | 5,000万円 | 10,000円 |
これは、一部の例ですが、このように職種によって、1つの保険会社で加入できる上限が決まっているのです。
もし、限度額以上の保障を持ちたいという場合には、2つの保険会社に分けて保険に加入することで、大きな保障を持つことができます。
被保険者(受取人)の年収で制限して、詐欺を防いでいます
医療保障は、入院日額を基準としていますが、無制限で入院日額を決めれるわけではありません。
健康な状態のときより、入院していた方が経済面が豊かになってしまうと、なかには経済的理由から、意図的に給付金を受け取ろうとするケースが起こりうるのです。
これが、保険金詐欺というものです。
この保険金詐欺を避けるために、保険会社では、被保険者の収入による死亡保障や入院日額において、上限を設定しています。
たとえば、年収360万円の場合、死亡保障の上限が収入の15倍だとすると、5,400万円までしか死亡保障を持つことはできません。
また、入院日額は年収の1/360が上限とされていることが多く、年収360万円のだと、入院日額1万円までしか加入できないということになります。
15歳未満の未成年は1000万円が限度額になります
15歳以上であれば、1つの保険会社で限度額まで加入して、さらに保障が必要だと感じる場合は、他社でもう1つ生命保険に加入することができます。
しかし、15歳未満では、他社も含めて1,000万円までしか加入できないという制限があるのです。
両親の死亡保障は必要ということは、よく耳にしますが、子どもの死亡保障が欲しいということは聞きませんよね。
子どもに多額の死亡保険金をかける必要性は、まったくないのです。
もし多額の保険金をかけようとしているのなら、それは保険金詐欺をしようとしているのではないかと考えられます。
このような考えから、各保険会社は、15歳未満の未成年に対しては、情報を共有し、1,000万円以上の死亡保障には、加入できないようにしているのです。
ほとんどの場合で学資保険も限度額に含まれます
学資保険は学費の準備だから、死亡保障とは関係ないと思っていないでしょうか。
実は、学資保険にも死亡保障は付加されているのです。
保険の対象となるのは、子どもです。
その子どもが15歳未満の未成年だった場合、各保険会社による通算1,000万円の死亡保障の限度額に、含まれることが多いのです。
もちろん、学資保険には、多額の死亡保障があるわけではなく、万が一のときには、既払保険料相当額の保険金となるので、学資保険に加入したからといって、生命保険に加入できないわけではありません。
しかし、逆パターンで考えると、先に生命保険で死亡保障1,000万円の限度額いっぱいで加入し、その後に学資保険への加入を検討した場合には、学資保険に加入できないケースもあるのです。
限度額を超えてしまうときは貯蓄型の終身保険でカバーしましょう
銀行などの預貯金で準備していくこともできますが、できれば、教育資金は確実に準備をしていきたいところですよね。
そんなときは、両親のどちらかが、資産形成機能のある終身保険に加入することで、計画的に資産形成をしていくことが可能です。
もちろん、子どもを被保険者とする終身保険では、限度額の関係で加入できないので、被保険者になるのは、両親のどちらかです。
万が一のときには、死亡保障として、その後の生活維持や教育資金の備えにもなります。
また、終身保険は貯蓄性に優れているので、一般的に加入してから10年経過すれば、支払った保険料よりも解約返戻金が多くなり、元本割れするリスクは少なくなります。
生命保険の限度額の対象に特約が入らないこともあるので注意しましょう
たとえば、15歳未満の未成年の限度額である1,000万円の死亡保障に加入していると思っていても、実は本当の死亡保障額は500万円だったというケースもあるのです。
- 主契約(終身保険)100万円
- 定期保険400万円
- 災害特約500万円
ただし、保険会社によって見解がかわる場合があるので、もし加入を検討するのであれば、加入しようとする保険会社に問い合わせをしてみると良いでしょう。
まとめ
収入の低い人が、10億円の死亡保障に加入したいといっても、加入できるわけではありません。
実際に、10億円に対する保険料を支払うだけの年収が、確保できていないからです。
このように、生命保険に加入する際は、健康状態だけではなく
- 契約者・被保険者の年収
- 被保険者の職種
- 15歳未満の未成年者への保護
特に、15歳未満の未成年者の限度額は、知らない場合が多く、あとから学資保険に加入しようとした際に、限度額をオーバーするので加入できないといったケースがあるので、注意が必要です。

そもそも、生命保険による保険金は、遺された遺族の経済的な備えとして考えられているものです。
たとえば、1人の人に5億円の保険金をかけようとしたとき、本当に遺族にとって5億円が必要となるのでしょうか。
もし、年収が10億円で、生活水準を下げたくない場合は必要と感じるかもしれませんが、世間通念上、必ずしも必要な金額とは言い難いと思います。
また、保険金詐欺などを防ぐために、生命保険会社では、1人の人が加入できる保険金額の上限が設けられています。
保険料にしても同様に、各保険会社で上限が定められており、契約者が支払えると判断できない保険料となる生命保険には、加入できないことになっているのです。