更新日:2020/11/10
【危険】確定申告で売上をごまかすことは可能?虚偽の確定申告について解説
税金を安くしたいあまり、確定申告の売上をごまかす、嘘の内容で申告をするなど、つい考えてしまう方もいるのではないでしょうか。もし実際にやってしまったら、どうなるのでしょう?この記事では、確定申告のごまかしが可能なのか、ばれてしまった場合のリスクについて解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 確定申告で売上をごまかすことは可能?
- 確定申告で売上をごまかすのはリスクが高い
- 税務署はおおよその売上を把握している
- 税務署はごまかし方を知っている
- 確定申告で売上や経費をごまかすとどうなる?
- 意図的な売上・経費のごまかし・嘘は脱税とみなされる
- ペナルティーとして附帯税が課せられる
- 悪質な場合は逮捕される
- 個人事業主がごまかすのも危険
- 注意:白色申告でも税務調査の対象になる可能性がある
- 注意:その年のうちに指摘されるとは限らない
- 確定申告で売上や経費の計算を間違えてしまったら
- 確定申告の期間内に訂正する場合
- 期間後に訂正する場合
- 税務調査の連絡ではじめて気付いた場合
- 注意:税務調査は確認や指導のために行われる
- 参考:他人が虚偽の確定申告をしている事実を知ってしまった場合
- まとめ:確定申告で売上をごまかすことは可能なのか
目次
確定申告で売上をごまかすことは可能?
事業を行っている方が年に一回税務署に売上と利益を報告する確定申告。その確定申告の売上をごまかすことは可能なのでしょうか。
売上が増えれば利益が増える、利益が増えると税金が増えるため、そもそも売上を過少に申告してしまえば税金の支払いを少なくできるのではないか。事業をされている方なら一度はこのように思ったことがあるはずです。
また、確定申告で売上をごまかすとどうなってしまうのか気になっている方も多いと思います。
そこでこの記事では、皆さんの悩みを解消すべく
- 確定申告で売上をごまかすのはリスクについて
- 確定申告で売上や経費をごまかすとどうなる?
- 確定申告で売上や経費の計算を間違えてしまったら?
以上のことを中心に解説していきます。
この記事を読んでいただければ、「確定申告で売上をごまかすことは可能?」について参考になるかと思いますので、是非最後までご覧ください。
確定申告で売上をごまかすのはリスクが高い
確定申告で売上をごまかすのはとてもリスクが高いです。税務署は税金のプロなので、その業種と従業員数などから、おおよそ売上がどの程度あるか把握することが可能です。
また、税務署は、事業主がどのような方法でごまかすのかも、過去のデータや摘発事例からもほぼ把握しています。つまり、売上のごまかしは「バレていない」ではなく、単に「摘発されていないだけ」と思っていた方が正しいです。
確定申告では、一年間で売上分を正確に申告し、正しく納税することが大切です。
税務署はおおよその売上を把握している
税務署はおおよその売上を把握しています。その理由として、「法定調書」や「資料せん」などがあげられます。
法定調書
資料せん
- 売上
- 仕入れ
- 接待交際費
- 外注費
- 広告宣伝費
- リベート
税務署はごまかし方を知っている
脱税の代表的な手口は以下の3つです。
- 売上を過少に計上する
- 経費を過大に計上する
- 在庫の数をごまかす
売上の過少計上
例えば飲食店など「現金での取引が多い業種」の場合は、その現金を帳簿につけずにポケットへ入れてしまえば、そのお金のありかを見つけるのは難しくなります。実際は100万円の売上があったものを80万円として申告すれば、残りの20万円については税金をかけられることなくポケットヘ入れることが可能です。
ただし、売上を過少計上しすぎて原価ギリギリの帳簿になっていたり、まったく所得が出ていない申告書の場合は「どのように生活しているのか?」と疑われます。帳簿場所得で生活できない限り「貯金を食いつぶす」「他に所得がある」「売上の過少計上をしている」などの疑いが大きくなります。
ちなみに、故意に現金を抜く行為については重い罰則規定があるので絶対にやめましょう。
経費を過大に計上
白紙の領収書をもらって書き換えたり、人件費を水増ししたり、架空の仕入れをしたりすることで経費を過大に計上し脱税をする方法もあります。
経費を過大に計上してもバレないと思いがちですが、税務署は適正な価格を知っているのはもちろんのこと、取引先の帳簿も把握していますので、取引先の売上とこちらの経費に差があるとすぐに脱税がばれてしまいます。
在庫の数をごまかす
在庫の数を増やせば利益も増えますし、在庫の数を減らせば利益を減らすことが可能です。
その上在庫の計上は「その価格が適正か判断するのが難しい」ことが厄介な点で、仮に手作りの商品で「これは100万円の価値がある!」と言い張って在庫計上することも帳簿場は可能な場合もあります。
もちろん、それを作る適正な原価や、市場価格などから判断されますが、このように在庫の価格というのは判断が難しい反面粉飾に使われやすいのです。
しかしながら、これらの方法は今まで数々の事業者が行ってきた脱税の方法なので、税務署がそこの調査を見落とすとは考えられません。
つまり、税務署は事業者がどのような形でごまかすのか知っているので、調査などが入ると脱税は必ずバレます。絶対にごまかしはやめましょう。
確定申告で売上や経費をごまかすとどうなる?
実際確定申告で売上や経費をごまかすとどのようなことが起こるのでしょうか。
実は意図的にごまかすと「脱税」とみなされ、ペナルティーとして附帯税が課せられたり、悪質な場合は逮捕されることもあります。
もう少し詳しく、確定申告で売上や経費をごまかすとどうなるかについて説明していきましょう。
意図的な売上・経費のごまかし・嘘は脱税とみなされる
意図的なごまかし行為や虚偽申告は、法人税法第159条等における「偽りその他不正な行為」に該当します。「偽りその他不正な行為」は脱税とみなされ、税務調査の対象となり得ます。
また、脱税は刑法が適用されるため、10年以下の懲役または1千万円以下の罰則を科される場合もあります。
なお、税務調査の結果によっては追徴課税などのペナルティーが発生する可能性もあります。それらを支払わないと最悪は差し押さえなどが行われる可能性もあるため、意図的な売上や経費のごまかしや嘘は絶対にやめましょう。
ペナルティーとして附帯税が課せられる
粉飾がばれた場合はペナルティーとして附帯税が課せられます。付帯税はいくつかありますので一つひとつ確認していきましょう。
過少申告加算税
過少申告課税とは、確定申告を提出した後で、その申告した税金が実際に納付すべき税金より少なかった場合や過少申告により税務署から指摘を受けた場合に加算される税金のことです。加算額は、修正して増加した税額の10%となっています。
※修正申告することで増加した税額と50万円の、いずれか多い方の金額を超える場合は、更に5%追加で課税されます。
無申告加算税
確定申告書そのものを期限内に提出せず、加えて納付すべき税金があった場合に課税されます。加算額は、納付しなければならない税金のうち50万円までは15%、50万円を超える分に関しては加算され20%となります。
※ただし、税務署から指摘される前に自主的に納付した場合は5%に軽減される措置が取られます。
不納付加算税
源泉徴収した所得税を期限内に支払いしなかった場合に加算されます。加算額は納付しなければならない税金の10%です。
※税務署から指摘される前に自主的に納付した場合は5%に軽減される措置が取られます。
重加算税
上の各項目が課税される場合で、事実を隠ぺいしながら申告した、または申告そのものを怠った場合に課税されます。
重加算税は他のどのペナルティより重く、追徴課税が35%も上乗せになります。仮に本来払うべき税金が100万円だった場合、追加で35万円も払わなければいけなくなるということです。
なお、事実の隠ぺいを常習的に行っている人に対しては、追徴課税が45%に増加します。
延滞税
延滞税は税金の納付期限を超えて申告(延滞)した場合に加算されます。加算額は、申告期限から2ヵ月間の間に申告した場合、年率「7.3%」。2ヵ月を超え申告した場合は年率「14.6%」となっています。
利子税
利子税は監査や資金繰りなどによって期限までに税金を納められず、かつその猶予を税務署が認めた場合に加算される税金のことです。
悪質な場合は逮捕される
脱税の中でも、事実の隠ぺいや偽装、税務署をだますつもりで申告した事実などがあり、悪質な脱税と認められる場合は逮捕される可能性があります。
脱税は刑事罰です。軽い気持ちでやって摘発されれば前科がついてしまいます。絶対に脱税はやめましょう。
学生や水商売の方も確定申告をする必要があるのにごまかせば罰を下されます。
学生の確定申告や水商売をしている方の確定申告に関しては別の記事に詳しくまとめていますので参考にしてみてください。
個人事業主がごまかすのも危険
会社だけでなく、個人事業主や副業をしている個人なども税務調査の対象とされることがあります。
副業が会社にばれないように、確定申告をせずに放置している方もいるでしょう。しかし、これらの脱税がばれると会社にも知られますし、刑罰を受ける対象にもなります。
たとえ赤字であったり売上が少ない場合であっても、等しく税務調査の対象となる可能性があります。どこで税務調査が入るかは分かりませんので、確定申告は正確にきちんと行うようにしましょう。
注意:白色申告でも税務調査の対象になる可能性がある
税務調査は、申告が間違っていないか、脱税をしていないかを調査するものですので、白色申告だから税務調査の対象にはならないというのは嘘です。
白色申告は青色申告に比べて帳簿が簡易的のため、調査がしにくいことからこのような勘違いが生まれたといわれています。白色申告であっても、申告に不審な点があれば税務調査は必ず来ると思っていた方が無難です。
注意:その年のうちに指摘されるとは限らない
確定申告のごまかしは、その年のうちに指摘されるとは限りません。もし一年経って次年度になったとしても、ごまかした年の確定申告が認められたわけではないということです。
税務署は、所得隠しについて一度泳がしていると思っていた方がいいでしょう。毎年同じように確定申告をごまかしているような事実を掴んだ段階で確実に税務調査が入ります。税務調査では遡って税金のペナルティーを科せられますので、確定申告をごまかすのは絶対にやめましょう。
なお、副業などで所得を申告していない人は意外と多いため、副業は特に税務署が目をつけている場合が多いです。副業で売上がある場合は、正確に申告をしておいた方がいいでしょう。
確定申告で売上や経費の計算を間違えてしまったら
確定申告する上で、意図せず売上や経費の計算を間違ってしまったらペナルティとして摘発されるのでしょうか。
実は、意図せず計算を間違えた場合は大きな問題にはなりません。対応の仕方を紹介しますので参考にしてみて下さい。
確定申告の期間内に訂正する場合
確定申告の期限内に訂正する場合は、罰則やペナルティが課せられることはありません。
確定申告の期限内に2つ以上の申告書が提出された場合、一番最後に出した申告書が正式なものとして受理されます。
ただし、保険の控除明細の他、様々な証明書類は古いものに添付して手元にない場合も多いため、実務上新しい申告書には「訂正申告」と朱書きして提出します。この際に古い申告書の提出日や、納税額なども併せて記載します。
なお、期限内でも還付請求で、その請求処理が終わっている場合などは取り扱いができない場合もありますので、直接税務署に相談してみて下さい。
期間後に訂正する場合
申告期限後に訂正をする場合は
- 税額が増える場合
- 税額が減る場合
で取り扱いが変わってきます。
税額が増える場合
税額が増える場合は「修正申告」をする必要があります。
修正申告の際には、どの項目がどう変わって、納める金額がいくら増加するのかを記載する「確定申告の第五表」が必要になるなど普通の申告とは取り扱いが変わりますので注意が必要です。
なお、修正申告提出日が、増加した税額を納める期限なので、提出の日までにお金を納めておくようにしましょう。
税額が減る場合
税金を多く納めてしまっている場合は「更生の請求」を上げる必要があります。
この更生の請求書の提出をもって税務署が税金を還付するかどうか検討します。繰越損失などを含めて還付が妥当だと判断された場合税金が還付される仕組みです。
なお、更生の請求には期限があります。期限は、原則法定申告期限から数えて5年以内です。
税務調査の連絡ではじめて気付いた場合
税務調査によってはじめて税金の納付金額が間違っていることに気がついた場合はどうなるのでしょうか。
例えば、意図的でない小さなミスなどであれば、なぜ間違ってしまったのか納得できる理由を正直に説明をすることができるのであれば、注意で済む場合も多いです。また、税務署から正しい申告の方法を教えてもらえたりします。
なお調査前に修正申告をすることも可能です。もし申告に間違いがあることに気が付いた場合は、すぐに正しい申告をし直すことをおすすめします。
注意:税務調査は確認や指導のために行われる
税務調査は、法人であれ個人であれ事業を行っている以上誰にでも来る可能性があります。
税務調査は、行われるから必ず脱税とされるわけでも、脱税の証拠を掴んだから税務調査が行われるわけでもありません。税金に対する正しい申告をしているのか確認したり、指導をするために行うのが本来の趣旨としてありますので、仮に連絡が来たからといって必要以上に恐れる必要はないということです。
参考:他人が虚偽の確定申告をしている事実を知ってしまった場合
知人の世間話や自慢話などで、知人などが虚偽の申告をしていることを知ってしまった場合は、国税庁に匿名で情報提供をすることが可能です。
もちろん、その情報について提供をするしないについては個人の判断によります。聞いてしまった以上確実に報告をしなければならないということはありませんし、知っていたことを告げなかったからと言って罰に問われることはないので心配はいりません。
まとめ:確定申告で売上をごまかすことは可能なのか
- 税務署はプロなので、確定申告をごまかしてもいつかバレる
- ごまかしがばれた場合、ペナルティが課せられる。悪質な場合は懲役刑になることも。
- 確定申告を意図せず間違ってしまった場合は修正が可能