更新日:2022/01/02
医療費控除の確定申告はいつまで?申請期間ややり方を具体的に解説
医療費控除の確定申告の期限や期日が通常の確定申告と異なること、またいつからいつまでの分が医療費控除の対象なのか知っていますか?この記事では医療費控除の確定申告のやり方・いつまでに申請すれば良いか等、具体例を挙げながら解説していきます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
医療費控除の申請期限はいつまで?確定申告の期日を過ぎたら?
毎年2月〜3月は確定申告の時期です。個人事業主やフリーランスの方、また会社員でも副収入などがある方であれば、この時期が近づいてくると「そろそろ確定申告の準備をしなければ」と思う人も多いでしょう。
特に会社員であれば、確定申告をすることで年末調整では受けることができなかった控除を受けることができることもあります。
その一つが医療費控除です。
医療費控除は簡単に言えば、病気やケガによってかかった1年間での医療費が基準額を超えた場合に、税金が減額される仕組みです。
この医療費控除は自動的に適用されるものではなく、確定申告で申請することで初めて適用されます。
そこで今回は税金が安くなる医療費控除について、
- 医療費控除はいつからいつまでの分が対象となる?
- 医療費控除の確定申告のやり方は?
「そもそも医療費控除を知らなかった」「確定申告の期限を過ぎてしまったからもう申請はできない」と思っている人は、本来受けられる節税効果を受けないまま損をしてしまっている可能性があります。
2022年の医療費控除申請について知りたい人はもちろん、今まで医療費控除を申請したことがない人もぜひ最後まで読んで、いつまでに申告すべきかなど医療費控除についての理解を深めて節税対策をしていきましょう。
医療費控除の申告期限は5年!確定申告の期間を過ぎてもOK
ここでは、医療費控除の申請期間はいつからいつまでなのかについて詳しく解説します。
そもそも医療費控除を知らないという方もいらっしゃいますよね。
この医療費控除とは、病気やケガなどの治療費用が一定額を超えた場合に支払う税金が減額される仕組みのことを言います。
ただし、医療費は病気・ケガ・出産のための費用のみなので、治療に関係のないマッサージや健康増進・美容目的にかかった費用は対象外となるので注意しましょう。
また1年間の自己負担額が10万円以上でないと医療費控除を受けることができません。
「1人で1年間に医療費10万円」というとかなり治療を受けているように感じますが、医療費控除の対象は、申請者本人にかかった医療費だけではなく、生計を一にしている(生活資金を共有している)家族の医療費も含まれるので、そう考えるとそう多くはありませんね。
自営業であれ会社員であれ、医療費控除を受けるには申請する必要がありますが、いつからいつまでに申請するべきなのわからないという人も少なくないでしょう。
確定申告と一緒に申請することもできますが、確定申告と同時でなくても申請することができるのです。
医療費控除の申請は一年中できる
そもそも確定申告とは、1年間で得た収入(所得)を税務署に報告することで、支払うべき税金額を明確にする仕組みです。つまり税金を支払うための申告ということです。
一方の医療費控除は、一度支払った税金のうち医療費控除が適用されて「払い過ぎ」になった税金分を受け取る申告(還付申告)です。
医療費控除が含まれた還付申告は、対象となる年の翌年から5年間のうちならばいつでも申告することが可能です。
2022年の医療費控除申請は、2020年分の医療費だけでなく、2016年1月1日以降にかかった医療費に関しても対象となります。
また、2021年のうちにかかった医療費に関しては2022年1月1日〜2026年12月31日までであればいつでも申請することができます。
つまり申請期間がいつからいつまでかを具体的に言えば、
- 確定申告:2月16日〜3月15日
- 還付申告:1月1日〜12月31日
確定申告の時期を避けて医療費控除を受けるのがおすすめ
医療費控除は確定申告と一緒に申請することができます。個人事業主やフリーランスの人など確定申告をしなければならない人であれば、確定申告と一緒に申請しておくと手続きを一回で済ませることができおすすめです。
しかし、会社員など普通であれば確定申告の必要がない人であれば、むしろ確定申告の時期(2月〜3月)に医療費控除申請をすることはおすすめできません。
なぜなら確定申告の時期は税務署なども混雑してしまうからです。特に確定申告期間の初日と期限最後の一週間はかなり混雑するので、相談するまでに1時間以上待つこともあり得ます。
医療費控除は1年間のうちいつからでも申請することができるので、あえて混んでいる2月〜3月を選ばずに、確定申告申請期間以外のタイミングで還付申告すると良いでしょう。
医療費控除の確定申告についてやり方を解説!
ここまではいつまでに申告するべきなのかなどを説明してきましたが、ここからは、
- 医療費控除が受けられる条件
- 医療費控除の対象医療費と対象外の医療費
- 医療費控除を受ける場合に必要な書類
- 申請手続きの流れ
など医療費控除を申請するときに知っておくと良いことについて説明します。
初めて申請するという方やこれから申請の準備をする予定がある方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
医療費控除を受ける際の条件
まず医療費控除を受けるためには、次の2つの条件に該当する必要があります。
その条件とは、
- 1年間にかかった医療費が10万円以上
- 医療費の対象は自分、および自分と生活を一にする家族
1年間にかかった医療費が10万円以上
まず医療費控除を受けるためには、1年間にかかった医療費が10万円以上である必要があります。1年間というは、1月1日〜12月31日までのことです。
ここでの医療費は自己負担額です。そのため、保険金などで補填された分の金額は自己負担額になりません。
また、会社員で年収が311万6,000円に満たない場合は年間に支払った医療費が「所得金額の5%」以上であれば医療費控除を受けることができます。
医療費の対象者は自分と生活を一にする家族
医療費控除の対象となる医療費は、自分の治療に関するもの以外も対象となります。それが生活を一にする家族にかかった医療費です。
「生活を一(いつ)にする」とは、生活費が一緒になっていることを意味しており、同居している必要はありません。
言い換えれば、一緒の家で暮らしていても生活資金がそれぞれ独立していれば「生活を一にする」に該当しません。
またここでの「家族」は配偶者や親・子どもだけではなく、6親等内血族・配偶者3親等内姻族を含めます。
親等とは、
- 1親等:父母・子ども
- 2親等:兄弟姉妹・孫
- 3親等:祖父母・おじ・おば・甥・姪
- 4親等:いとこ・兄弟姉妹の孫
- 5親等:父母のいとこ・いとこの子ども
- 6親等:はとこ・いとこの孫
つまり、一緒に生活をしている配偶者や子どもの医療費はもちろん、学費・生活費を仕送りしている子どもの医療費や、生活費・療養費などを支払っている親の医療費なども医療費控除の対象になります。
医療費控除の対象にならないものもあることに注意しよう
医療費控除を申請するときに気をつけなければならないのは、病院や薬局で支払った金額すべてが医療費控除の対象になるわけではないということです。
医療費控除の対象となるのは病気・ケガ・出産
医療費控除の対象となる医療費は、病気やケガの治療または出産に関係するものです。
具体的に言えば、
- 医師に支払った診療費・治療費
- 治療のためのマッサージ・鍼灸費
- 虫歯の治療費・入れ歯の費用・治療のための歯科矯正費
- 処方箋による医薬品
- 妊娠中の定期検診や出産の費用
- 異常が見つかり治療を受けることになった際の健康診断費
- 通院・入院のための交通費
- 保健師や看護師・准看護師による療育費
- 病気やケガの治療のための市販医薬品
- 不妊医療費・人工授精費
- 医師の証明があるおむつ使用費やケアハウス使用費
- 診断書の作成費
- 予防接種費
- 美容のための歯科矯正費
- 治療を目的としないビタミン剤など
- 通院・入院のための自家用車のガソリン代
- 妊娠中絶費
- メガネ・コンタクト購入費
医療費控除の確定申告の際に必要なもの
医療費控除を申請するためには自ら申告する必要がありますが、申請するために必要になるものがあります。
医療費控除はいつからでも申請することができますが、まずは
- 源泉徴収票
- 医療費控除の対象となる医療費の領収書
- 医療費控除の明細書
- 確定申告書A様式
- 本人確認書類
加入している健康保険から送られてくる医療費通知があれば、医療費控除の明細書を書くときに便利です。
源泉徴収票・医療費の領収書
源泉徴収票は勤務先で受け取ることができます。
また医療費の領収書(レシート)は申請する際に提出する必要はありませんが、申請から5年間は必ず保管する必要があります。
なぜなら、医療費控除の明細書の証拠として提示・提出しなければならないことがあるからです。
医療費控除の明細書・確定申告書A様式
医療費控除の明細書・確定申告書A様式は、税務署に取りに行くか、国税庁のホームページからダウンロードすることで手に入れることができます。
必要書類を全て揃えたら、医療費控除の明細書・確定申告書A様式に必要事項を記入していきましょう。
なお、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」で作成することも可能です。
医療費控除の申請手続き方法を解説
必要な書類が全て揃ったら、実際に医療費控除の申請手続きを進めていきます。
医療費控除の申請手続きは以下の3つの手順です。
- 医療費控除の明細書に必要事項を記入する
- 確定申告書A様式に必要事項を記入する
- 税務署に必要書類を提出する
必要書類を提出してから、1か月〜1か月半で還付金を受け取ることができます。
医療費控除の明細書に必要事項を記入する
まずは、医療費の領収書・レシートを見ながら医療費控除の明細書に必要事項を記入していきます。
医療費控除の明細書に記入する内容は大きく分けて
- 住所・控除を受ける人の氏名
- 医療費通知に関する事項
- 医療費(医療費通知に関する事項以外)の明細
- 医療費の合計
- 控除額の計算
まずは、控除を受ける人の住所と氏名を記入しましょう。
次に、医療費通知を受け取っている場合は、
- 医療費通知に記載された医療費の額
- 医療費通知に記載された医療費の額のうちその年中に実際に支払った医療費の額
- 実際に支払った医療費の額のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額
この欄に記入した場合は、医療費通知の原本を提出する必要があります。
医療費通知を受け取っていない、または医療費通知に記載されていない医療費を申請する場合は、医療費(医療費通知に関する事項以外)の明細に必要事項を記入していきます。
記入する内容は
- 医療を受けた人の氏名
- 病院・薬局などの支払先
- 医療費の区分(診療・治療、介護保険サービス、医薬品購入、その他の医療費)
- 支払った医療費の額
- 支払った医療費の額のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額
何回も通院をしていると一つずつ書かなければならない手間を感じるかもしれませんが、実は
- 医療を受けた人ごと
- 病院・薬局ごと
上記5つの記入ができたら、「支払った医療費の額」と「生命保険や社会保険などで補てんされる金額」のそれぞれの合計額を記入します。
ここまで記入ができたら、医療費の合計の欄に
- 医療費通知・医療費通知以外の明細に記入した「支払った医療費」の合計額
- 医療費通知・医療費通知以外の明細に記入した「保険の補てん額」の合計額
最後に、控除額の計算の欄に必要な金額を記入していきます。
- A:「医療費の合計」に記入した支払った医療費の合計額
- B:「医療費の合計」に記入した保険の補てん額の合計額
- C:支払った医療費の合計額から保険の補てん額を引いた差額
- D:源泉徴収票に記載されている給与所得控除後の金額
- E:Dに0.05を掛けた金額
- F:Eの金額または10万円のうち少ない金額
- G:CからFを引いた差額
確定申告書A様式に必要事項を記入する
確定申告書A様式には、第一表と第二表の両方に記入する必要があります。記入には、源泉徴収票を利用します。記入するのは、第一表の
- 住所や氏名など
- 所得・所得控除・所得税(源泉徴収票に書いてある内容を転記する)
- 18「医療費控除」の欄に、医療費控除の明細書の控除額の計算で算出したGの金額を記入する。区分は空欄のままにする。
- 20「合計」
- 住所と氏名
- 18「医療費控除」の欄に、支払い医療費等と保険金などで補填される金額をそれぞれ記入する。
税務署に必要書類を提出する
それぞれ必要事項の記入ができたら、- 医療費控除の明細
- 確定申告書A様式
- 源泉徴収票
- マイナンバーの本人確認書類
提出は、税務署に直接持っていっても良いですが、郵送やe-Taxなども活用することができます。郵送の場合は消印が提出日となります。
いつからいつまでの分が対象か確認して医療費控除の確定申告をしよう
ここま医療費控除の確定申告について、いつからいつまでに申請すればいいのかや、いつからいつまでの分が対象になるのかを説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは、
- 自分と生活費が共通している自分の家族の医療費が10万円を超えたら医療費控除を受けることができる
- 医療費控除の対象となるのは、病気やケガの治療・出産のための医療費
- 医療費控除は確定申告期間以外でもいつでも申請することができる
- 申請には源泉徴収票・医療費の領収書・医療費控除の明細・確定申告書A様式・本人確認書類が必要
医療費控除は自ら申請しなければ受けることができない還付申告です。
「知らなかったから還付を受けることができなかった」という人も少なくないため、ぜひ活用したい制度です。
この記事を参考にいつからいつまでに申請すればいいのか、またいつからいつまでの分が対象になるのかを把握して、きちんと医療費控除を受けましょう。
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