更新日:2022/09/18
生命保険・損害保険の保険料は消費税がかかる?課税対象の保険料とは
生命保険や損害保険の保険料は税金がかからず非課税です。生命保険や損害保険の保険金も税金がかからない不課税になります。解約返戻金や満期返戻金も消費税の対象外ですが、勘定科目が受け取り方によって違うので注意が必要です。今回は消費税がかかる保険料と保険料の仕訳方法について解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 生命保険・損害保険の保険料は消費税の課税対象?
- 生命保険や自動車保険など各種保険料は消費税の対象外
- 生命保険や損害保険などの保険料は消費税がかからない非課税
- 保険会社から支払われる生命保険などの保険金は不課税
- 解約返戻金や満期返戻金も消費税の対象外だが勘定科目に注意
- 保険料の支払いと保険料が返還された時(戻り)の仕訳方法
- 社会保険料の仕訳方法(仕訳区分)
- 民間保険料の仕訳方法(仕訳区分)
- 補足:保険料の戻りの消費税の課税区分と仕訳方法
- 参考:消費税の課税対象となる保険料・ならない保険料
- 自動車保険の免責部分には消費税が課税される
- 運送保険料は保険契約の名義人や請求方法により異なる
- 引っ越しした際に加入する火災保険料や地震保険料も消費税はかからない
- 海外出張や国内・海外旅行時に加入する保険料も非課税
- ゴルフ場で損害を補償するゴルフ保険は補償内容による
- 消費税の値上げで保険料が高くなる理由
- まとめ:生命保険・自動車保険の保険料に消費税はかからない
目次
生命保険・損害保険の保険料は消費税の課税対象?
2019年10月にいよいよ消費税率が10%に引き上げられました。
消費税率の引き上げからしばらく経ちますが、自動車保険料も値上げになる可能性が高いと言われています。
消費税増税で負担が大きくなっていることに加え、各種保険料も値上げになるとさらに負担が増えるので大変です。自動車保険料が値上げされるのは、消費税率の引き上げが影響しているのでしょうか。
また、生命保険や自動車保険等各種保険は、消費税の課税対象となるのでしょうか。消費税の対象となる各種保険料について知り、個人や法人への影響を考えましょう。
そこで、この記事では「消費税と保険料」の観点で
- 生命保険や損害保険の保険料と消費税
- 消費税の不課税や非課税の課税区分や仕訳方法
- 各補償目的で加入する保険の消費税
について、お話します。
この記事を読めば、「消費税の対象となる保険料」が分かります。ぜひ、最後までご覧ください。
生命保険や自動車保険など各種保険料は消費税の対象外
消費税増税の影響で、家庭や企業の負担は以前より大きくなっていることでしょう。
不必要な出費を避けるために、消費税の対象となる各種保険について詳しく知っておきたいものです。
多くの人が利用する生命保険や自動車保険などの保険料には消費税はかかりません。国税庁は消費税の非課税取引について明記しており、各種保険の保険料は消費税の対象外となっています。
では、これらの保険料はなぜ消費税の対象とならないのでしょうか。生命保険や自動車保険の各種保険料と消費税について、詳しく見ていきましょう。
生命保険や損害保険などの保険料は消費税がかからない非課税
生命保険や自動車保険の各種保険料には、消費税はかからず非課税となります。では、生命保険や損害保険などの保険料はなぜ非課税となるのでしょうか。
消費税の対象となる取引は、
- 国内での取引
- 事業者が対価を得て行う取引
- 資産の譲渡等の取引
上記の取引に対して消費税が課せられることになっています。生命保険や損害保険などの各種保険料は、3番目の資産の譲渡等の取引に含まれます。
ですから、本来ならば各種保険料も課税対象になるはずなのですが、消費税を課すのにふさわしくない取引として、消費税の対象から除外されているのです(消費税法第6条)。
このように、各種保険料は消費税が課せられることなく非課税となるのです。
保険会社から支払われる生命保険などの保険金は不課税
自動車保険や生命保険に加入している方なら、死亡保険金や満期保険金を受け取ることもあるでしょう。
保険会社から支払われる保険金には、消費税がかかるのでしょうか。自ら加入した保険で受取った自動車保険や生命保険の保険金は、個人の収入と見なされます。
しかし、これらの保険金は損害で被った被害を補填するためのものですから、個人の利益には含まれません。
個人の利益にならないということは、消費税の対象となる取引にも含まれない、ということです。
ですから、自動車保険や生命保険の各種保険金にも消費税はかからず、不課税となります。
国税庁は不課税取引と非課税取引を示しており、自動車保険や生命保険の受け取り保険金について不課税としています。
解約返戻金や満期返戻金も消費税の対象外だが勘定科目に注意
このように生命保険や損害保険などの保険料も、その解約返戻金や満期返戻金などの受け取り保険金も、消費税が課せられないことは同じです。
しかし、ここで注意したいのはその勘定科目についてです。生命保険や損害保険などの保険料は非課税で、その保険金は不課税です。
自動車保険料や火災保険料、地震保険料などの損害保険料は損害保険料として経費に計上できます。
しかし、生命保険や損害保険で受け取った保険金は、保険金の受け取り方によって、その勘定科目が変わってくるので、注意が必要です。
生命保険や損害保険の保険料と保険金は、消費税がかからない点は同じですが、経費計算するの時の勘定科目で明確に区別されていることを覚えておきましょう。
保険料の支払いと保険料が返還された時(戻り)の仕訳方法
保険料を支払ったときや、解約のタイミングがずれて保険料が返還されたときには、どのように仕訳をするのでしょうか。
どちらの場合においても、明確に仕訳をして経費として計上しなければなりませんので、正確な仕分け方法を覚えておく必要がありますね。
ちなみに、各種保険に加入した際にどのような保険料を支払うかご存知ですか。
主に保険料は、
- 社会保険料
- 民間保険料
社会保険料の仕訳方法(仕訳区分)
企業に雇われているサラリーマンは、社会保険に加入をして保険料を支払うこととなります。
保険料は、基本的には給与から天引きされて、会社負担分と合算して企業が支払います。
このような方式をとるため、給与の仕訳では最初に「預り金」として計上されます。
しかし「預り金」として計上されてしまうと、残高の管理や仕訳入力の作業が面倒になるため、社会保険料の仕訳に関しては天引き分を「法定福利費」のマイナスとして計上することが一般的です。
この「法定福利費」のマイナスは、毎月の給与から控除される
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
民間保険料の仕訳方法(仕訳区分)
民間保険は、主に生命保険や損害保険を取り扱っていますが、これらも非課税の対象となります。
下記では、民間保険の大多数を占めている生命保険のなかで、養老保険、定期保険及び終身保険の保険料の仕訳方法を解説していきます。
養老保険
補足:保険料の戻りの消費税の課税区分と仕訳方法
保険料戻りの消費税は、非課税とされます。
消費税の性質として、課税に馴染まないことや政策的配慮から非課税となります。
基本的に、保険料は消費税を含むものではなく、保険料単体として成り立っているものです。
なお、消費税は解約のタイミングなどの理由で、時々保険料から戻ってくることがあります。
この戻ってきた消費税については、仕訳を「雑収入」と「保険料」のどちらに区分しても利益は変わりませんが、消費税の計算が異なります。
万が一「雑収入」に区分した場合は、消費税の課税対象外となるのでまた意味が違ってきますね。
保険料戻りの消費税が一時的に戻ってくることがありますが、経費の戻りとなるので収入と計上するのではなく「保険料」と区分していきます。
なお、正確に仕訳をするのであれば「非課税収入」とするのが一番適してます。
このように、消費税の課税区分はややこしい部分となりますが、消費税自体が非課税となることと収入ではなく保険料と計上することを覚えておきましょう。
参考:消費税の課税対象となる保険料・ならない保険料
生命保険や自動車保険を含め、各種保険料は消費税の対象外(非課税)です。
しかし、保険に加入していると、なかには消費税がかかるものもありますから、よく知っておく必要があります。
以下の保険料について、課税対象となるかどうかを見ていきましょう。
- 自動車保険の免責部分
- 運送保険料
- 火災保険料や地震保険料
- 国内・海外旅行時に加入する保険料
- ゴルフ保険
自動車保険の免責部分には消費税が課税される
自動車保険の保険料には、消費税はかからず非課税です。
しかし、自動車保険に付帯している車両保険等の免責金額部分には、消費税がかかり課税の対象となるので注意しましょう。
免責金額を設定していれば、事故で損害を受けても保険会社から一定額の補償が受けられますが、免責金額部分は自己負担です。
車の修理費用として保険金が受け取れる分、自己負担金である免責金額を保険の加入者が支払う必要があるのです。
車両保険等に加入していて、事故などで車の修理する場合には、免責金額部分の支払いに消費税がかかると覚えておきましょう。
運送保険料は保険契約の名義人や請求方法により異なる
運送保険とは荷物を送付するときの損害に備えて加入する保険ですが、その運送保険にも消費税がかかることがあります。
保険料は非課税で処理できると思われがちですが、運送保険料については、保険の契約者(名義人)が誰かによって消費税の対象となるかが変わってくるので、注意が必要です。
運送保険の名義人が運送会社であれば、運賃も運送料にも全体に課税されます。
一方、運送保険の名義人が荷主であれば、運送料と保険料が区別されているなら保険料部分が非課税で、運送料と保険料が区別されていない場合は課税となります。
保険の名義人が誰なのかによって、運送保険料の課税・非課税が異なる点に注意が必要です。
引っ越しした際に加入する火災保険料や地震保険料も消費税はかからない
保険の種類として生命保険や自動車保険以外にも、引っ越しした際に加入する火災保険や地震保険もあります。火災保険や地震保険にも、消費税はかかるのでしょうか。
火災保険や地震保険も保険契約をすると保険料を支払う必要がありますから、資産の譲渡等の取引として消費税の取引の対象となるはずです。
しかし、生命保険や自動車保険の保険料と同様、火災保険料や地震保険料の保険料の支払いも、課税対象にふさわしくないものに含まれるため非課税となります。
火災保険料や地震保険料は、不測の事態が起きた際に必要となるものですよね。
どちらも生活再建に必要なお金であり、この保険料の支払いに消費税が生じてしまうことは、性質上ふさわしくないものだと考えられます。
なお、引っ越しの際の県民共済についてはこちらで解説していますので、ぜひ読んでみてください。
海外出張や国内・海外旅行時に加入する保険料も非課税
また、国内を旅行する時、海外出張や海外旅行で旅行保険に加入する方も多いでしょう。
この海外旅行保険等の旅行保険も、消費税はかからず非課税です。
海外旅行保険等も、税法上は消費税の取引の対象となるはずですが、その他の保険料同様、課税対象としてふさわしくないものに含まれるので非課税となります。
基本的に、生命保険料や損害保険料等、各種保険料は非課税であると言えるでしょう。
ゴルフ場で損害を補償するゴルフ保険は補償内容による
また、ゴルフをプレーする方の中には、ゴルフのプレー中に起こりうる損害のために、ゴルフ保険に加入している方もいるのではないでしょうか。
ゴルフ保険は、その補償内容により消費税の対象と対象外に分けられます。
消費税が非課税となる補償
- 障害補償:ゴルフのプレー中に加入者がケガをしてしまった場合の補償
- 賠償責任補償:ゴルフのプレー中に加入者が他人をケガさせてしまった場合の補償
- ゴルフ用品補償:ゴルフ用品の盗難や破損に対する補償
一方で、ホールインワンやアルバトロス等の獲得時、お祝い金が受け取れるホールインワン補償もありますが、ホールインワン補償は消費税の課税対象となるので注意しておきましょう。
消費税の値上げで保険料が高くなる理由
生命保険料や損害保険料等、各種保険料は非課税で消費税はかかりません。にも関わらず、自動車保険等の保険料は値上げされる可能性が高いと言われています。
自動車保険等の保険料はなぜ高くなるのでしょうか。その理由の一つとして、保険費用が消費税の課税対象になったからです。
事故を起こしてケガをした被害者に、保険会社は交通費を支払う必要がありますが、その交通費が消費税の課税対象となっています。
また、車の修理費の上昇も、自動車保険の保険料が高くなる理由です。
事故を起こして車を修理する必要がある場合、修理業者がその修理に当たるわけですが、その人件費が高くなることによって、車の修理費の値段も上がるのです。
このように、各種保険料は非課税で消費税はかからないことになっていますが、その他のコストの部分で増税の影響が出ていると言えるでしょう。
まとめ:生命保険・自動車保険の保険料に消費税はかからない
この記事では、「消費税の対象となる保険料」についてみてきましたが、いかがでしたか。
基本的に生命保険料や損害保険料等、各種保険料は非課税で消費税はかからないことが分かったかと思います。
「保険料は消費税の課税対象となるか」について、以下のようにまとめてみましょう。
- 生命保険や自動車保険の保険料は非課税である。
- 生命保険や自動車保険の保険金は不課税である。
- 火災保険料や地震保険料、海外旅行保険も非課税である。
- 自動車保険の免責部分は課税対象となる。
今後、自動車保険に見られるように、保険料は値上げされる可能性が高いです。
その理由は、消費税増税が間接的に保険料の費用(コスト)の部分に影響しているからと言えるでしょう。
今後も保険料が値上げの傾向にあると言えますから、その動向に目を向けていきたいものですね。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。