更新日:2020/01/23
礼金にも消費税がかかる?賃貸の敷金・礼金と消費税について解説!
新しく部屋を借りる場合、敷金と共に礼金の支払いも求められることがあります。礼金はおおむね家賃1ヶ月分程度となっていますが、この礼金に消費税はかかるのかご存じですか?この記事では、賃貸契約時の敷金・礼金をはじめ、家賃や更新料に消費税がかかるのかを解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 賃貸の礼金に消費税はかかる?敷金は?
- 参考:そもそも礼金とは?
- 基本的に礼金には消費税がかからない
- 敷金や保証金も同様に消費税がかからない
- 消費税がかからないのは居住用としての賃貸契約のみ
- 参考:非課税と不課税の違い
- 注意:仲介手数料は消費税がかかる
- 注意:借りる期間が1ヶ月に満たない場合は例外
- 注意:一部のウィークリーマンションは消費税がかかる
- 礼金と同様に消費税が課せられない費用を紹介
- 更新料
- 共益費や管理費などの維持管理費
- 備え付け家具の使用料
- マンション内施設の利用料金
- 駐車場料金
- 倉庫利用料
- 参考:消費税が課せられない費用の判断基準
- オフィスや店舗などの事業用として契約する際の礼金には消費税がかかる
- 注意:住宅兼事務所などの場合
- 注意:社宅や借上社宅は居住のための契約なので非課税
- 参考:月極駐車場の礼金などには消費税がかかる
- 賃貸の敷金・礼金と消費税についてのまとめ
目次
賃貸の礼金に消費税はかかる?敷金は?
賃貸物件を新しく契約するときにかかる敷金・礼金について、消費税がかかるのか気になるのではないでしょうか。家賃などの住宅関連費用は、非課税と聞いたことはあっても、具体的に課税有無はよく分からず心配されていることと思います。
2019年10月から消費税増税となったこともあり、家賃の1ヶ月分とされる敷金・礼金に消費税がかかるとすると、大きな出費です。
この記事では、
- 礼金に対して消費税はかかるのか
- 非課税となる条件について
- 更新料や設備管理費・施設利用料などの課税有無について
について解説します。
この記事を読んでいただければ、賃貸物件の敷金・礼金について消費税の課税有無が分かります。ぜひ最後までチェックしてみてください。
参考:そもそも礼金とは?
礼金は、新しく賃貸契約を行う際にかかる初期費用の一つで、関東圏や京都府などで賃貸借契約を行う際の慣習として残っている制度です。物件を所有している大家さんや、オーナーである不動産会社に対して、物件を貸していただくお礼として支払うものです。
初期費用は礼金の他にも敷金が挙げられます。敷金は退去時の原状復帰用として使用する費用を前もって準備金として預けておくイメージで、退去後のクリーニング代などを差し引いた金額が返却されます。
礼金・敷金共に、賃貸契約時に家賃の1~2ヶ月分を支払うケースが多いですが、敷金礼金ゼロの物件も増えてきています。
基本的に礼金には消費税がかからない
賃貸契約時の礼金は、住宅として利用するのであれば消費税はかかりません。住宅は、一戸建て住宅に限らず、マンション・アパート・寮・貸間等が含まれます。
法人契約で従業員の社宅として利用するために借りている場合も、礼金は非課税とされており、非課税区分に個人・法人の違いはありません。
(参考:国税庁 住宅の貸付け)
家賃や礼金は、消費税導入時は課税されていたものの、平成3年10月の税制改正に伴い非課税扱いに変更されました。
人として最低限生きていくために必要な「家」に対しては、消費するものではないとし、社会政策的配慮による非課税とされています。
敷金や保証金も同様に消費税がかからない
賃貸物件の現状復帰費用となる敷金や保証金についても、住居として使用する場合は礼金と同様に消費税はかかりません。
なお、敷金と保証金は呼び方の違いであり実態は同じです。入居時の初期費用として支払い、退去時に現状復帰に必要となるクリーニング費用や修理修繕費を差し引いた金額が返却されます。
消費税がかからないのは居住用としての賃貸契約のみ
消費税が非課税となるのは、あくまでも居住用に賃貸契約を結ぶ場合のみです。オフィス事務所やショップテナント・貸事務所などの事業用に借りる場合は、個人・法人契約に関わらず課税対象となります。
なお個人事業主の場合など、住居と事務所を兼ねている場合は事業用として使用している部分にのみ消費税がかかります。
参考:非課税と不課税の違い
どちらも消費税が課税されないことを表すのですが、非課税と不課税の違いについて紹介します。
消費税は日本国内の取引、かつ事業者が事業の対価を受け取る取引に対してかかる税金です。本来であれば消費税の対象になるもののうち、「消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないもの」や、「社会政策的配慮」から課税しないものを非課税とよびます。敷金・礼金、土地などは社会政策的配慮による非課税です。
対して、不課税は消費税の条件に該当しない取引のことです。例えば、外国での買い物や食事にかかる費用や、無償での寄付や贈与・出資などが不課税に該当します。
注意:仲介手数料は消費税がかかる
仲介手数料とは、賃貸契約時にかかる初期費用の一つで、不動産会社など借主と大家さんなどの貸主を仲介する業者に対して支払う費用です。
仲介手数料は、仲介業者から物件紹介や契約手続きなどのサービスを受けたことに対する支払なので課税対象となります。
仲介手数料の費用は、利用する仲介業者によりますが、家賃の半月~1ヶ月分以内の金額が多いようです。消費税だけでも大きな金額となるので注意が必要です。
注意:借りる期間が1ヶ月に満たない場合は例外
住居用として賃貸契約をしている場合であっても、貸付期間が1ヶ月に満たない場合には、非課税扱いとならず消費税がかかります。
(参考:国税庁 住宅の貸付け 課税範囲)
予め1ヶ月以内に退去する予定がある場合や、短期間だけウィークリーマンションに入居する場合などは注意が必要です。
注意:一部のウィークリーマンションは消費税がかかる
1ヶ月以上利用する場合であっても、消費税がかかるケースがあります。旅館業法第2条第1項に規定する旅館として営業している旅館、ホテル、貸別荘、リゾートマンション、マンスリーマンションなどは、居住でなく「宿泊」扱いとなります。
この場合、長期に渡って利用する場合も消費税がかかるのです。
レオパレス21などのウィークリーマンションは、経営形態・契約内容によって旅館業と不動産賃貸業に分類されます。
契約書や請求書で税込みかどうかは判別できますが、不明点あれば契約先の会社へ問い合わせてみると良いでしょう。
礼金と同様に消費税が課せられない費用を紹介
家賃や敷金・礼金などと同様に、非課税となる費用がいくつかあります。賃貸契約時に初期費用に一律消費税がかかっていて、後々トラブルになるのを避けるためにも、物件探しの際は最低限の知識として覚えておくと安心です。
賃貸物件契約、および施設利用時の参考になる内容ですので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
更新料
更新料とは、1~2年ごとの賃貸契約の更新のために大家さんや管理会社に支払う金額です。地域差がありますが、関東圏や京都府などに住んでいる場合、更新都度支払ことが多く、家賃の0.5~1ヶ月分の金額の支払が相場となります。
更新料も家賃と同様の性質を持つ費用であり非課税です。ただし新規契約時の仲介手数料と同様に、賃貸契約の更新に伴い仲介業者のサービスを受ける場合など、仲介業者に対して支払う更新手数料は課税対象となりますので、注意しましょう。
共益費や管理費などの維持管理費
共益費や管理費とは、家賃とは別に毎月支払いが発生する費用です。エントランスやエレベーター・階段など、共有設備のメンテナンスや清掃にかかる費用として利用されます。
共益費や管理費などの設備管理にかかる費用も、家賃の一部と考えられるため消費税はかかりません。
また、共益費・管理費の中に、電気・ガス・水道料金やケーブルテレビ利用料・空調設備利用料などが含まれる場合、こちらも非課税となります。
備え付け家具の使用料
入居時に家具や家電・倉庫などが既に備え付けられている物件の場合、利用料は非課税です。棚やベットなどの家具や、冷暖房設備や照明器具などの家電が元々備え付けになっている物件が対象です。
これらは、住居人の意思に関わらず設置されていて、家賃や管理費として利用料を徴収されるものなので、消費税がかかりません。
ただし、住人が使用有無を選択し、使用する場合のみ料金がかかるような場合には、利用料に対して消費税がかかりますので、注意が必要です。
マンション内施設の利用料金
マンション内の施設のうち、マンションの住人のみが利用できる施設については、利用料に消費税はかかりません。
エントランスやロビー・キッズルーム、フィットネスジムやラウンジなど、マンションによって特色のある共有施設ですが、家賃や管理費として利用料が徴収されている場合は非課税となります。
ただし、住民以外の方が利用できたり、利用都度料金の支払いが発生する場合は、利用料に対して消費税がかかります。気になる場合は管理会社などに問い合わせをしてみるといいでしょう。
駐車場料金
駐車場付きの物件で、車を持っているかどうかに関わらず利用料が徴収されている場合は消費税はかかりません。対して、賃貸物件とは別に駐車場を借りている場合は、駐車場料金に消費税がかかります。
簡単な見分け方は、賃貸契約の費用科目を確認します。「家賃・敷金礼金・管理費」と、「駐車場利用料」が別々になっている場合、駐車場料金は住居とは別契約なので、駐車場利用料金に消費税がかかります。
対して、家賃の項目に「駐車場利用料を含む」などと記載されている場合は、家賃と一緒に請求されるものなので非課税となります。
車を所有している方は、気になるポイントかと思います。入居時の契約内容をしっかりとチェックしてみてください。
倉庫利用料
備え付け家具・家電と同じように、元々借りている賃貸物件に倉庫が付属していて、利用料が家賃や管理費として徴収されている場合、消費税はかかりません。
住人の意思に関わらず設置されていて、使用有無に関わらず料金が徴収されているので、非課税となります。
また、庭や堀など住宅設備の一つとして一緒に貸付を行っている場合は倉庫と同様に非課税です。
ただし、利用有無を選択することが出来、選択した場合に初めて利用料を支払う場合には、消費税がかかるので注意が必要しましょう。
参考:消費税が課せられない費用の判断基準
物件を住宅として借りる場合は非課税になるのは前述のとおりですが、参考として課税有無の判断基準を紹介します。
国税庁のホームページには、「通常住宅に付随して、又は住宅と一体となって貸付けられるようなもの」は、住宅の貸付とみなし非課税にすることが明記されています。
例えば、
- 庭・堀・排給水施設
- 家具・カーペット、および照明器具・冷暖房設備などの家電
- 自動車の保有状況に関わらず割り当てられた駐車場
- プール・温泉・アスレチックなど居住者のみが利用できる施設
(参考:国税庁 タックスアンサー 住宅の貸付け)
オフィスや店舗などの事業用として契約する際の礼金には消費税がかかる
住宅として利用する場合には、家賃や敷金・礼金に消費税はかかりませんが、オフィスや店舗として事業用に利用する場合は、消費税がかかります。
貸事務所や貸店舗など事業用の物件を探している場合は、家賃や敷金・礼金・管理費などの費用が課税対象となるので注意が必要です。
賃貸物件の契約時は、利用目的を明確にしておくようにしましょう。
注意:住宅兼事務所などの場合
1階を店舗やオフィスとし、2階部分を住居にしているなど、職場と住居を兼用している場合は、事業用として利用している部分のみが課税対象となります。事業用として利用している面積や、利用時間によって住宅部分と事業用分を分割します。
特に居住用として借りていたにも関わらず在宅ワークを拡大し、個人事業主として自宅兼オフィスとして利用するような場合、大家さんや管理会社によってはトラブルとなる場合もあります。用途変更の手続きを忘れないようにしましょう。
注意:社宅や借上社宅は居住のための契約なので非課税
社宅や借り上げ社宅とは、勤め先の会社が管理会社から賃貸物件を借り上げ、従業員に対して貸し出す福利厚生制度です。
社宅や借り上げ社宅の制度がある場合、会社が管理会社に支払う家賃や敷金などの費用は非課税となります。また会社から従業員に貸し出す場合の利用料も非課税となります。
これは、会社が借りる場合でも、管理会社から物件を借りた後、従業員に対して社宅として再貸出しするため、事業用ではなく居住用とみなされるためです。
参考:月極駐車場の礼金などには消費税がかかる
駐車場は、住宅設備の1つとして家賃・管理費等に含まれるかどうかで課税有無が変わります。
賃貸物件とは別に駐車場を借りる場合、居住するための契約ではないため、駐車場に対して発生する費用については全て課税対象となります。
駐車場の月極利用料はもちろん、地域によっては初回契約時に敷金や礼金、保証金などの支払いが必要になることもあります。駐車場を住居と別に契約する場合、これらの費用も課税対象となるので注意しましょう。
賃貸の敷金・礼金と消費税についてのまとめ
賃貸物件の契約にかかる敷金・礼金と消費税について解説しました。
この記事のポイントは、
- 居住用として利用する場合は、家賃・敷金・礼金・管理費などの費用は非課税
- 仲介手数料や1ヶ月未満の賃貸契約の場合は課税対象となる
- マンション内の共有施設、備え付け家具・家電は非課税である
- ウィークリーマンションは契約内容によって課税対象となる場合がある
- オフィスや店舗として部屋を借りる場合は課税対象となる
- 駐車場を賃貸物件と別に契約する場合は消費税がかかる
でした。
敷金礼金は家賃の1~2か月分と高額なので、非課税なのは嬉しいですね。その他にも、住居として利用するのであれば、非課税となる費用も多いので、賃貸物件の契約時は契約内容をしっかりチェックしておくのが良いでしょう。